倒れたランボ、イーピン、シャマルは177支部に運ばれることになった。
その頃
「ボクシング都市……強きボクサーたちがいる都市と聞いてみたが……」
第7学区にとある広場。そこに常時死ぬ気男。笹川了平は立っていた。相変わらず学園都市の名前を覚えていない上に学園都市の存在意義すら履き違えていた。
「なのに! なのにボクサーがどこにもいないではないか!」
了平は両手の拳を握り体を少し反らすと空に向かって雄叫びを上げた。周囲の人々はいきなり雄叫びを上げる了平を見て変な目で見たり、コソコソと話していた。完全に不審者扱いである。
そんな時だった
「いい根性してるな。お前」
「む?」
了平の後ろから誰かが話しかけてきた。後ろを振り向くとそこには白の学ランにハチマキ、そして旭日旗が描かれたTシャツに身を纏い、両腕を組んで仁王立ちしている男がいた。
「極限に誰だ貴様は?」
「俺は
「俺は並盛高校ボクシング部主将! 笹川了平だ!」
互いに大きな声で自己紹介する削板と了平。どうやら似た者同士らしい。
「並盛高校……聞いたことのない学校だな……まぁ細かいことはどうでもいいな! ササガワ! 俺と勝負しないか?」
「何っ!?」
「俺にはわかるぞササガワ。お前は強者の匂いがする。強者と拳と交えたいんじゃねぇのか?」
「その通りだ! 俺の座右の銘は極限だからな!」
「極限……いい根性だぜ。俺も強者と拳を交えたいと思っていたところなんでな」
「ならばその勝負! 受けて立つ!」
「よく言った! ササガワ!」
了平が勝負することを了承すると削板は満面の笑みを浮かべた。
「だがここでは周囲に迷惑がかかる。移動するぞササガワ」
了平と削板は河原へと移動する。
「ここなら誰も巻き込まねぇな」
削板がそう言うと削板の周囲に暴風が吹き荒れる。了平は一切、臆することなくボクシングの構えを取る。
「その構え……ボクシングか!」
「そうだ! ボクシングは俺の誇りだ!」
「いい根性だぜササガワ! 気にいったぜ!」
了平の発言を聞いて再び満面の笑みを浮かべると削板も拳を構える。そして両者共に拳を構えたまま膠着状態が続く。
(隙がない……この男かなりのやり手だな……)
(隙がねぇ……こいつかなりのやり手だな……)
膠着状態の中、了平も削板も同じことを考えていた。
(このままでは拉致がないな……こうなれば!)
(このままでは拉致がねぇな……こうなったら!)
((先手必勝!))
このままでは膠着状態が続くだけで何の意味のないと判断した了平と削板は同時に飛び出した。そして互いに拳を繰り出した。
「「グハッ!?」」
放たれた拳は互いの頬にモロに直撃した。だが了平と削板は笑っていた。
「極限にいい拳だぞ削板……」
「根性の入ったいい拳だぜササガワ……」
拳をモロに喰らっていた了平と笹川はそのまま同時に飛び引いた。
「そんなものではないだろう削板!」
「勿論だぜササガワ!」
そう言うと了平と削板は満面の笑みを浮かべながら再び同時に飛び出して行く。
「
「すごいパァァンチ!」
今度は了平の拳と削板の拳が正面からぶつかり合う。ぶつかり合ったことで暴風が発生し地面と川が抉れ、大気が震える。
「「ぐっ!?」」
そして互いの攻撃の余波によって2人は吹き飛ばされた。
(俺の
(俺のパンチを正面から受け止めやがった……)
了平と削板は信じられないでいた。自分の拳を真正面から受け止めたということが。
「正直、使うつもりはなかったんだがな。だがお前になら使っても問題あるまい」
「何?」
「我流!」
了平は自分のボンゴレギアである晴のバックルから相棒であるカンガルーの
「カ、カンガルー!?」
「我流!
了平がそう言うと我流が光輝くと形態を変化させていく。すると上半身の服は破れ両腕にボクシングのグローブを装着され、足には鎧のような者が装着されていた。この状態になると了平は晴の活性によって身体能力が何倍にも向上するのである。
「もう出し惜しみはせん! お前も全力で来い削板!」
「すげぇ根性だぜササガワ……色々とツッコミたいところはあるが今はどうでもいい! 俺も全力でいかせてもらうぜ!」
「うぉおおおおお!」
削板が叫び声を上げると削板の立っている地面から数メートルに渡ってクレーターができる。了平に触発されたことで削板も本気になったようである。
「極限!!」
「根性!!」
そして常人では捕らえきれない速さで了平と削板は戦い始めた。2人が攻撃する度に攻撃の余波で地面と川が抉れ、大気は震えていく。だが2人は嬉々とした表情を一切崩すことなく拳を振るっていた。
「はぁ……はぁ……」
「はぁ……はぁ……」
殴り合いを始めて20分。その間、一切休むことなく了平と削板は拳を繰り出していた。2人の体はすでにボロボロ。しかし嬉々とした表情は崩れてはいなかった。
「驚いたぜ……ここまでやるとはな……」
「貴様こそ……」
「もっと拳を交えたいとこだが……お互い満身創痍……どうだ? 次の一撃で決めるってのは……?」
「望むところだ……丁度フルチャージになったところだからな……」
「フルチャージ?」
削板は了平の言うフルチャージというのがどういうことなのかわからず疑問符を浮かべる。
「このボンゴレギアは敵の攻撃を喰らえば喰らう程、左腕のバックルに炎が灯り炎エネルギーをチャージする。10個の炎が灯った時、フルチャージとなる。つまり今の俺は最強の一撃を放つことができる!」
「最強の一撃……面白ぇ」
最強の一撃という単語を聞いて削板は武者震いが止まらない状態であった。すると削板は再び拳を構える。
((この1撃に全てを込める!))
もう両者に超高速で動けるだけの余力は残っていなかった。それでも両者共、真っ直ぐ走って行く。
「
「ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリームもっかいハイパーすごいパーンチ!!」
了平の全力の一撃と削板の全力の一撃が真正面からぶつかり合う。
「「おおおおおおおおお!!」」
大地は抉れ、大気は震え、周囲の道路は抉れ、2人の周囲に巨大な竜巻が発生する。竜巻の影響でゴミや砂利、川の水が雨のように降り注ぐ。そして爆発が起こり爆風によって土煙が発生し2人を包んでいく。
「はぁ……はぁ……極限にいい勝負だったぞ……削板……」
「はぁ……はぁ……根性の入ったいい勝負だったぞ……ササガワ……」
2人の攻撃の余波が収まり土煙が晴れると、そこには大の字になっている了平と削板が満足そうな笑みを浮かべながら倒れていた。
「こんないい勝負をしたのは勝負をしたのは沢田以来だ……」
「沢田?」
「俺が戦った相手の中で一番強い男だ」
「へぇ……お前がそこまで言うなんてな。根性のある男なんだろうな」
了平がツナのことを語る。ツナのことを聞いて削板はツナに興味を抱いていた。
「俺はそろそろ行くぜ。楽しかったぜササガワ。機会があったらまた戦おうぜ」
「おう!」
削板が立ち上がると了平も同じく立ち上がると互いに拳を突き出すと両者共に拳と拳を合わせる。そして削板は歩いてその場から去って行く。
「極限に悪くない試合だったな……」
「通報があったのはこの辺りですわ!」
「って! お兄さん!?」
「おっ! 沢田ではないか!」
「またあんたの世界の奴なの!?」
黒子のテレポートでツナと美琴がやって来る。まさか了平がいるとは思ってもいなかった為、ツナは驚きの声を上げ、またツナの世界の仲間の仕業だと知って美琴は驚きの声を上げる。
「あ、あの……まさか……あなたがこれを……?」
「なに。極限に根性のある男と拳を交えただけだ」
「どう拳を交えたらこんなになりますの!?」
「というか何をどうやったらこんなになるのよ……」
拳を交えただけと了平は言うも、周囲はボロボロになっていた。黒子はちょっと手合わせした程度に言う了平にツッコミをいれる。美琴は周囲のあまりの被害を驚きを隠せないでいた。
「しかし……」
「何ですの?」
「俺としたことが戦いに夢中になるあまりボクシング部に勧誘するのを忘れていた! あのパンチは我が部に欲しかったー!」
「知りませんわ!」
(学園都市に来てもやってることは全然変わってねぇ!)
学園都市に来てもなおボクシングのことを忘れない了平を見て相変わらず変わらないことをツナは自覚する。
「まぁいい! お前ら! ボクシング部に入らんか!?」
「何でそうなんのよ!?」
「何を言う! このボクシング都市は世界中からボクサーを集めているというではないか!」
「学園都市よ! 馬鹿じゃないのあんた!」
「それに学園都市は能力者を育成する機関ですわ!」
学園都市の名前と存在意義を間違えている了平に美琴と了平にツッコミをいれる。
「知らん! それよりもボクシング部に入れ!」
「入らないわよ!」
「あなたはボクシングのことしか頭にないんですか!」
「ない!」
どこまでも馬鹿一直線の了平に振り回される美琴と黒子。
こうしてまたメンタルが削られる美琴と黒子であった。
極限男vs根性男。いかがだったでしょうか?引き分けにしましたが削板は強さが未知数なんでですよねー…
次回も色々と出るのでお楽しみに!
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