一方、その頃。
「逃げんじゃないわよ! 戦いなさいよー!」
「不幸だー!」
当麻こと上条当麻は美琴の雷撃から絶賛、逃走中であった。実は美琴の言っていたあいつというのは当麻のことなのである。当麻は今までにも美琴に何度も勝負を挑まれていたが戦う気がなかった為、ずっと逃げていたのだがいい加減うんざりしていた為、美琴と戦うことを決めた。勝負の結果は当麻の勝ちといっても過言ではなかったが、当麻はまた美琴に勝負を挑まれるのが嫌だった為やられたフリをした。だが美琴は当麻がやられたフリをしたことに気づいていた。
「いい加減にしろー!」
「くっ!」
美琴は右手から雷撃を放つ。当麻は振り返って右手を前に出したまま立ち止まる。当麻は右手であらゆる異能を無効化できるという能力を持っている。美琴に勝負を挑まれ続けるのは過去に美琴の雷撃を右手で無効化したからなのである。
「ナッツ。
「「っ!?」」
美琴の雷撃が当麻に迫っていく。だが美琴の雷撃と当麻の間にマントを纏ったツナが割って入り、美琴の雷撃を防いだ。
「大丈夫……お前は……!?」
「お前……!?」
ツナが振り返ると、ツナの視界に映っていたのは以前、出会った当麻だった。まさか襲われていたのが当麻だったことにツナは驚きを隠せず、当麻と前に会った時と雰囲気が違うツナに驚きを隠せずにいた。
「ていうか頭! 頭! 燃えてる! 水! 水!」
「これは大丈夫だ。気にするな」
「気にするなって……」
ツナの額が燃えていることに当麻は驚きの声を上げ慌てて水を探す。
「それより何でお前が美琴に……?」
「ビリビリと知り合いなのかお前!」
「まぁな。それより何でお前が美琴に? 何かしたのか?」
「してねぇよ。ただあいつの攻撃を無力化したら勝負を挑まれるようになったんだよ。いつもは逃げてたんだけど、いい加減めんどくさくなったから決着しようと思って……」
「お前もか……」
「え!? お前も!?」
まさか自分以外にも美琴の被害者がいるということを知って、二人は驚きを隠せないでいた。
「昨日、弱みを握られて無理やり勝負させられた……」
「マジか……あれ? 沢田ってレベル0って前に……」
「ちょっと! 何、私を無視して話してるのよ!」
自分を差し置いて喋っている二人に痺れを切らしたのか、美琴は怒りを露にする。
「それより沢田! 何で邪魔するのよ!」
「友達が襲われてるのを放っておけるわけないだろ。それに俺のような被害者をこれ以上、出すわけにはいかないからな」
「被害者って言わなくていいでしょ!」
「じゃあ犠牲者か?」
「ああ言えばこういうわねあんたは……!?」
口数の減らないツナに美琴は青筋を浮かべ、怒りを露にする。
「まぁいいわ! 昨日のリベンジよ! 勝負しなさい!」
「約束を忘れたのか? 昨日、俺はお前に勝った。俺が勝ったらもう勝負を挑むなと約束したはずだ」
「私は参ったなんて一言も言ってないわよ!」
(沢田がビリビリに!? こいつそんなに強いのか!?)
美琴の言葉を聞いてツナはため息をついた。しかし美琴の言う通り、美琴は負けを認める前に寮監に気絶させられてしまった為、ツナは何も言えなかった。一方でツナが美琴に勝ったと聞いて当麻は驚きを隠せずにいた。
「この際だからはっきり言わせてもらう。お前程度の力じゃ俺には勝てない。諦めろ」
「何ですって!?」
「能力の多様性。攻撃力。そして体術に剣術。お前はどれも優れている。それでも俺からすれば大したことはないがな」
そう言うツナの脳裏には未来で戦った幻騎士の姿が浮かんでいた。幻騎士は幻覚だけでなく体術も剣術も美琴とは比べものにならないぐらい鋭く重かった。
「だがお前が俺に勝てない要因はそれだけじゃない。自分がレベル5だという驕り、そして相手の強さも自分の弱さも認めないことだ。そんなんじゃ死ぬ気の俺は倒せない」
「さっきから私のことを見下して……!? 何様のつもりよ!」
「俺は事実を言ったまでだ。それにお前には俺と同じようになって欲しくなかっただけだ」
ツナの言葉に美琴は怒りを露にする。ツナは代理戦争の時に父親である家光と戦った時のことを思い出していた。あの時の自分は美琴と同じで自分の能力に甘え、自分の弱さも家光のことも認めておらず全然歯が立たなかった。だが呪解したリボーンの指導のお陰でツナは家光のことを認めることができ、強くなることができた。
「とにかく俺はお前ともう勝負する気もない。それと当麻に勝負を挑むのも止めろ」
「何であんたの言うことを聞かなきゃならないのよ! 私は何が何でも勝負するわよ!」
「仕方がないな……使いたくはなかったが、こうなったら奥の手を使うしかないな……」
「奥の手?」
「寮監にこのことを報告する」
「な……!?」
寮監という単語を聞いた途端、美琴は顔色を悪くする。
「な、何よ……!? そ、そんな脅しで私が……!?」
「お前が気絶させられた後、言われたんだ。もし美琴が迷惑をかけるようなら言ってくれと。その時はみっちりと罰を下すってな。まぁ信じるも信じないのもお前の勝手だが、あの寮監がこのことを聞いたらどうなるかはお前が一番よく知ってるはずだろ」
「……」
美琴は強がってはいるものの、やっぱり寮監の存在が恐ろしいのか動揺してしまっていた。ツナが前に寮監が言ってことを伝えると、美琴は青ざめたまま黙ってしまう。
(今だ!)
ツナは美琴に隙ができたことを確認すると、ツナは当麻の右手を掴む。
「しっかり捕まってろ」
「え!? な、何を……うぉおおお!」
ツナは左手の炎を逆噴射させて一気に空を飛んだ。当麻はまさか空を飛ぶとは思ってもみなかった為、当麻は驚きの声を上げる。
「あっ! ちょっ! 待ちなさいよ!」
美琴の制止も聞かずツナは当麻を連れて飛んで行ってしまう。
こうしてツナと当麻は妙な再会を果たすのだった。
前にも言いましたけど、全然レベルアッパーの話ができない…本当は佐天とのデート回でツナとレベルアッパーの能力者が戦う話をやろうと思っていたのですが、ボツにしました。なんかデート回に水をさすのもアレだったんで…
高評価を下さったカイリ21さん、ディミオスカイザーさんありがとうございます!
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