ついにツナは海原と対峙する。
「いつの間に……」
「俺のスピードを甘く見るな」
海原がツナに追いつくまでにそこまでの時間はかからなかった。故に鉄骨の上に登るまでの時間はないに等しい。しかし自分がここにたどり着く前にツナは鉄骨の上に登っていた。
(彼は明らかに
海原はツナのことを冷静に分析する。そして黒曜石のナイフをゆっくりと天にかざした。
「っ!?」
するとツナの
(仕掛けるなら早い内に!)
ツナが強い人物だと理解している海原は短期決戦でツナを倒すことを決め、ツナが落下した瞬間を狙う為に走り出した。
(もらった!)
落下しているツナに向かって海原は黒曜石のナイフを突き出した。
が、
「ゴハッ!?」
ツナの姿が一瞬にして消え、海原は背中に蹴りを喰らわされていた。ツナの蹴りによって海原は吹き飛んでしまい、鉄骨に激突してしまう。
(な、何だ……!? 今のは……!?)
自分は確実にツナを捕えていた。しかしツナの姿が消えたと思った同時にすでに蹴り飛ばされ体に痛みが走っていた。
「くっ!」
だがツナの力を分析する暇もない為、海原は黒曜石のナイフを傾けた。今度はツナの真上にある鉄骨を止めていたボルトが外れて、ツナの頭上から鉄骨が落下していく。ツナは慌てることなく右手の掌を上に向け、炎の壁を展開して鉄骨を弾き飛ばした。
(炎で弾いた……!?)
死ぬ気の炎は普通の炎とは違い、炎自体が破壊力を持った超圧縮エネルギー。故に防御にも向いている。そのことを知らない海原は炎で鉄骨を弾いたことに驚きを隠せないでいた。
「ナイフで反射した見えない何かで攻撃しているようだな。だが一番、最初の攻撃が俺に当たらなかったところを見る限り、お前自身も反射した何かが見えていないようだな」
(たった2度の攻撃でそこまで見抜くとは……)
海原はこの短期間で自分の能力と弱点を見抜いたツナの洞察力に驚いた。
「それと攻撃に移る際の体の動きが能力者と違う。どうやらその力は
「っ!?」
能力者が能力を使うには演算が必要不可欠。だが能力者が演算する時の予兆と海原の使う際の予兆が違うことをツナは超直感で見抜いていた。故に海原の力が超能力とは別の力だということを理解していた。
「科学に染まったこの学園都市で超能力以外の力に気づくだけでなく、その存在を即座に信じることができるとは……恐ろしい方だ」
まさかここまで見抜かれるとは思っていなかったのか海原は驚きを通り越してむしろ笑ってしまっていた。
「殺しなさい。自分にはもう勝ち目はない。こんなことをした以上、御坂さんに拒絶されるのは目に見えています。そうなるぐらいなら死を選びます」
ツナに手を出したと美琴に知られれば自分は美琴と普通に話すことすらできなくなる。そうなるぐらいであれば死んだ方がマシだと海原は判断した。
「俺にそんなことはできない」
だがツナは振り返り海原の申し出を断った。だがそれを見た海原は口元を緩ませる。
(その甘さは命取りですよ……)
ツナがそんなことができないとわかっていた海原は黒曜石のナイフの標準をツナの方に向けた。
(終わりです……)
今、ツナは目の前にいる上に完全に油断している。これなら不可視の攻撃でも当てることができる。海原は勝利を確信する。
「ナッツ」
「ガウ」
(な、何だ……!?)
するとツナは振り向くことなくナッツを出した。急にどこからともなくナッツが登場した為、海原は驚きを隠せないでいた。
「GURURU……GAOOOOO!!」
ナッツは海原に向かっておもいっきり雄叫びを上げると炎が周囲に飛び散る。海原は腕を咄嗟にクロスさせて防御体制を取った。
「?」
だが海原の体のどこにも異常はなかった。海原は今のが何だったのかわからず困惑していた。
「終わりだ」
「何のつもりですか? こんなこけおどしで勝ったつもりですか?」
「お前の武器を見てみるんだな」
「何を……なっ!?」
ツナに言われて海原は右手に握られている黒曜石のナイフを見た。そして海原は衝撃を受ける。なぜなら黒曜石のナイフが石化していたのだから。
「石化……!? 一体、どうなって……!?」
「ナッツは俺の炎と同じ特徴を持った相棒だ」
「特徴?」
「俺の炎の特徴は調和。さっきのナッツの咆哮でお前のナイフを鉄骨と同じにして無力化した」
(調和による石化だと……!?)
黒曜石のナイフが石化した理由を知って海原は衝撃を隠せないでいた。
「クソッ!!」
海原は石化した黒曜石のナイフをツナに向かって投げつけた。ツナはその場から一歩も動くことなく顔を少し傾けた状態でナイフを躱した。そして海原はツナに向かって拳を振るった。
が、
「無駄だ。そんな弱い心では死ぬ気の俺は倒せない」
ツナは左手の掌で海原の拳をなんなく受け止めた。海原は焦りの表情を浮かべていた。そこから海原は何度も拳を繰り出していくが全て躱されていく。
「終わりだ」
「ゴハッ!?」
ツナは海原の拳を躱した後に運命の右手首を掴んだ。そして海原の顔面に拳を叩き込んだ。海原はおもいっきり鉄骨にぶつかり背中を強打した。
「それが本物のお前か」
すると海原の顔が時間差で溶解液を浴びたかのように溶けていく。そして褐色の青年が姿を現した。
ついにエツァリ登場です。
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