とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)155 絶対能力進化(レベル6シフト)計画

 

 

 

 御坂妹は自分の正体を明かす。

 

「クローンって……人間のDNAから作られるっていう……あの……!?」

 

「はい……とミサカは答えます……」  

 

(どおりで似てる訳だ……)

 

 ツナの言葉を御坂妹は肯定する。リボーンは美琴と御坂妹があまりにも似ているという理由を理解する。

 

「だがクローンはクローン技術規制法っていう法律で禁止されてるはずだ。学園都市にも日本の法律が適応される。それを犯してまでクローン人間(おまえ)を作ったってことは何か目的があるってことだろ?」

 

「はい……全ては絶対能力進化(レベル6シフト)計画の為です……とミサカは自分が作られた理由を説明します……」

 

「レベル6って……学園都市を能力者のレベルは超能力者(レベル5)までじゃ……」

 

「学園都市の目的……神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの……その境地に辿りつくには超能力者(レベル5)では辿りつけないのです……そこに辿りつくにはミサカを殺す必要があるのです……とミサカは……説明します……」

 

「ど、どういうこと……!?」

 

 絶対能力者(レベル6)に辿りつくことと、御坂妹を殺すことがどう繋がるのかツナはわからず困惑する。

 

絶対能力者(レベル6)に辿りつけるのは……学園都市最強の能力者……一方通行(アクセラレータ)ただ1人……そしてアクセラレータが妹達(シスターズ)を2万回、殺すことで絶対能力者(レベル6)に辿りつけるのです……これが絶対能力進化(レベル6シフト)計画の詳細です……ミサカは計画の詳細を説明します……」

 

「何だよ……それ……!?」

 

「イカれてやがんな」

 

 あまりにも酷い計画にツナはショックを受けており、リボーンですら憤りを覚えていた。

 

「じゃあ美琴の様子がおかしかった原因って……」

 

「どういうことだツナ? 何か知ってんのか?」

 

「最近、美琴の様子がおかしかったんだ。寮にほとんど帰らなかったり、夜中に研究施設に忍び込んだりしてたんだ。そしてこの子と会った時、また様子がおかしくなったんだ……」

 

「成る程な。美琴の奴は何らかの方法でこの計画のことを知って動いてたわけか。昨日、お前が帰って来なかったのは美琴が何をしてんのか探ってた訳か」

 

 ツナが最近の美琴の行動を話すとリボーンは昨日、ツナが帰って来なかった理由を理解した。

 

「2万回……妹達(シスターズ)……ってことはお前以外にもクローンがいるってことでいいのか?」

 

「はい……ミサカの検体番号(シリアルナンバー)は10031号です……とミサカは自分の詳細を説明します……」

 

「つーことはすでにお前らは一方通行(アクセラレータ)って野郎に10030回、殺されてるってことか」

 

「その通りです……とミサカは答えます……」

 

「そんな……」

 

 リボーンは御坂妹の検体番号(シリアルナンバー)から、現在どのくらいの妹達(シスターズ)が殺されたのかを割り出した。ツナは妹達(シスターズ)がそんなにも殺されたと知ってショックを受ける。

 

「何で……何で……せっかく生まれたのに……何で殺されなきゃならないんだよ……君たちが何したって言うんだよ……」

 

 ツナの両目から溢れんばかりの涙が零れ落ちる。友達を何よりも思いやるツナが悲しまない訳がなかった。

 

「どうしてこのことを俺たちに話した? こいつは明らかに公表できねぇような機密事項だぞ」

 

「今までミサカは……殺される為だけに生まれた存在……そう周りに言われ……ミサカ自身もそれが当たり前だと思って生きていました……」

 

 御坂妹の脳裏にはこの計画に携わる研究者たち、この計画の要となる一方通行(アクセラレータ)が浮かんでいた。

 

「でもあなただけは違った……ミサカを絶対に否定しない……大切な存在……生きていて欲しいと言ってくれました……」

 

 だがそんな中で唯一、ツナだけが自分のことを違う目で見ていた。

 

「ですがあなたの言葉だけが脳裏から離れないのです……あなたのそんな表情(かお)を見るのが嫌だと感じている自分がいるんです……あなたと会えなくなるのが嫌だ感じている自分がいるんです……」

 

 御坂妹は今までにはなかった不可解な現象に困惑しつつも、自分の素直な気持ちを吐き出した。

 

「なぜ話したのかは自分でもわかりません……ただの気まぐれなのかもしれません……」

 

 正直なところ、御坂妹自身も本来機密であったこの計画の詳細を話したのかは理解できていなかった。

 

「しかしこの計画の……一端に触れたあなたは……口封じの為に……消されるでしょう……ですがミサカがあなたを消されないよう情報を偽装します……」

 

「な、何を言って……!?」

 

「ミサカは……お姉様と程の出力の電撃を出すことはできません……ですが他のミサカと……協力すれば……あなたの情報を……消すことができるはずです……後はこの実験にさえ関わらなければ……あなたが消されることはありません……とミサカはあなたが……無事に助かる方法を……提示します……」

 

「いい訳ないだろ!! そんなの!! 君たちを犠牲にして俺が生き残ったって嬉しくなんかないよ!!」

 

「私はクローンです……何も問題ありません……あなたに犠牲になって欲しくないのです……これしかあなたを救える手がないのです……とミサカは伝えます」

 

「クローンとか関係ないよ!! 俺は絶対に君たちを犠牲になんて絶対にさせない!! 何か手があるはずだよ!! 君たちが死ななくていい方法が!!」

 

 自分たちの命を犠牲にしてツナを助けようとする御坂妹。しかしそんなことをツナが受け入れるはずもなかった。

 

妹達(シスターズ)を犠牲にせず、実験を止める方法ならあるぞ」

 

「え……!?」

 

「ツナ。お前が一方通行(アクセラレータ)を倒すんだ」

 

「俺が……一方通行(アクセラレータ)を……!?」

 

 リボーンの提案を聞いて、ツナはなぜアクセラレータを倒せば妹達(シスターズ)を死なせず、実験を止められることができるのかわからないでいた。

 

絶対能力者(レベル6)になれんのは一方通行(アクセラレータ)だけなんだろ。だがその一方通行(アクセラレータ)レベル0(・・・・)に負ける程、弱かったと知れればどうなる?」

 

「あっ……」

 

 リボーンはわかりやすく自分の言いたいことを伝えると、ツナのリボーンの言いたいことを理解した。

 

「そうだ。無能力者(レベル0)に負ける程、弱ければ一方通行(アクセラレータ)絶対能力者(レベル6)になれるはずがないと思わせることができる。そうなればこの計画は頓挫するはずだぞ」

 

「無理です……相手は学園都市最強の能力者……勝てるはずがありません……とミサカは実行すべきではないと提案します……」

 

 リボーンの提案を聞いて、御坂妹は絶対に無理だということを伝えた。

 

「わかった。俺、行くよ。一方通行(アクセラレータ)の所に」

 

「ダメです……今度こそ殺されます……とミサカは警告します……」

 

「大丈夫だよ。俺は絶対に死なないから」

 

「なぜ……そう言い切れるのですか……とミサカはあなたの根拠のない自信に違和感を覚えます……」

 

 御坂妹はわからなかった。学園都市最強の能力者と聞いても一切、迷うことなく戦いに赴けるのかを。

 

「自信がある訳じゃないよ……俺は君のこともっと知りたい。君ともっと話したい。ただ君を死なせたくない。それだけなんだ。だからその為には何が何でも生きないといけない。俺は死ぬ為に戦うんじゃない。君と一緒に生きる為に死ぬ気で戦うんだ」

 

「……」

 

 ツナは真っ直ぐな目でそう答えた。御坂妹はツナの言葉を聞いて、何も言い返すことなく黙ったままであった。

 

「ギブアンドテイクです……とミサカはあなたに交渉を持ちかけます……」

 

「ギブアンドテイク……?」

 

「次の実験場所をあなたに……教えます……その代わり絶対に帰って来て下さい……とミサカはあなたに……交換条件を持ち出します……」

 

「うん。わかった。絶対に帰って来る。約束するよ」

 

 御坂妹の条件を聞いてツナは一切、迷うことなく約束した。そして御坂妹から次の実験場所を聞くと、ツナは異世界転送装置を取り出した。

 

「リボーン。その子をお願い」

 

「任せとけ」

 

 リボーンに御坂妹のことを頼むと異世界転送装置に炎を注入すると装置が輝き、ツナが目映い光に包まれる。そして光が消えるとそこにツナの姿は影も形も無くなっていた。

 

「き、消えた……!? とミサカは……説明のつかない現象に……戸惑いを隠せないでいます……」

 

「俺たちは学園都市の人間じゃねぇからな。俺たちは異世界の人間だからな」

 

「い、異世界……!? とミサカは……急な展開についていけず混乱します……」

 

「信じられねぇのも無理はねぇだろうがな。とりあえずお前の治療を始めんぞ。あいつが帰って来て、お前が死んだんじゃ話にならねぇからな」

 

「どうしてあの方を……そこまで信用できるのですか……とミサカは尋ねます」

 

「あいつはかつて死を待つだけの俺を救った。自慢の生徒だからな」

 

 リボーンは知っていた。御坂妹と同じく死ぬ運命にあった自分を救った生徒(ツナ)の力を。

 

「あなたは一体……? とミサカはあなたの正体を尋ねます……」

 

「俺はリボーン。ツナの家庭教師(かてきょー)にして世界最強の殺し屋(ヒットマン)だ」

 

 そう言うとリボーンは御坂妹の治療を始める。

 

(死ぬ気でやれよツナ。お前はアクセラレータに勝たなきゃなねぇんだからな)

 

 

 




ツナが御坂妹の心を動かす形で実験を知る形にしましたがいかがだったでしょうか?ちょっと心が動かされ過ぎた気もしますが…

次回は美琴とのシーンです。お楽しみに!



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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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