空を飛んでから常盤台中学へと向かうツナ。
「あそこか」
ツナの視界に常盤台中学が映ると、降下して入り口の前に降りた。
「ここが常盤台中学か」
「待ってましたわよ」
上空から降りると
「黒子! 佐天の様子はどうなの!?」
「落ち着いて下さいの。気絶させられてるだけで、他に外傷はありませんの。直に目を覚ましますわ」
「よかったぁ……」
ツナは黒子と会ってすぐに、慌てて佐天の容態を尋ねた。そして佐天に大きな怪我がないと知ってツナは安堵した。
「それにしても捜査の為とは言え、女子校に来るとは……正直、驚きですわ」
「ごめん……佐天のことが心配で……」
「謝る必要はないですの。それに正直、あなたの力を借りたいと思っていたところですの。少々、厄介な状況なのですの」
「厄介な状況?」
「詳しいことは中で話しますの」
黒子に案内されて学舎の園の中へとはいるツナ。
「え……!?」
入った瞬間、ツナは衝撃のあまり固まってしまっていた。なぜならそこには外とほとんど変わらない街並みが広がっていたのだから。
「ここって……学校だよね……?」
「何、当たり前のことを言っていますの」
「いや! だって店もあるし! 信号もあるし! もう学校ていうかもう街じゃん!」
「そんなことで驚いていたらキリがありませんの。さっさと行きますの」
佐天たちのいる場所へと向かう二人。しかし向かっていく途中、女子たちがツナの姿を見ながらコソコソと話していた。男子禁制のはずの女子校に男のツナがいるのだから当然の反応ではあるのだが。
「な、なんか落ち着かないな……」
「別にやましい目的があって来てるわけじゃないのですから、堂々としてればいいんですの」
「それはわかってるんだけど……こう女子ばっかりだとさ……それにみんな可愛い子ばっかりだし……」
「お願いですから、その言葉を佐天さんの前で絶対に言わないで下さいの」
「え? 何で?」
「何でもですの」
「?」
黒子の言っている意味がわからずツナは疑問符を浮かべた。
そして佐天たちのいる風紀委員室に着く。
「あっ! ツナさん!」
「来たわね」
教室に入るとパソコンにて作業している初春と、両腕を組んで立っている美琴がいた。
「佐天……」
ツナは額に冷たいタオルを乗せ、ソファーで横になって静かに眠っている佐天の近くに移動する。
「よかった……」
黒子から無事なのは聞いてはいたものの佐天のことが心配で心配でしょうがなかったツナは、眠っている佐天の姿を見て今度こそ安堵した。
「それで厄介な状況って言ってたけど。どういうことなの?」
「犯人の姿が見えないんです」
「姿が見えない?」
「はい。学園都市に姿を完全に消せる能力者は47人いるんですけど、その全員にアリバイがあって。それに監視カメラの映像には犯人の姿は映っているのに、被害に遭った生徒は犯人の姿を見ていないんです」
「え? 何で? 監視カメラには映ってるんでしょ?」
「それがわからないから厄介なのですの」
初春の話を聞いてツナは一体、犯人がどんな能力を使うのか考え始める。
「もしかして……幻覚?」
「「「幻覚?」」」
「うん。監視カメラに映ってる映像は犯人の作った幻覚によって作られた偽物。その偽物の映像が流れている間に犯人が自分と標的の姿を監視カメラに映らないようにして標的をスタンガンで気絶させたとか」
「それは無理ね」
ツナは監視カメラの映像は幻覚で作った偽物だと推測するが、美琴はツナの推測を否定する。
「幻覚で人を騙すことはできても、機械まで騙すことなんてできるわけがないわ」
「え? そうなの? でも俺の世界にいた奴はそれぐらいは普通にやってたんだけどなー……」
「はぁ!? マジで言ってんの!?」
「うん。中には幻覚から実体を作る奴とかもいたし」
ツナの脳裏にはツナの守護者であるクローム髑髏、黒曜中の骸とフラン、ボンゴレが誇る最強の暗殺部隊ヴァリアーの霧の守護者マーモン、ミルフィオーレファミリーの幻騎士とトリカブト、ボンゴレファミリー初代霧の守護者である
「幻覚から実体を作るなんて……」
「
「沢田さんの世界ってどうなってるんでしょう……」
幻覚から実体を作ると聞いて、黒子、初春、美琴は衝撃を受けてしまっていた。
「ですが幻覚というのはいい線かもしれませんわね。犯人は幻覚で自分の姿を消して標的を強襲。通常、幻覚は監視カメラに映りますが、被害者に見えない。辻褄は合いますわ。初春」
「はい」
黒子は幻覚を使う能力者を調べるように初春に促した。初春はパソコンで幻覚を使う能力者とそのアリバイを調べ始める。
「ダメです。能力者全員にアリバイがあります」
「そっかー……いい線だと思ったんだけどなー……幻覚なら犯人に
「気づかれない……?」
幻覚の能力者という線は無くなり、ツナは少しだけがっかりしてしまっていた。だが美琴はツナの言葉が引っ掛かりを覚える。
「初春さん。ちょっと調べて欲しいんだけど」
美琴はツナの言葉から何かヒントを得たのか、初春にあることを調べて欲しいと頼んだ。
「ありました。能力名は
パソコンの画面に茶髪の団子頭の小柄な少女が写し出される。
「そいつですわ!」
「でもこの人、レベル2です。自分の存在を完全に消せる程の力ではないと実験データにあります」
「じゃあ一体、誰が……?」
幻覚を使う能力者の線も絶たれ、この重福省帆という少女の可能性も低いとなり、増々誰が犯人かわからなくなってしまいツナたちは頭を悩ませる。
「こうなったら誰かが囮になって、現れたところをみんなで捕えるしかないんじゃない?」
「しかし犯人がどこに現れるかもわかりませんし……上手く囮に引っ掛っかってくれるかどうか……」
「でも能力はあくまで認識を阻害するものだから、音とか聞こえるはずだよね。人気のない所に誘き寄せられれば音も聞こえやすくなるし、それならなんとか対処できるんじゃないかな?」
「沢田の言う通りよ。このままここでわからない犯人を捜すよりもいいと思うわ」
「そうですわね……こうして犯人を捜していも被害が増えるだけ……動くしかありませんわね……」
ツナの作戦にあまりに乗り気ではない黒子であったが、ここでこのまま何もしないよりはマシだと思い、黒子はツナの作戦を実行することに決める。
その時だった
「う、う~ん……?」
「あっ!」
ここで気絶していた佐天が目を覚ました。ツナは佐天が目覚めたことに気づき、佐天の側に移動する。
「ツナさん……? 何でここに……?」
「佐天が襲われたって聞いたから心配で来たんだよ。無事でよかっ……た?」
「ツナさん?」
佐天が目覚めて安堵するツナであったが、ツナは佐天の顔を見たまま固まってしまっていた。急にツナの様子がおかしくなった為、佐天は疑問符を浮かべる。
「ま、眉毛が……」
「眉毛?」
「「「ブブッ!」」」
ツナは佐天の眉毛の変化に気づく。佐天はツナの言っている意味がわからず疑問符を浮かべる。美琴たちは佐天の顔を見た瞬間、背を向け、口元を押さえながら必死に笑いを堪えるも、堪え切れてはいなかった。
「ななななななな!? 何で私の眉毛がこんなことになってるのー!?」
美琴が手鏡を渡すと、佐天は驚きの声を上げる。なぜなら鏡にはもの凄く太い眉毛になっている自分の姿が映っていたからである。どうやら犯人が黒いペンで書いたものらしい。
「ちょっとみんな笑いすぎだよ」
3人が笑いを堪え切れず笑っている中、ツナは一切、笑うことなくに3人を注意する。そして先程まで佐天の額に乗せてあった濡れタオルを手に取る。
「スタンガンで気絶させた上に、女の子の顔に落書きするなんて酷いよ。今、拭いて上げるね佐天」
ツナは濡れタオルを手に取ると佐天の顔に自分の顔を近付けると、ペンで書かれた眉毛を濡れタオルでゴシゴシと擦る。
「う~ん。取れないな」
(ツ、ツナさんの顔が……!? ///)
「「「……」」」
目と鼻の先に
「顔が赤いよ佐天……もしかして風邪……?」
「っ!?」
「「「なっ!?」」」
ツナは濡れタオルを手放すと、自分の右手を佐天の額に当て、左手を自分の額に当てる。ただでさえ自分の目の前にツナの顔がある上に、さらにツナの手が額に触れた為、佐天の顔は真っ赤になってしまっていた。この光景に美琴たちは驚きの声を上げる。
(ダ、ダメ……!! これ以上はもう……!!)
顔を真っ赤にしながら耐えていた佐天であったが、これ以上は耐えられず、頭から煙を出しながら気絶してしまった。
「佐天!?」
佐天が気絶したのを見てツナはあたふたしてしまう。
「どどどどどどうしよう!? 佐天が急に!? 早く救急車を呼ばないと!」
(((鈍感すぎる……)))
佐天がなぜ気絶したのかわからず慌ててしまっているツナを、呆れ果てた目で見る美琴たちであった。
思ったよりも長くなった…
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