ツナが学園都市から当面の間、出ていくように言われたその夜。美琴たちの寮では。
(私は……)
(お姉様……また……)
寝間着姿の美琴はベッドの上で枕に抱きつきながら考えていた。これから自分がどうすればいいのかを。浮かない
(そう……最初の出会いは銀行強盗に襲われた時だった……)
美琴は思い出す。ツナと初めて出会った時の出来事を。どこからともなく現れたツナを。
(
美琴は思い出す。何度、勝負を挑んでも頑なに戦おうとせず、ようやく戦ったと思えば一向に手を出そうとしない。そんなツナが美琴は気に入らなかった。
(でも知らなかった……あいつがどんな思いで戦ってたのか……)
美琴は思い出す。
(私はあの子を助けようとしたけど間に合わず助けられなかった……でもあいつは目の前にいてユニって子を救えなかった……そんな奴があの子のことを何とも思わない訳ないじゃない……)
『だったら……だったらどうしろって言うのよ!! あんたはあの子たちがどうなってもいいっていいの!?』
美琴は橋の上でツナに放った言葉を後悔する。自分と同じく救えたかもしれない命を救えなかった。その苦しみを知っているツナがミサのことをなんとも思わないはずなどなかったということに。
(そして……あいつは
美琴は思い出す。
(私はあいつを越えると宣言した……でもあの力を見てわかった……私が立っていたのはピラミッドの頂点……でもあいつがいるのはピラミッドの遥か頭上にある大空…)
美琴はツナの死ぬ気の到達点を見て理解した。自分は能力者の頂点に位置すると呼ばれている。だが自分が立っているのはピラミッドの頂点であるということに。そしてツナが立っているのはピラミッドではなくピラミッドの遥か頭上にある大空。自分とツナは立っている場所が全く違うということに。
(ピラミッドの頂点に立っても大空を見上げても大空は遠い……でも空から見れば地上もピラミッドの頂点も大差なんてない……あいつから見れば
美琴は確信する。ツナは学園都市が掲げている領域にツナは辿り着いているということに。
(あいつの世界の人たちの強さは私たちと次元が違うのはわかってる……色んな修羅場を超えてるいるっていうこともわかってる……それでも……あいつが遠い…!?)
自分と違い修羅場を何度も越えて来たことであれ程の強さを手にしていることはわかっている。しかしそれでもあの時に見たツナの絶対的な力を見て美琴は思った。どれだけ努力しようがツナは越えられないのではないか。能力者の頂点と言われた
(そんなあいつに佐天さんは憧れ、心の底から愛している……私に佐天さんの幸せを邪魔なんてできない……でも私の頭からあいつの顔が離れない……)
(わからない……わからない……わからない……私はどうすればいいの…?)
どうすればツナに追い付けるのかわからない。ツナを諦められなければならないのにツナのことが頭から離れずどうすればいいのかわからない。美琴の頭の中はグチャグチャになってしまっていた。すると部屋の壁の一部が扉のように開いた。そこにはちょっとした部屋ができており、そこでゆったりとコーヒーを飲んでるリボーンがいた。
「よう。お前ら。元気にしてたか?」
「元気にしてたかじゃありませんわ!」
何事もなかったかのように普通に挨拶するリボーンに黒子はツッコミをいれる。
「というかまさか私たちの寮まで改造するなんて!プライバシーの侵害ですわ!」
「安心しろ。そこんところはちゃんと弁えてるぞ。まぁお前らの体を見たところで俺は興奮なんてしやしねぇがな」
「プライバシーを侵害しておいてよくもそんな言葉が吐けますわね!」
プライバシーの侵害をしておきながら全く反省していないリボーンに黒子は青筋を浮かべていた。
「それで? 一体、何の用ですの?」
色々と言いたいことがある黒子であったがリボーンに何を言って無駄な上に捕えることはできない為、黒子は諦めて要件を尋ねることにした。
「ツナのことを謝りにな。あいつは今こっちに来れねぇからな」
「一体、沢田さんは何をしたんですの?」
「さぁな。何か隠してんのはわかるが俺にも頑なに話そうとしなかったからな。あいつのことだ。道を外すような真似はしちゃあいねぇはずだ。だからあいつを責めないでやってくれ」
リボーンならツナが何をして学園都市を追い出されたのか知っているのかと思い尋ねた。勿論、リボーンは理由は知っているのだがあの実験のことを話すことはできないので上手く誤魔化した。
「どうやら悩んでるようだな美琴」
「……」
話を終えるとリボーンは浮かない
「佐天が惚れた男にお前も惚れたのはいいが、佐天の幸せを邪魔できない。そんなところか」
「っ!?」
「なっ…!?」
リボーンは美琴が思っていることを言い当てた。自分の考えていることを言い当てられた美琴は僅かに反応し、黒子はあまりの出来事に開いた口が塞がらない状態になってしまっていた。
「な、何を言っていますの!? お姉様が沢田さんのことを!? どういうことですの!?」
「そのままの意味だぞ」
美琴にゾッコンである黒子にとってリボーンの話を聞き逃すことなどできるはずもなかった。
「らしくねぇな。お前ならそんな落ち込まずにツナにアタックする奴だと思ったが。ただただ落ち込んでるだけなんてな」
「じゃあ……どうすればいいっていうのよ……」
リボーンの言葉を聞いた途端、今まで黙っていた美琴がようやく口を開いた。
「佐天さんはあいつのことを誰より愛してる……憧れてる……佐天さんの想いを邪魔することなんてできる訳ないじゃない……」
「お姉様……」
美琴は自分の気持ち吐き出した。いつもなら怒り狂う黒子も美琴の言葉を途端、何も言えなくなってしまっていた。
「違ぇだろ。それはお前の本心じゃねぇだろ。佐天との関係が壊れるのが怖い。ツナに拒絶されんのが怖い。ただそんだけだろうが。格好つけて逃げんじゃねぇ」
「っ…!?」
リボーンは美琴の本心を理解していた。美琴はリボーンに心を見透かされて動揺を隠せないでいた。
「ま。お前じゃツナは落とせねぇだろうな。お前より佐天の方が脈アリだしな」
「うるさい……」
「ツナは超がつくお嬢様学校の生徒よりもどこにでもいるような普通の女の方がタイプだからな」
「うるさい……」
「そして同じ互いに落ちこぼれでその苦しみを理解する者同士。エリートのお前じゃあ、あの2人に付け入る隙なんてどこにもねぇもんな」
「うるさい……」
「そして2人で一つ屋根の下で暮らしてる。ツナが佐天の魅力に気づくのも時間の問題かもな」
「うるさいって言ってんのよ!!」
リボーンの言葉に耐えられなくなったのか美琴は声を荒らげる。黒子は声を荒らげる美琴を見て困惑していた。
「その様子じゃあ未練タラタラじゃねぇか。それにお前が自分の想いを押し殺してるって知って佐天が本当に幸せになれると思ってんのか?」
「それは……」
リボーンの言葉を聞いて美琴は何も言い返すことができずシュンとしてしまっていた。
「美琴。明日、俺たちの世界に来い。お前を佐天と戦わせる」
「な、何を言って……!?」
リボーンの提案を聞いて美琴は意味がわからず動揺を隠せないでいた。
「これ以上、口で言っても無駄だしな。こうなったらおもいっきり拳で語った方がいいだろ」
「で、でも……」
「明日の9時に寮の入り口で待ってる。来たくねぇならそれでもいい。そのことで責めたりしねぇ。だが少しでも今の自分を変えてぇと思うなら来い」
そう言うとリボーンは部屋の窓を開けるとレオンをハンググライダーに変形させて飛び去って行った。
「お姉様……」
(私は……)
いつもなら怒り狂う黒子であるが美琴の心中を知ってどうしたらいいのかわからず困惑していた。美琴はリボーンと言った通り佐天と戦うかどうか迷っていた。
今回は僧正の話をイメージして書きました。去鳴は美琴は確実に道を踏み外すと言いましたがどういう風になるんでしょう……?
次回は佐天と美琴を戦わせます。お楽しみに!
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