支部に婚后、湾内、泡浮がやって来る。
「どうしたんですか?」
「今日はお礼を言いに来たんです」
「今回、事件に協力させてくれたのも解決できたのは白井さんたちのお陰ですから」
初春はここに来た理由を尋ねる。湾内と泡浮は支部に来た経緯を説明する。
「ん? もしかしてそいつがお前らの助けたいって言ってた奴か?」
「はい。そうです」
「しゃ、喋った!?」
リボーンが湾内と泡浮と共にいる婚后が2人が助けたいと言っていた人物だと推測すると、泡浮がそうだと答える。婚后はリボーンが喋ったことに驚いていた。
「初めましてだな。俺はリボーン。ツナの
「こ、婚后光子と申します……以後お見知りおきを……」
「よろしくな光子。それよりお前ボンゴレに入らねぇか?」
「いい加減にしなさいよあんた!」
「ヴォンゴレ……パスタのことですか?」
いつものようにボンゴレに勧誘するリボーンに美琴はツッコミをいれる。婚后はボンゴレのことをパスタのことだと思っていた。
「あの……沢田さんは? 沢田さんにもお礼を言いたいのですが」
「沢田さんならパトロールに出ていますの」
「ただいまー」
「噂をすればですわ」
湾内が支部内にいないのでどこにいるのか尋ねる。黒子はパトロールに出ていると答えると、タイミング良くツナがパトロールから戻って来る。
「あっ! 光子。どうしたの?」
「あ、あの!! 今日はお礼を言いに……!! 先日は助けていただきありがとうございました……!!」
((や、やっぱり……!?))
(あれ? 婚后さんの様子が?)
ツナは婚后を見て気づく。すると婚后はツナを見た途端、顔を赤らめ少しだけもじもじしながらお礼を言った。そんな婚后の姿を見て美琴たちは違和感を感じる。
時は遡り。救出作戦の時に戻る。
「間違いないわ。ここに学生がたちがいるわ」
美琴がエスカと接触している頃。幻覚のクロームに取り付けた発信器を辿ってツナたちはエスカから少し離れた場所にいた。固法は
「エスカは御坂さんが足止めしていますけど……」
「万が一のことを考えて間違いなく迎撃するよう命令してあるでしょうし……」
「私たちと同じ常盤台の生徒も多くいますし……」
「どうしましょう……」
初春、黒子、湾内、泡浮はここからどうすればいいかわからず迷っていた。
「問題ない」
そんな中、ツナは
「俺が建物内に侵入して制圧する。俺が連絡したら学生たちの保護を頼む」
「ちょ、ちょっとツナ君、何を言ってるの!?」
「エスカが操折を手中に収めたことで操折の能力で学生たちは操られているはず。だったら俺の炎で元に戻せる。それに操折の能力は俺には効かない。俺が適任だ」
「で、でも……」
ツナの言うことが本当であるならば確かにツナが適任であるが、能力者が何十人もいる所に突っ込むなど無謀である。
「問題ない。能力を使われる前に制圧すればいいだけの話だ」
「ちょっ!? ツナ君! もう!」
そう言うとツナは炎を逆噴射させて一気に建物内へと侵入して行く。固法は勝手に飛び出したことに怒っていた。
「い、一瞬で……」
「な、何がどうなって……」
「炎を逆噴射させることによって高速移動したのですわ」
湾内と泡浮はツナが何をしたのかわからず困惑していた。そんな2人に黒子はツナがどういう原理で高速移動したのか説明するわ
「呑気に解説してる場合じゃないわ! 早くツナ君を!」
「沢田さんなら大丈夫ですわ固法先輩。音が全く聞こえないでしょう?」
「た、確かに……」
黒子がそう言うと固法は戦闘の音が全く聞こえないことに気づく。つまりこれはツナが相手に能力を使わせる前に学生たちを制圧している証拠である。
「本当だわ……本当に制圧してる……」
「相変わらず凄いですね沢田さん……」
固法は再び
「あ、あの1つお尋ねしたいのですが……沢田様は多重人格なのですか?」
「明らかに雰囲気が変わりましたが……」
「それは私にもわかりませんわ……」
湾内と泡浮はツナの雰囲気が違うことに疑問を抱き、黒子に尋ねる。しかし黒子にもそれを答えることはできなかった。
一方。建物内に侵入したツナは
「階を進むごとに人が増えている……上に操折がいるのは間違いないな……」
ツナは上の階を見ながらそう呟いた。操折は学園都市に7人しかいない
操れる力を持っていると言っても、そんな貴重な存在をわざわざ前線に立たせたりはしないことをツナは理解していた。
「とにかく急がないと」
ツナはさらに階を上がっていく。次の階に上がると操折と、能力者たちがいた。だがツナは一瞬にして気絶させる。
「……」
(マインドコントロールされている話は本当だったようだな……操折さえ元に戻せれば操られていた学生も元に戻せる……)
操折はリモコンを何度も押してツナを操ろうとしていた。しかし大空の炎の特徴である調和によって操折の能力はツナには通じない。そんな操折を見ながらツナは長考していた。そしてツナは操折の所まで移動すると人差し指に炎を灯し、額に当てる。
「ここは……?」
ツナの大空の炎によって操折のマインドコントロールが解け、光を失っていた瞳が元に戻る。
「気づいたか」
「あ、あなた……どうしてここに……?」
「お前たちが誘拐されたと聞いて助けに来た」
「誘拐……?」
そう言うと操折はリモコンを自分の額に押し当てるとリモコンのスイッチを押した。
「あーはいはい。そういえば奇妙力満載の女が襲って来たわねぇ……それで私は操られてここに……そして他の学生を私の操作力で操ったと……そういうことねぇ」
「操るだけじゃなくて自分の記憶を辿れるとはな。精神系に関することなら何でもできるってことか」
「まぁね。感がいいわねぇあなた」
「それよりお前に操られている学生の解除を頼む。ここに来る間に全員、気絶させた」
「あなたの力なら解除できたんじゃないのぉ?」
「そうしたかったが正気に戻った後で操られた学生に襲われたら意味がない。全員、気絶させた後でお前に解除させた方が安全で早いと思ったからな」
「滅茶苦茶ねぇ……ま。いいわ」
あれだけの能力者相手に傷一つ負わず気絶させたことに驚いていた操折だったが、リモコンのスイッチを押した。
「はぁい。これで洗脳力解除だぞ☆」
「今のだけで全員を解除したのか……」
たった1回リモコンのスイッチを押しただけでこの建物内にいた全員の洗脳を解いたことにツナは驚いていた。
「歩けるなら下に降りてくれ。そこに黒子たちがいる。保護してもらってくれ」
「了解よぉ」
ツナがそう言うと操折は歩いて建物内へと降りて行く。
「さてと……まずはこの階の人から……」
ツナはこの階で自分が気絶させた人たちを助けることを決める。
「う、う~ん……?」
「大丈夫か!?」
一人の学生が目を覚ます。ツナは慌ててその学生の元へ駆けつける。目を覚ましたのは婚后光子だった。
「あ、あなたは……前に御坂さんと戦った……私は一体……なぜここに……?」
「お前は誘拐されてたんだ。誘拐事件の犯人にな」
「誘拐……? 私が……?」
「だから助けに来たんだ。今、犯人は美琴が足止めしている。今の内にここから脱出するぞ」
「御坂さんが……!?」
友である美琴が犯人と戦っていると知って、婚后は驚きを隠せないでいた。
「立てるか?」
「ええ……なんとか……」
ツナが大丈夫かどうか尋ねると、婚后はふらつきながらもなんとか立ち上がる。
「あっ……」
だがツナが気絶させた影響で体が思うように動かず、婚后の体は傾いてしまう。
「大丈夫か?」
「え……!?」
地面に倒れる前にツナは婚后をキャッチする。そしてそのままお姫様抱っこして黒子たちの元へ歩いて行く。
「だ、大丈夫ですわ! 少しふらついただけで!」
婚后は顔を少し赤くしながら大丈夫だと伝える。それでもツナは婚后を下ろさず抱えたまま進む。
「そんな体になったのは俺のせいだ。俺がお前を気絶させたからな」
「気絶って……」
「お前たちは操られていたんだ。だから俺が気絶させてお前たちを操っていた奴のマインドコントロールを解いて、洗脳を解いてもらった。俺がお前たちの洗脳を解くこともできたんだが、解いている間に他の学生たちが襲って来たら洗脳が解けた学生たちが傷つく可能性があったからな。だから気絶させた。すまない。手荒な真似になってしまって」
「そんな……!? あなたは何も……!?」
ツナは事情を説明すると同時に婚后に謝る。婚后は何も悪くなのに謝るツナを見て婚后はそう言った。
「お前がどう言おうと俺がお前を傷つけたことは事実だ」
「たとえそうだったとしても私は感謝しています。あなたがいなければ私はこのまま捕まっていたかもしれませんわ。だから謝らないで下さい」
「ありがとう。優しいんだな。えっと……」
「婚后光子ですわ」
「俺は沢田綱吉だ。よろしくな光子」
「っ!?」
ツナが微笑みながらそう呼ぶと婚后は顔を赤くする。
(ど、どうしたのでしょう私は!? 急に沢田さんの顔を直視できなくなりましたわ!? それに体が熱く……ですが……とても温かくて、落ち着きますわ……!!)
婚后は自分に起きている違和感に気づく。この後、ツナがお姫様抱っこしているのを見た黒子たちは開いた口が塞がらない状況になっていたという。
そして場面は戻り
「そんなお礼を言わなくてもいいよ。俺は当然のことをしただけだし」
「そ、そんな……!! 助けていただいたのですからこれくらい当然ですわ……!!」
(こ、これは不味いですわ……)
(佐天さんがこれを知れば……)
(大変なことになるわ……)
婚后がツナに惚れていると知って黒子、初春、美琴は体を震わせていた。特に黒子と初春はツナから佐天がマフィアをたった1人で壊滅した話を聞いてしまっているので、佐天がこのことを知れば大変なことになることを理解していた。
「何だお前ら知り合いなのか。だったら連絡先を交換したらどうだ」
「あっ! そうだね」
「「「なっ!?」」」
リボーンは婚后がツナに惚れているのを理解していながらそう言った。ツナは普通にリボーンの提案に乗り、黒子、初春、美琴は驚きを隠せないでいた。
「れ、連絡先ですか……!? ま、まぁ沢田さんがいいと言うなら交換してあげても構いませんわ……!?」
「じゃあしよっか」
「へっ……!?」
「これで遊びに行けたりできるね」
(あ、遊ぶ……!? 殿方と2人で……!? こ、これが噂に聞くでぇーとというものですか……!?)
遊びに行けると聞いて婚后は顔を赤くしながらこれはデートなのではないかと思ってしまっていた。
この後、ツナと婚后は連絡先を交換した。こうして学生誘拐事件は幕を閉じた。しかしこの1件で美琴たちは学園都市で新たな事件が始まるのではないかと恐怖することになった。
という訳で婚后をヒロインに追加します。アンケートでも票が多かった上に黒子と犬猿の仲にある婚后なら色々と面白くなりそうなので。
すっごくチョロくなった気がしますが、婚后は見た目だけでなくちゃんと中身の方もちゃんと見ていますよ。自分を立派に見せようとせず謙虚でいるところとか。まぁお姫様抱っこされてあんなに優しくされたら惚れちゃうと思いますが。とにかく婚后をヒロイン追加します!
高評価を下さったkokukoh12さん。ありがとうございます!
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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?
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