再び気絶してしまった佐天だったが、すぐに目を覚ました。とりあえず帽子を被って、ペンで書かれた眉毛を隠すことにした。
「あーーーー!」
「ど、どうしたの佐天!?」
目覚めて早々、佐天は先程の重福省帆が映っているパソコンを指を指しながら叫んだ。
「こいつですよ! 私を襲った奴!」
「え!? 佐天さん犯人を見たの!?」
「見たっていうか……気絶する前に鏡越しで見たんですけど……」
佐天は完全に気絶する前にトイレの鏡に重福省帆が映っていたことを思い出す。
「でも犯人がわかったんなら……」
「なんとかなりますわね」
佐天が犯人を見ていたということで、希望が生まれる。
「学舎の園にある監視カメラ全2458台接続終えました」
「す、すげぇ……」
初春はパソコンを複数台繋ぎ、学舎の園にある監視カメラをハッキングする。初春がこのようなことができる人間だとは知らなかった為、ツナは驚きを隠せないでいた。
「初春ってもしかして……」
「初春は情報処理の一点突破で
「やっぱり……」
戦闘能力が高いわけでも、能力のレベルが高いわけでもない初春がなぜ
「待ってろよ! 前髪女! 必ず見つけ出してやるからな!」
「約束のケーキ。忘れないで下さいよ」
「3個でも4個でも好きなだけ食べてよーし!」
眉毛をこんな風にさせられたことがよっぽど悔しかったのか、佐天は気合いが入りまくっていた。
「でもいくら犯人がわかって、学舎の園の様子がわかるようになっても、この中から一人の人間を見つけるのって難しくない?」
「そうね。もっと範囲を絞らないと」
犯人の位置がわかるようになったといっても、2000台以上ある監視カメラの中から一人の人間を見つけるのは困難だと判断する。
「初春。エリアEからH。JとNは無視ですわ」
「え? 何で?」
「あの辺りは常盤台から一番遠い場所。ですからウチの生徒はほとんど行かないんですの」
「成る程」
なぜ黒子の指定されたエリアを無視したのかわからなかったツナであったが、黒子の説明を聞いて納得する。
「じゃあ人混みの多いところも後回しね」
「何でですか?」
「あの服装。学舎の園じゃかなり目立つと思わない?」
「「確かに」」
「そういえば……」
初春、佐天、ツナは学舎の園に入った時に常盤台の生徒から注目されたことを思い出していた。
「人目のある場所ではずっと能力を使っていると?」
「多分ね。けど能力を永遠に使い続けることはできない」
「どこか人目のつかない場所で息を潜めている?」
「正解」
「ということは……」
佐天の推測に対して、美琴は人差し指を立てながらそう言う。初春はパソコンにてさらに捜索範囲を狭めていく。
「これなら見つけられるね」
「絶対に捕まえてやるわ!」
「ええ!? 佐天も行く気!?」
「当然ですよ!」
「危ないよ! 犯人は俺たちが捕まえるから! 佐天はここに残ってなきゃダメだよ!」
「嫌です! 何が何でもこの眉毛の屈辱を果たします!」
犯人を捕まえようと意気込む佐天をツナを止める。だが佐天の意思は固く、引く様子はなかった。
「沢田さんの意見に私も同意ですわ。いくら相手が攻撃系の能力者でないとはいえ、戦闘技術のないあなたには危険過ぎますの」
「白井さんまで!」
黒子もツナと同じく佐天が作戦に参加することに反対する。しかし黒子が忠告しても佐天が折れることはなかった。
「はぁ……仕方ありませんわね……沢田さん。あなたが佐天さんを護って下さいの」
「ええ!? 俺!?」
「仕方ありませんの。佐天さんが引く様子はありませんし。それにこの中で一番強い沢田さんが佐天さんを護るのに最も適任ですの」
「ちょっと待ちなさいよ黒子。何で沢田が一番なのよ? この学園都市第3位の私を差し置いて」
(なんかここで張り合ってきたんだけど!?)
黒子の言葉に引っ掛かりを覚えたのか、ここで美琴が張り合ってくる。こんな状況であるのにも関わらず、美琴が張り合ってきたことに驚きを隠せないでいた。
「お姉様……今は一刻を争う状況……そんなことを言っている場合ではありませんの……」
「いいや! 重要なことよ!」
「それでは沢田さん。佐天さんのことを頼みましたわよ。初春は犯人の位置を無線で指示して下さいの」
「ちょっと! 無視すんじゃないわよ!」
これ以上、言ったところで無駄だと判断した黒子は美琴の言葉を無視してツナたちに作戦を伝えた。
「ナッツ」
「ガウ♪」
ツナはボンゴレギアからナッツを出した。
「ええ!?」
「ど、どこから……」
「あの猫……あの時の!」
初春、黒子、美琴はどこからともななく出てきたナッツに驚きを隠せないでいた。
「ナッツ。佐天の肩に」
「ガウ」
ナッツは首を縦に降ると、ナッツは肩に乗った。
「ツナさん? 何でナッツちゃんを?」
「護衛だよ。一応、念には念をいれておかないと」
「でもナッツちゃんは……」
「ナッツは俺の相棒だよ。いざっていう時は戦えるから」
「そうなんですか?」
「うん。じゃあ行こうか」
「ちょっとお待ちなさいな! その猫は一体!?」
ツナと佐天のやり取りを見ていた黒子であったが、ナッツのことを何も自分たちに説明がなかった為、黒子はツナに説明を求める。
「そういえば黒子と初春は初めて見るんだっけ。こいつは俺の相棒のナッツだよ。普段はこのリングの中にいるんだ」
「リングの中って……」
「とりあえずいざって時は頼りになるから」
「まぁ……沢田さんが言うなら……」
ナッツのことはあまりわからなかったが、黒子は作戦にナッツを加えることを戸惑いながらも了承した。
「それにしても可愛いですね」
「ガウ~♪」
初春は佐天の肩に乗っているナッツの頭を撫でる。撫でられたナッツは幸せそうな表情をしていた。だがナッツの視界に美琴が映った、
「ガウ!?」
その瞬間、ナッツは佐天の肩から慌てて降りて机の下に隠れてしまう。
「ちょっ! 何で私の顔を見て隠れるわけ!?」
「多分、美琴のことを恐がってるんだと思う……」
「恐がる? 何でよ? 私がナッツ出会った時は私に懐いてたわよ」
「いや……その後、美琴が怒って電撃を放ったから……それで……」
「……」
ツナがそう言った瞬間、美琴は静かに四つん這いになりわかりやすく落ち込んでしまう。そんな美琴を見て、ツナたちはどうしていいやらわからずにいた。
次回! いよいよ作戦開始!
先に予告しておきますが、この学舎の園の話が終ったらツナと美琴の戦いをやります。ツナとあの人の絡みも書きたいので。
高評価を下さった、いきだおれ。さん。ありがとうぎざいます!
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