時は遡り。佐天が美琴と戦った後の出来事。
「負けちゃった……やっぱり強いなー御坂さん……」
美琴の
「そうがっかりすんな佐天。たった1ヵ月で
「それはわかってるんだけどさー……」
がっかりしてる佐天にリボーンは励ましの言葉をかける。この短期間で美琴と渡り合えるようになったのがどれ程、凄いことなのかは理解してはいる。しかしそれでも悔しいのである。
「お前の成長は俺でも未知数だ。まだまだこれから伸びる。だからその悔しさをバネにしてより高みを目指せ。ツナを越えてんだろ?」
「うんっ!」
リボーンの言葉を聞いて笑顔でそう答えた。佐天の笑顔を見てリボーンは口元を緩ませる。
「んじゃ。まずはお前がツナを越える為の力を手に入れに行くぞ」
「手に入れる?」
「そろそろお前にも
「ボックスアニマルって……ツナさんのナッツみたいな動物のこと?」
「そうだぞ。ちょっと前に俺がボンゴレに要請しといたんだ。それが今日、日本に届いてる。だから今から行くぞ」
「わ、私の為に用意してくれたの?」
「当たり前だろ。お前は俺の生徒なんだからな。生徒の為ならこれくらい当然のことだぞ」
「ありがとうリボーン君」
何から何まで自分の為に力を貸してくれるリボーンに佐天はお礼を言った。
そして佐天はリボーンの案内に従って付いて行く。
「ここだぞ」
「ここ?」
やって来たのは森に囲まれた一件の日本家屋だった。2人がいるのは家屋の庭であり、庭には小さな池とししおどしがあった。
「というか何でこんな山奥なの? ツナさんの家に届けてもらうようにした方がいいんじゃないの?」
「お前の今、持ってるリングと今から貰うリングを1つにするんだ。ボンゴレ専属の彫金師にな」
「ちょうきん……?」
「金属を加工してアクセサリーを作る職人のことだ」
「成る程……」
「んじゃ入るぞ」
2人は靴を脱ぐと縁側から家屋に入る。そして目の前にある襖を開けた。
「ほう。来たか」
2人が襖に入ると畳の部屋が広がっていた。そこには黒い目隠しに全身にマントを纏った老人が座布団の上に座っていた。
「代理戦争以来じゃのうアルコバレーノ。その娘がお主が言っておった奴か?」
「ああ。俺の生徒の佐天だ」
「そうか」
(一体、誰だろう? このお爺ちゃん……)
ツナの記憶を見ていた佐天であったが佐天が見たツナの記憶の中にこの老人は出てきていなかった為、この老人が何者なのかわからないでいた。
「紹介するぞ佐天。こいつの名はタルボ。ボンゴレファミリーに仕える最古の彫金師だ。めったに姿を見せない仙人みたいな爺さんでな。
「そ、それってボンゴレの創設期から仕えてってこと!?」
「そういうことだぞ。まぁ噂だがな」
「ほ、本当にそうなんですか!?」
「アルコバレーノの言う通りじゃ。わしはボンゴレの創設期から仕えておる」
「も、もしかしてバミューダとかチェッカーフェイスみたいな特殊な人間だったりとか……?」
「あの2人を知っておるのか。最初に言うておくがわしは奴らみたいな特殊な人間ではないぞ。わしは普通の人間じゃ」
「し、失礼ですが……おいくつ何ですか……?」
「140は越えていたと思うんじゃが……もう正確な歳なんぞ忘れてしもうたわい」
(人間って……そんなに生きられるんだっけ……?)
特殊な人間ではなく普通の人間の身でありながら人知を越えているタルボの存在に佐天は驚きを隠せないでいた。
「さて作業に入る前にまずはお主のリングを貸して貰おうか」
「は、はい!」
佐天は指に装着している2つのリングを外してタルボに渡した。
「ほう……これはチェッカーフェイスが作ったリングか……どおりでいいリングのはずじゃわい」
「え!? チェッカーフェイスが!?」
「なんじゃ。知らんかったのか」
「い、いや……チェッカーフェイスはリボーン君の話に出てきたから知ってるだけで……会ったことは……」
「お前はすでにチェッカーフェイスに会ってるぞ」
「え!? いつ!?」
「お前が修行の第1段階をクリアした時にラーメン屋で川平って男と出会っただろ。あいつがチェッカーフェイスだ」
「あの人が!?」
ラーメン屋にいたどこにでもいそうなあの男がチェッカーフェイスだと知って佐天は驚きの声を上げる。そしてこれらのリングはリボーン君が用意したものじゃないということを理解する。
「ほう……あのボンゴレの小僧に追い付く為に異世界からこっちの世界に来て修行しておるのか……」
「な、何でそのことを!?」
「優れたリングには魂が宿る。魂があれば感じるところもある。その声を聞いてやるのがわしの生業じゃ」
「つまりリングと話ができるってことですか……?」
「まぁそんなところじゃ。それだけじゃない。お主の性格や、お前があのボンゴレの小僧に憧れてるだけでなく特別な感情を抱いているともリングは言っておるぞ」
「っ!?」
ツナに好意を抱いているということまでタルボに知られてしまい佐天は顔を赤くしていた。
「しかしお主は似とるのう。ダニエラの奴に」
「ダニエラ?」
「ボンゴレ
「ボンゴレファミリーの8代目?」
「ダニエラ。ボンゴレファミリーの歴史の中で唯一の女のボスだ」
「え!? 女性のボスがいたの!?」
ボンゴレの歴代のボスの中に女性のボスがいたということに驚きを隠せないでいた。
「そのダニエラさんと私がどんな所が似ているんですか?」
「ダニエラはのう。そりゃあもう手がつけられんようなお転婆娘じゃった」
「お転婆……」
いいところを言うのかと思いきや、そうではなかったので佐天は複雑な気持ちになってしまっていた。しかし自分もお転婆な部分があることを自覚しているのかそれ以上、何も言うことはなかった。
「しかし戦いとなれば部下の前に立ち、ギリシア神話のアテナのように勇敢じゃった」
「8代目はボンゴレの歴代のボスの中で特に名を残した3人のボスの1人でもあるんだぞ」
「凄い……」
女性でありながらとても勇敢で、特に後世まで名を残した人物だと知って佐天はダニエラが凄い人物なのだということを理解する。
「そしてダニエラは初代のファンでもあった」
「初代のファン……」
8代目が初代のファンと聞いて佐天は少しだけ親近感を覚える。初代はツナの祖先でありツナと同じ武器で戦い、ツナと同じ志を持った人物なのだから。
「さて……そろそろ作業に移るか。悪いが集中したいから部屋から出ててくれるかのう」
「え!? ここでできるんですか!?」
「わしを誰じゃと思うとる。道具さえあれば場所など選ばん」
タルボがそう言うと2人は部屋を出て、縁側に座ってリングが完成するのを待つことにする。
縁側
「ボンゴレって凄い人がいっぱいいるんだね」
「まぁな。タルボは俺たちアルコバレーノを救った男だからな」
「どういうこと? 救ったのはツナさんでしょ?」
「ツナは俺たちアルコバレーノが犠牲ならずともいい方法を思いついた。そして自分の考えを成功させる為にツナから相談を受けたタルボは俺たちアルコバレーノが犠牲にならずとも
「す、凄い……」
タルボがリボーンたちアルコバレーノの救った男だということを知ってタルボの凄い人物なんだということを理解する。
「さらにあいつはボンゴレの危機をも救ったしな」
「ボンゴレの危機?」
「2年前にボンゴレのボスの座をツナに継承する為に継承式があったんだが継承式の途中で襲撃が起きたことがあってな」
「継承式って……ツナさんが参加したの……!?」
ボンゴレを継ぐことを嫌がっているツナがボンゴレのボスの座を継ぐ為の式典に参加していたという事実に驚きを隠せないでいた。
「ツナは最初はボンゴレのボスを継承することを拒んだ。だから継承式は本来なら開催されるはずはなかったんだがある事件が起こってな」
「事件?」
「継承式の数日前に山本が何者かに襲われたんだ。生死を彷徨う程のな」
「山本さんが……!?」
自分の師である山本がそんな大変なことになっていたと知って佐天は驚きを隠せないでいた。
「その事件で敵が継承式に参加するファミリーだということを俺たちは突き止めた。ツナは犯人を捜す為に継承式に参加したんだ。そして俺たちの読み通り犯人は襲撃してきた」
「一体、誰なの? その犯人って?」
「古里炎真率いるシモンファミリーだ」
「炎真さんが!?」
「ああ。つっても前に言った通り
「
「だが炎真は強かった。ツナたちは炎真1人に手も足も出ず一方的にやられた上にクロームまで拐われた」
「そ、そんなことが……!?」
佐天は信じられなかった。ツナたちが手も足もでなかったこと。炎真がそこまで強い人物だということに。
「さらにボンゴレの至宝であるボンゴレリングを破壊されて俺たちはどうすることもできずにいた。だがそんな時に現れたのがタルボだった。タルボは壊れたボンゴレリングを修復し、さらに強化したボンゴレギアを作り出し、シモンファミリーへの対抗する力を作り上げたんだ」
「そこまで……」
アルコバレーノの運命、ボンゴレの危機。これらを救ったタルボの存在に驚きを隠せないでいた。
「わしは大したことなどしておらん。わしは手助けをしただけに過ぎん」
「完成したのか」
「え!? もう!?」
タルボの経歴を聞いていると襖が開き、タルボが現れる。このタイミングで現れたことからリボーンはリングが完成したのだと理解する。佐天はこの短時間で作業が終わったことに驚きを隠せないでいた。
「これがお主のリングじゃ」
「これが……」
タルボは閉じていた右手を開いて出来上がったリングを佐天に見せた。何の変哲もない銀色のリングが黄色と青色のリングに変化していた。晴のリングとセンターストーンの部分には615。雨のリングの方には310という数字が刻まれていた。
「新機能もつけておいたからのう」
「新機能?」
「口で言うよりも実際に試した方が早い。試してみろ」
「は、はい!」
佐天はタルボからリングを受け取るとリングを装着する。そして靴を履いて庭に出るとリングに炎を灯す。そしてリングが輝き始めるのだった。
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