とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)140 父親

 

 時刻は昼になる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 いつものように修行していた佐天は肩で息をしていた。現在、リボーンが考案した修行の1つを行っていた。修行内容は(ハイパー)死ぬ気モードの状態で

 手首と足首に重りをつけた状態で死ぬ気の炎を使わずに崖を登るというものだった。(ハイパー)死ぬ気モードの負荷に耐えられる体を作りつつ、常に(ハイパー)死ぬ気モードの負荷のかかった状態で修行をすることで(ハイパー)死ぬ気モードの負荷に慣れるようにするのがこの修行の目的である。

 

「よし。午前の部はこれで終わりだぞ」

 

「ふぅ……」

 

 リボーンがそう言うと佐天の額の炎が消え、黄色くなった瞳が元の黒に戻り、X(イクス)グローブが310と書かれた手袋へと戻っていき(ハイパー)死ぬ気モードの状態を解いた。

 

「だいぶ慣れてきたみてぇだな」

 

「うん……」

 

 シェンツとの戦いを終えてから修行はさらに過酷なものになっていった。修行内容は主にリボーンの考案した修行、様々な人とのスパークリング、そしてリボーン以外の人物からの修行も受けている。だが佐天は弱音も泣き言も吐かず修行に取り組んでいた。

 

「もう家光は帰ってるだろうし、今日はツナん家で昼飯だな。挨拶しといた方がいいだろうしな」

 

「うん」

 

「それにツナの妻になる女だって紹介しとかねぇといけねぇしな」

 

「それはいいよ!!」

 

 ニヤニヤしながらそう言うリボーンに佐天は顔を真っ赤にしながら否定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沢田家

 

「多っ!?」

 

 ツナの家に戻ると庭に大量のツナギが物干し竿に干されていた。大量に干されているツナギを見た佐天は驚きの声を上げた。

 

「お? 帰ったか」

 

「ちゃおっす。家光」

 

(この人がツナさんのお父さん……)

 

 庭の扉から缶ビールを片手に家光が挨拶してくる。リボーンは軽く挨拶し、佐天はツナの記憶で家光のことを知っていたがこの人がツナの父親だとは思っていたなかった為、少しだけ驚いていた。

 

「君が異世界から来たっていう……涙子ちゃんでよかったかな?」

 

「は、はい! 佐天涙子です! いつもバジルさんにはお世話になってます!」

 

「おう。俺は沢田家光だ。よろしくな」

 

 家光は9代目から佐天のことを聞いていたのか佐天のことを知っていた。前にバジルは家光の部下だと聞いていた為、自己紹介すると共に自分の修行にバジルを付き合わせてもらっていることに関してお礼を言った。自己紹介を終えると佐天とリボーンはとりあえず家の中に入る。

 

「ママンはどうした?」

 

「奈々なら買い物に行ったぞ。俺が冷蔵庫の食料を全部、食っちまったからな。悪ぃな涙子ちゃん」

 

「い、いえ! 気にしないで下さい!」

 

 昼ご飯を食べる為に戻って来たのに自分が全部、食べてしまったことを謝る。佐天はまだ緊張しているのか挙動不審になっていた。

 

「せっかくだ。ママンが帰って来るまで話してたらどうだ? お前はいずれツナの妻になる女なんだ。家光と良好な関係を築いておくのも悪くねぇだろ」

 

「リ、リボーン君!!」

 

「ほう。涙子ちゃんがツナにねぇ……」

 

 リボーンの言葉を聞いて佐天は顔を真っ赤にし、家光は佐天がツナに好意を抱いていると知ってニヤニヤしていた。

 

「けどツナの奴。佐天の気持ちに全然、気づいてねぇんだ」

 

「かー! 我が子ながら情けねぇな。こんな可愛い子に好かれてるってのに……全く誰に似たんだか……」

 

 リボーンからツナと佐天の進展から聞いて、自分の息子の鈍感さに幻滅してしまっていた。

 

「安心しな涙子ちゃん。俺は涙子ちゃんにならツナを任せてもいいと思ってる。あんな息子だけどよろしく頼むよ」

 

「い、いや!! 私とツナさんはまだ付き合ってませんから!!」

 

「まだってことは結婚願望がない訳じゃないってことか」

 

「え……!? そ、そりゃ……ないって言ったら嘘になりませんけど……!?」

 

 家光の言葉を聞いて、佐天は顔を真っ赤にしながらツナと自分が結婚した姿を想像していた。

 

「んじゃ俺はこの辺りで失礼するぞ」

 

 そう言うとリボーンは佐天と家光が2人で話せる環境を作る為にリビングから出て行った。

 

「そういや涙子ちゃんは何歳なんだい?」

 

「12歳です。中学1年です」

 

「中学生かー。算数だっけ? あれ笑っちゃうよなー」

 

(何で笑うの!? というか中学校は算数じゃなくて数学なんですけど!)

 

「後、生活だっけ? あれは大変だよなー」

 

(生活って……)

 

 小学校低学年までしか言わない生活と聞いて、佐天は驚くと同時に少し懐かしさを感じていた。そして家光が変わった人であるということを理解する。

 

「あ、あの……聞きたいことがあるんですけど……」

 

「ん?」

 

「奈々さんとは……その……どういう出会いだったんですか?」

 

 佐天は気になっていたことを尋ねた。それと今後の参考も兼ねて。

 

「奈々との出会いは喫茶店でなー。奈々はデパートの喫茶店で働いてんだ。奈々はまさしく天使でな。一目惚れしちゃったんだよなー」

 

「そ、そうなんですか……」

 

 緩みまくった表情(かお)をしながら家光は奈々との出会いを語る。あまりにもだらしない表情(かお)をしている家光を見て佐天は若干、引いてしまっていた。

 

「それから俺は奈々のいる喫茶店に毎日通った。奈々に会う為だけにな。それくらい奈々は輝いて見えたんだ」

 

「……」

 

 家光は少しだけ口元を緩ませ、天井を見つめながらそう呟いた。佐天は家光の話を聞いて家光が奈々のことを心の底から愛しているのだということを理解する。

 

「俺は勇気を出してプロポーズした。フラれちまったけどな」

 

「ええ!?」

 

 現在、夫婦になっているのにも関わらず、プロポーズした時にフラれてしまったと知って佐天は驚きの声を上げる。

 

「けどその後、雨に濡れる俺の姿を見て奈々はかっこよく見えたらしくってな。奈々は雨に濡れてる俺に傘をさしてくれてな。そして俺のプロポーズをOKしてくれたんだ」

 

「わぁ!」

 

 家光と奈々のなり初めを聞いて佐天は他人の話であるのにも関わらず、キュンとしていた。

 

「俺ももっと奈々と一緒にいたんだが、門外顧問の仕事は忙しい上に俺を怨んでる連中はたくさんいる。だから中々、帰れなくってなー」

 

「やっぱり奈々さんは知らないんですか?」

 

「まぁな。奈々を巻き込む訳にはいかないからな。だから奈々には俺のことは黙っておいて欲しいんだ」

 

「わかりました」

 

 言われなくてもわかっていたことであるが、佐天は家光のお願いを了承した。

 

「そういや涙子ちゃんは修行してるんだったよな?」

 

「はい。そうですけど……」

 

「だったら今日は俺が涙子ちゃんの相手をしてあげよう」

 

「へっ……!?」

 

 

 

 

 




ようやく新約とある魔術を全部、読みました。いやー去年の11月に一気買いしてようやくここまで…後は創約だけだ


高評価を下さった雷公さん、桜木メイさん。ありがとうございました!

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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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