仮面ライダーゼロワン外伝 名も無きアクイ   作:タコわさび

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8話「アクイの連鎖は止まらない」

人工知能搭載人型ロボット、ヒューマギアが様々な仕事をサポートする新時代。

 

敬愛する先輩を見送り、悲しみにくれる宇佐美明(うさみあきら)の元にアズが現れる。

果たして彼が望む結末とは.......

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の望む結末.......?」

泣きじゃくり枯れかけている声で力無く疑問を口に出す。

まるで愉快だと言わんばかりに微笑しながら、アズは続ける。

「そう、あなたの望む結末を私に見せて?」

どこからか取りだしたブランクプログライズキーと横長のバックルを宇佐美に手渡す。

「俺の.......望み」

宇佐美は考える

宇佐美は考える

宇佐美は考える

これまでにないくらい脳を必死に働かせ、思考する。

「そこに....」

「ん?」

「ここに倒れてる人達に悪意を渡したのはあんたっスか?」

アズは宇佐美の元で倒れている相原と、少しだけ離れて転がっている羽生を交互に見る。

「ふふっ」

「何がおかしいんスか?」

まるで呆れたと言わんばかりアズは続ける。

「私が渡したのはあくまでも道具、悪意を物理的な形にしただけ。ディザスターもヘイドレットも彼らの素質で、紛れもない彼ら自身の悪意よ」

「それでも.......あんたがキーを渡さなければ、こんな事にならなかったはずだ」

宇佐美は理解していた、人の悪意というものを。

憎しみ、嫉妬、憤怒、殺意、人の内側に渦巻く目を背けてたくなる様な醜悪な感情を、そしてそれに飲み込まれた敬愛する先輩のことを。

彼自身理解していたのだ。

「確かに悪意なんてものは誰の心にもあるっス.......けどそれは当たり前で、だからこそ目を背けちゃダメなんっス」

醜いものから目を逸らす事は何の解決にもならない。

故に人は嫌なもの、見たくないものこそを直視して、向き合い生きていかなければいけないのだ。

宇佐美はゆっくりと立ち上がり、相原の安らかな寝顔を直視して、ベルトからディザスターキーを引き抜く。

同じように羽生のベルトから「お借りします」の言葉と共にヘイドレットキーを引き抜いた。

バックルを腰に押し当て、ベルト帯と同時に出現した左右のホルダーに2人のキーを収納する。

「あんたはこれからも悪意を作り続けるつもりっスか?」

アズはひたすら楽しそうに答える。

「だから、悪意は人間が持ってるものなんだってば。まぁアーク様を広めるって意味ではその通りかな?」

「そうっスか.......」

宇佐美はブランクキーをしっかり握り、やがて意を決したようにアズの前に立ち塞がる。

「俺の望みは、悪意に堕ちた人達を全員救う」

その宣言と共にブランクキーが純白色に変わり、起動ボタンを強く押し込む。

《ホープ!!!》

アズはサーカスでも見るように笑いながら1人つぶやく。

「そう、あなたのは正しい悪意なのね」

宇佐美はキーを展開して、叫ぶ。まるで過去の自分との決別のように

「変身!」

《アビスライズ!!!!》

Hope is born from lightReturn to darkness(光から産まれた希望はやがて暗闇に帰る)

ホープゼツメライズキーから真っ黒な液体が溢れ出し宇佐美の体を包む。一瞬で液体が弾けると、そこには変身した宇佐美が仁王立ちしている。

吸い込まれるような漆黒のスーツに目眩を覚えるような純白のアーマーが所々に装着されてる。

全体的に滑らかな曲線を描き丸っこく優しい印象を受けるが、しかしアーマーの節々は触らなくても切れるかと思うほど尖っている。

まるで他者を拒絶するかのように。

アズはその姿を見てやはりニタリと笑う。

「あぁ愛しのアーク様……やはり悪意の連鎖は止まらないのですね」

ホープは1歩アズに近づいて宣言する。

「俺はこの力を使って、悪意を滅ぼして堕ちた人々を救う……手始めにまずあんたを壊す!」

ホープゼツメライズキーをベルトに押し込む。

《ホープインポッシブル!!》

純白のエネルギーがホープの右手に集まり、漆黒のエネルギーが両足に纏い付く。

その両の足で高く跳躍し、アズに向かって勢いよく右手を打ち込む。

その拳はアズの体を貫き大きく爆発を起こし、全壊させる。

「……他の悪意を探さなければ」

宇佐美は変身を解除し、宛もなく歩きだす。

悪意を滅ぼす自分自身の心にも既に悪意が宿っている事を自覚しながら。

鬱陶しいほど晴れてる空の少し離れた場所では暗雲が徐々に迫ってきていた。

 

 

 

 

太陽が既に逃げて、月が我が物顔で空にのさばっている。

そんな月の明かりに照らされて、どこかの自動販売機の裏側に一人の女性がもたれかかっている。何があったのだろうか、かろうじて着用している衣服はボロボロで体の至る所に血のにじみとアザが見える。

そこに一体の女性型ヒューマギアが近付いてくる。

暗闇を纏った彼女は優しい声で問いかける。

「あなたの望む結末はなに?」

 

 

 

 

 

「アクイの連鎖は止まらない」




仮面ライダーゼロワン外伝名も無きアクイ一旦完結です。
ここまで長い間お付き合いいただいた方々、誠に誠にありがとうございます!!!!
相原と羽生散った後、仮面ライダーホープとなった宇佐美明、悪意によって堕ちた人々を救う中で彼自身もまた悪意に呑まれていく……そして彼が気付く人の真意とは一体
的な続きの話を気が向いたら書いて、完結マークを付けたいなと思っております……あとほんの少しばかりお付き合い下さい。


仮面ライダーホープ
宇佐美明がホープゼツメライズキーを使い変身するアークの仮面ライダー、アズいわく「正しい悪意」
特殊能力として、アークライダーから悪意を切り離すことが出来る。
また、腰部に装着されているディザスターキーとヘイドレットキーを用いて、必殺技を強化することも出来る。
変身音
Hope is born from lightReturn to darkness
(光から産まれた希望はやがて暗闇に帰る)
必殺技はホープインポッシブル
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