春上の引っ越しが終わってから2日後。8月10日。第7学区の病院前。
「退院おめでとう」
「退院おめでとうなの絆理ちゃん」
「ありがとう。ツナお兄ちゃん。衿衣ちゃん」
ツナと春上が絆理にそう言った。ついに絆理たちが退院することとなったのである。退院を祝ってくれた2人に絆理はお礼を言う。
「これからずっと一緒だね衿衣ちゃん」
「うん。嬉しいの」
退院できることはわかっていたことではあるが本当にこれから一緒にいられるということが嬉しかった。絆理は春上が自分の為に引っ越し、これから一緒に暮らしていくことは話してある為、そのことは知っている。
「2人に見せたいものがあるんだけどいいかな? 色々と話したいことがあるとは思うんだけど」
「「見せたいもの?」」
見せたいものと聞いて絆理と春上は疑問符を浮かべた。ツナはポケットの中から折り畳まれた紙を取り出すと、紙を広げて2人の方を見せた。その紙には花火大会が開催されることが書かれていた。
「花火大会……?」
「なの……?」
「うん。昨日、見つけたんだ。今日の夜に第7学区で開催されるんだ。退院記念にどうかと思ってさ」
「花火大会! 私、行きたい!」
「私も行きたいです」
ツナから花火大会の詳細を聞いて絆理と春上は行くことを決意する。ツナは2人の返事を聞くと持っていた紙を絆理に渡す。紙には開催場所と時間が書いてある為、ツナは紙を渡したのである。
「それと友達を呼びたいんだけどいいかな?」
「もしかして初春さんたちですか?」
「うん。そうだよ」
「私は大丈夫です。絆理ちゃんは?」
「私も大丈夫です!」
ツナが美琴たちを誘っていいかどうか確認すると春上と絆理は了承した。2人の返事を聞いてツナは美琴たちに連絡する。そして全員OKの返事が返ってきた。
そして時刻は一気に過ぎ夜。花火大会の開催場所。
「さ、沢田さーん!」
「初春!」
ツナが集合場所で待っていると緑色の浴衣姿の初春が息を切らしながらやって来た。そんな初春を見てツナは大きく手を振った。
「どうしたの? そんなに息を切らして?」
「浴衣を着るのに手間取ってしまいまして……帯が体に絡まってしまって動けなくなってしまって……」
「だ、大丈夫だったの……?」
「はい……隣の部屋の人が異変に気づいてくれて……浴衣を着るのを手伝ってくれたので……」
「た、大変だったんだね……」
「はい……それで他の皆さんは?」
「まだ来てないよ」
「そうですか……よかったです……」
浴衣を着るのに苦戦した為、他の人たちを待たせてしまったのではないかと思った初春であったがそうではなかった為、安堵していた。
「着いた!」
「お待たせしましたの」
初春が来た直後、テレポートで黄色の浴衣を着た美琴と紫色の浴衣を着た黒子がやって来た。
「ごめん。寮監の目を掻い潜るのに苦戦しちゃってさ」
「え? 何でそんなことをする必要があるの?」
「ウチの寮監は祭りの時ですら外出を禁止してるのよ」
「え!? そうなの!?」
美琴たちの寮の事情を聞いてツナは驚くと同時に、まさかそういうルールがあったとは知らなかった為、申し訳ない気持ちになってしまっていた。
「なんかごめん……そうとも知らずに誘っちゃって……」
「構いませんわ。ちゃんとバレないように細工はしましし、私たちもこういうイベントには参加したいので」
「本当……夏祭りの時でも外出を禁止にしてるのってウチの寮ぐらいのもんよねぇ」
(こ、根性あるなー……)
あの寮監が恐ろしいことはツナも充分に理解している。にも関わらず花火大会に来ようとする黒子と美琴の度胸にツナは驚いていた。
「ツナお兄ちゃーん!」
「あっ! 絆理! 衿衣!」
絆理の声が聞こえるとツナは声のする方を向いた。そこには水色の浴衣を着た絆理とピンク色の浴衣を着た春上がやって来る。
「初めまして! 枝先絆理です!」
「は、春上衿衣です!」
「初春飾利です」
「白井黒子ですわ」
「御坂美琴よ」
互いに自己紹介する5人。絆理は美琴たちとは初対面であった為、自己紹介した。春上は美琴とは初対面だった為、自己紹介した。
「あ、あの!! 沢田さん……!?」
「何? 衿衣?」
「ど、どうですかなの……!?」
「どうって?」
「こ、この浴衣です……!? へ、変じゃないですかなの……!?」
春上は顔を赤くしモジモジしながら、ツナに自分の浴衣姿の感想を尋ねた。
「変じゃないよ。とっても似合ってるよ」
「あ、ありがとうございますなの……!!」
「ね、ねぇ……あれってまさか……」
「そのまさかです……」
ツナがそう言うと春上は顔を赤くしながら嬉しそうな
「衿衣ちゃん私が知らない間に。隅に置けないなー!」
「ち、違うの!! そうじゃないなの!!」
春上の気持ちを知って絆理はニヤニヤしながら肘でツンツンしながらそう言った。春上は顔を真っ赤にしながら慌てて誤魔化した。
「佐天さんも来られたらよかったんですけどね」
「佐天?」
「私のクラスメートです。今は沢田さんの知り合いの所で修行してていないんです」
「せっかくの夏休みなのに……」
「凄いなの……」
初春が佐天のことを説明する。夏休みなのにも関わらず遊ばずに一生懸命、修行に打ち込んでいる佐天に絆理と春上は感心していた。
(そういえば明日は並盛の夏祭りだっけ……せっかくだし佐天も連れて行こうかな……)
ツナは
「あっ!」
「始まりましたわね」
「綺麗なの……」
「これぞ日本の夏って感じですね」
「そうね」
ついに花火が打ち上がる。打ち上がった花火を見て、絆理、黒子、春上、初春、美琴は感動していた。
(あっ! そうだ!)
少しするとツナはあることを思いつく。ツナはポケットの中から27と書かれた手袋を装着する。
「沢田さん?」
「何で手袋してるのツナお兄ちゃん?」
いくら夜とはいえ真夏であるのにも関わらずツナが手袋を装着する意味がわからず春上と絆理は疑問符を浮かべていた。するとツナが目を閉じると額にオレンジ色の炎が灯り、手袋がボンゴレギアへと変貌する。
「も、燃えてるなの!?」
「は、早く! 水を持って来ないと!」
「大丈夫だ衿衣、絆理。問題ない」
「ほ、本当なの……」
「全然、燃えてない……」
額が燃えているのにも関わらず体が全然、燃えていないツナを見て本当に大丈夫だということを絆理と春上は理解する。
「きゅ、急にどうしたというんですの……?」
「ちょっと思いついたことがあってな」
いきなり
「俺に掴まってくれ絆理」
「え? 何するの?」
「説明は後だ。とにかく俺に掴まってくれ」
「う、うん……」
ツナが何をするのかわからなかったが絆理は戸惑いながらもツナの言葉を信じることにする。ツナは絆理をお姫様抱っこするとそのまま炎を逆噴射させて上空へと上がって行く。
「と、飛んでる!?」
自分が地面から遠ざかっていくのを見て絆理は驚きの声を上げる。
「前を見てくれ絆理」
「あ……」
地面を見ていた絆理にツナがそう言うと絆理は感動のあまり固まってしまっていた。なぜなら打ち上がった花火と同じ高さの位置に自分がいるのだから。
「退院記念と思ってな。どうだ? こんな高さで花火を見た感想は?」
「うん! すっごく最高!」
絆理は凄く喜んでいた。並盛ではこんなことはできないが、超能力を開発する学園都市だからこそできることである。
「ありがとうツナお兄ちゃん」
「え?」
「昏睡状態になった私たちを助けてくれて、衿衣ちゃんと再会させてくれて、こんな楽しい思いをさせてくれて。私とっても幸せだよ」
「そうか」
絆理はとびっきりの笑顔を浮かべながらそう答えた。そんな絆理を見てツナは少しだけ微笑んでいた。
この花火大会は絆理にとって忘れられない大切な思い出となったのであった。
「あ、あの衿衣……何で怒ってるの……?」
「怒ってませんなの……」
(((相変わらずの鈍感……)))
(ツナお兄ちゃんって鈍感……)
絆理をお姫様抱っこしたことに嫉妬したのか春上は可愛らしく顔を膨らませそっぽを向いてしまっていた。ツナはなぜ春上が怒っているのかわからず困惑していた。あまりに鈍感なツナを見て美琴、黒子、初春、絆理はジト目で見ていたのだった。
次回は並盛での夏祭りの話をやります!そしてそれが終わった後、
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