仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

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番外編/レギオンとセンチュリオと灰色の少女⑦

 

 

 

―研究所・通路―

 

 

―ガギイィィィィィィィィィィィィィインッ!!!―

 

 

耳の鼓膜を裂くような金属と金属がぶつかり合う甲高い音が、辺りに響き渡る。それは、通路の中間地点でトライアとセンチュリオRがそれぞれの持つブレード・ルミナリウムを振りかざして激突させた音であり、トライアとセンチュリオRは互いの剣で鍔ぜり合いになりながら顔を近付け睨み合うと、バックステップで互いから一旦距離を離し、背面のバーニアを噴出して上空へと飛翔しながら剣と剣を噛み合うようにぶつけ合っていく。その時……

 

 

―シュッパアァァァァァァァァァァァァァアンッ……―

 

 

センチュリオR『(―――ゼノビア……一体何の真似です……?)』

 

 

トライア『……………』

 

 

上空へと戦いの場を変えると、センチュリオRは自らから波動を放ちトライアの意識に直接呼び掛けながら距離を離し、金色のリングに装備されている羽の形状をしたナノマシンの一つをランチャー・ジェミナスに形成して左手に握り、トライアに向けて射撃を行う。それを見たトライアは咄嗟にブレード・ルミナリウムを両手で振るってそれらを弾き返すと高速で宙を駆け巡り、センチュリオRもランチャー・ジェミナスを突き出し射撃を続けたままトライアを追尾する。

 

 

センチュリオR『(貴女はこの研究所の性能実験において能力不足と判断され、上層部から殺処分を下されたはずです。その貴女が、何故私達に攻撃を加えるのです?速やかに武装を解除し――)』

 

 

―……シュピィンッ!―

 

 

センチュリオR『……?!』

 

 

武装解除を呼び掛けながらトライアを追尾していたセンチュリオRだが、突如、彼女の視界からトライアの姿が残像のように消えたのである。センチュリオRはそれを見て驚愕し、思わず空中で動きを止めるが……

 

 

―ドゴオォッ!!!―

 

 

センチュリオR『ッ?!!』

 

 

彼女の斜め上。其処に突如姿を現したトライアがセンチュリオRの仮面の横顔に蹴りを入れ、彼女の身体を勢いよく斜め下へと吹っ飛ばしていったのだ。渾身のキックを見舞われ、蹴りを入れられた態勢のまま空を切って高速で吹っ飛ばされていくセンチュリオRだが、咄嗟にバーニアを使って何とか態勢を立て直し上空のトライアを見上げると、仮面の隙間から流れる血を親指で拭っていく。

 

 

センチュリオR『……こちらの指示には従いませんか……やはり、彼女は欠陥品と見て間違いないようですね……ならば……』

 

 

バシュンッ!!という轟音と共に、センチュリオRがトライア目掛けて勢いよく飛翔しながらブレード・ルミナリウムを力強く払い、トライアの姿を真っ直ぐと見据えた。

 

 

センチュリオR『処分を受け入れないと言うのなら、私の手で、貴女を処分します……』

 

 

―ダンッダンッバシュウッバシュウゥッ!!―

 

 

トライア『……!』

 

 

センチュリオRが撃ち出すランチャー・ジェミナスの無数の銃弾が襲い掛かり、トライアはブレード・ルミナリウムを使ってそれらを上手く受け流しながら銃弾をかわすように空中を飛び回る。

 

 

だがセンチュリオRも一気に距離を詰めてから右手に握るブレード・ルミナリウムでトライアに斬り掛かり、更に距離を離された際にはランチャー・ジェミナスを乱射しながらトライアを執拗に追尾するも、まるで舞い踊るかのように上空を飛び回るトライアには一発も直撃せず、標的から外れた銃弾はそのまま研究所に次々と着弾し施設を破壊していってしまう。

 

 

―ドガアァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

ディエンド『グッ?!』

 

 

NL『おわぁっ?!くっ!アイツ等っ、研究所を巻き込んで……此処をぶっ壊すつもりか?!』

 

 

ドール「ウッヒョー♪まあ、研究所が此処だけとは限りませんしねぇー。あの人の事だから、此処みたいな施設を幾つも建ててるかもしれませんし、一つぐらい捨てても問題ねえとか考えてんじゃねーですか?」

 

 

センチュリオRが狙い外した弾が施設に着弾する度に研究所全体が揺れ、施設内の建物が崩れ始めてる上に、緊急事態を伝える警報が響き渡っている。ドール達は落下してくる瓦礫をなんとか避けていき、トライアとセンチュリオRはそんな三人を他所に上空で何度もすれ違い様に剣と剣を激突させてぶつかり合っていくが、その時……

 

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!ドゴオォォォォォォォォォォォォッオンッ!!!―

 

 

センチュリオR『……!』

 

 

流れ弾が着弾した研究所の一角から一際大きい爆発が連続で発生し、センチュリオRはそれに気付き研究所へと顔を向けると、施設の状態を見て僅かに目を細めた。

 

 

センチュリオR(……やはり、この研究所はもう破棄するしかないようですね。そもそもこの場所を第三者に知られた以上、彼らごとこの施設を葬る事が優先すべきか……ならば……)

 

 

―バシュウゥッ!―

 

 

トライア『…………!』

 

 

炎に燃え盛る研究所を見つめながらそう考えると共に、センチュリオRはトライアが振るった剣を上空へと高く飛翔して回避し、そのまま両手に持つ剣と銃を羽に戻しながら研究所の上空で停止した。そして、センチュリオRは金色のリングに装備されてる四枚の羽を全て起動させて自身の周囲に飛ばすと、四枚の羽から虹色の輝きを放つナノマシンが放出されて研究所上空を覆い尽くし、その光景を目にしたディエンドとNLは驚愕した。

 

 

ディエンド『あれは?!』

 

 

NL『げ、月光蝶に似てる?まさか、あれが例の?!』

 

 

ドール「ううむ。どうやらあちらさん、私達ごとこの研究所を消し去ろうとしているみたいですね。多分、この研究所のデータを取られまいとして」

 

 

ディエンド『な、冗談じゃない!此処まで来てそんなことされてたまるか!こうなったらコンプリートでっ……!』

 

 

ドール「あーどうどうどう!良いじゃねえっすかもう、どうせ研究所なんて他にもありますでしょうし。アレに巻き込まれる前にさっさと研究所の外に転移して……うん?」

 

 

研究所の破壊を止めるべく懐からケータッチを取り出したディエンドを横から止めようとするドールだが、そのとき上空から降り注ぐ虹色の淡い光が更に眩しくなっているのに気付き空を見上げた。其処には、まるでセンチュリオRに対抗しようと自身の持つ羽すべてを起動して周囲に飛ばし、センチュリオRが使おうとしてるのと同じ虹色に輝くナノマシン……フィールド・インペリウムを展開してセンチュリオRに向かって構えるトライアの姿が……

 

 

ドール「…………あっやっばい…………これシャレにならないかも…………」

 

 

NL『え?それ、どういう……―ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―……ッ?!!』

 

 

フィールド・インペリウムを発動したトライアを見てそう呟いたドールにNLが思わず聞き返そうとするが、それは上空から発生した衝撃波と暴風によって遮られてしまった。慌ててNLが上空へと視線を戻せば、其処には上空で対峙するトライアとセンチュリオRがそれぞれの持つ羽状のナノマシンを互いに向けて射出し、二つの羽状のナノマシンは上空の中間で激突し、互いに相手を押し通ろうとしながら虹色に輝くナノマシンを無尽蔵に放出していた。そして……

 

 

 

 

 

 

―バチ……バチバチィィッ……チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーオンッッッッ!!!!!―

 

 

NL『なっ?!!』

 

 

ディエンド『これは?!!グ、グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!!』

 

 

ドール「フォオオオウ!!イイイイっっグぅぅぅぅぅ!!!逝ってきまァァァァァァァァァァーーーーすぅッ!!!(#´Д`#)」

 

 

 

 

 

 

最大出力で正面からぶつかり合う二つのフィールド・インペリウムの間に突如捻れが発生し、直後、二つのフィールドの間で爆発的な衝撃波が発生したのである。それにより、ただ施設の上空でぶつかり合っていただけのフィールド・インペリウムが無人世界全体へと拡散されていき、ドール達のいる研究所は勿論、研究所周辺に広がる荒野や岩山がナノマシンによって一瞬の内に砂へと分解され、そして……

 

 

 

 

 

 

……荒野に支配された無人世界の全てが、ものの数分もしない内に何も残らぬ、砂漠の世界へと変わり果ててしまったのであった……

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

それから数十分後。二つのフィールド・インペリウムの影響で無人世界全体が砂だけの世界に変わり果ててしまった事により、一同がいた研究所も砂に分解され砂漠の一部になっていた。最早何処に研究所があったのかさえ分からない状態にあるが、そんな時、砂漠の二カ所で砂が盛り上がり、其処から二人の青年……変身が解けた大輝とチェスが姿を現した。

 

 

チェス「ぐぅ……うぇ、口の中まで砂だらけだ、クソッ……おい大輝、無事か?」

 

 

大輝「ッ……君に心配される筋合いはないよ」

 

 

チェス「あぁ、そんな口が言えるなら大丈夫そうだな……にしても、これは……」

 

 

チェスは砂まみれになっている大輝から視線を外すと、顔を動かして辺りを見渡していく。自分達の周囲には何もなく、地平線の彼方まで砂漠が続いてる世界。先程まで荒野しかなかったのが嘘のように思える移り変わりように、チェスもただ己の目を疑うしか出来なかった。

 

 

チェス「信じられないな……あの一瞬で世界がこんなになるなんて……」

 

 

大輝「月光蝶もどきの武器とはいえ、その性能は真に迫っていたようだね。この世界が無人じゃなく地球とかなら、今頃黒歴史の再来なんて事になってただろうさ」

 

 

チェス「研究所がこんなんじゃあ、多分研究員も全員助かってないだろうしな。俺達はすんでのところで、障壁を張って助かったけど……」

 

 

大輝「それでも危なかったけどね。あの月光蝶もどきが止むのがあと少し遅かったら、今頃俺達も……ん?ところで、ドールは何処にいるんだい?」

 

 

チェス「えっ?あれ、そういえば……」

 

 

大輝にそう言われ、チェスは始めて其処でドールの姿がないことに気が付いた。あのフィールド・インペリウムに巻き込まれる際には自分と大輝と共にいた筈なのだが、周囲を見回しても彼の姿は何処にも見当たらないし、砂の中から誰かが出てくる気配もない。

 

 

チェス「あ、あいつ、何処に?おい!ドール!何処だドール?!ドールッ!!」

 

 

大輝「……まさか、あの光に巻き込まれて?」

 

 

ドール「ッ?!嘘だろ……もしかしてアイツ……死ん……「――でるわけないでしょ、アレが」……ッ!」

 

 

ドールが見付からず呆然となるチェスの言葉を、背後から聞こえた馴染みのある女性の声が遮った。それを聞いた二人がその方に顔を向けると、其処には右肩に一人の少女を担いだ見覚えのある女性……ユリカが砂漠の向こうから歩み寄って来ていた。

 

 

チェス「師匠?!ご無事でしたか!」

 

 

ユリカ「一応ね……そっちも無事で何よりよ……」

 

 

大輝「……?ユリカさん、その娘はなんです?」

 

 

ユリカの無事を確かめ安堵するチェスを他所に、大輝はユリカの肩に担がれる見知らぬ少女の存在に気付き訝しげに眉を顰め、ユリカは身体を横に向けて二人に気を失ってる少女……トリエルの顔を見せた。

 

 

ユリカ「この娘か……この娘の名前はディー・トリエル……マシンチャイルドの試験体として作られた人造人間であり、さっきも上空で灰色センチュリオに変身して戦っていた少女よ……」

 

 

チェス「え……こ、この娘が、さっきの?!」

 

 

トリエルの顔を見せながら淡々と説明するユリカに、チェスは愕然とした表情を浮かべトリエルを見つめた。マシンチャイルドが造られた人間だとは知っていたが、流石にこんな年端もいかぬ子供とは思わなかったのであろう。そんなチェスとは対照に、大輝は腰に手を当てながら溜め息を吐いた。

 

 

大輝「成る程。これのせいで、俺達は危うく死にかけたってわけですか……」

 

 

ユリカ「正確には、センチュリオのアレに対抗しようとしてああなった、みたいだけどね……その戦闘で力を使い果たしたのか、すぐ其処の砂漠に倒れてたのを見付けて拾ってきたけど」

 

 

チェス「拾ってきたってっ……師匠、その娘どうするつもりですか?まさか連れ帰って解剖とか……」

 

 

ユリカ「連れ帰りはするけど、別に解剖はしない……彼女の身体を調べて大輝の依頼したデータを取るだけよ……研究所がこんな事になった以上、センチュリオとマシンチャイルドのデータはもうこの娘からしか取れないだろうし」

 

 

チェス「な、なるほど……良かったぁ……」

 

 

もしホントに解剖するとか言い出したらどうしようかと思ったが、どうやら杞憂だったようだ。そう思いながらチェスは安堵の溜め息を吐くが、ユリカはそれに気付かないまま二人に背を向けて「もう帰るわよ……此処にはもう用はない」と告げて歩き出した。だが、其処でチェスはドールの事を思い出し……

 

 

チェス「あの、師匠?ドールはどうするんですか?アイツまだ見付かってないし……」

 

 

ユリカ「?……ああ、心配ない……どうせアレはその内何事もなかったかのように顔を出すだろうし、気にするだけ無駄……」

 

 

無表情でありながら、何処か疲れたような表情でそう語るユリカ。その顔からは同じ事を何度も経験したという感情を読み取ることができ、チェスもそれを理解し顔を引き攣りつつもそれ以上は何も言わなかった。そしてユリカはトリエルを担ぎ直して再び歩み出し、大輝も肩に被った砂を手で払いながらその後を追い、チェスは一度背後へと振り返って砂漠の世界を見渡すと、二人の後を追い掛けて歩き出したのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―――そして、行方不明のドールはと言うと……

 

 

 

―三途の川―

 

 

ドール「――あー……何も釣れねっすねぇ、此処……まあ三途の川に生きた魚がいるとは思えませんしなぁ……いっその事、釣り用の生きた魚を此処に放っちゃいましょうかね?」

 

 

小町「いやいやいや、それは流石に勘弁してもらえるかい?ただでさえアンタが此処で釣りしてるだけで大問題なのに、そんなことされて見付かったらアンタを見逃してるアタシまでクビにされるしっ」

 

 

ドール「やだなぁー、冗談ですよ。まあアンタさんの上司は怒らせるとこえーっすからねぇ。この前も暇つぶしに遊びに行ったら出会い頭に「帰ってください!お願いだから!」なんていきなり失礼なこと言うもんですから、ほんの仕返しにあの人が穿いてた下着の色をあの日裁かれる予定だった魂達にこっそり言い触らしたら、地獄の鬼も裸足で逃げ出すような形相で追い掛け―ピンッ……―ん?」

 

 

―ピンッ……ブクブクブクブクブクッ……ザパアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!―

 

 

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!』

 

 

ドール「ウッヒョーー!!今日一匹目のカイリュー……じゃねえや、海竜フィィィッッシュウッ!!イィィヤッホォォォォォォォォォーーーーーーッッ!!!」

 

 

小町「うわぁ、また前と同じ奴を釣り上げてるよ……おーい人形坊やー!ソイツ釣るのは良いけど、ちゃんと大人しくさせてから川に返しておいてくれよー!!って、聞いちゃいない……」

 

 

……何故かあの世の三途の川で釣りをし、彼岸に住む死神の横目で、奇声を上げながら川に住む巨大な竜を釣り上げる彼の姿が其処にあったのだった……

 

 

 

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