学園都市に移動したツナは
(次の実験開始は8時20分。まだ間に合う!)
現在、時刻は8時15分。このペースでいけば実験が始まる前に目的地へ辿り着くことができるとツナは確信していた。
「美琴……?」
実験場に向かう途中、橋の上から手すりに両腕を置いて川を眺めている美琴をツナは上空から確信していた。
(この方向は……!?)
ツナはなぜここにいるのかをすぐに理解した。美琴がいる先には今からツナが向かう実験場がある。
(まさか……!?)
そして同時にツナは気づく。美琴が何をしようとしているのかを。
橋
「どうして……こんなことになっちゃったのかな……?」
美琴は両腕に顔を埋め、涙声になりながらそう呟いた。いつも強気な美琴がこんなにも弱気なっていた。理由は
「……よ……助けてよ……」
どう足掻いても打開策がないこの状況に心が折れていた。誰も助けてはくれないとはわかってはいるが美琴は助けを求めた。
「わかった」
「え……!?」
だが美琴の声は届いた。聞き覚えのある声が聞こえた為、美琴は振り返ると美琴の視線の先には
「何? 他人の独り言に反応しちゃって。というか何でこんなところにいるのよあんた。
「もう嘘は止めてよ美琴」
「嘘? 何、言ってんのよ?」
「
「っ……!?」
偽りの笑顔で誤魔化していた美琴であったがツナの口から、
「
(聞いた……!? まさかあの子の心を動かしたっていうの……!?)
ツナの言葉を聞いて美琴は驚愕していた。機密事項だと言って頑なに教えてくれなかった。にも関わらずツナには教えた。つまり御坂妹の心を動かした以外に理由が思い当たらなかった。
「美琴……もしかして死ぬつもり?」
ツナは理解していた。おそらく実験の要たる
「流石ね。超直感でよかったっけ? あんたのその力」
「誤魔化さないでよ美琴」
ツナの洞察力を褒める美琴。偽りの笑顔でそう言う美琴にツナは真剣な顔でそう言った。
「そうよ。この事態は元々、私がDNAマップを提供したのが原因。私にはこの実験を止める義務がある。だから私の命と引き換えにこの実験を止める。こんな私でもまだ使い道がある。だから沢田。みんなに伝えておいてもらえる? ごめんって。そしてありがとうって」
美琴は自分が死ぬということを肯定すると同時に、黒子たちへの伝言をツナに伝えた。
「ふざけんな!!」
「っ!?」
だがツナは美琴の言葉を聞いた途端、ツナは激怒した。滅多に怒らないツナが激怒した為、美琴は驚きを隠せないでいた。
「何の為に戦ってると思ってるんだよ!! またみんなで花火見るんだ!! みんなで遊ぶんだ!! だから戦うんだ!! だから強くなるんだ!! またみんなで笑いたいのに美琴がいなくなったら意味がないじゃないか!!」
ボンゴレファミリーの次期ボスを決めるリング争奪戦。その時に獄寺は自分の命を引き換えに勝利しようとした。その時の獄寺と美琴が重なったのか、ツナは激怒しながらそう叫んだ。
「じゃあ何よ……あんたに方法があるっていうの? あんたはいつも綺麗事ばかり。虫酸が走るわ」
「だからって何で美琴が死ぬ必要があるんだよ!! どう考えたっておかしいだろ!! そんなの間違ってる!!」
「話にならないわね」
ツナの言葉を聞いた途端、ツナの近くに電撃を容赦なく放った。
「警告よ。撃ち抜かれたくなかったらそこをどきなさい」
「どかないよ絶対に」
「力ずくって訳ね……私はあんたより弱いわ。けど! 今回だけ負けられないわ! 何が何でも勝つわ!」
美琴はツナの目を見てどかないと判断した美琴はツナと戦うことを決める。
「戦わないよ俺は」
「何を言って……!?」
「ここで美琴と戦ても意味がない」
「ふざけんじゃないわよ!! あんたになくともこっちにはあるのよ!! 戦う気がないなら立ち塞がるんじゃないわよ!! 人の半端な気持ちを踏みにじってんじゃないわよ!!」
「ふざけてるのは美琴だろ!! 美琴が死んだらみんながどうなると思ってるんだよ!! ずっと悲しみを抱えたままこれから生きていかなきゃならないんだぞ!!」
「っ……!?」
ツナの言葉を聞いて美琴は何も言い返すことができなかった。そして同時に美琴の脳裏にみんなの姿が浮かんでいた。
「だったら……だったらどうしろって言うのよ!! あんたはあの子たちがどうなってもいいっていいの!?」
「いい訳ないだろ!! あの子たちが死ぬなんて絶対に間違ってる!! だから……だから俺が
「え……!?」
アクセラレータを倒すというツナの言葉を聞いて、美琴の驚きのあまり頭が真っ白になってしまっていた。
「
「無理よ……」
ツナは自分がアクセラレータと戦えば誰も犠牲になることはないと美琴に言った。しかし美琴の表情が明るくなることはなかった。
「
「勝てるかどうかなんて言ってるんじゃないよ!! 勝つんだ!!」
「え……!?」
ツナは
「あの子と約束したんだ!! 絶対に生きて帰るって!! 絶対に死なせないって!!」
ツナは御坂妹との約束したことを思い出していた。
「もう嫌なんだ!! 大切な人が死ぬのを見るのは!!」
ツナの脳裏には未来の戦いで白蘭のせいで死んだユニとγの姿が浮かんでいた。
「だから俺が実験を止める!! あの子たちも美琴を絶対に死なせない!! 俺の誇りにかけて!!」
そしてもう一度、ツナは自分の意思を伝える。美琴はツナの迫力に気圧され何も言えず、ただただ驚いてしまっていた。
「何でよ……何でそこまで……あんた戦うのが嫌いなんでしょ……? いいじゃない私が死んだって……私が死ねばあんたは戦わなくて済むのよ……」
美琴はわからなかった。戦いが大嫌いなツナがなぜ自分の為にここまでしてくれるのか。
「たい……」
「?」
「
「え……!?」
美琴はツナの言葉が信じられないでいた。戦いが大嫌いなツナが勝ちたいと言ったことが。
「あの子たちを傷つけて、美琴をこんなにも悲しませた奴に負けたくない……あいつだけには勝ちたいんだ!!」
「……!!」
ツナは拳を強く握りながらそう答えた。ツナの言葉を聞いた途端、美琴は両手で口元を抑える。そして必死に泣かないように耐えていた。
「それに学園都市がこんな間違ったことをさせるっていうなら……俺が……俺が学園都市をぶっ壊してやる!!」
「っ……!?」
ツナの言葉を聞いた途端、美琴の両目から溢れんばかりの涙が溢れ落ちる。
「やっぱりあの子とそっくりだ」
「……?」
「俺の言葉を聞いた途端、急に泣き出したんだ」
「え……!?」
ツナは泣いている美琴を見て微笑んでいた。御坂妹が泣いたと知って美琴は目を見開きながら驚いていた。
「実験の一旦に関わった俺が消されるって知って言ったんだ。自分たちが犠牲になる代わりに俺に生きて欲しいって」
ツナは美琴と御坂妹が同じことを言っていたことを思い出していた。
「それと昨日、公園で話したんだ。美琴の言葉を聞いて胸が痛くなったって。だからこの戦いが終わったらちゃんと謝って仲直りしてあげて」
そう言うとツナは再び
「待ってろ美琴。今からみんなが笑っていられる未来を作ってやる」
そしてツナは炎を逆噴射させると空を飛んで、実験場所へと向かって行くのだった。
ずっとやりたかったシーンができて嬉しいです。
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