リボーンが来た次の日。8月24日。朝。
「来たか」
リボーンが美琴の寮の前で待っていると寮の入り口から美琴が出て来る。
「それでどうする? 行くのか? 行かないのか? どっちだ?」
まだ美琴が出て来ただけである為、リボーンは美琴にどうするのかを尋ねる。
「行くわ。このまま落ち込んだって仕方がないわ」
「そうか」
美琴はツナの世界に行き佐天と戦うことを決めた。美琴の答えを聞いてリボーンは呟いた。
2人は異世界転送装置を使って並盛山へとやって来る。
「お久しぶりです。御坂さん」
「久しぶり……佐天さん……」
そして久々の再会を果たす佐天と美琴。リボーンから事前に話を聞いていた佐天は準備万端の様子であった。美琴は覚悟を決めて来たはずであったが、佐天の顔を見た途端後ろめたさを感じたのか暗い
「色々と話したいことがあるだろうがさっそく戦ってもらうぞ」
「話はリボーン君から聞いてます。だから全力でいきます。御坂さん」
(あ、あれって……!?)
リボーンがそう言うと佐天は310と書かれた手袋を両手に装着する。佐天の持っている手袋を見て美琴は驚きを隠せないでいた。なぜなら佐天が持っている手袋がツナと同じ物だったのだから。
「準備はいいかお前ら?」
「いいよ。お願いリボーン君」
「ええ……」
2人が返事をするとリボーンは懐から愛銃を取り出して銃口を佐天に向ける。
そして
ズガァン!
「え……!?」
リボーンは佐天の額に容赦なく弾丸を放つ。弾丸を喰らった佐天は地面に仰向けの状態で倒れる。佐天が撃たれたのを見て、美琴は衝撃を隠せないでいた。
「落ち着ついて
「え!?」
佐天が撃たれのを見て放心する美琴。だがすぐに佐天から大丈夫だと返事が返ってくる。弾丸を額に受けて生きていることにも驚いた美琴であったが、それよりも呼称と口調に変化があったことに驚きを隠せないでいた。そして佐天はゆっくりと起き上がる。
「今のは特殊弾。私がこの状態になる為のアイテムよ」
「嘘……!?」
佐天の額に晴属性の炎が灯り、瞳の色が黒から黄色に変化する。そして手袋が
「さっきも言ったけど全力でいくわ。だから御坂も死ぬ気でかかって来て」
そう言うと佐天の
「そんじゃ始めるぞ」
リボーンがそう言うと近くにあった石を拾うと空中へ投げた。戦いの合図である。そして石が地面へと落ちる。
「っ!?」
石が落ちた瞬間、佐天は炎を逆噴射させて一瞬にして美琴の間合いに移動し拳を繰り出す。あまりの佐天の速さに反射波で感知するのもギリギリでありしゃがんでなんとか躱す。佐天のあまりの速さに驚く美琴であったがすぐに右腕に電撃を纏い反撃に出る。
が、
「っ…!?」
だが佐天を傷つけてしまうと咄嗟に思ってしまい美琴は攻撃の手を緩めてしまう。
「隙だらけよ」
だが佐天は容赦なく死ぬ気の炎を纏った左拳で美琴に攻撃する。美琴は腕をクロスさせて佐天の拳を防ぐ。だが衝撃までは防ぐことができず美琴は吹き飛ばされる。
(痛っ……!?)
通常の炎と違い死ぬ気の炎は炎自体が破壊力を持った超圧縮エネルギー。防御したとはいえ佐天の攻撃を無力化することは叶わず美琴の腕に痛みが走る。
(本当に私って馬鹿だわ……沢田があんな性格じゃなかったら今頃どうなってたか……)
美琴はツナと戦った時のことを思い出す。ツナは目で追うどころか反射波でさえ感知できない程の速さを誇っている。そんな速さで死ぬ気の炎の一撃を喰らえば一溜りもない。美琴はツナに勝負を挑んだことがどれだけ愚か行為だったのかということを今さらながら理解する。
(炎も厄介だけど……あのグローブも厄介ね……)
死ぬ気の炎による一撃もそうだが佐天の武器である
「
「なっ!?」
「どういうつもり? 私は死ぬ気でかかって来いと言ったはずよ」
「それは……」
「私を心配してくれるのは嬉しい。でもここに来たってことは私と戦う覚悟があるから来たってことでしょ?」
「……」
佐天の言い分に美琴は何も言い返すことができず美琴は黙って俯いてしまう。
「御坂が何でツナを好きになったかは知らない。でも1つ言えるのはツナは御坂を助ける為に戦った。違うかしら?」
佐天は美琴がそう簡単にツナに惚れるとは到底、思えなかった。考えられるとすれば美琴を救う為に戦ったのだと佐天は確信していた。佐天の言葉を聞いて美琴は何も言えないでいた。
「ツナはボンゴレファミリーの次期ボス候補。でもツナはボスになることは望んでない。でも肩書きのせいでツナは苦しんできた。戦いなんて大嫌いなのに戦って、傷ついて……きっとこれからも苦しむ……だから私はツナを護るの」
「でも……沢田は強い……私たちがいてもただの足手まとい…余計にあいつが傷つくだけよ……」
佐天の言葉が本気だというのはわかってる。しかし死ぬ気の到達点状態のツナを見た美琴は余計にツナの心を傷つけることにしかならないと思っていた。
「あいつは凄い力を隠し持ってる……次元の違う力を……学園都市が掲げてる神ならぬ身にて天上の意思に辿り着く者……その領域にいるのよ……」
「そんなの知ってるわよ」
「え……!?」
美琴は死ぬ気の到達点のことを佐天に話した。しかし佐天は動揺するどころか死ぬ気の到達点のことまで知っていた。
「何を驚いてるの? 私はツナと一緒に修行してたのよ。知ってたっておかしくないでしょ」
「あっ……」
「おそらく御坂が言ってるのは死ぬ気の到達点」
「死ぬ気の……到達点……?」
美琴はツナのあの絶対的は力が何なのか知らない為、疑問符を浮かべていた。
「死ぬ気の到達点。死ぬ気の向こうにある究極の死ぬ気」
「究極の死ぬ気……」
「初めて見た時、私はあまりの凄さに言葉が出なかった」
時は遡り。夏祭りの終った後。
「これが俺の全力だ」
「……」
リボーンは佐天に発破をかける為にツナに死ぬ気到達点を見せるように命じた。あまりの凄さに佐天は言葉が出ずその場で固まってしまっていた。
「こいつは死ぬ気の到達点。死ぬ気の向こうにある究極の死ぬ気だ」
「究極の死ぬ気……」
場所は戻り並盛山
「でも同時に思った。やっぱりツナは凄いんだって。憧れたのがツナで間違いなかったって。私の越えるべき人はやっぱりツナで間違いなかったんだって」
「沢田を越える……!?」
ツナを越えると豪語する佐天に美琴は驚きを隠せないでいた。
「そ、そんなのできる訳……!?」
「今の私じゃツナを護れないことぐらいわかってる。当たり前だけどツナを越えなきゃツナを護ることなんてできない。だから私は死ぬ気で強くなる。それが私の覚悟」
「……」
佐天の覚悟を知って美琴は自分が情けなくなってしまっていた。勝手に越えられないと諦め、佐天とツナに拒絶されるのを恐れて落ち込んだことに。
「だから負けるつもりはないわよ。恋も強さも」
「え?」
「私はツナのことが大好き。私にとってツナは譲れないもの。私の誇りなの。何が何でも譲れない。たとえ御坂でもあっても譲れないわ」
佐天は堂々と美琴の前でツナへの想いを伝えた。その目には一点の曇りもなかった。
「私にとって御坂は……
佐天は美琴に自分の覚悟を示した。そして今度は美琴が覚悟を見せてみろと命令した。
「佐天さんの言う通り……私は沢田に助けられた……」
美琴は思い出す。学園都市第1位の
「それから……どうしてもあいつのことが頭から……離れないの……」
美琴は実験が頓挫してからずっとツナの姿が頭から離れないでいた。
「あいつの口から佐天さんの名前が出た時……私、すっごく嫌な気持ちになった……」
前にツナと電話で話しツナの口から佐天の名前が出ただけで嫌な気持ちになったのを美琴は思い出す。
「佐天さんの為に私は沢田のことを忘れようとした……けど全然、忘れなくて……むしろ苦しかった……」
佐天の幸せの為に美琴はツナへの想いを押し殺した。しかしそれは自分自身を苦しめるだけだった。
「友達に嫉妬するなんて最低だと思ってる。それでも……それでも私は……!!」
美琴は徐々に顔を赤くする。そんな美琴を佐天は黙ったまま見守っていた。
「それでも私は誰にもあいつを渡したくないって思ったの!! 自分以外の女の子を見ないで欲しいって思った!! 私だけを見ていて欲しいって思ったの!!」
美琴は顔を真っ赤にしながら自分自身の本当の気持ちを気持ちをおもいっきり叫んだ。
「伝わったわ。御坂の覚悟」
「い、いや……!!私はその……!!」
「私と一緒に強くなりましょう御坂」
「え……!?」
「だってツナを想う気持ちは同じ。ツナのことを好きだってことはツナを失いたくない。御坂だってそう思ってるんでしょう?」
「それは……」
「ツナを失いたくないならまず強くならなきゃ…ツナを越える強さを手にしなきゃツナを失っちゃう。だったら私と一緒に高め合いましょう。一緒にあの人を越えるわよ」
「佐天さん……」
そう言うと佐天は美琴に右手を突き出して宣言した。自分とは違い落ち込んで後ろ向きになるどころか、どこまでも前向きな佐天を見て美琴は驚いていた。
「ありがとう佐天さん」
佐天の言葉を聞いて美琴は自分の内にあった蟠りが取れていくのを感じていた。そして美琴は戦闘態勢を取った。
恋する乙女の決戦。果たして!?
日常篇なのにシリアスになってすいません。
高評価を下さった明太子が好きなスクランブルエッグさん。ありがとうございます!
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