とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

139 / 300
標的(ターゲット)139 感動の再会

 

 

 

「ど、どうして沢田さんが絆理ちゃんのことを……!?」

 

「え、えっと……」

 

 ツナは迷ってしまっていた。絆理が人体実験の被害者となったことを言うべきかどうかを。

 

「もしかして絆理ちゃんがどこにいるか知っているんですかなの……!?」

 

「し、知ってるけど……」

 

 春上はツナが絆理の居場所を知っているかもしれないと思ったのか、ツナに絆理の居場所を尋ねた。ツナは口ごもりながらも正直に答えた。

 

「お、教えてくれませんかなの!? 絆理ちゃんは途中で別の施設に移っちゃって、それからずっと会えていないんです!」

 

(本気だ……衿衣は本気で絆理に会いたいたいんだ……)

 

 大人しい春上がここまで必死な様子を見せたのを見てツナは春上は本気で絆理に会いたいのだということを理解する。

 

「いいよ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ただ1つだけ聞いて欲しいことがあるんだ」

 

「聞いて欲しいこと?」

 

「うん。衿衣にとっては辛い話になるよ」

 

 そう言うとツナは絆理のことを話す。木原幻生というマッドサイエンスティストが行った人体実験のせいで昏睡状態になったことを。

 

「ば、絆理ちゃんが……」

 

「うん。でも今は昏睡状態から目を覚まして、第7学区の病院で治療を受けて元気にしてるよ。それにもうすぐ退院できるから」

 

「よ、よかった……」

 

 友達(絆理)が昏睡状態となったと聞いてショックを受ける春上であった。しかし今は元気にしてると知って安堵した。

 

「じゃあ会い行こっか」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナは絆理たちが入院している病院へ春上を案内する。

 

「あっ! ツナお兄ちゃんだ!」

 

「本当だ!」

 

「ツナお兄ちゃーん!」

 

 ツナは絆理たちのいる病室の扉を開ける。ツナがやって来たのを見て、絆理たちは嬉しかったのか表情(かお)をパァっと明るくしていた。

 

「どうしたんだい? 今日もお見舞いかい?」

 

 そして病室には絆理たちの担任だった木山もいた。

 

「今日は絆理に会わせたい人がいて連れて来たんです」

 

「え? 私?」

 

「うん。入って来ていいよ」

 

 ツナの言葉を聞いて絆理は疑問符を浮かべていた。ツナが廊下に待機させている春上に向かってそう言った。すると絆理と再会に緊張しているのか、春上がおそるおそる入って来た。

 

「え……!? 衿衣ちゃん……!?」

 

 絆理は春上がここにいることに驚きを隠せないでいた。

 

「な、何でツナお兄ちゃんが衿衣ちゃんと……!?」

 

「さっき出会ったんだ。それでペンダントを落としたっていうから一緒に探したんだ。それでペンダントは見つかったんだけど、その中に絆理の写真があったんだ」

 

 この場にいる誰にも話したことのない自分と春上の関係をツナが知り、連れて来たということに。ツナは絆理の疑問に答えた。

 

「ば、絆理ちゃん……ようやく会えたなの……私……あれからずっと……ずっと……」

 

「衿衣ちゃん……」

 

 春上はボロボロと涙を流し、声を震わせながら自分の気持ちを話す。春上の言葉を聞いて絆理も同じく涙を流し声を震わせていた。

 

「絆理ちゃん!」

 

「衿衣ちゃん!」

 

 春上はベッドにいる絆理の元へと駆け寄る。そしてベッドにいる絆理に抱きついた。2人共、ここが病院だということも忘れて泣きじゃくっていた。他の生徒たちも2人の感動の再会に涙していた。

 

「若いというものは……いいものだな……」

 

(木山さんめちゃくちゃ泣いてるよ!)

 

 その中でも一番、泣いていたのはなぜか木山だった。一番泣いてる木山を見てツナは驚いていた。おそらくずっと昏睡状態になっていた絆理たちが目を覚ました時のことを思い出したのだろう。

 

(俺は帰った方がいいかな……)

 

 感動の再会をこれ以上、邪魔してはいけないと思い黙ったまま病室を出ることを決める。

 

「ツナお兄ちゃん」

 

「沢田さん」

 

 黙って出て行こうとした矢先、絆理と春上はツナを呼び止めた。呼び止められたツナは2人の方を向いた。

 

「絆理ちゃんと再会させてくれて……」

 

「衿衣ちゃんと再会させてくれて……」

 

「「ありがとうなの/ありがとう」」

 

 2人は再会するきっかけを作ってくれたツナにお礼を言った。ツナは気にしないでいいと言おうと思ったが、何も言わず笑顔で2人のことを見守った後、病室の扉を開けて出て行く。

 

「ふぅ……まさかこんなことになるなんて思ってなかったな……」

 

 ツナは廊下の天井を見ながら呟いた。まさかこんなドラマみたいな展開が起き、自分がそのきっかけを作ることになるとは思っていなかった。その為、少しだけツナは疲れていた。

 

「再会か……」

 

 絆理と春上が再会した姿を見て、ツナは今日帰って来る家光のことが脳裏に浮かんでいた。家光と最後に直接、会ったのは虹の代理戦争の時。それから家光とは1度も会っていない。

 

「って……感動も何もないか……」

 

 絆理と春上は感動の再会に涙していたが。しかしツナは家光と再会したところであの2人のように涙が出ることはない。ツナは家光のことが嫌いな訳ではないが苦手意識がある為、むしろ家光と会うのはどちらかと嫌な方である。

 

「父さん佐天に変なことを言わなきゃいいけど……」

 

 家光が佐天を困らせるのではないかと心配するツナであったが、風紀委員(ジャッジメント)の仕事が終わるまではどうすることもできないので諦めて、パトロールに戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ツナの世界。

 

「やっと着いたな」

 

 空港にプライベートジェットが止まり、そこからオレンジのツナギを身に纏い、黄色いヘルメットを被った金髪の男が降りて来た。この男こそツナの父親でありボンゴレ門外顧問CHDEFのボス、沢田家光である。

 

「久しぶりに愛する奈々の手料理がが食えるぜ。待ってろよ奈々~」

 

 緩みまくった表情(かお)でそう言うと家光は沢田家へと向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 




次回は家光の登場です!


感想、評価、アイディア募集で何かありましたら、遠慮なくどうぞ!

感想→https://syosetu.org/?mode=review&nid=237187&volume=

評価→https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=237187&volume=1

Twitter→https://twitter.com/husuikaduti

アイデア募集→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=247248&uid=88671

ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。