デジタルモンスター&東方Project   作:疾風のナイト

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タイトルのとおり、「デジタルモンスター」と「東方Project」のクロスオーバー小説です。
何かの序章っぽい形式にしています。
今回は大物同士の対話という形式にしています。


~電脳世界の黄金竜と幻想世界の幻想の賢者の対談~

 全てが穢れなき純白で満たされた空間。そのような空間中において、無数の黄金色の粒子が神々しく煌めいている。

 この空間はありとあらゆるものが電子情報で構築された世界・デジタルワールドにおいて、神聖なる存在のみが立ち入ることが許される特別な空間でもあったのだ。

 そんな神聖な空間の中、1体の巨大なデジモンが佇んでいた。想像上の生物と伝えられている竜を彷彿とさせる容姿、逞しく発達している両の腕、威厳さえ感じられる黄金の身体を持ったデジモン。

 神々しくも力強い姿はまさしく黄金の竜と呼ぶに相応しい。このデジモンの名前はゴッドドラモンと言い、究極体の聖竜型デジモンである。

 そしてまた、このゴッドドラモンこそ、この純白と黄金の粒子で彩られている神聖なる空間の主人であり、さらにはデジタルワールドの守護者として崇められている存在でもあった。

「……」

 黙ったまま何かを眺めているゴッドドラモン。ゴッドドラモンの眺めているもの、それは下界のデジタルワールドの様子であった。

 今日もデジタルワールドの各地では、様々なデジモン達がそれぞれの生活を営んでいる。デジモン同士の多少の衝突こそあるものの、今日もデジタルワールドは一見平和とも言えた。

 だが、時としてデジタルワールドの平和を侵す者がいる。彼等は明確な悪意と邪な力を用いて、デジモン達をさらにはデジタルワールドを支配しようと企んできた。

 遥か昔より、デジタルワールドで激しく繰り返される光と闇の衝突。そうした最中、ゴッドドラモンは自らの意思でデジタルワールドを守ろうとする者達を支援することにより、直接的にではなく間接にこの世界の自由と平和を守ってきた。

 そう、デジタルワールドの平和はそこで暮らすデジモン達の手で守らなければならない。少なくとも、ゴッドドラモンはそうした信念を胸の中に抱いていた。

 まだまだ不安な要素は残っているものの、今日も平和なデジタルワールドの様子に満足しているゴッドドラモン。

 そうした時であった。どこからか、ゴッドドラモンの神聖なる空間に声が響き渡る。色っぽさと妖しさが入り混じった少女の声であった。

「お邪魔しますわ」

 それと同時に純白色の空間に切れ目が生じる。空間の切れ目から見えたもの、無数の禍々しい目玉であった。そして、空間の切れ目から何者かが姿を現した。

 空間の切れ目から現れた者、それは赤いリボンがついた帽子を被った上、気品の漂う紫色の衣装に身を包み、流れるような金色の長い髪が印象的な少女であった。

 だが、そのような外見とは裏腹に突然、ゴッドドラモンの前に現れた少女の周囲からは、形容し難い妖しげな気配が発せられている。

「お前は何者だ?」

 明らかに尋常ではない目の前の少女に対して、静かな口調で質問しているゴッドドラモン。

それと同時にそんなゴッドドラモンには、この空間に突然侵入してきた少女に対する警戒心があった。当然のことである。この空間は人間が立ち入ることは勿論、並大抵のデジモンが立ち入れるような場所ではないのだ。

「あら、失礼、私は八雲紫と申しますわ」

 ゴッドドラモンに向かって、自らを八雲紫と名乗った少女。話している口調こそ丁寧であるが、老獪めいた胡散臭さえ感じられる外見と同様、その言葉の真意を簡単には窺い知ることはできない。

 この時、ゴッドドラモンは察知する。目の前の八雲紫と言う女、一見すると、ただの少女にも見えるが、その正体は人間の姿を借りた別の何かである。

 しかも、このデジタルワールドにおいても、そうそうお目にかかることのない強大な力の持ち主である。

「それで八雲紫とやらこの私に何の用だ」

「今日は貴方に話があってこちらにお邪魔させて頂きました」

 決して警戒心を怠らず紫に尋ねるゴッドドラモン。一方、紫は胡散臭い雰囲気を醸し出したまま話をする。

「……話だと?」

「ええ、そうです」

 ゴッドドラモンの再度の問いに堂々と答える紫。その途端、紫の表情が変わる。それはまさしく真剣そのもので威厳さえ感じられた。

「私は幻想郷……貴方が暮らしているデジタルワールドとは別世界から来ました」

 そして、幻想郷について説明をする紫。紫からの説明によれば、幻想郷とはデジタルワールドは勿論、人間達が暮らしている現実世界とも隔離された世界であり、そこでは妖怪や妖精といった忘れ去られた存在=幻想化した存在が住んでいると言う。

 余談であるが、八雲紫自身もまた妖怪であり、幻想郷で暮らしている妖怪でも最古参の部類に入り、本人曰く境界を操る程度の能力を持っていると言う。そんな紫だからこそ、ゴッドドラモンの空間に立ち入ることができたのだ。

「以上が私達の楽園……幻想郷ですわ」

 そう言って話を終える紫。これまで沈黙を保っていたゴッドドラモン。そして、話が終わると同時にゴッドドラモンはゆっくりと口を開く。

「八雲紫、何故、お前がここに訪れる必要がある?全てが電子情報で構築されたデジタルワールド、忘れ去られた者達の楽園の幻想郷、それぞれの世界の法則が正常に働いていれば何の問題がある。」

 異世界から現れた紫に対して、さらなる説明を求めるゴッドドラモン。本来であれば、このデジタルワールドと幻想郷はそれぞれの営みができるはずだ。それなのに時空を跳躍してまで紫はデジタルワールドに干渉してくるのか。

「うふふふ……御冗談を。本当は貴方も分かっていらっしゃるのでしょう?」

 ゴッドドラモンの言葉に一向に動じない紫。それどころか、不敵な笑みを浮かべて言葉を続ける。だが、そんな紫の瞳は先程にも増して真剣味を帯びている。対するゴッドドラモンもじっと紫のことを見つめている。

「貴方達のデジタルワールドは電子情報で構築された世界……高度に情報ネットワークが進んだ社会では、情報はすぐに古くなって簡単に忘れ去られてしまうもの。その理はデジタルワールドにおいても例外ではない……」

 デジタルワールドの本質的な構造、デジタルワールドの核となる情報の性質、そして情報の哀れな末路を淡々とした調子で語る紫。

「……つまり、デジタルワールドで必要とされなくなった情報が幻想郷に流れ込み、最悪の場合、データの塊であるデジモンそのものが幻想郷に出現する可能性がある……そういうことだな?」

「ええ、そうです。現在はそうした事態にならないよう、博麗大結界の力で防いでいる状態ですが、私達だけの力だけでは限度があります。もしも現状を放置すれば、幻想郷に無数のデジモン達が侵入する可能性も十分にあります」

 人と妖怪が入り混じる幻想郷。そんな幻想郷に戦闘能力に特化したデジモンが出現すればどうなるか。

幻想郷の住民達とデジモンとの間で衝突が起こり、幻想郷全体に混乱が生じることは火を見るよりも明らかであった。

 それだけではなかった。デジタルワールドのデジモンが幻想郷に侵入することによって、両者の次元の境界が曖昧になり、最悪の場合、デジタルワールドと幻想郷の2つの世界が浸食し合う危険性さえあった。幻想郷に侵入したデジモンが強い力の持ち主であればあるほど、そうした危険性はより一層強まることになる。

 事実、強大な力を持ったデジモンが現実世界に出現した事例が何度かあった。幸いにも大事には至らなかったものの、1歩間違えれば現実世界が破滅する危険性さえもあった。

「どうか、お願いです。どうか、幻想郷に害が及ばぬよう、貴方様の力をお貸しください」

 懇願の言葉と共にゴッドドラモンに頭を下げる紫。今の光景を楽園の素敵な巫女と謳われる博麗麗夢、幻想郷の住民達が見れば誰もが驚くであろう。それほどまでに深刻な事態なのだ。

 そんな紫の姿を黙って見つめているゴッドドラモン。もしも、紫が矮小な自尊心の持ち主であれば、このような行為には及ばないだろう。人妖が入り混じる幻想郷の管理者として、幻想郷とその住人達に害が及ばぬよう、目先のプライドを捨てて助力を頼む。本当に誇り高き女性なのだとゴッドドラモンは思った。

 思い返してみてもそうだ。紫は自らこの空間内に足を運び、現状の危険性を説いた上、必死になって助力の懇願をしている。本当に自分の世界=幻想郷を愛していなければ、このようなことはできないだろう。今、ゴッドドラモンは八雲紫に対して大きな敬意を払っていた。

 そうであるならば、今のゴッドドラモンが成すべきこと、それは決まり切っていたことであった。

「分かった。お前の申し出、私も協力しよう」

「有り難うございます」

 淡々とした口調で決断を下すゴッドラモン。そんなゴッドラモンの決断に感謝の意を示す紫。今一度、深々とお辞儀をする紫。そんな紫の姿は紛うことなき誇り高き淑女そのものであった。

「それで具体的にどのようなことをすれば良い?」

 そうした中、ゴッドドラモンは紫に質問をする。紫に協力するにしても、どのような方法で幻想郷を守れば良いのか。

「簡単なことですわ。このデジタルワールドそのものに博麗大結界と同じ性質を持った結界を張れば良いのです」

 協力する方法についてゴッドドラモンに説明する紫。デジタルワールドの周囲に博麗大結界と同様の性質を持った結界を展開することによって、デジタルワールドそのものから情報が漏れ出すこと……デジタルワールドの情報の幻想入りを防ぐのである。

「いいだろう。それから、1つ聞きたいことがある」

「何でしょうか?」

「今、幻想郷は博麗大結界を張ることで外の世界から隔離されている状態と聞く。同様の結界をデジタルワールドに張ること……それは同時に2つの世界の絆も断つということか?」

 これから自分達の行おうとする行為について素朴な質問をするゴッドドラモン。デジタルワールドと幻想郷に結界を張れば、同時にお互いの世界を行き来することができなくなるからだ。

 そんなゴッドドラモンからの確信を突いた問いに対し、逆に紫はにこやかな表情で答えてみせる。

「そんなことはありませんわ。私達の幻想郷の住人の中にもデジタルワールドのことを知る者はおりますわ。その住人はまだ人間だった頃、当時のデジタルワールドに訪れたそうです」

 そう言った後、紫は1人の少女のことを語り始める。そんな紫の脳裏には元々は人間の少女でありながらも、見越入道と行動を共にした結果、入道使いとなった妖怪が思い起こされていた。

「そして現在、彼女はパートナーの見越入道と共に命蓮寺と言う寺で仏教の修行を積んでいますわ」

 さらに紫は言葉を続けている。妖怪となった少女はその後、仲間の妖怪達や師事するべき師匠と出会い、現在では命蓮寺と呼ばれている寺で仏教の修行を行っていることを告げる。

「思い出した……確か名は雲居一輪とか言ったな。」

 神にも等しい力の持ち主であるゴッドドラモンの記憶には、デジタルワールドで起こった出来事が記録されている。

 そのような中において、膨大なゴッドドラモンの記憶の中、紫の証言と一致する少女が該当したのだ。

 少女の名前は雲居一輪。今よりも遥か昔、一輪は相棒の見越入道・雲山とはぐれてしまった挙句、当時のデジタルワールドに迷い込んだ上、この世界を守るために戦ってくれたことがあった。

 確か、雲居一輪は新しい物好きであり、同時によく機転の利く子供であったとゴッドドラモンは記憶している。

 だが、その昔、デジタルワールドで活躍している少女が後に妖怪となり、今となっては幻想郷の住民になっているとは流石のゴッドドラモンも思いもしなかったことである。

「そういうことです。幻想郷とデジタルワールド……両者の絆は遥か昔から存在していたのです。そして、その絆はこれからも続いていくことになりますわ」

 全てを語った上、結論づけるように言う紫。紫の頼もしい一言にゴッドラモンも厳格な表情を僅かに緩ませる。

「ありがとう」

「うふふふ、それでは失礼します」

 そう言って素敵な笑みを浮かべる紫。そして、紫はこの空間内にスキマと呼ばれる空間の裂け目を発生させると、その中に入ることで幻想郷に戻っていった。そんな紫の去り際をゴッドドラモンはいつまでも見送っていた。

 この日を境にして、デジタルワールドから情報が漏れるのを防ぐため、ゴッドドラモンによる結界が張られることになった。お互いに結界で隔絶されたデジタルワールドと幻想郷。だが、これで2つの世界の絆が途切れたわけではない。2つの世界の絆はこれからも続いていくことになるだろう。

 

                                           了

 




補足

名前:ゴッドドラモン
種族:聖竜型デジモン
属性:ワクチン
進化レベル:究極体
必殺技:ゴッドフレイム
黄金色に煌めく身体を持った究極体の聖竜型デジモン。デジタルワールドの神聖デジモンの中でも高位の存在に位置しており、全身からは神々しいオーラが発せられている。左腕と右腕にそれぞれ龍のデジモンを隠し持っている。デジタルワールドから集めた気のエネルギーを一気に炸裂させる「ゴッドフレイム」

お世話になります。疾風のナイトです。
以前、別サイトで投稿したデジモンと東方のクロスオーバー小説です。
デジモンと東方ですが、意外にクロスオーバーが難しく、試行錯誤で創作していました。
それから、八雲紫がやたら献身的ですが、実はこの紫は「ツンデレクイーンが幻想入り」、「ヒュッケバインが幻想入り」に登場する八雲紫と同一人物だったりします。
さらに言えば、「ツンデレクイーンの幻想入り」、「ヒュッケバインが幻想入り」と今作は繋がっていたりします。但し、初見の方でも楽しめるように心がけているつもりです。
今作にはいくつか話がありますので、機会があれば、投稿していきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします!
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