花火大会の次の日。8月11日。並盛山。
「夏祭り?」
「そうだぞ。つってもなんてこともねぇ普通の夏祭りだけどな」
今日もまた佐天は修行に勤しんでいた。そしてリボーンから今日、並盛にて夏祭りがあることを聞いていた。リボーンはあらかじめ並盛の夏祭りが特別なものではないかと伝えておいた。
「悪い話じゃねぇはずだろ。なんせツナとお祭りデートできるんだからな」
「なっ!?」
リボーンがニヤニヤしながらそう言うと、佐天は顔を赤くしながら動揺する。
「ま。どうせ他の奴らも来る上にツナがお前の気持ちに気づいてねぇ以上、2人っきりになるのは絶望的だろうな」
「そ、それは……」
リボーンは夏祭りにて2人っきりになれる可能性は低いと示唆する。佐天はリボーンの言葉に反論できずにシュンとしてしまっていた。
「1つだけ2人きりになれる秘策があるぞ」
「え!?」
そして時間は一気に過ぎて夜。夏祭りが開催される並盛神社。
「佐天。焼きそば3つお願い」
「は、はい!」
ツナと佐天は夏祭りに参加しているのかと思いきやなんと、屋台にて2人で販売していた。
時は遡り再び並盛山。
「お前とツナが2人っきりになる方法。それは屋台で焼きそばを売ることだ」
「は……?」
リボーンはツナと佐天が2人っきりで夏祭りを楽しめる秘策を佐天に授ける。佐天はリボーンの秘策を聞いて意味がわからずポカンとしていた。
「ごめん……意味がわからないんだけど……」
「よく考えろ。普通に夏祭りに参加したんじゃ邪魔が入る。だが屋台ならどうだ? 誰かが買いに来ることはあっても屋台の中まで入って来れねぇ。つまり誰にも邪魔されることはねぇ2人だけの空間が出来上がる」
「た、確かにそれなら2人っきりになれるけど……屋台を出すのって色々、手続きとかいるんじゃない?」
「そっちの方は俺に任せとけ。生徒が困ってるのを助けんのは
「今、面白いって言いかけたよね!? 楽しんでるよね!?」
佐天はリボーンが面白いと言いかけていたのを聞き逃すことはなかった。
「ツナは料理ができる女が好みだ。お前の女子力をアピールするチャンスだぞ」
「アピール……」
そして現在に至る。
「ツナさん慣れてますよね。もしかして屋台で働いたこととかあるんですか?」
「うん。まぁね」
佐天はツナが接客に慣れている為、過去に屋台で働いたことがあるのではないかと予想した。佐天の予想は正しく、ツナは借金を返済する為に屋台でチョコバナナを獄寺と山本と一緒に販売したことがある。
「にしてもまた屋台で働かせるなんて……リボーンの奴、何を考えてんだよ……」
「さ、さぁ……な、何でしょうねぇ……?」
リボーンに脅迫された為、屋台で働くことになったツナであるが以前と違って今回は借金をしていない。にも関わらずリボーンが屋台で働かせる理由がわからないでいた。自分とツナの距離を縮める為とは言えない為、佐天は視線を反らしながらそう答えた。
「ごめんね佐天。修行で疲れてるのにリボーンがこんな無茶、言い出して」
「き、気にしないで下さい! 結構、楽しいですし! それにこういう体験って中々できないですから!」
「ならいいんだけどさ……」
ツナはリボーンが勝手にこんなことを決定したの為、佐天に謝罪した。むしろこうなったしまった原因は自分にある為、申し訳ない気持ちになっていた。しかし誰にも邪魔されずツナと一緒にいられる為、嬉しい気持ちもあった。屋台で販売することに関しては本当に楽しんでいる為、嘘ではない。
「でもやっぱり佐天の作る料理は凄いね。次々、売れていくよ」
「そ、そんな! 大したことないですよ!」
ツナの言葉を聞いて佐天は謙遜する。実際に佐天の作る焼きそばは人気があり、先程から飛ぶように売れている。現在はピークが一旦、落ち着いている。
「本当……佐天の料理を毎日、食べられたら最高なんだけどなー」
「へっ!?」
佐天の料理の美味しいさを知っているツナはそう呟いた。あくまで好きなのは佐天の料理であり、佐天自身が好きではない。(友達としては好きであるが恋愛対象としては好きではないという意味)ツナの言葉を聞いた途端、佐天は顔を真っ赤にしてしまっていた。
「そ、それってどういう……!?」
「すいません。焼きそば1つ下さい」
ツナの言葉の真意を確かめようとした佐天であったがタイミング悪く客が来てしまった為、聞くことができなくなってしまう。そしてここから次々に人が来てしまった為、先程のツナの言葉の真意を聞くことができなくなってしまった。
「ふぅ……これで終わり」
1時間後。材料を全て使い切った為、焼きそばの販売は終了となる。
「どうやら終わったようだな」
「随分と楽しんでるなおい!」
グレーの浴衣を身に纏い、いつもの帽子を脱いでツンツン頭を晒しているリボーンがやって来た。右手にはリンゴ飴、左手にはわたがしが握られていた。自分たちに無理やり働かせておいて夏祭りを堪能しているリボーンを見てツナはツッコミをいれる。
「それで? 何しに来たんだよリボーン?」
「佐天にこいつを渡そうと思ってな」
そう言うとリボーンはどこからか綺麗に折り畳まれた緑色の浴衣を手にしていた。
「これって……」
「お前の浴衣だぞ。ああは言ったが夏祭りに参加してんだ。楽しんでこい。もうすぐ花火が始まるぞ」
「で、でも着替える場所が……」
「問題ねぇ。簡易の更衣室を用意してある」
「準備、良すぎでしょ……」
どこまでも用意周到なリボーン佐天は驚きを隠せないでいた。佐天はリボーンから浴衣を受け取るとリボーンは簡易更衣室のある場所へと案内する。簡易更衣室で佐天はリボーンからもらった浴衣へと着替える。
「お待たせしました」
佐天は浴衣に着替え終わると簡易更衣室から少し離れた場所で待っていたツナの所へと向かう。
「それじゃ行こっか」
「あ、あの……!! ツナさん……!!」
「何? 佐天?」
「ど、どうですか……!? この浴衣、変じゃないですか……!?」
佐天は勇気を振り絞ってツナに、今着ている浴衣の感想を尋ねた。
「変じゃないよ。とっても似合ってるよ」
「そ、そうですか……!!」
「それじゃ行こっか」
そう言うとツナは佐天を連れて花火が見えるスポットへと向かって行く。ツナの案内の元、佐天はツナについて行くが周囲に全然、人はいなかった。
(あれ? 全然、人がいない?)
佐天は違和感に気づく。花火を見えるスポットに向かっているはずなのに人気が全くない林にやって来ていることに。
(ま、まさか!? こ、これって!?)
佐天は人気のない林に連れて来られたことであることが頭に浮かんでいた。
佐天の妄想
『ダ、ダメですよツナさん……こんなところを誰かに見つかったら……』
『本当はこうなることを望んでたんだろ?』
『そ、そんなこと……』
木の方に立っている佐天の両手首をツナが両手で掴み、顔を近づけて甘い言葉を囁く。佐天はツナの顔をまともに見れないのか顔を赤くしながら視線を反らしていた。
『可愛いな佐天は』
そう言うとツナは掴んでいた佐天の両手首を離すと佐天の両頬を掴み、視線を反らしている佐天の顔を自分の方へと向ける。そして自分の唇を佐天の唇へと近づけていく。
現実
(って!! 何、考えてるの私!?)
妄想していた佐天であったが途中で我に返り、顔を真っ赤にしながら顔を横に何度も振ってしまっていた。佐天が妄想の世界から戻ってから少しすると目的地へと辿り着いた。
「着いたよ」
「ここって……」
着いたのは神社だった。しかしここにはツナと佐天以外に誰もいなかった。
「ここは花火の隠れスポットなんだ。だからここにはほとんど人が来ないんだ」
「隠れスポット……」
ツナは中学の時にここが花火の隠れスポットだと知って以来、夏祭りではここで花火を見ている。ここが隠れスポットだと知って佐天はなぜツナがこんな人気のない所に連れて来たのか理解する。
(こ、これって……!? 告白のチャンス……!?)
自分たち以外、誰もいないというこの状況。告白するチャンスだと思った。
(あの時は私が倒れちゃって告白できなかったけど……今なら!)
佐天は思いきってツナに告白することを決意する。
「あ、あの!! ツナさん!!」
「ん? どうしたの佐天?」
「あ、あの!! その!! えっと……!!」
顔を真っ赤にし鼓動が速くなっていくのを感じながらも勇気を振り絞って想いを伝えようとする。しかしどうしても好きという単語が言えずにいた。
(言うんだ……私の想いを……好きだって!!)
そう自分に言い聞かせると佐天はおもいっきり深呼吸した。
「わ、私……ずっと……!! ツナさんのことが……す……す……す……!!」
深呼吸した後、ついに佐天はツナに自分の想いを打ち明け、
「10代目ー!」
「ツナ!」
「ツナさん!」
「ツナ君!」
「沢田!」
「ツナ君!」
「ボス」
「ツナ兄」
「ランボさん参上!」
「ツナさん」
ようと思った矢先、獄寺、山本、ハル、京子、了平、炎真、クローム、フゥ太、ランボ、イーピンの声が聞こえて来た。獄寺たちがやって来たと同時に花火が打ち上がり始める。
「あっ! 始まったね!」
「そ、そうですね! これぞ日本の夏って感じですよね!」
ツナの意識はすでに花火に向いてしまっていた。佐天は先程の発言を誤魔化す為に慌てて話を反らす為にそう答えた。
(後ちょっとで告白できたのになー……まぁいっか……)
告白できなかったことを残念がる佐天であったが、すぐに切り替えて花火を楽しむことにするのだった。
ラブコメあるあるの1つ。告白しようとした矢先に邪魔が入るやつです。屋台のくだりはいらないと思ったんですが、お祭りデートはいいものが思いつかなかったのでこういう形にしました。
そして次回から!
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