エスカと対峙する美琴。
「俺は手を出さねぇからな。お前でなんとかしろ」
「最初からそのつもりよ」
「随分と強気ね。私に負けた人の台詞とは思えないわ」
「あんたの力は理解している。もう負けないわ」
「私の力を知ってる? 私はあなたに力の全てを見せた覚えはないわよ」
強気な美琴に対しエスカは冷静な態度でいた。すると胸の谷間から
「う、海!? これが本当に幻覚なの!?」
「幻覚は5感を支配するからな。とはいえここまでできるとはな」
美琴は信じられなかった。自分が立っている場所が砂浜に、視線の先が海になったことに。そして幻覚であるのにも関わらず砂の感触を感じることに。一方でリボーンは動揺することなくここまでの幻覚を使うエスカの力に感心していた。
(黒子が言ってたっけ……被害者の中に襲われた場所と被害者の証言があっていないって……幻覚で場所まで誤魔化してたのね……)
美琴は始めに学生誘拐事件の概要を聞いた時に言っていたことを思い出す。
「この程度の幻覚で驚くなんてね。まだまだね」
するとエスカはさらに谷間から
「どっから出してんのよ……」
「どこから出そうと私の勝手でしょ。ま、あなたには一生できないからわからないと思うけど」
「本当に煽るのが得意ね……」
「私は煽ってるつもりはないわよ」
そう言った瞬間、海の水が渦を巻きながら美琴へと向かって行く。美琴は咄嗟に雷撃で処理する。
が
「幻覚……!?」
雷撃は水をすり抜ける。幻覚と頭でわかっていても体がすぐに反応してしまうのである。
「やっぱり幻覚を使う相手に慣れてないのね。体がすぐに反応しちゃってる」
「このっ!」
後ろからエスカが炎を纏った杖で攻撃する。美琴は攻撃を躱して雷撃を纏った拳をエスカに叩き込んだ。だがエスカは有幻覚でありすぐに消えてしまう。
(有幻覚……!? 厄介ね!)
有幻覚は実体を持った幻覚。なので美琴の反射波に引っ掛かってしまう為、どうしても対処せざるをえない為、美琴にとってこれ程厄介な相手はいない。
「前の戦いであなたの反射波の有効範囲は理解しているわ。たとえ有幻覚と思っても実際はただの幻覚。幻覚と思ったら有幻覚。それを見破る術があなたにあるかしら?」
するとエスカがさらに4体、増える。そして一斉に美琴に襲いかかる。
「くっ!」
「私にだけに集中してていいのかしら?」
エスカが口元を緩ませると目に見えない爆発物が美琴の反射波の有効射程ギリギリの所で爆破する。爆破によって視界が塞がれる。美琴は爆煙の中から咄嗟に飛び出した。するとエスカの3本の杖が美琴に向かって来る。
「くっ!」
頭で考えるよりも先に体が反応してしまい美琴はジャンプして杖を避けてしまう。
「空中に出てよかったのかしら?」
エスカたちは空中にいる美琴に向かって杖を向けると杖の先端から炎の玉が放たれる。美琴は咄嗟に雷撃を放つ。しかし雷撃は炎の玉をすり抜ける。
(クソっ! また幻覚! これじゃ消耗するだけだわ!)
空中に羽上げて身動きが取れないところを攻撃する作戦と思いきや、ただの幻覚であった。このままでは余計に体力を消耗し、その内動けなくなってしまうのが目に見えていた。
(後ろ!)
美琴は反射波で見えない爆発物を関知すると後ろに向かって雷撃を放った。しかし爆破の余波によって美琴は地面に向かって吹き飛ばされる。
「隙だらけ」
「グハッ!?」
爆破で吹き飛ばされたところをエスカの膝蹴りが美琴の腹部に直撃する。そしてエスカは杖をバットを振るかのように杖を振って美琴を海の方角へと飛ばした。
「ゲッホ! ゲッホ!」
美琴は腹部を押さえながら咳き込む。溺れた場所が浅瀬だった為、美琴はなんとか立つことできた。
(あえて反射波の有効範囲外からの攻撃をすることで幻覚か有幻覚か迷わせてくる……そしてその隙を必ずついてくる……)
美琴はエスカの戦法を理解する。しかし幻覚を見破ることのできない美琴は頭で考えるよりも、体が先に反応してしまう為、エスカの戦法を破ることがどうしてもできない。
(これが沢田たちの世界の人たちの力……)
美琴はツナたちの世界の人の戦闘レベルが相当なものだということを理解する。
「さーて。いつまで持つかしら?」
「ねぇずっと思ってたんだけど。あんたは何で学生を誘拐してんのよ?」
「何? 時間稼ぎのつもり?」
「そんなんじゃないわよ。ただ気になっただけだよ」
「そうねぇ。強いて言えば本能ってやつかしら?」
「本能?」
エスカは人差し指を右頬に手を当て妖艶な笑みを浮かべながらそう答えた。本能と聞いて美琴は疑問符を浮かべる。
「別に大したものじゃないわよ。私は人の上に立って支配したいだけ。だから他人を欺き利用する。けど罪のない人間まで被害が及んで
「そんなことの為に婚后さんを拐って……黒子を傷つけたっていうの……!?」
エスカの目的を知って美琴は拳を握り絞めて怒っていた。
「言ったでしょ。本能よ。本能」
「本能って……私の友達を手を出してタダで済むと思わないことね!!」
美琴はエスカに向かって走って行く。エスカは怒った美琴を見てもなお、余裕の笑みを浮かべていた。
「あなたに私の幻覚は見破れないわ」
「だったら全部ぶっ壊してやるわよ!!」
分裂したエスカに向かって広範囲に渡って美琴は電撃を放った。エスカたちは飛び引いて雷撃を躱す。
「怖い怖い。気をつけないと」
(遠距離攻撃させたら幻覚で判断が遅れる。だったら接近戦に持ち込んで有幻覚が出せなくなるまで破壊しまくる!)
(とか思ってるんでしょうね。馬鹿な子)
美琴は実体がある本体と有幻覚を破壊することに集中することを決める。だが美琴の作戦をエスカは看破していた。そして再び見えない爆発物が反射波の有効範囲ギリギリのところで爆発し再び視界が遮られる。
「また……!?」
「またじゃないわよ」
(後ろ!?)
遮られる視界の中でエスカが襲いかかる。美琴は反射波で感知し咄嗟に雷撃を纏った回し蹴りを繰り出す。
「いい蹴りね。けど!」
「っ!?」
美琴の回し蹴りをエスカは杖で防ぐが、杖は破壊される。だがエスカ杖の破片を掌底で美琴の目に向かって飛ばす。咄嗟に目を閉じた為、目にダメージはなかったが隙が生まれてしまう。
「私は接近戦が苦手だと言った覚えはないわよ」
「グフッ!?」
エスカは3発程、美琴の腹部に拳を叩き込んださらに蹴りを喰らわせる。美琴はエスカ蹴りの余波で吹き飛ばされた。
「ゴッホ! ゴッホ!」
美琴は地面うつ伏せになった状態で咳き込む。そんな美琴の上空からに数十体のエスカが杖を向けていた。有幻覚と幻覚が混ざったもので、反射波の射程範囲外である為、美琴にはどれが幻覚で有幻覚かわからない。
(終わりよ)
エスカは仰向けに倒れている美琴を見て、勝利を確信したのか口元を緩ませていた。
その時だった
「がっ……!?」
美琴の雷撃がエスカを襲う。しかも有幻覚のエスカとエスカと美琴の
(馬鹿な……どうやって私と有幻覚だけを……!?)
幻覚を見破ることのできない美琴がなぜ幻覚を見破れたのかエスカはわからなかった。
「幻覚のせいで騙されたけどここは廃工場。だから砂鉄をあなたに付着させてもらったわ」
「砂鉄……あの時か!?」
美琴が一番最初に雷撃を放った時にエスカの本体と砂有幻覚に砂鉄を同時につけていた。
「砂鉄をつけておけば後は避雷針の要領で雷撃が誘導される。有幻覚は強力だけど強力な分、何体も何体も出せるわけじゃないはず。一種の賭けだったけど成功したようね」
そう言うと幻覚と有幻覚が消えて行く。本体がダメージを受けたことで幻覚と有幻覚が消えたのである。
「あの時は砂鉄を使ってもすり抜けて意味がないと思ったけど、それがないとわかればこっちのものよ。さぁ覚悟しなさいエスカ!」
(か、体が……まずい……!?)
美琴はエスカへと向かって行く。エスカは避けようとするも体が痺れて動けなかった。
「終わりよ!!」
「がぁあああああ!!」
雷撃を纏った美琴の拳が顔面に直撃しそのままエスカは吹き飛ばした。
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