とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

156 / 300
標的(ターゲット)156 笑える未来

 

 

 学園都市に移動したツナは(ハイパー)死ぬ気モードとなり上空を飛んで、御坂妹を助けるべくツナは次に実験が行われる場所へと向かって行く。

 

(次の実験開始は8時20分。まだ間に合う!)

 

 現在、時刻は8時15分。このペースでいけば実験が始まる前に目的地へ辿り着くことができるとツナは確信していた。

 

「美琴……?」

 

 実験場に向かう途中、橋の上から手すりに両腕を置いて川を眺めている美琴をツナは上空から確信していた。

 

(この方向は……!?)

 

 ツナはなぜここにいるのかをすぐに理解した。美琴がいる先には今からツナが向かう実験場がある。

 

(まさか……!?)

 

 そして同時にツナは気づく。美琴が何をしようとしているのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 橋

 

「どうして……こんなことになっちゃったのかな……?」

 

 美琴は両腕に顔を埋め、涙声になりながらそう呟いた。いつも強気な美琴がこんなにも弱気なっていた。理由は妹達(シスターズ)のことである。今まで妹達(シスターズ)の関連施設を破壊していた美琴であった。ツナの協力もあって妹達(シスターズ)の関連施設は全て破壊できたと思われた。しかし施設はさらに増えていた。その時に美琴は気づいた。こんな非道な実験が容認されているのは学園都市上層部がバックにいるからということに。つまり学園都市そのものが敵であるということに。

 

「……よ……助けてよ……」

 

 どう足掻いても打開策がないこの状況に心が折れていた。誰も助けてはくれないとはわかってはいるが美琴は助けを求めた。

 

「わかった」

 

「え……!?」

 

 だが美琴の声は届いた。聞き覚えのある声が聞こえた為、美琴は振り返ると美琴の視線の先には(ハイパー)死ぬ気モードのツナが立っていた。美琴はツナがここにいることに驚きを隠せないでいた。ツナが(ハイパー)死ぬ気モードの状態を解除すると美琴はすぐに偽りの笑顔を作った。

 

「何? 他人の独り言に反応しちゃって。というか何でこんなところにいるのよあんた。風紀委員(ジャッジメント)の仕事はもう終わってるんでしょ」

 

「もう嘘は止めてよ美琴」

 

「嘘? 何、言ってんのよ?」

 

妹達(シスターズ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画」

 

「っ……!?」

 

 偽りの笑顔で誤魔化していた美琴であったがツナの口から、妹達(シスターズ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画という単語から出たことに驚きを隠せないでいた。

 

妹達(シスターズ)の1人が一方通行(アクセラレータ)に襲われたところを助けたんだ。その後あの子から聞いたよ。自分がクローンだってことも、計画のことも、目的も何もかも全部。今はリボーンが治療してくれてる」

 

(聞いた……!? まさかあの子の心を動かしたっていうの……!?)

 

 ツナの言葉を聞いて美琴は驚愕していた。機密事項だと言って頑なに教えてくれなかった。にも関わらずツナには教えた。つまり御坂妹の心を動かした以外に理由が思い当たらなかった。

 

「美琴……もしかして死ぬつもり?」

 

 ツナは理解していた。おそらく実験の要たる一方通行(アクセラレータ)に勝てなかった為、妹達(シスターズ)の関連施設の破壊し実験を止めようとした。しかしそれすらもなんらかの形で不可能になったしまった。しかし美琴が死ねばこの実験の関係者に美琴にアクセラレータを絶対能力者(レベル6)にさせるだけの価値がないと思わせることができる。美琴は自分の命と引き換えに実験を中止させようと考えているのだと。

 

「流石ね。超直感でよかったっけ? あんたのその力」

 

「誤魔化さないでよ美琴」

 

 ツナの洞察力を褒める美琴。偽りの笑顔でそう言う美琴にツナは真剣な顔でそう言った。

 

「そうよ。この事態は元々、私がDNAマップを提供したのが原因。私にはこの実験を止める義務がある。だから私の命と引き換えにこの実験を止める。こんな私でもまだ使い道がある。だから沢田。みんなに伝えておいてもらえる? ごめんって。そしてありがとうって」

 

 美琴は自分が死ぬということを肯定すると同時に、黒子たちへの伝言をツナに伝えた。

 

「ふざけんな!!」

 

「っ!?」

 

 だがツナは美琴の言葉を聞いた途端、ツナは激怒した。滅多に怒らないツナが激怒した為、美琴は驚きを隠せないでいた。

 

「何の為に戦ってると思ってるんだよ!! またみんなで花火見るんだ!! みんなで遊ぶんだ!! だから戦うんだ!! だから強くなるんだ!! またみんなで笑いたいのに美琴がいなくなったら意味がないじゃないか!!」

 

 ボンゴレファミリーの次期ボスを決めるリング争奪戦。その時に獄寺は自分の命を引き換えに勝利しようとした。その時の獄寺と美琴が重なったのか、ツナは激怒しながらそう叫んだ。

 

「じゃあ何よ……あんたに方法があるっていうの? あんたはいつも綺麗事ばかり。虫酸が走るわ」

 

「だからって何で美琴が死ぬ必要があるんだよ!! どう考えたっておかしいだろ!! そんなの間違ってる!!」

 

「話にならないわね」

 

 ツナの言葉を聞いた途端、ツナの近くに電撃を容赦なく放った。

 

「警告よ。撃ち抜かれたくなかったらそこをどきなさい」

 

「どかないよ絶対に」

 

「力ずくって訳ね……私はあんたより弱いわ。けど! 今回だけ負けられないわ! 何が何でも勝つわ!」

 

 美琴はツナの目を見てどかないと判断した美琴はツナと戦うことを決める。

 

「戦わないよ俺は」

 

「何を言って……!?」

 

「ここで美琴と戦ても意味がない」

 

「ふざけんじゃないわよ!! あんたになくともこっちにはあるのよ!! 戦う気がないなら立ち塞がるんじゃないわよ!! 人の半端な気持ちを踏みにじってんじゃないわよ!!」

 

「ふざけてるのは美琴だろ!! 美琴が死んだらみんながどうなると思ってるんだよ!! ずっと悲しみを抱えたままこれから生きていかなきゃならないんだぞ!!」

 

「っ……!?」

 

 ツナの言葉を聞いて美琴は何も言い返すことができなかった。そして同時に美琴の脳裏にみんなの姿が浮かんでいた。

 

「だったら……だったらどうしろって言うのよ!! あんたはあの子たちがどうなってもいいっていいの!?」

 

「いい訳ないだろ!! あの子たちが死ぬなんて絶対に間違ってる!! だから……だから俺が一方通行(アクセラレータ)と戦う!! その為に来たんだ!!」

 

「え……!?」

 

 アクセラレータを倒すというツナの言葉を聞いて、美琴の驚きのあまり頭が真っ白になってしまっていた。

 

一方通行(アクセラレータ)無能力者(おれ)に倒されればアクセラレータに絶対能力者(レベル6)になれる素質がないと思せることができる!! そうすれば実験を止められるし、美琴も死ななくていいし、あの子たちも死なずに済むんだ!!」

 

「無理よ……」

 

 ツナは自分がアクセラレータと戦えば誰も犠牲になることはないと美琴に言った。しかし美琴の表情が明るくなることはなかった。

 

一方通行(アクセラレータ)の能力は運動量、熱量、電気量などを問わずあらゆる種類の向き(ベクトル)を皮膚上の体表面に触れただけで自在に操ることができるの。こっちが放った攻撃は全て反射されちゃうの……そんなの勝てる訳じゃない……仮に勝てたとしてもこの計画には学園都市上層部が関わってる……タダじゃ済まないわ……」

 

「勝てるかどうかなんて言ってるんじゃないよ!! 勝つんだ!!」

 

「え……!?」

 

 ツナは一方通行(アクセラレータ)の能力を聞いてもなお臆することはなかった。ツナの言葉に美琴は驚きを隠せないでいた。

 

「あの子と約束したんだ!! 絶対に生きて帰るって!! 絶対に死なせないって!!」

 

 ツナは御坂妹との約束したことを思い出していた。

 

「もう嫌なんだ!! 大切な人が死ぬのを見るのは!!」

 

 ツナの脳裏には未来の戦いで白蘭のせいで死んだユニとγの姿が浮かんでいた。

 

「だから俺が実験を止める!! あの子たちも美琴を絶対に死なせない!! 俺の誇りにかけて!!」

 

 そしてもう一度、ツナは自分の意思を伝える。美琴はツナの迫力に気圧され何も言えず、ただただ驚いてしまっていた。

 

「何でよ……何でそこまで……あんた戦うのが嫌いなんでしょ……? いいじゃない私が死んだって……私が死ねばあんたは戦わなくて済むのよ……」

 

 美琴はわからなかった。戦いが大嫌いなツナがなぜ自分の為にここまでしてくれるのか。

 

「たい……」

 

「?」

 

一方通行(アクセラレータ)に……勝ちたい……」

 

「え……!?」

 

 美琴はツナの言葉が信じられないでいた。戦いが大嫌いなツナが勝ちたいと言ったことが。

 

「あの子たちを傷つけて、美琴をこんなにも悲しませた奴に負けたくない……あいつだけには勝ちたいんだ!!」

 

「……!!」

 

 ツナは拳を強く握りながらそう答えた。ツナの言葉を聞いた途端、美琴は両手で口元を抑える。そして必死に泣かないように耐えていた。

 

「それに学園都市がこんな間違ったことをさせるっていうなら……俺が……俺が学園都市をぶっ壊してやる!!」

 

「っ……!?」

 

 ツナの言葉を聞いた途端、美琴の両目から溢れんばかりの涙が溢れ落ちる。

 

「やっぱりあの子とそっくりだ」

 

「……?」

 

「俺の言葉を聞いた途端、急に泣き出したんだ」

 

「え……!?」

 

 ツナは泣いている美琴を見て微笑んでいた。御坂妹が泣いたと知って美琴は目を見開きながら驚いていた。

 

「実験の一旦に関わった俺が消されるって知って言ったんだ。自分たちが犠牲になる代わりに俺に生きて欲しいって」

 

 ツナは美琴と御坂妹が同じことを言っていたことを思い出していた。

 

「それと昨日、公園で話したんだ。美琴の言葉を聞いて胸が痛くなったって。だからこの戦いが終わったらちゃんと謝って仲直りしてあげて」

 

 そう言うとツナは再び(ハイパー)死ぬ気モードになった。

 

「待ってろ美琴。今からみんなが笑っていられる未来を作ってやる」

 

 そしてツナは炎を逆噴射させると空を飛んで、実験場所へと向かって行くのだった。

 

 

 

 

 




ずっとやりたかったシーンができて嬉しいです。


感想、評価、アイディア募集で何かありましたら、遠慮なくどうぞ!

感想→https://syosetu.org/?mode=review&nid=237187&volume=

評価→https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=237187&volume=1

Twitter→https://twitter.com/husuikaduti

アイデア募集→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=247248&uid=88671

ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。