とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)11 答え

 

 初春とパトロールするコースを歩くツナ。

 

「そういえばツナさんっていつからあの力を使えるようになったんですか?」

 

(ハイパー)死ぬ気モードのこと? 中二の時かな?」

 

 そう言うとツナは(ハイパー)死ぬ気モードに初めてなった戦い。六道骸との戦いを思い出す。

 

「凄いですね。私たちとそんなに変わらない時にあんな力を使えるようになってたなんて」

 

「別に欲しくて手に入れた力じゃないんだけどね。正直、この能力を初春に譲渡できるなら譲渡したいぐらいだよ」

 

「ツナさんの力を私に……?」

 

「初春?」

 

 ツナの言葉を聞いた途端、初春は何かを考え始める。少し様子がおかしい初春を見て、疑問符を浮かべる。

 

「ツナさんの力を貰ったら白井さん以上に……今までの仕返しにあんなことや……」

 

「初春!? 何、考えてるの!?」

 

 初春に自分が(ハイパー)死ぬ気モードになった姿を想像して、何やらヤバそうなことを想像していた。初春の考えていることにツナは驚きを隠せないでいた。

 

「あ……肝心なこと忘れてた……」

 

「え? どうしたんですか?」

 

「いや……(ハイパー)死ぬ気モードに初めてなった時のことを思い出しさ……」

 

「何かあったんですか?」

 

「うん……使った後に反動で体中に痛みが走って、あまりの痛みで気絶したんだよねー……」

 

「え……」

 

「そして目が覚めてから、2週間全身筋肉痛で動けなかったし……」

 

「……」

 

 ツナは骸との戦いが終えた後のことを思い出していた。(ハイパー)死ぬ気モードがそこまでのリスキーなものだとは思ってもみなかった為、初春は顔を真っ青にしていた。

 

「よ、よくそんな力を使えるようになりましたね……」

 

「とにかく絶壁を登って、何度もスパーリングをしたよ……大岩の下敷きになったこともあったけど……」

 

「絶壁……下敷き……」

 

 ツナの脳裏にはボンゴレが誇る暗殺部隊ヴァリアーと迎え撃つ為に修行した光景が浮かんでいた。レベル5の能力者でもしないような修行方法に初春は開いた口が塞がらない状況だった。

 

「でも力をつけるには色々と修行が必要なんですね……」

 

「初春は能力を持ってるの?」

 

「はい。定温保存(サーマルハンド)っていって。触っている物の温度を一定に保つ能力なんです」

 

「いいなー。俺もそんな能力だったら欲しいなー。初春の能力だったら美琴に狙われることもないしさ」

 

「アハハ……」

 

 ツナの言葉を聞いて初春は苦笑いすると同時に、同情していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 

「あー! 美味しかった!」

 

 佐天はお腹をさすり、満足そうな笑みを浮かべながらスイーツ店の外に出て行く。

 

「ツナさん喜んでくれるかな」

 

 佐天はスイーツの入った箱を見ながら笑みを浮かべる。ツナの為に佐天はスイーツを買っていたのである。

 

「どうですか沢田さん。道は覚えられましたか?」

 

「うん」

 

「え!?」

 

 家に帰ろうかと思っていたその矢先、佐天の視界に仲良く歩いているツナと初春の姿が映る。その光景があまりにショックだったのか佐天はスイーツの入った箱を地面に落としてしまう。

 

「せっかくだし。どこかで甘い物でも食べませんか?」

 

「ええ!? 俺たち戻らないと……」

 

「さぁ! 行きましょう!」

 

「ええ!?」

 

「なっ!?」

 

 初春はツナの左手を右手で掴むと、そのまま走って行く。初春がツナの手を握ったことに動揺するが、すぐに二人を追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナが連れられてやって来たのはファミレスだった。

 

「ここの新作パフェ食べてみたかったんですよー」

 

(あれ? もしかしてここに来た理由って、初春の個人的な願望……?)

 

 初春の言葉からファミレスに連れて来られた理由が、初春の個人的な理由だということにツナは気づいた。

 

「あっ! お金は私が出しますから。安心して下さい」

 

「あ、ありがとう……」

 

 お金を出してくれることに対してお礼を言うツナ。しかしツナはこんなことをしてて大丈夫なのか心配でしょうがなかった。

 

「あ、あの初春……」

 

「ちょっとぐらい大丈夫ですよ。あっ! 来ました!」

 

(もうパフェのことしか頭にない!?)

 

 パフェが来た瞬間、初春の目がキラキラと輝いた。初春の表情から、初春の頭にはパフェのことしか頭にないのは一目瞭然であった。しかし初春が帰る気がなさそうなのでツナは諦めることにした。

 

(な、何で初春とツナさんが!?)

 

 一方で佐天が二人の斜め下の席からハラハラしながら、ツナと初春の様子を見守っていた。

 

「ツナさんも一口食べますか?」

 

「いいの? じゃあ貰おうかな」

 

「ええ!? ///」

 

 ツナの言葉を聞いた途端、佐天は動揺し顔を赤らめる。

 

(初春ってば何で!? というかツナさんもそんなに簡単にOKしちゃうの!?)

 

 佐天の脳裏には初春がツナにあ~んして食べさせる光景が浮かんでいた。ツナのことが好きな佐天にとって、見逃せる事態ではなかった。

 

「どうぞ」

 

「じゃあ。いただきまーす」

 

「ちょ、ちょっと待っ……た?」

 

 慌てて止めようとする佐天。しかし佐天の視界に映っていたのはツナが自分のスプーンで初春のパフェを掬って食べる光景だった。

 

(わ、私ってばなんて勘違いを!?)

 

 ツナのことを想うあまりとんだ勘違いをしてしまった佐天は恥ずかしさのあまり、顔を赤くし両手で顔を覆っていた。

 

「そういえば沢田さんってどういう人がタイプなんですか?」

 

「え?」

 

(初春! ナイス!)

 

 ここで気になっていたこと初春が尋ねた為、佐天は心の中でガッツポーズした。

 

「急にどうしたの……?」

 

「興味本位ですよ」

 

「タイプねぇ……」

 

(沢田さんの好きなタイプがわかれば、佐天さんの力になれるはず!)

 

(ツナさんのタイプ。ツナさんのタイプ。ツナさんのタイプ)

 

 初春は親友(佐天)の為にツナの好きなタイプを尋ねた。佐天はツナのタイプがわかると知って、ハラハラしていた。

 

「そうだなー。やっぱり優しくて、笑顔の素敵な普通の女の子かな。あっ! 後、料理のできる女の子とか」

 

「じゃあ佐天さんとかどうですか?」

 

「佐天?」

 

「だってツナさんのタイプに当てはまってるじゃないですか」

 

「言われてみれば……」

 

(わ、私がツナさんのタイプ!? じゃ、じゃあ……)

 

 ツナのタイプに当てはまってると知って、佐天は期待してしまう。

 

「でも佐天と付き合うことはないかな」

 

(え……!?)

 

 しかしツナは佐天とは付き合わないと答えた。ツナの答えに佐天はショックのあまり思考が止まってしまっていた。

 

「どうしてですか!? だって沢田さんのタイプ当てはまってるじゃないですか!?」

 

(そうだよね……私なんかがツナさんと付き合えるわけないもんね)

 

 ツナの発言に憤り覚える初春。一方で佐天は心が折れかけていた。

 

「だって佐天には俺なんかよりも、もっと相応しい人がいるはずだからさ」

 

「え!?」

 

(え……!?)

 

 ツナの答えに初春と佐天は目を丸くしていた。

 

「それに俺はこの世界の人間じゃない。いつかは別れないといけないし。そうなったら佐天が不幸になっちゃうし」

 

(ツナさん……)

 

 自分の幸せを考えてくれるツナに佐天は感動していた。

 

「って……何、言ってんだろ。佐天が俺なんかと付き合ってくれるわけなんてないのに。馬鹿だよね俺」

 

「そんなに自分を卑下しないで下さい。まだ会って数日ですけど私は……私たちは沢田さんのいい所を知ってますよ」

 

「ありがとう初春」

 

 自分のことを肯定してくれる初春にツナはお礼を言った。

 

「じゃあ……」

 

「?」

 

「もし。もしですよ。佐天さんが沢田さんのことを好きって言ったらどうしますか?」

 

「佐天が俺を?」

 

「はい」

 

 初春が真剣な眼差しで聞いてきた為、ツナはどうするのか考える。

 

「それは……」

 

「こんな所でのんびりしているとは随分と余裕ですわね」

 

「し、白井さん!?」

 

「なっ!?」

 

 初春の問いに答えようとしたツナ。しかしタイミング悪く、黒子がやって来てしまう。仁王立ちして怒りのオーラを放っている黒子を見て、初春とツナは慌ててしまっていた。

 

「遅いから心配して来てみれば。こんな所で油を売っているとは」

 

「ち、違うんです! これは!」

 

「話は帰って聞きますわ。じっくりと(・・・・・)

 

「「はい……」」

 

 抵抗したところで無駄だと判断した二人は黒子に着いて行く。佐天は慌てて机の下に隠れた。二人が店から出て行くのを見計らって、佐天は机の下から出て来る。

 

「なんとかバレずに済んだ……ていうかパトロールだったんだ……」

 

 ツナに自分の存在がバレずに済んだこと、二人が一緒にいたこのは仕事だったとわかり、佐天は二重の意味で安堵する。

 

「ツナさん……なんて答えようとしてたんだろ……」

 

 佐天は机に右肘をつくと、顎を掌に乗せながら窓の外を見つめるのだった。

 

 

 




書いてたら、全然違う感じになったけど、いい話が書けたと僕は思います。あれ?作文?

次回は…どうしよっかなー?当麻を出そうかな…?

高評価を下さった斉藤元さん。ありがとうございます!


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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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