仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

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第一章/不幸とメダルと謎の少女②

 

 

 

―和神高校・2ーD―

 

 

漸く四時限目が終わった。朝のトラブルの後、何とか時間ギリギリで学校に辿り着いた拓斗は現在午前中の授業を終え、教室の窓枠に上半身を預けながら昼食を取っていた。

 

 

昼食と言っても、彼の手に握られてるのは購買での激戦でやっと手に入れた人気の焼きそばパンと、同じく購買で買ったコーヒー牛乳の二つだけなのだが、彼は基本少食なのでこれだけで腹は満たされる。

 

 

そんな拓斗の背後には、机に座って弁当を食べる男子生徒と女子生徒の姿があり、男子生徒は拓斗が食べる焼きそばパンを見て苦笑いを浮かべた。

 

 

「それにしても、お前の飯っていっつも質素だよな、拓斗?」

 

 

「良いだろ別にー?俺はこれで腹が膨れるんだ。それにそういう和也こそ、いつも肉系のお弁当ばっかじゃないか?」

 

 

上体を起こして窓枠に肘を着き、背後の机に座る男子生徒……"赤野和也"の弁当をのぞき見ながらそう呟く拓斗だが、和也はそれに対して溜め息を吐いた。

 

 

「ばっか、これは別に俺が好んでそうしてんじゃねぇよ。おふくろが勝手に残り物を詰め込んでんの。それに肉系つっても、別に毎日って訳じゃねぇぞ」

 

 

「でも殆どはそうだろ?たま~にカルビが入ってるのとか見た時は驚いたよ、流石は焼肉屋の息子だ」

 

 

「だからそんなんじゃねーっつの。ってか、俺の弁当に注目するくらいなら夏目の弁当を見てやれよ。な?」

 

 

「……は?」

 

 

和也がそう言って向かいの席に座る女子生徒…"東上 夏目"の弁当を箸で突くと、今まで黙々と弁当を食べていた夏目は急に話を振られてキョトンとした表情になった。

 

 

「いや「は?」じゃなくてさ、ちゃんと話聞いてたか?」

 

 

「え?……ああごめんなさい、ちょっと考え事してまして」

 

 

「考え事?珍しいね、何か悩みでもあるの?」

 

 

「……ハハーン、読めたぜ?スバリ!最近体重が増え―バシンッ!―てえぇ?!」

 

 

ピカーンと目の辺りをぴからせながら何かを叫ぼうとした和也だが、それは背後から勢いよく振り下ろされたビニール袋に頭を殴られた事で遮られてしまった。そしてそんな和也の背後には、長い黒髪に巨乳の少女が惣菜パンのビニール袋を片手に立っていた。

 

 

「アンタって奴は、女子に対して何聞こうとしてんのよ?!」

 

 

「あ、椎名ちゃん」

 

 

「てえ~…おい椎名!いきなり何しやがるっ?!危うく舌噛みかけたぞコラッ?!」

 

 

「アンタがデリカシーのない発言しようとしたからでしょう?天罰よ天罰、自業自得」

 

 

呆れたように溜め息を吐きながら女子生徒……"桐谷 椎名"は適当な机から椅子を引っ張ってきて二人が座る机にくっつかせ、椅子に座ってテーブルの上に袋の中身を撒き散らしていく。そしてビニール袋の中から出てきた惣菜パンを手に取ると、椎名は夏目に視線を向けて口を開いた。

 

 

「で?夏目は何を考え事してたの?悩みとかあるなら相談に乗るわよ?」

 

 

「あ、いえ。別に悩みとかじゃないんです。ただちょっとコレのこと考えてまして」

 

 

苦笑しながら両手を胸の前で振って何でもないと言うと、夏目は机の傍らに置いてある自分のバックの中から一枚の記事を取り出し、それを拓達に見えるように机の上に置いた。その記事の一面にはある内容………『謎の集団?メダルが突如怪人に』という記事が書かれていた。

 

 

「ん?何だその記事?」

 

 

「あれ?和也君知らないんですか?昨日スクランブル交差点で現れたっていう怪人の話」

 

 

「怪人?」

 

 

「って、アンタも知らないの?ったく、アンタ等ちゃんとニュースとか見てるわけ?」

 

 

椎名は記事を見て首を傾げる二人に呆れた視線を送りながら溜め息を吐き、拓斗は苦笑いを浮かべ、和也は面白くなさそうに唸り声を漏らしていた。夏目はそんな三人を宥めつつ、記事について話を進める。

 

 

「つい昨日の話らしいんですけど、街中のスクランブル交差点に突然怪人達が現れたらしいんですよ。しかも証言者によると、その後謎の黒ずくめの集団が現れていきなり怪人達と戦い始めた……とか」

 

 

「何だそりゃ?まるで漫画やアニメの話じゃねぇか。そいつ等、全員して夢とか見てたんじゃねぇの?」

 

 

「私も最初はそう思ったんだけどね。でもお店とか道路とか、現場の惨状を見てみるとどう見ても人間業じゃないのよ。だから、有りがち嘘って訳でもないんじゃない?」

 

 

「…………」

 

 

三人が昨日の記事の内容について会話する中、拓斗は窓枠に腰掛けながらコーヒー牛乳に刺したストローをくわえ、今朝拾った金色のメダルの事を思い出していた。

 

 

(メダルが突如怪人に、ねぇ……ま、アレは別に関係ないよな……)

 

 

流石にそんな出来すぎた偶然はないだろうと、拓斗は僅かに苦笑しながらメダルの事を頭の中から払い、三人の会話に参加していくのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

 

そしてその頃、星華市内に存在するとあるトンネル内では、昨夜街中で黒ずくめの集団を難無く蹴散らした四体の異形達が活動を再開し、トンネル内を歩いていた。がしかし、その内の一体である重量感のある異形……ガメルがふと自分の体を見て足を止め、頭上に疑問符を浮かべた。

 

 

『?この身体……変だ……』

 

 

片言な口調で思わず疑問を口にすると、それを聞いた他の三体も自分の身体を眺めていき、各々自分の身体に違和感を感じ始めていく。

 

 

『これは……決定的に足りないのよ。メダル、それもコアメダルが……』

 

 

『何故だ?メダルが勝手になくなる筈はない!』

 

 

水棲生物を模した姿の異形……メズールが体の違和感の正体を口にすると、昆虫生物の姿を模した異形……ウヴァが焦りと苛立ちを露わにして叫び、そんな彼等とは対照に猫系生物の姿を模した異形……カザリは背伸びをしながら落ち着いた口調で口を開いた。

 

 

『そういえば僕達のコアメダルって、封印される前にティアに盗られたんじゃなかったかな?』

 

 

『っ!そういえば……そうだったな……あの裏切り者めっ……!』

 

 

カザリの言葉でメダルがなくなった原因を思い出し、苛立ちを込めて手の平を握り締めるウヴァ。メズールはそんなウヴァを宥めつつ、三人を見回していく。

 

 

『まあコアメダルはあの子を見付けてから取り返すとして……取りあえず今は、セルメダルから集めましょう?』

 

 

セルメダルを集める。これからの方針についてそう告げるメズールに三人も利害一致らしく頷き合い、四人は薄暗いトンネルを抜けて何処かへと消えていってしまった。

 

 

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