パトロール最中、学舎の園に帰れず迷子になっている常盤台中学の生徒。雅王院司を学舎の園まで案内することになってしまったツナ。
「申し訳ございません……お時間を奪うようなことになってしまって……」
「気にしないで下さい。丁度、パトロール中だったので」
「パトロール? もしかして
「正確に言うと協力者なんです」
そう言うとツナはポケットに入っているスマホを取り出す。そしてスマホの中に入っている
「成る程。それで腕章をしていないのですね」
司は興味津々な様子でカードを見ると同時にツナが腕章をしていない理由を納得する。
(にしても司って今まで見て来た常盤台の生徒の中でも一番、お嬢様らしいよな)
ツナは興味津々な様子でカードを見ている司を見てそんなことを思っていた。
「どうかされましたか?」
「あ……いや……俺より年下なのに俺より大人っぽいよなって思って……」
「これはこれは。お褒め頂き至極光栄です。ですが年上なのでしたら敬語でなく普通に話して頂いて構いませんよ。私からすれば沢田さんは人生の先輩なのですから」
(発言がすでに俺より大人なんだけど……)
司の言葉を聞いて余計に普通に話しづらくなってしまったツナであったが、それでもなんとか普通に話すことを決意した。
「え、えっと……そもそも司は何で迷っていたの……?」
「実は学舎の園の外に用がございまして。いつはお付きのメイドがいるのでサポートしてもらっているのですが今日は有給を取っておりまして。しかも私としたことが携帯を寮に置き忘れてしまったものでGPSも使うことができず」
「それで……」
「それにしても情けがありません。派閥の長たる私がこんな体たらくでは派閥員に示しがつきませんね」
「派閥?」
「常盤台には特定の目的や意思の元に集まった人々が形成する集団、組織があるのです。それが派閥なのです」
「へー。そんなのがあるんだ。じゃあ司って凄いんだね」
「大したことはありません。私などまだまだ未熟者です」
ツナに褒められてもなお司は慢心することなく自分を戒めるかのような発言をした。
「派閥か……じゃあ美琴も入ってるのかな?」
「おや? 御坂様のことをご存知で?」
「うん。友達だから」
「そうでしたか。ですが御坂様は派閥に入られてはいませんよ。常盤台の生徒は派閥に入っている方の割合は多いのですが派閥に入る入らないは個人の自由ですので。まぁ私個人としては御坂様は派閥に入らない方がいいと思いますが」
「え? 何で?」
「派閥に属すれば組織的なバックアップを受け入れられ、特に派閥の創設者ともなれば並みではない名声を得ることができるのです。そして最大派閥を1年以上かつ卒業まで得られた方は
「そ、そんなに!?」
ただ集まってワイワイ楽しくやるサークルぐらいの感情だと思っていたツナであったが、まさか派閥がそこまで凄いのものだとは微塵も思っていなかった為、驚きの声を上げた。
「ちなみに現在の常盤台の最大派閥は
「え!? 操折が!?」
「もしかして食蜂さんともご友人で?」
「どうだろう。ちょっと話したことがある程度だから微妙なところかな?」
「そうでしたか」
「それで何で美琴に派閥に入らない方がいいの?」
「先程、申し上げた通り最大派閥になれば出世コースが約束されます。ですがそれ故に対立もございまして。過去には負傷者が出る程の事態になったこともあるんです」
「そこまで……」
負傷者が出る程の事態があったと知ってツナはとても悲しい気持ちになってしまっていた。
「もし御坂様……
「でもおかしいよ……名声だとか出世だとか……そんなものの為に人を傷つけるなんて……」
「その通りです。いかなる理由があろうとも人を傷つけていい理由にはなりません。第一、名誉や名声の為に平気で人を傷つけられるような人間が出世したとして、そのような者が描く未来などたかが知れています」
どんな時でも利益よりも仲間のことを何よりも大事にするツナにとって、利益の為に人を傷つけたということことに対して憤りを覚えていた。司もツナと同じ気持ちであった。
「とはいえ全員が全員がそのような思考を持ち合わせている訳ではありません。派閥に属し切磋琢磨している者もいれば、青春の1ページを刻む者と理由は様々。その者たちを見るだけでとても尊い……」
「とうとい……?」
司は両手を組み合わせ祈りを捧げるようなポーズでそう言った。ツナは司の言っている意味がわからず疑問符を浮かべる。
「あまりの素晴らしさ昇天してしまいそうになることです。私は常盤台中学の少女たちがひた向きに何かに打ち込む姿を見る度に昇天しそうになるのです」
「そ、そうなんだ……」
「ああ……できることなら私自身が後者の天井になって少女たちの尊い姿を見守り続けたい。そう……私は常盤台になりたい……」
(常盤台になりたいってどういうこと!?)
礼儀正しくしっかり者のだと思っていた司が実は変人だということを知ってツナは驚きを隠せないでいた。
「しかし夏休みに学舎の園に侵入者が現れるという前代未聞の事件が発生。あろうことか多くの常盤台の生徒が拐われるという事態に。派閥員と遠征に出ていた私たちは難を逃れましたが遠征から帰ってから事件のことを聞いた時、私は怒りに燃えました。もしその場に居合わせたのであれば私が犯人を見つけてとっちめてやりましたのに!」
(よ、よかった……遠征に出ててくれて……)
学生誘拐事件の首謀者は自分たちの世界の人間が起こしたものであり、ヘルリングで強化されたエスカは美琴ですら相手にならなかった。もし司が常盤台に居ればエスカに確実に拐われていた。ツナは司が遠征に出ていてくれて本当に良かったと思っていた。
「しかし最近は別の問題がございまして」
「別の問題?」
「実は最近、常盤台に困ったちゃんが現れまして」
「困ったちゃん?」
「はい。黒いスーツに黒い帽子。胸に黄色いおしゃぶりを携えた奇妙な赤ちゃんがなぜか常盤台に現れまして」
(絶対にリボーンだーーーー!!)
司の言う困ったちゃんの特徴を聞いて、ツナは困ったちゃんの正体がリボーンであるということを確信した。
(というかどうやって入ったんだよあいつ!!)
常盤台中学は学園都市の中でもトップクラスのセキュリティを誇っている。そんな常盤台に当たり前のようにリボーンが侵入していることにツナは驚きを隠せないでいた。
「学舎の園は尊い関係に満ちた花園。たとえ相手が赤ちゃんとはいえ乙女の楽園に侵入するなどと言語道断。何より生徒会副会長として見逃す訳にはいきません」
「え!? 生徒会副会長もやってるの!?」
司が派閥の長だけでなく生徒会副会長もやっていることに知ってツナは驚きを声を上げた。
「私は何度も捕まえようと試みたのですが……どういう訳か全く捕まえることが叶わず……」
(そりゃそうだよなー……)
リボーンが世界最強の
「ですが他の方々はその赤ちゃんを可愛がっておりまして。その姿が尊くて……捕まえないといけないのは頭ではわかっているのですが体が少女たちの尊い姿を求めてしまって……」
(ダメだこの人ーーー!!)
生徒会副会長としてリボーンを捕まえないといけない立場であるのにも関わらず、司は自身の欲望を優先してしまっていた。そんな司を見てツナは救いようがないということを確信してしまっていた。
「あ。見えて来ましたよ」
「ああ……帰って来ましたわ……
「よ、よかったね……」
山奥で何日も遭難しなんとか生還したかのような発言をする司を見てツナは若干、引きつつもそう言った。
「ここまででいいですよ。学舎の園はもう見えていますから」
数十メートルまで来ていた為、もう迷うことはないので司はツナにそう言った。
「本日は私の為にありがとうございました。このご恩は一生、忘れません」
「いや! ただ道案内しただけだから!」
ただ道を案内しただけであるのにも関わらず、司が大袈裟な発言をした為、ツナは驚いてしまっていた。
「それではごきげんよう」
司は両膝を少しだけ曲げ、左足を後ろに下げる。そして両手の人指し指と親指でスカートの裾を少しだけ持ち上げながらそう言うと司は学舎の園へと向かっていく。
が、
「ちょっ!? 司!? どこ行ってるの!?」
真っ直ぐ行かなければならないのに、なぜか司は右側へ行ってしまっていた。
結局、この後ツナは司を学舎の園の入り口まで案内する羽目にになったのだった。
とある科学の
後、これだけ言わせて下さい。司もいいけど
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