仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

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番外編/レギオンとセンチュリオと灰色の少女⑤

 

 

 

―研究所・管制室前通路―

 

 

―……チュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ルーノ達がセンチュリオの大群と接触したその一方。三人と別行動を取っていたユリカが変身するセイレスとセンチュリオが接触した管制室の扉が、室内から発生した爆発によって吹き飛ばされた。更にその爆発の中から一人のライダー……ボディの所々がボロボロになりナノマシンによる回復が追い付かない状態のセンチュリオが吹っ飛ばされるように姿を現し、通路の壁に叩き付けれるように激突した。しかし、そんな状態になりながらも尚戦おうとしており、センチュリオはギギギッとボディの軋む音と共に体を動かそうとするが……

 

 

―……ズシャアアァァッッ!!―

 

 

センチュリオ『……!!』

 

 

セイレス『遅い……』

 

 

センチュリオが再び動き出そうとする前に、管制室内の爆煙の中からセイレスが疾風の如く飛び出し、右手に握るアルディオスでセンチュリオの胸を貫いたのである。センチュリオはそのまま火花を散らして爆発を発生し、セイレスもそれを確認して爆煙を払うようにアルディオスを軽く振るうが……

 

 

 

 

―ダンッダンッバシュウッバシュウッダンッバシュウッ!!―

 

 

セイレス『……増援か』

 

 

右側から突如放たれてきたビームと実弾の混合射撃。セイレスはそれらを周囲に自動的に発生した球体状のフィールドバリア、アウラで防ぎながら静かに呟くと、混合射撃が撃たれてくる右の通路の奥……ランチャー・ジェミナスでビームと実弾を交互に放つセンチュリオ×二体に目を向けた。

 

 

セイレス『チッ……最下位クラスだから大した強さはないと言っても、こうも次から次へと出て来られると面倒ね……』

 

 

まだ断定は出来ないが、恐らくこの研究所で防衛用として配備されてるのは低コストで造れる最下位クラスのアウジリスぐらいだろう。それから上位のセンチュリオは多分黒月八雲の下に送られたか、或いはまだごく少数が研究所に残されているか。どちらにしても、もしも奴らに群れで来られたら少々厄介になる。まだ少数で襲ってくるに内に片付けなければと、セイレスは混合射撃をアウラで防ぎながら二体のセンチュリオ目掛けて通路を疾走した。その時……

 

 

 

 

―……ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!―

 

 

セイレス『……!』

 

 

 

 

突如、セイレスを攻撃していたセンチュリオ達が爆風に飲み込まれた。その爆風はセンチュリオ達が立っていた十字路の真横から発生し、セイレスもその光景を目にして思わず何事かと足を止めた。そして、警戒を怠らずセイレスが爆煙に向けて身構えていると、徐々に爆煙が晴れ十字路が見え始めていく。其処にいたのは……

 

 

 

 

 

『――やれやれ……こうも数が多いと、流石に僕でもウンザリしてくるね』

 

 

セイレス『……貴方は……』

 

 

爆煙が晴れた十字路。その中心に立って飽き飽きしたようにそう呟いたのはセンチュリオではなく、一人の異形だった。外見はマントを取り払った暗黒騎士キバのような姿に、その手には一本の長剣が握られている。そして異形の足元には、先程爆風に呑まれた二体のセンチュリオの装甲の破片だけが転がっており、セイレスはそれを見て目を細めながら構えを解くと、異形がセイレスに気付いて軽く手を上げた。

 

 

『やあ、やっぱり君たちも来てたか。久しぶりだね、ユリカ嬢ちゃん』

 

 

セイレス『……カルネ・バラゴウ……貴方も此処へ来てたのね……』

 

 

『一応ね。黒月八雲の情報がないかと来てみたんだけど、中々ね……。そういう君は、また依頼かな?』

 

 

セイレス『…………』

 

 

顔は見えないが、おそらく人当たりのいい顔で笑っていると思われる様子でそう問い掛けるカルネ。だが、セイレスはその問いに答えず無言で腰にアルディオスを収め、クルリと方向転換して歩き出した。

 

 

『おっと、君も相変わらずなようだね。こんな時ぐらい、面と向かって挨拶してくれても良いんじゃないかい?』

 

 

セイレス『……必要性を感じない……そんな事に労力を使うくらいなら、さっさと次のセンチュリオを見付けて叩きに行った方が効率が良い……』

 

 

『僕への挨拶だけでそれ程の労力を使うのか……相変わらず信用がないというか、嫌われてるというか……君がそんな態度を取るのは、僕が黒月八雲と同じイレイザーだからかな?』

 

 

苦笑い気味に、自分の正体であるイレイザーの名を口にするカルネ。しかしセイレスはそれを背中越しに聞きながらも歩みを止める事なく、淡々と言葉を返す。

 

 

セイレス『別に……貴方がイレイザーだからなんてつまらない偏見は持っていないし、貴方が何者であろうと私にはどうでもいい……こちら側に危害を加える気がないなら、貴方の好きなようにすればいい……』

 

 

『そうは言われてもなぁ……君にずっとそんな態度を取られるのは、僕としてもやりにくい。いい加減一体何が駄目なのか、具体的に教えてくれないかな?』

 

 

セイレス『…………』

 

 

肩を竦めてカルネがそう告げると、セイレスは歩みを止めて立ち止まり、カルネの方へとゆっくりと振り向いた。

 

 

セイレス『具体的に教えろ、ね……そんなに気になる……?』

 

 

『それはね。なにが不満なのか分かれば、治す努力は一応するよ?』

 

 

セイレス『……そうね……強いて言うのなら……』

 

 

カルネからゆったりと視線を外し、二人の間に無言の空気が流れる。そして、再びゆったりとカルネに視線を向けると……

 

 

セイレス『……強いて言えば、昔の男に似てるのよ、貴方の性格……』

 

 

『………………………』

 

 

セイレス『……………』

 

 

『…………ん?だけ?』

 

 

セイレス『だけ。じゃ』

 

 

『いや、いやいやいやいやいや!昔の男の性格似てるからとか、そんな理由を言われてどう改善しろと……―ダンッダンッバシュウッバシュウッ!!―……ッ!』

 

 

セイレスのまさかの個人的過ぎる理由に愕然となって叫ぶカルネの言葉を遮り、カルネの真横から発砲音と共に無数のビームと実弾が飛来した。見れば、カルネが立っている通路の奥から七体のセンチュリオがランチャー・ジェミナスによる一斉射撃を行う姿があり、カルネは咄嗟に通路の曲がり角に身を隠した。

 

 

『チッ、もう増援が来たか。どうするユリカ嬢ちゃん?』

 

 

セイレス『どうもしない。どうせ下手な小細工なんて向こうには通じないだろうから……正面突破』

 

 

そう言うや否や、セイレスは二丁のカルテナを回転させながら何処からか取り出して曲がり角から飛び出し、カルテナをバンバン乱射しながらセンチュリオ達へと突っ込んでいってしまう。カルネもそんな大雑把な行動を取るセイレスに頭を思わず抑えつつも、彼女を一人で行かせる訳には行かないのでと長剣を構えながら曲がり角から飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―研究所一室―

 

 

その頃、無数の生体ポットがズラリと並ぶ研究所のとある一室。ドール達の襲撃により研究員達が全員脱出を始め、外からも鳴り止む気配が一切ない爆音が絶え間なく響く中、血だまりの中に倒れて気を失っていたゼノンも、その音によって微かに意識を取り戻した。

 

 

ゼノン「っ……此処……は………ゲホッ、ゲホッ!」

 

 

掠れた声でそう呟いた後、とてつもない吐き気が込み上げて口から血の塊を吐き出した。それから直ぐに、腹部に突然走った激痛に顔をしかめて左手で抑えると、ゼノンはその傷を目にして先程までの出来事を思い出した。

 

 

ゼノン「そう、だ……わたし、は…………ん……?」

 

 

漸く全てを思い出した所で、ゼノンは傍に人の気配があるのを感じてけだるそうに顔を上げた。其処には、自分の目の前で床にペタリと座り込み、虚ろな真紅の瞳で血だまりの上に倒れるゼノンを見下ろすD号の姿があった。

 

 

ゼノン「D……ごう……?どうして……おまえ、が……?」

 

 

D号「…………………」

 

 

ゼノン「まさ、か……気にかけてくれてる、のか……こんなわた……しを……」

 

 

D号「……………?」

 

 

ゼノン「は……ははは……そう、か……お前は、まだ……その感情が何なのか、気付けてない……のか……」

 

 

まるで幼い子供のように、僅かに小首を傾げる仕種を見せるD号に、思わず自分の娘の可笑しな行動を見て笑う父親のような笑みを浮かべるゼノン。だが、突如外から一際大きい爆発音が響き渡り、ゼノンはそれを聞いて部屋の入り口を見た。

 

 

ゼノン「ばく、はつ……?なんだ……何が起きている……?」

 

 

D号「……………」

 

 

ゼノン「ぐっ……いや……何が起きてるかは知らないが……奴らがいない、今が好機だ……D号っ、今の内に早く逃げろっ!このままでは、お前は殺処分されてしまうっ!」

 

 

D号「……………」

 

 

ゼノン「おい、早くしろ!何をしている?!このまま此処に残れば、お前は殺されるんだぞ?!」

 

 

D号「……………?」

 

 

ゼノン「ッ!……そう、か……お前には、まだ分からないんだな……死ぬということが……」

 

 

目の前の少女は、何も知らない。

 

 

ただ戦うためだけに造り出され、それ以外の事をなにも教わらなかった。

 

 

戦うだけの兵器として生まれたのだから、戦うだけに生きて死んでいく。

 

 

それが普通だから、余分な感情も知識も必要ない。

 

 

だから、人として当たり前のことを、彼女は何も知らない。

 

 

無論……戦いにおいて一番邪魔となる、『死に対する恐怖』なんて知識も、その感情も……

 

 

ゼノン「……そう、か……すまない……すまない、な……お前をそう、させたのは……私達……身勝手な大人の……責任だ……」

 

 

D号「……………」

 

 

ゼノン「……わかった……な、ら……お前に、任務を与える……これは、どんな任務よりも……最優先すべき、重大な任務だ……良く聞け……?」

 

 

ならば、自分がすべき事は一つだけ。

 

 

戦うしか知らぬ無垢な彼女に、道を示さなければならない。

 

 

自分が死ねば、彼女はただ一人になり、誰にも守られないまま殺されてしまう。

 

 

そうさせない為にも、彼女に生きることに対する執着を抱かせる為にも……

 

 

 

 

ゼノン「――戦え……戦いを継続し……生き続け……その中で……見つけるん……だ……自分にとって……『大切なもの』を……」

 

 

D号「………タ、イ……セ……ツ……」

 

 

ゼノン「そうだ……その為の……『力』を……お前に…………与え、てある…………」

 

 

 

 

我ながら、自分はなんと酷い大人か。

 

 

こんな言い方でしか、彼女に生きる道を示してやれないとは。

 

 

だが、これでいい。

 

 

これで、彼女は……

 

 

 

 

ゼノン「…さぁ…いけ……Dご………いや……ディー………トリエル……」

 

 

トリエル「………………」

 

 

ゼノン「おまえ……の……は…ね……なら……どこまでも……とべる……私からの……ゆい……いつ……の……つぐないと………贈り……………も………の……………だ………………」

 

 

 

 

視界がぼやけ、少女の顔が闇に包まれ徐々に見えなくなる。

 

 

それでも、最後まで少女の顔から目を逸らす事なく、今も切に強く願う。

 

 

この少女が、この先の未来で、彼女にとっての『大切なもの』を見つけ出すことを。

 

 

ただそれだけを望み、彼女への罪悪、彼女のこれからの未来に対する幸福を強く思いながら、ゆっくりと、瞼を閉じていったのだった。

 

 

トリエル「…………」

 

 

そして、残されたD号……いや、"ディー・トリエル"は、動かなくなったゼノンの顔を虚ろな瞳で見下ろし、彼に言われた言葉を思い出す。

 

 

―戦え……戦いを継続し……生き続け……その中で……見つけるん……だ……自分にとって……『大切なもの』を……―

 

 

トリエル「…………」

 

 

脳裏に過ぎったその言葉をゼノンが言っていた通り、命令として受け取ったのか。トリエルはゆっくりと、若干覚束ない足で冷たい床から立ち上がり、虚ろな瞳で真っすぐ部屋の入り口を見た。その時……

 

 

 

 

 

―シュウゥ……シュパァァァァァァンッ!―

 

 

 

 

 

彼女の腰が純白の光りに包まれて淡く輝き出し、光りが弾けると、天使の羽の形を模した無数の光りがトリエルの周りに舞い散った。そして、トリエルの腰には先程までなかった筈の灰色のベルト……バックル中央に二枚の灰色の天使の羽が左右対称に飾られ、右側の羽が一部欠けてるライダーベルトが装着されていた。そして……

 

 

 

 

『GGENERATION UP:TRIAL!』

 

 

 

 

ライダーベルトから響いた無機質な電子音声。それと共に、トリエルの頭上から七枚の灰色の羽を持った金色のリングが出現し、トリエルを輪の中に入れるように下りていく。その瞬間、トリエルの全身がまばゆい輝きに包まれ、辺り一面が光りに覆われていったのであった。

 

 

 

 

 

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