仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

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第六章/共闘とクラルとフュージョングリード①(前編)

 

 

 

レツ達の命を狙う機械兵・アルファを苦戦の末になんとか退却させたオーズ達。しかし、その直後に現れた一体のヤミー……白き巨竜の姿をしたフリードヤミーの圧倒的な戦闘力の前に再び危機に陥り、オーズ達は炎が走る地面に叩き付けられてふらつきながら身体を起こしていく。

 

 

リクサリア『クッ……?!何なんだ、アイツの力?!さっきまでと全然違うっ!』

 

 

オーズ『アグッ……!あ、あのヤミーっ、前に戦った奴より強いっ……!』

 

 

『グウゥゥゥッ……ガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!』

 

 

想像以上のダメージを受け未だ満足に動けない三人の上空から、フリードヤミーが咆哮と共に急降下し突撃してくる。しかし今の三人にそれを避けるだけの余力が残されておらず、成す術もなく直撃を受けノーバウンドで後方まで吹っ飛ばされてしまった。

 

 

勇王『ガハァッ!!くっ!は、速いっ……!』

 

 

『ガアァァァッ!!!』

 

 

リクサリア『チィッ!また来るぞっ!散開してヤツを迎え撃てっ!』

 

 

オーズ『!はいっ!』

 

 

再び上空から突進してきたフリードヤミーの体当たりを骨が軋む身体を無理矢理動かして散り散りに回避し、なんとかそれぞれで迎撃しようと試みるオーズ達。しかし、相手がその巨体に似つかないスピードで何度も突っ込んでくる為に反撃の糸口が掴めず防戦一方となっており、その様子を見ていたティアは舌打ちしながらフリードヤミーを睨み付けた。

 

 

ティア(クソッ、まさか奴のヤミーが此処で現れるとはなっ。どうする?奴らのヤミーとまともにやり合うにはコンボしか……いや、駄目だ……コンボはリスクが大きすぎるし、なにより拓斗がそれに耐えられるかどうか分からない……下手をすれば……)

 

 

そのとき、ティアの脳裏を横切ったのは炎に包まれる何処かの古い神殿のような場所で悠然と佇むオーズの姿。その光景を思い浮かべたティアが苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていると、フリードヤミーの上空からの突撃攻撃を地面を転がって避けていたオーズが態勢を立て直し、右腰のオースキャナーを手に取った。

 

 

オーズ『ッ!このままじゃ一方的にやられるだけだっ。一気に決めるっ!!』

 

 

『Scanning Charge!』

 

 

オースキャナーでバックルのメダルをスキャンすると音声が鳴り響き、オーズはバッタの脚の様に変化した両足の先端を使って上空に高く飛び上がった。そして同時に、勇王とリクサリアの相手をして背中を向けるフリードヤミーに向けて赤と黄と緑の三枚のリングが展開され、オーズは両足を揃えながらフリードヤミーに向かってリングを潜り抜けていく。

 

 

オーズ『(まだこっちに気付いてない!貰った!!)ハアァァッ、セイヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

『ッ?!』

 

 

気迫の篭められたその掛け声で漸く気が付いたのか、フリードヤミーは驚愕しながら咄嗟に背後へ振り返るがもう遅い。オーズは既に黄のリングから緑のリングを潜り抜けようとしており、今から離脱しようとしても距離的に考えて完全に手遅れだ。入った!と、ティアや勇王達もそう核心してその光景を食い入るように見ていた。が……

 

 

 

 

―バッ!!―

 

 

『ハアァァッ!!』

 

 

オーズ『ッ?!―ガギイィンッ!!―ウグアァッ?!』

 

 

『なっ……』

 

 

 

 

オーズ渾身のタトバキックがフリードヤミーに炸裂し掛けた直後、突然何処からか現れた何者かがオーズに向かって飛び掛かり、右腕の爪のような武器でオーズを斬り付け地上に叩き落としてしまったのである。謎の敵はそのまま華麗に地面へと着地し、必殺技を中断させられてしまったオーズは斬られたボディを抑えながら何とか上半身だけ起こすと、自分を攻撃した敵の正体を確かめるべく慌てて背後に振り返った。其処には……

 

 

『――フンッ。この時代のオーズの力は、一体どんなものかと思っていたけど……この程度なのか』

 

 

ティア「ッ!クラルッ……!」

 

 

其処に立っていたのは、ただならぬ気配を全身から発する一体の異形だった。雷を連想させる単眼と後頭部から垂れ流されている金色の髪、両腕には鋭い龍の爪を持ち、全身から青白い光を発する怪人。ヤミーとは明らかに違う雰囲気を漂わせるその異形を見たティアは嫌な予感が的中したように舌打ちし、オーズもティアのその反応からすぐさま目の前の敵の正体を理解した。

 

 

オーズ『まさか、カザリと同じグリードっ?!』

 

 

『へえ?良く分かったねぇ……と言いたいところだけど、ちょっと惜しいかな?』

 

 

ティア「クソッ!!逃げろ拓斗!!ソイツとまともにやり合うな!!」

 

 

オーズ『え……?―グガアァァンッ!!―うぐあぁっ?!』

 

 

焦りと苛立ちの篭められたティアの叫びが響く。だがそれと同時に異形……フリードヤミーを生み出した張本人であるクラルが素早く動き出してオーズとの距離を一瞬で詰め、右腕の爪を振り上げオーズのボディを斬り裂いた。あまりの威力に吹き飛んで何度も地面を転がり、すぐさま態勢を立て直そうとするも、いつの間にか目の前に立っていたクラルが左腕の爪をオーズの右肩に立てた。

 

 

オーズ(クッ?!は、速い?!)

 

 

『てんで駄目だなぁ。折角オーズとリベンジしようと思ったのに……今のオーズはこんなに弱いのか?ガッカリだよっ!!』

 

 

―ガギイイィィンッ!!―

 

 

オーズ『グアァァッ?!!』

 

 

そう言ってクラルはオーズの力を見定めて心底落胆したように、オーズの右肩に立てていた爪を一気に振り下げていった。そして無数の火花を散らせながら右肩を斬られたオーズのボディを押し蹴って仰向けに倒れさせると、オーズの首を掴んで無理矢理起き上がらせ遠くへと投げ飛ばし、そのまま雷の如く超スピードで駆け出し、宙に投げ出されたオーズに何度も体当たりし吹っ飛ばしてしまう。

 

 

オーズ『ウグアァッ!!』

 

 

勇王『ッ?!拓斗ッ!!』

 

 

『ギュグルアアァァァァッ!!!』

 

 

リクサリア『目の前に集中しろレツ!!隙を見せれば直ぐにやられるぞッ!!』

 

 

オーズがクラルに圧されるその隣で、フリードヤミーの空中からの猛攻に苦戦する勇王とリクサリア。完全にクラルとフリードヤミーのペースに呑まれてる三人にティアも内心焦りが募り始め、どうにかこの状況を打破出来ないかと思考をフルに作動させる。

 

 

ティア(どうするっ……?このタイミングであの馬鹿が出てきたとなるとマズイぞっ。奴相手ならあの属性のメダルが有利だが、肝心の頭がないっ。残りの二枚を使っても、アレの炎がなければ余り効力はない……クソッ……!)

 

 

グリード化させた右腕からティアが取り出したのは、濃い蒼のコアメダルと蒼緑のコアメダルの二枚。手の平のそれを見つめてギュッとキツく握り締めながら、ティアは苦い表情でクラルの爪でボディを何度も斬り付けられるオーズと、フリードヤミーの火炎を必死にかわす勇王とリクサリアを見つめどうするべきか悩んでいた。その時だった……

 

 

 

 

 

 

『――――我が魂は!!!ZECTと共にありぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっっ!!!』

 

 

『…………は?』

 

 

ティア「…………あ?」

 

 

 

 

 

 

…………なんか、頭上から突然訳の分からない奇声が聞こえた。その声に、その場で戦っていた全員が思わず動きを止め、頭上の夜空を見上げた瞬間……

 

 

―シュンッ……チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーオンッ!!!!―

 

 

『う、うわあぁぁぁっ?!』

 

 

…………落ちた。上空から戦場のど真ん中に、物凄い勢いで何かが。更に落下のスピードが余りにも早過ぎたせいか、正体不明の何かが落ちた場所から物凄い突風と衝撃波が発生して危うく吹っ飛ばされ掛けたがオーズ達だが、何とかその場で持ちこたえて耐えきって見せた。

 

 

オーズ『っ……!な、何だ、今のっ?!』

 

 

ティア「ゲホッゲホッ…!クソッ、今度はなんだ?!」

 

 

今の落下の影響で辺りに砂埃が舞い視界を覆い隠しているが、正体不明の何かが落ちた場所に何かがいるのは砂埃越しに何とか見える。それを良く確かめようと、ティアがオーズにアイコンタクトを送り、二人一緒に正体不明のそれへと警戒しながら少しずつ近づていく。其処にいたのは……

 

 

 

 

 

 

ルナドーパント『……ス……テ……キィーーーーーーーーーッ!!!あぁッ?!ヤバァイッ?!私人生振り返ちゃってるぅッ?!!』

 

 

 

 

 

 

其処にいたのは、妙に長い両腕を気持ち悪くクネクネ動かすオカマ口調の金色の怪物……というか、ドールが変身したルナドーパントだった。落下のせいか若干焼け焦げた地面に仰向けに倒れていたルナドーパントは、勢いよく上半身を起こしたかと思えばいきなり訳の分からない絶叫を上げ、オーズはその声に一瞬ビビって思わず後退りした。

 

 

勇王『なん、だ?また怪人?』

 

 

リクサリア『っ……まさか、アレもヤミーなのか?』

 

 

ティア「…………いいや、違う。アレはヤミーじゃないな。奴からヤミーの気配は感じられない」

 

 

オーズ『え?ヤミーじゃないって、じゃあアレは……?』

 

 

あの怪人がヤミーではない。険しげな表情のティアにそう断言されて、オーズは若干戸惑いながら正体不明のルナドーパントへと視線を向けていくが……

 

 

ルナドーパント『走馬灯だこれ、走馬灯!これは落下の衝撃で死んだんだわ!!死んでしまう!!ハッ?!でも私死ねない!死ねないのに死ぬってどういうこと?!DEATHとです、死んでしまうんデェーーーーーーーースッッ!!!!』

 

 

……どうやら、未だ周りの状況に気付いてないらしく、変わらずひとりで以前のT2ルナメモリの使用者であった泉京水ショーを繰り広げていた。そんな今までのシリアスをぶち壊すようなテンションを撒き散らすルナドーパントに、ティアも眉を潜めながらオーズと視線を合わせると、警戒心を抱きながらオーズを連れてルナドーパントへと近づいた。

 

 

ティア「――おい、お前」

 

 

ルナドーパント『もう分かんなぁいッ!!私どうしたらいいの克己ちゃあんッッ!!……はい?うん?あらヤダ、誰このイケジョ?誰このイケジョ?』

 

 

ティア「誰がイケジョだっ。それよりお前、一体何者だ?何処から来た?」

 

 

背後から声を掛けられて、漸くティア達の存在に気付いたらしいルナドーパントだが、キリッとした顔つきでグリード化させた右腕を突き出してくるティアの顔を見て照れ隠しのつもりか体をクネクネさせていた。が、そんな仕草をしていたルナドーパントはティアの背後に控えるオーズの姿を見た途端ピタリと動きを止め……

 

 

ルナドーパント『おーず?……ハッ?!そうよ!立たなくっちゃ!立たなくっちゃ!ビンッビンッに立たなくっちゃッ!早くアレ渡さないと、大事なCDが大変なことになっちゃうんだからぁッ!!』

 

 

オーズ『え……?お、俺?っていうか、CDって―バチイィィィィィィッッ!!―ッ?!』

 

 

いきなり名指しされオーズが小首を傾げた瞬間、前方から突然金色の雷撃が襲い掛かった。不規則な動きで迫る雷撃はルナドーパントの頭上を越えオーズとティアに襲い掛かるも、二人は咄嗟に身を翻して紙一重で雷撃をかわすと目の前を睨みつける。其処には、背後に降り立ったフリードヤミーを従えてオーズ達に右手を掲げるクラルの姿があった。

 

 

 

 

 

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