とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)134 怒涛の日々5

 

 

 

 その後、了平も支部へと送られて行く。ツナたちは街中にある自動販売機にて飲み物を買い飲んでいた。

 

「だ、大丈夫……? 2人共……?」

 

「大丈夫に見えると思う……?」

 

「沢田さん……あなたの世界の方にまともな方はいらっしゃいませんの……?」

 

 ツナは2人を心配する。美琴と黒子の精神は削れまくっており、疲弊しまくっていた。

 その時だった、

 

「学園都市到着記念ですぞ!」

 

「まーねまーね! ピースピース!」

 

 細長い中年のおじさんとヘッドフォンした小さな男と、ロリータファッションに身を纏った女性が、パンク系ファッション赤い髪の青年を胴上げしていた。

 

「何でこんな街の真ん中で胴上げしてんのよ……?」

 

「まぁ別に悪いことしている訳ではありませんし……放っておいて構いませんわね……」

 

(あ、あれは……!?)

 

 自分たちのいる少し先にいる妙な連中を見て怪しんでいた美琴と黒子であったが、特に事件性がある訳でもないので放っておくことにした。だがツナはあの連中に見覚えがあった。

 

「ん? あー! 沢田ちゃんじゃん!」

 

「何!? ボンゴレですと!?」

 

「やっぱりあんたの世界の奴か!」

 

「何でこういつもいつも……」

 

 赤い髪の青年と中年のおじさんがツナの存在に気づいた。またツナの世界の仲間と知って叫び、黒子はうんざりしていた。

 

「どうもどうもー。トマゾファミリーの8代目ボスの内藤ロンシャンでーす。ピースピース」

 

(もうこの時点で……)

 

(変人確定ですわね……)

 

 笑顔でピースしながら躊躇うことなく自分がマフィアのボスだということを公言してる時点でロンシャンが変人であることを美琴と黒子は確信する。

 

「でこのおっさんはマングスタ。ヘッドフォンしてるのはルンガ。それでこっちの女の子パンテーラ。俺のファミリーだけど全員、イカれちゃってるからさ!」

 

「は、はぁ……」

 

「そう……」

 

「ちょっとちょっとー。テンション低くなーい? テンション上げていこうよ!」

 

 ロンシャンは自分のファミリーの自己紹介する。だが精神が削れている黒子と美琴のテンションは低かった。2人のあまりのテンションの低さを見て元気を上げていこうと言うも2人のテンションが上がることはなかった。

 

「いやー久しぶりだね沢田ちゃーん。継承式の時以来だよねー!」

 

「そうだね」

 

「「継承式?」」

 

「沢田ちゃんがボンゴレ10代目になる為の式だよ! まぁ式は敵の襲撃のせいで中止にさせられちゃったんだけど!」

 

「な、何でよ!? あんたボンゴレを継ぐ気はないって言ってたじゃない!」

 

「ああ……それには事情があるっていうか……話せば長くなるんだけど……」

 

 ボンゴレを継ぐ気がないと言っていたのにボンゴレを継ぐ為の継承式にツナが参加したことに美琴は驚きを隠せないでいた。継承式は山本を瀕死の重症に負わせた犯人を誘き寄せる為にツナが9代目に開催してもらったものであり、山本の件がなければツナは継承式を開催してもらうつもりはなかった。

 

「というか何でロンシャンたちがここに?」

 

「ボンゴレから異世界転送装着が送られて来たのですぞ。継承式の招待状といい、全く敵に塩を送るなど何を考えているのやら……」

 

「敵? どういうことですの?」

 

「ボンゴレファミリーとトマゾファミリーはマフィア創成期においてお互いの2代目と殺し合い演じている。つまり我々トマゾとボンゴレは敵対関係にあるのですぞ」

 

「敵対してるんですの!?」

 

 マングスタがボンゴレファミリーとトマゾファミリーの関係について説明する。凄く仲良さそうにしてくるのにまさか敵同士だと知って黒子は驚きの声を上げていた。

 

「ま。そんな細かいことはどうでもいいんだよ! なんせ俺と沢田ちゃんは親友なんだし」

 

「いや! 親友のとか以前に中2の途中から学校サボってたじゃん!」

 

「しょうがないじゃん。彼女とのデートの方が大事だったんだし」

 

(う、嘘でしょ……こんな奴に彼女……!?)

 

(信じられませんわ……)

 

 こんな変人であるロンシャンに彼女がいるということを美琴と黒子は信じられなかった。

 

「あっ! 最近、新しい彼女ができてさー」

 

 ロンシャンはスマホを取り出すと、写真のアプリを開いた。そして画面をツナたちに見せた。そこにはロンシャンと、スーパーのレジのおばさんとの写真のツーショットが写っていた。

 

「どう? どう? 新しい彼女のれみっぴー! 可愛いでしょー!」

 

「そ、そうね……」

 

「ハハハ……」

 

(相変わらず女性の趣味、変わってねぇー!)

 

 まさか彼女がこんなおばさんだとは思ってもみなかった為、美琴と黒子は驚きを隠せないでいた。しかし人の好みを否定することはできない為、2人は苦笑いしながらロンシャンの言葉を肯定した。ツナは相変わらずロンシャンの美的感覚が変わっていないことを改めて自覚した。

 

「他にも歴代の彼女の写真があるよー!」

 

 ロンシャンはさらに画面をスライドさせていく。だがどの写真もお世辞にも綺麗と言える人はおらず、それどころか本当にこの世の人間とは思えない程の人もいた。

 

(全員、同じような人種ばっかり……)

 

(どういう神経していますの……?)

 

 ロンシャンのあまりの美的センスに美琴と黒子はついていくことができなかった。

 

(つーかあいつらは一体何なの……? 何でさっきから一言も喋んないのよ……?)

 

 美琴は出会ってから一言も喋らないパンテーラとルンガが気になっていた。

 

「あーパンテーラは無口でさ。照れ屋なんだ……よっと!」

 

 美琴の考えていることに気づいたロンシャンはパンテーラのことを説明する。するとパンテーラは無言のままロンシャンに風車を投げていく。ロンシャンは紙一重で躱していく。

 

「もう照れ隠しが激しいなー。パンテーラはー」

 

「いや! どう考えても違うでしょ! 気づきなさいよ!」

 

「明らかに殺しにきてますわよ!?」

 

(今だに命狙われてんの!?)

 

 次々で飛んで来る風車を笑いながら躱していくロンシャン。しかし絶対にこれが照れ隠しではなく明らかに殺しにかかっているものだということに美琴と黒子は驚きを隠せないでいた。ツナは相変わらずパンテーラに命を狙われていると知って驚いていた。

 

「仲間じゃないんですの!?」

 

「ななななな何もないよ! こっちの事情に首を突っ込まないで頂こう!」

 

「「何があったのよ! /何があったんですの!」」

 

 体を震わせながらそう言うマングスタに美琴と黒子はツッコミをいれる。

 

「それでルンガは富士の樹海に年に一度しか咲かない花を渡した人にしか心を開かないから」

 

「何でよ!」

 

「意味がわかりませんわ!?」

 

 ロンシャンはパンテーラの風車を躱しながらルンガが話さない理由を説明する。あまりにも特殊な理由だった為、美琴と黒子はツッコミをいれた。

 その時だった、

 

「誰か! ひったくりよ!」

 

「どけーーーー!」

 

 ひったくり犯がナイフを持ちながらツナたちの方へ向かって来た。ひったくり犯と聞いてその場にいた者たち

 緊張が走る。

 が、

 

「まぁまぁ。落ち着いて。ピースピース」

 

「な、何だてめぇは!?」

 

「ちょっ!? あんた何やってんのよ!」

 

 ひったくり犯に向かってロンシャンがピースしながら近づいて行った。ロンシャンの行動にひったくり犯は戸惑い、美琴は驚きを隠せないでいた。

 

「大丈夫だって。俺ん家、内乱がよくあるからさ。これくらい慣れてるから。だから俺に任せとけって」

 

「いや! どんな家ですの!?」

 

(そうだった……ロンシャンの家って内乱がよく起きるんだった……)

 

 笑顔でとんでもない発言をするロンシャンに黒子がツッコミをいれる。ツナはロンシャンの家に遊びに行った時のことを思い出していた。ロンシャンの家の庭でガチの内乱が起きていたことを。

 

「何があったか知らないけどさ。一旦、落ち着こうよ。ほらピースピース」

 

「うるせぇ! そこをどかねぇと刺すぞ!」

 

「俺、マフィアのボスでもう引き返せないところまで来てるんすよ。でも俺と違ってあんたはまだ引き返せるって! 大丈夫だって!」

 

「な、何言ってんだてめぇ! 殺されてぇのか!」

 

 笑顔で説得するロンシャンであるが、ひったくり犯は説得に応じるどころか怒りのボルテージを上げるだけであった。

 

「ロンシャン君。こっち向いてー」

 

「ん?」

 

 ズガァン! 

 

 マングスタが話しかけるとロンシャンはマングスタの方を向いた。するとマングスタはロンシャンの額に向かって銃弾をぶちこんだ。弾丸をぶちこまれたロンシャンは地面に倒れる。

 

「「「ええええええええええ!?」」」

 

 マングスタのまさかの行動に美琴と黒子だけでなく、ひったくり犯までもが驚きの声を上げていた。

 

「な、何やってんのよあんた!?」

 

「何で撃ったんですの!?」

 

「な、何を考えてんだてめぇ!」

 

 マングスタがなぜロンシャンを撃ったのかわからず美琴と黒子、ひったくり犯までもが動揺していた。

 その時だった

 

「「「え……!?」」」

 

 黒子、美琴、ひったくり犯は驚いていた。なぜなら撃たれたはずのロンシャンが甦り、パンツ一丁の状態で体育座りしたのだから。

 

「もうお先真っ暗コゲ……過去も真っ黒コゲ……」

 

 先程までテンションの高かったロンシャンのテンションが急に下がり目から涙が溢れていた。あまりのロンシャンの変わりように美琴、黒子、ひったくり犯は困惑していた。

 

「やっぱり……嘆き弾か……」

 

「「な、嘆き弾……?」」

 

「嘆き弾に撃たれた人は一回死んで、嘆きながら甦るんだ……」

 

「どんな弾よ!」

 

「何で嘆きながら甦るんですの!?」

 

 ツナから嘆き弾の詳細を聞いて美琴と黒子はツッコミをいれる。

 

「気づいてるよ……俺ってばみんなから嫌われてるって……テンションがうざいとかコソコソ言われてるし……でもこんな俺にも親友はいてさ……何でも話せる最高の理解者だった……でも3年前にそんなポチも散歩中に他界……」

 

「い、犬……」

 

「何もしてないのに……罪悪感を感じますわ……」

 

 ロンシャンの話を聞いて美琴と黒子は複雑な気持ちになってしまっていた。

 

「な、なんか……お前の話を聞いたら……自分が幸福な人間だって気づいたわ……自首するわ……」

 

「「ええええええええ!?」」

 

 ロンシャンの話を聞いてひったくり犯は自首することを決めた。まさかひったくり犯が自首するとは思ってもみなかった為、美琴と黒子は驚きを隠せないでいた。ロンシャンの活躍によってひったくり事件は無事解決した。

 

「じゃあ。いつものいきますか」

 

 マングスタがそう言うとマングスタ、ルンガ、パンテーラはロンシャンを胴上げし始める。

 

「ひったくり犯検挙記念ですぞ!」

 

「ピースピース」

 

「何でいちいち胴上げすんのよ!」

 

「その前に服を着て下さいの!」

 

 こうしてまた美琴と黒子のメンタルが削れるのであった。

 

 

 

 

 




なんと今回は内藤ロンシャンの登場でした!あれ?誰それ?と思う人がいると思いますがロンシャンはアニメには出ておらず、原作にしか出てこないキャラです。しかもまともに出てるのが6巻だけです。後は11巻のおまけ漫画と継承式篇でほんの少し出てるだけです。知らない人は原作を読んで下さい。


高評価を下さいベリアル・カルアデスさん。ありがとうございます!



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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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