人工知能搭載人型ロボット、ヒューマギアが様々な仕事をサポートする新時代。
悪意に呑まれた
7話「コレが彼等の結末」
正義は悪を理解できない、しかし悪は正義を理解することが出来る。
そして、また、悪を理解できるのは悪だけなのだ。
そういう意味で、相原こと仮面ライダーディザスターと、羽生こと仮面ライダーヘイドレットは、お互いを理解しているのかもしれない。
そしてそれは彼らにとって、最後の救いなのかもしれない·····
「悪意なんて、人間なんて!滅びればいい!!」
ディザスターの大きく振りかぶった右の拳をヘイドレットは右手で受け止める、そのまま続く連撃を受け流しながら叫ぶ。
「ああ、確かに人間なんて滅びればいいさ!だけどな・・・人を殺しちまったら終わりだろうがよ!」
ヘイドレットの回し蹴りを受けてディザスターはよろめきながら、まるで八つ当たりをする子供の様に言う。
「だったらお前は何だ?人と同じように心を持つヒューマギアを何体も破壊した。」
ディザスターは負けじと自らの手のひらから生成した剣ーアタッシュカリバーでヘイドレットを斬りあげる。
「AIを破壊する・・・それは殺人と同義じゃないのか?」
ディザスターの剣撃を受けながらもヘイドレットは質問に答えようと、ディザスターの腕を捕まえ動きを止めた。
「ああ、そうさ、お前も俺も意思を持ち心を持つ「人」を殺した。だからもう俺たちはダメなんだよ」
その言葉を受けてディザスターの動きが止まり、その掌からアタッシュカリバーが重力に従い抜け落ちた。
「どうして、どうしてこうなった??」
そのか弱い声も書き消せぬほどに雨は弱まってきていた。
「幸樹・・・もういい、お前はよくやった」
ヘイドレットの言葉にディザスターは項垂れるように静かに頷く。
「ありがとう、羽生.......だけどお前を1人にはしないよ」
ゆっくりと、しかし力強く2人はキーを押し込む。
《ヘイドレットブラスト!!!!》
《ディザスターエンド!!!!》
ディザスターの右足に毒々しい色のエネルギーが集まり跳躍と共に、弧を描くようにヘイドレットにキックを放つ。
一方ディザスターの体を朱黒いエネルギーが包み、全身のトゲトゲしい造形が膨張してディザスターを迎え撃つ。
悪意に満ちたエネルギー体同士がぶつかり、大きな衝撃と爆発音の後、立っていたものはいなかった。
相打ち.......それが2人の結果となった。
奇しくも2人は真横に倒れ、雲が去り始め、顔を出し始めた青空を見上げる形で横たわっていた。
息を切らし、血を吐きながら羽生は相原に語りかける。
「綺麗だ.......ありがとうな、ようやくアイツらの所へ行ける」
「あぁいい天気だ、さっきまで土砂降りだったってのに」
相原は優しい口調で答え、続けて羽生に問いかける。
「なぁ羽生、お前は幸せだったか?」
羽生は少し考え、しかし自分に時間が残ってないことを悟り考えながら答え出した。
「あぁ、どうだろうな.......少なくとも、そうだな.......うん」
やがてはっきりとした声で言う。
「俺は世界一の幸せ者だ」
そんな親友の最後の言葉を聞いて相原は1人納得したように仮面の中で瞳を閉じる。
「相原さん!!!!」
急に静寂を殺すように相原の名前を呼ぶ声がする。
その声の主である宇佐美はずぶ濡れになりながらも、ディザスターの元へ駆け寄る。
「相原さんッスよね!?しっかりしてください!」
いつも以上に声の大きい後輩を少し鬱陶しそうに、しかし愛しそうな声で相原は語り出す。
「あぁ、宇佐美か.......なぁ1つ頼みがあるんだがいいか?」
「頼み?なんっスか!相原さんを助けれるならなんでも聞きます!!」
「それ取ってくれるか?」
ヘイドレットの近くに転がっているアタッシュカリバーを相原は指差す。
「この剣ッスか?.......この人は?」
「気にしないでくれ、俺の家族だ」
その言葉に少し疑問を抱きながらも、宇佐美は言われた通りにアタッシュカリバーを抱え、ディザスターの元に戻ってくる。
「なぁ宇佐美、俺はもうすぐ死ぬ.......俺は罰を受けなきゃいけないんだ」
「.......死ぬ?罰?何言ってんスか.......全然分かんないですよ!」
相原の言葉を否定しつつも、宇佐美は気付いていた、相原が言っている意味とこれから自分に何をさせようとしているのかを。大粒の涙が宇佐美の目から溢れ出す。
「でもさ、最後くらいはせめて.......せめて誰かの手で終わりらせてくれ.......頼む」
そう言いながら相原の声は小さくなっていく、もう時間が無いのだろう。
ならばせめて、自分が最後に出来ることは彼の願いを叶えることなのだろう.......
ボロボロと泣きながらも両の手でしっかりと柄を握り、心臓部の真上に剣先を持ってくる。
確実に悪意の鎧を貫くようにしっかりと振りかぶり自身の体重全てを一撃に乗せ、振り下ろす。
「お世話に……お世話になりました!!」
心臓部を貫き、宇佐美のそれはまるで深々とお辞儀をしてるかのようにも見えた。
変身者が絶命した事でディザスターの変身が解除される、同時にヘイドレットを覆っていたアーマーも粒子になって消え去る。羽生と相原は二度と目覚めない事を物語るように安らかな顔で眠りについていた。
「うぅ、うぁぁ.......」
体制を崩し、相原にすがりつくようにすすり泣く宇佐美に一体のヒューマギアが近づく。
「あなたの望む結末は何??」
空はとっくに晴れ渡っていた。
宇佐美明(うさみあきら)21男
小学校時代から部活動として柔道をやっており、成績はトップクラス。
運動能力に自信があった為、大学卒業後AIMSに入隊する。そこで自身の小隊の副隊長である相原に強い憧れを持ち自身の目標にしていた。
後輩口調は長い部活動経験故だろうか。