今回から
それでは本編をお楽しみ下さい!
操折から木原幻生を倒す為の計画を聞かされてから4日後。9月13日。
美琴の住んでいる常盤台中学の寮。
「ということがあったのよー」
『へー。そんなことがあったんだ』
美琴はベッドの上で携帯を片手に話していた。話し相手はツナであった。
(お姉様……また沢田さんと……)
携帯でツナと楽しそうに会話する美琴を見て、黒子は面白くなさそうな
(私だって……)
ツナと楽しそうに会話している美琴であったが、内心ではある決意していたのだった。
時は遡る。ツナとリボーンが操折から木原幻生を倒す計画を聞かされていた時に遡る。
「それで私に相談って何? 佐天さん?」
放課後。美琴は佐天に相談したいことがあるという連絡を受けてファミレスにいた。
「実は……」
佐天は昨日の出来事について語る。広域社会見学に行っている間に自分に秘密で勝手にリボーンが春上と衿衣を連れ込んでいたこと。春上がツナのことが好きだということを。
(あいつ……!!)
同じくツナに好意を抱いている美琴はリボーンのしでかしたことに怒りを覚え右手を強く握り締めていた。
「春上さんってとってもおしとやかで可愛いんですよね。ツナさんってああいう子がタイプだと思うし」
(た、確かに……)
佐天の言葉に美琴は何も言い返すことができなかった。温厚で平和主義者のツナであれば春上のような護ってあげたくなるような子がタイプだということはすぐに理解できた。
「正直、春上さんって私たちにとって脅威だと思うんですよねー」
「脅威って……そんな大袈裟な……」
「大袈裟でもないですよ!! 春上さんにツナさんを取られてもいいんですか!?」
「ぶっ!!」
佐天が大きな声で変なことを言い出した為、美琴は顔を真っ赤にしながら吹いてしまう。
「な、何を言ってるの !? べ、別に私はあいつのことなんて……!?」
「好きじゃないんですか?」
「え……!?」
否定しようと思った美琴。しかし佐天に真顔で尋ねられてしまったので美琴は驚いてまう。
「前に戦った時に言った言葉は嘘だったんですか?」
「そ、それは……!!」
『それでも私は誰にもあいつを渡したくないって思ったの!! 自分以外の女の子を見ないで欲しいって思った!! 私だけを見ていて欲しいって思ったの!!』
誤魔化すこともできない雰囲気になった美琴は顔を赤くすると同時に夏休みに佐天に対してツナへの想いを言い放った時の言葉が脳内で再生されていた。
「う、嘘じゃないです……!!」
「素直でよろしい」
「っ!?」
消え入りそうな声でツナへの想いを正直に暴露する美琴。そんな美琴を見て佐天は笑顔でそう答えた。美琴は真っ赤になった顔を覆った状態で悶えていた。
「あーあ。私も京子さんみたいな女子力があったらなー」
「きょうこ?」
「ツナさんの好きだった人です」
「沢田の好きだった人……」
『俺も中学の時に好きな女の子がいたんだ。もうフラれちゃったけどさ』
常盤台狩りの事件の歳に重福との会話の際に言っていたことを美琴は思い出す。
「京子さんっておしとやかで優しくて笑顔の素敵で女子力も滅茶苦茶高いんですよ。春上さんも京子さんと似てる部分があるから春上さんってツナさんの理想の女性だと思うんですよねー」
「そ、そんなに凄いの……? 京子って人……?」
「ええ……そりゃあもう……正直、常盤台中学の人でも京子さんに勝てないと思いますよ……」
佐天は京子と会った時のことを思い出すと同時に悲観する。一目会っただけで女子力の化け物だとわかる京子の魅力を。自分とは比べ物にならない。まさに月とすっぽんであるということを。
(そういえばリボーンが言ってたわよね……)
『ツナは超がつくお嬢様学校の生徒よりもどこにでもいるような普通の女の方がタイプだからな』
美琴は夏休みにリボーンが自分に対して言った言葉を思い出す。自分の本心を引き出す為にわざと言ったことではあるが事実であるということを美琴は理解していた。
(だったら私は……)
場面は戻り美琴の寮
(まずはあいつに私のことを意識してもらう!)
佐天との会話で美琴はまずは自分の意識を向けさせることを決めた。その為に美琴はここ数日、ツナに電話して何の変哲もない会話をすることにしたのである。
美琴の行動に最初は違和感を覚えたツナであったが、すぐに違和感は無くなり美琴との会話を楽しみ始めた。
「そろそろ消灯時間だから切るわね」
『うん。じゃあ
「うん。
お互いに別れの言葉を告げるとツナの方から電話を切る。美琴は完全に電話が切れたのを見計らって通話終了のボタンを押した。
(また明日か……)
美琴はツナがまた明日と言ってくれた為、嬉しい気持ちになると同時に顔がニヤついていた。
「よっぽど嬉しかったみたいですわね。そんなに顔がニヤついていますわよ。お姉様」
「は、はぁ!? ニヤついてなんかないわよ!?」
嬉しそうな
「最近、沢田さんと電話で話すようになりましたわね。一体、どういった心境ですの?」
「たまたまよ!! たまたま!!」
「話していることは重要な話ではなく何の変哲もないもの。別に沢田さんはなく私でもいいと思うのですが」
「いつも欲情して抱きついて来るあんたじゃ話にならないのよ」
「だったら佐天さんでもいいのでは?」
「あー!! もう!! 私が誰と喋ろうと勝手でしょ!! ほら!! さっさと寝るわよ!!」
これ以上は分が悪いと思ったのか美琴は話を強引に打ち切り、布団を被ってベットで横になる。
(とっくにわかっていたはずの……お姉様が沢田さんに特別の感情を抱いていることは)
『佐天が惚れた男にお前も惚れたのはいいが、佐天の幸せを邪魔できない。そんなところか』
黒子は思い出す。夏休みの下旬。リボーンの口から美琴がツナのことを異性として好きだということを伝えられたことを。そして今、ツナを自分のものにする為に本格的に動き出したということを理解していた。
(確かに沢田さんは善人……多くの人々を……私自身も助けられてきましたの……)
ツナが学園都市にやって来てから2ヵ月弱。黒子の脳裏にはツナによって救われた者たちの姿が浮かんでいた。黒子自身もツナがどこまでも優しい人格の持ち主であるということも理解している。それどころかツナに対して敬意すら表している。
(ですが気に入らないんですの……)
黒子は美琴に対して敬意だけでなく恋愛感情を抱いている。それは冗談でも何でもなく美琴と結ばれる為なら美琴へのアプローチは欠かさず、どんな障害だろうと乗り越える覚悟だってある。それ故にツナがどれだけ善人であろうとも美琴がツナに好意を抱いているという状況がどうしても気に入らないのである。
(お姉様は私のものですの!!)
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