「あの……何かあったんですか固法先輩?」
「実は8月1日の夜から、学生たちが拐われているのよ」
「拐われる?」
「ええ。何者かの手によってね」
「そんなことが……」
固法はツナに事件の概要を説明する。自分がいない間にそんな事件が起きたと知ってツナは驚きを隠せないでいた。
「さっき
「でも学生を拐うってことはやっぱり能力者を狙ってるんじゃなんですか?」
「そうじゃないのよ。拐われた学生は能力者だけじゃない。無能力者もいるの」
「無能力者も?」
能力者の学生を拐い悪用するのが目的かとツナは推測するが無能力者の学生も拐われていると知って、自分の推測が外れていることを自覚する。
「事の発端は
「え? 全員じゃないんですか?」
「妙なことに襲われた学生は全員が行方不明になってる訳じゃないのよ」
「それなら襲われた学生に事情聴取すればいいんじゃ……犯人を見てるし手がかりになるんじゃ……」
「それが被害者によって犯人の顔が違うのよ。顔に十字傷がある男、ガリガリの男、ムキムキの大柄の男、金髪ツインテールのギャル、短髪にピアスをした銀髪の女、着物姿の黒髪ロングの女、性別不詳なんていうのもあったわ。とにかくたくさんあり過ぎて犯人の特定ができないのよ」
「変身するとか、幻覚を使う能力者なんじゃ……」
固法は先程の会議で被害者から聞いた人物像を話そた。ツナは変身できる能力者や、幻覚を使う能力者の仕業ではないかと予測する。
「そう思ったんだけど被害者は全員、爆発を使う能力者だっていうのよ。現場には爆発物はなかったって言うし。能力者が持てる能力は1人1つまでだしね。能力とか関係なしに犯人が変装や声を変えるのが上手いっていう可能性も考えられたから
「まさか木山さんみたいに
「
「そっか……」
「もしかしたら木山先生の研究を盗み見て悪用した人がいるっていう可能性もあると思いますよ。私は木山先生の研究者で
「一応、木山先生に聞いてみるよ俺」
初春は自分が木山に捕まった時に木山が言っていたことを伝えた。ツナは木山に詳しく聞きに行くことを決める。
「それと爆発系の能力者を調べたんだけど全員、アリバイがあって全員シロだったわ」
「厄介ですね……」
「そうなのよ……犯人の目的がわからない、犯行時間もバラバラ、そして通報があるのがいつも事件が起こった後だから対策の仕様がなくて……」
何もかもがわからず固法は右手を額に乗せて、ため息をつき悩んでいた。
「あっ! そういえばさっき会議で聞いたんだけど1つ妙なことがあるのよ」
「妙なこと?」
「ええ。全ての被害者じゃないけど、被害にあった場所が違うって言う被害者がいるのよ」
「どういうことですか?」
「被害者が襲われたのは人気のない路地が多いの。けど被害者は自分はここで襲われてはいないって言ってる被害者がチラホラいるのよ」
「襲われた場所と被害者の証言があっていないってことですか?」
「そういうことよ」
「ますます妙ですね」
「そうなのよね」
固法の話を聞いてツナはますますどういうことなのかわからなくなってしまっていた。
「とにかくこれ以上、被害者を出さない訳には行かないわ。私たちの役目は犯人を捕えること。その為に徹底的に犯人の手がかりを見つけるわよ」
「「「はいっ!」」」
固法の言葉を聞いて3人は大きい声で返事をする。
だがこの時ツナたちは知らなかった。この犯人がまさかの人物だということに。
もう犯人がわかっている人もいるでしょうが、お楽しみ下さい。
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