オーズ『おおおおおおおおおおおおおおッ!!』
変身を完了させると同時にオーズはネコヤミーに突っ込みながら何処からかメダジャリバーを取り出し、ネコヤミーの胴体目掛けて剣を思いっきり振り下ろしていった。しかし……
―ブヨオンッ!―
オーズ『おわっ?!くっ!やっぱり斬れないっ…!』
前回の戦いの時と同様、剣の刃はネコヤミーの脂肪に弾かれて全く通用しなかったのである。ネコヤミーはそんなオーズに両手の肉球で攻撃を仕掛け、オーズはそれを避けながらメダジャリバーで何度も斬り掛かるもやはり弾かれてしまう。
椎名「ちょっ、なんなのよアイツの身体っ?!」
ティア「チッ……また妙な具合に成長したな……拓斗!もっと深く斬り込め!」
オーズ『ぐぅっ!でもっ、あんまり深いと中の人まで……どあぁッ?!』
余り深く斬り込んではネコヤミーの中の門太まで傷付けてしまうかもしれない。そのことを気にするオーズだが、ネコヤミーはそんなオーズに体当たりを喰らわせ吹っ飛ばしてしまった。そしてネコヤミーは吹き飛んだオーズに向かって再び突進し、オーズは直ぐさま受け身を取って立ち上がるとネコヤミーの突進を受け流しメダジャリバーを振るった。
オーズ『つえあぁッ!!はッ!!でえぇいッ!!』
―ダァンッダァンッダァンッダァンッダァンッ!!―
『シャアァッ?!』
オーズはティアに言われた通りメダジャリバーを左右に振るい、ネコヤミーの腹を続けざまに深く斬り込んで大量のセルメダルを弾いていくと、セルメダルを弾かれた事でネコヤミーの腹に裂け目が発生した。其処から……
『――た、助けてくれぇっ……!』
ネコヤミーの腹に発生した裂け目の奥に、助けを求めて呻き声を上げる門太の顔が見えたのである。しかし裂け目は大量のセルメダルによってすぐに塞ぎ込まれてしまい、それを目にしたオーズは何かに気が付いたようにメダジャリバーを眺めた。
オーズ『そうか……周りのセルを押し退けてしまえば!『シャアッ!』うおぉッ?!』
ティア「成る程な…拓斗!さっき取ったコイツにしてみろっ!」
ティアはオーズを襲うネコヤミーを見て納得したように頷くと、先程カザリから奪った檸檬色のコアメダルをポケットから取り出し、オーズへと投げつけた。それに気付いたオーズはネコヤミーの攻撃を避けながらメダルを受け取り、ネコヤミーから距離を離すとバックルの位置を戻してバッタメダルを抜き取り、ティアから受け取ったメダルをバックルへと装填して右腰のオースキャナーを取り外し、バックルへとスライドさせた。
―キィーンッキィーンッキィーンッ!―
『TAKA!TORA!CHEETAH!』
スキャナーから電子音声が響くとオーズの周りを無数のメダルの残像が駆け巡り、オーズの前で赤、黄色、檸檬色と残像が縦一列に揃うと、オーズの姿が淡い光に包まれていった。そして光が晴れてオーズの姿が露わになると、オーズの脚部はチーターの脚を連想させるようなしなやかさを持つレモンイエローの装甲へと変わっており、オーズはネコヤミーに向けて獣のような構えを取った。
椎名「足が……変わった?」
『グウゥッ……シャアアアアアアッ!!』
姿が変わったオーズの脚を見て椎名は不思議そうな声を漏らすが、ネコヤミーは構わずオーズに向かって突っ込んでいく。それを見たオーズは特に焦った様子を見せず、ゆっくりと腰を屈め……
オーズ『……フッ!』
―フッ……―
『ッ?!―バキイィッ!―グガアァッ?!』
なんと、オーズは突然その場にいる一同の視界から消えたかと思いきや、信じられないスピードでネコヤミーに突っ込みすれ違い様に蹴りを打ち込んで怯ませ、一瞬でネコヤミーの背後に回り込んでいったのであった。
椎名「は、はやっ?!なに今の?!」
オーズ『おぉっ!そうか、この脚なら……!』
目で追う事すら出来なかった速度でネコヤミーの背後に回り込んだオーズに椎名は驚愕を隠せず、オーズはチーターレッグの力を目にして何かを思い付いたように両足に力を篭めていく。
―バシュウゥッ!シュウゥゥゥゥゥゥッ……!!―
オーズ『はあぁぁぁぁぁっ……ハッ!!』
それに呼応するかのようにチーターレッグの外部装甲からスチームが噴き出し、オーズは可視すら出来ない超スピードで駆け出し一瞬でネコヤミーへと接近すると、ネコヤミーの腹を踏み台にして空中で一回転し、そのままネコヤミーに組み付いた。そして……
オーズ『ツオオオオオリャアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
―ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!―
『フシャアアアアアッ?!』
オーズはネコヤミーに組み付いたまま、チーターレッグの素早い連続蹴りでネコヤミーの腹部を蹴り付けていったのだ。それによってネコヤミーの腹のセルメダルが徐々に押し退けられていき、ネコヤミーの腹の中から門太の顔が覗き見えていく。
門太『助けっ……てぇっ……!』
オーズ『助けるっ、絶対っ……!!』
ネコヤミーの中から必死に助けを求める門太に向かって、連続蹴りを続けたまま全力で手を伸ばすオーズ。そんなオーズの姿を目の当たりにした椎名は、先程クスクシエで拓斗に言われた言葉をふと脳裏に思い出していく。
『手が届くのに手を伸ばさなかったら、一生後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ……』
椎名(……アイツ……やっぱり今でも……)
椎名は必死に門太に向けて手を伸ばすオーズを見つめ、胸に手を当てながら複雑な表情を浮かべた。そしてオーズはネコヤミーの中へと更に深く左手を伸ばし、門太も必死にネコヤミーの中から手を伸ばしてオーズの手を掴もうとし、そして……
―ガシッ……!―
オーズ『ッ!!今だッ!!でえあああああああああああああああああッ!!!』
門太「うっ、あああああああああああああああああああああッ?!!」
門太の伸ばした手を漸く掴み取り、オーズはそのままネコヤミーの中から全力で門太を引きずり出し、門太はネコヤミーの中から勢いよく投げ出され地面に倒れ込んでいったのだった。
椎名「やったっ!」
オーズ『ッ!椎名ちゃん!その人を頼むッ!!』
オーズは門太を引きずり出されてふらつくネコヤミーから咄嗟に離れると、椎名に門太の事を任せて何処からかメダジャリバーを取り出した。そしてメダジャリバーの投入口にセルメダルを三枚投入しレバーを倒すと、オーズは右腰のオースキャナーを取り出しジャリバーの刀身をスライドさせていった。
『Triple!Scanning Charge!』
スキャナーから電子音声が鳴り響くと共に、オーズは刃が輝くメダジャリバーを構えネコヤミーを見据えていく。そして……
オーズ『はあぁぁぁっ……セイヤアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
―ズバアァァァァァァァァァァアッ!!―
『ギッ?!シャアァァァァァァァァァァアッ?!!』
―ドッガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!―
オーズはネコヤミー目掛けメダジャリバーを勢いよく振り抜き、メダジャリバーの刃から放たれた斬撃波はネコヤミーを空間ごと切断していったのだった。そして斬り裂かれたネコヤミーは断末魔を上げながら粉々に爆散し、大量のセルメダルが爆発の中から飛び散り地面に散らばっていった。
オーズ『はぁ……はぁ……終わった……』
ネコヤミーが消滅したのを確認したオーズは構えを解いてメダジャリバーを下ろし、門太を支える椎名の方へと振り返り椎名にサムズアップしていった。そして……
―コロコロコロコロッ……コツンッ―
ネコヤミーから飛び散ったセルメダルの一枚がオーズから離れた場所へと転がり、物陰に潜む一人の人物の足先にぶつかり止まった。そしてその人物は足元に落ちたセルメダルを拾い上げると、メダルを掲げてジッと眺めていく。
「ふむ……どうやら今回は手助けする必要はなかったみたいね」
虎の絵が描かれたセルメダルを見つめながらそう呟くと、人物はティアと椎名の下へ駆け寄るオーズに視線を移し笑みを浮かべた。
「始めて使うメダルをあんなに上手く扱えるなんて、やっぱり彼には才能があるのかもしれないわねえ……じゃあ、また学校で会いましょう?神道拓斗くん♪」
そう言って人物……楯無はメダルを握り締めオーズにウィンクすると、そのままその場を後にして何処かへと去っていくのだった。