とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)256 窃盗と唖然

 

 

 

 

 初春の連絡を受けて支部へ戻る黒子。

 

「ただいま戻りましたの」

 

「すいません。急に呼んじゃって。って何かあったんですか白井さん?」

 

「別に。何でもありませんわ。それよりも事件の概要を説明してもらえますの?」

 

「は、はい……」

 

 パトロールに出る前よりも機嫌が悪くなっていることに気づいた初春であったが、黒子はさらっと受け流す。これ以上は聞かない方がいいと判断したのか初春はパソコンを操作し始める。

 

「まず最初にこれを見て欲しいんです」

 

 初春がパソコンの画面を指を指す。画面に映し出されていたのはスーツに身を纏った男たちが車に乗っていた者たちを襲撃している光景だった。そして襲撃犯の1人が車のトランクを開けて旅行用のキャリーケースを盗み出す。そして襲撃犯たちはキャリーケースを持って逃走し始める。

 

「ただの窃盗事件じゃないですか。一体、これのどこが妙なんですの?」

 

「これを見て下さい」

 

 初春はパソコンを操作してキャリーケースを拡大する。するとキャリーケースにエンブレムが刻まれていた。

 

「あら。この刻印。どこかで……?」

 

「はい。第23学区のエンブレムですね」

 

 黒子はキャリーケースのエンブレムに見覚えがあった。初春はこのエンブレムが何を意味をしているのか理解しているようであった。

 学園都市23学区。1学区全てが航空・宇宙分野で占められた飛行場兼発射場。一般生徒は立ち入りを禁じられており学園都市で唯一、国際空港が建設されている場所でもある。

 

「型番から調べたんですけどこのキャリーケース、高気密生と各種宇宙対策が施された特殊ケースみたいなんです」

 

「宇宙旅行でもするつもりでしたの? 被害者は23学区の研究員?」

 

「それはわかりません。それともう1つ妙なのことがあるんです」

 

「何ですの?」

 

「キャリーケースを奪われた被害者の人たちが自分たちで窃盗犯を捜索しようとしているってところなんですよね」

 

「それは確かに妙ですわね」

 

 通常、窃盗が発生すれば風紀委員(ジャッジメント)もしくは警備員(アンチスキル)に通報するのが普通である。その方が捜査網が張られ、風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)が動けば犯人を迅速に捕えられ確実にキャリーケースを取り返すことができる。にも関わらず被害者たちは自分たちでキャリーケースを取り返そうとした。これは誰か見てもおかしいと思う光景である。

 

「おそらく被害者が通報しなかったのはキャリーケースの中身が風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)にバレれるとマズいものだったというところでしょうかね」

 

「それだとどうしましょうか? 加害者と被害者どっち追いましょうか?」

 

 通報の窃盗と違い加害者だけでなく被害者の方まで怪しいとなってくると話は違ってくる為、初春はどちらを追えばいいか迷っていた。

 

「加害者の方ですわね。現状、被害者が黒だという証拠がない以上、被害者を追っても無駄ですの。逆に加害者を捕えてキャリーケースの中身を調べて被害者が黒だという証拠になるかもしれませんの。もし黒であれば被害者を逮捕できる大義名分を得られますしね。初春、犯人の逃走経路ルートは?」

 

「車を捨てて地下街に逃げたみたいです。現在、信号機の配線ミスか何かで渋滞が起きてるみたいなので」

 

「それは好都合ですの」

 

「白井さん行く気ですか?」

 

「直接、犯人に聞いた方がてっとり早いですの」

 

「でもまだ場所の特定が……犯人グループはカメラの死角をついて地下を移動してるので場所の特例が……」

 

「私を誰だと思っていますの。地下だろうと何だろう関係ありませんわ」

 

 現在、犯人たちは逃走手段を失っている。黒子のテレポートのスピードであれば容易に追い付ける。さらにどんな強固な建物に隠れようが黒子なら壁を無視して侵入できる。

 

「それに今はムシャクシャしていますの。暴れてやりますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。佐天の家では。

 

(どうしたんだろう黒子……?)

 

 ツナは現在、佐天の家に帰っていた。あの後、美琴から今日はもう別れようと言われたので佐天の家に帰ったのである。

 

「ツナさん?」

 

「佐天……」

 

「どうかしたんですか? 暗い表情(かお)をしてますか?」

 

「いや……黒子がさ……」

 

「白井さんがどうかしたんですか?」

 

「実は……」

 

 ツナは先程あった出来事を佐天に話した。美琴とコラボカフェに行った際に黒子に出会ったが黒子が自分に対して怒りを露にしたことを。

 

「ってことがあったんだ……」

 

(成る程なー……)

 

 ツナの話を聞いて佐天は一瞬にして理解する。美琴をツナに取られたと思って嫉妬したのだということを。

 

(本当に御坂さんと一緒に出掛けたんだ……)

 

 あらかじめ美琴と出掛けることは佐天は聞いていたがどうしても嫉妬しまった。

 

「子供扱いされたことにしては怒り過ぎっていうか……黒子らしくないっていうか……」

 

(そこまでわかってるのに何でわかんないかなー……)

 

 もうほとんど答えが出てるようなものなのになぜわからないのかが佐天にはわからなかった。

 

(まぁツナさんたださえ鈍感だし……女性同士の恋愛とか理解できないくて当然か……)

 

 ツナの鈍感さを嫌という程、理解している佐天は納得せざる得なかった。

 

「それは多分、白井さんは最近誰かに子供扱いされたんですよ。それでツナさんが子供扱いしたから柄になく怒ったんじゃないですか?」

 

「え? そうなの?」

 

「そうですよ。それに乙女心は複雑なんです。白井さんだって年頃の女の子なんです」

 

 佐天も嫉妬したことがあるので黒子の気持ちは理解している。しかしここで黒子の気持ちをバラすのは黒子のプライバシーに関わるので誤魔化すことに決めた。

 

「そっか……そうだったんだ……」

 

(何で信じちゃうかなー……)

 

 佐天の言葉を聞いてツナは疑うことなく納得する。佐天は1ミリも疑わないツナを見て呆れてしまっていた。

 

(あの様子じゃ何で御坂さんが電話してきたりとか、遊びに誘って来たのかも理解してないんだろうなー……)

 

 佐天は美琴に同情する。心を素直になれない美琴が勇気を振り絞って行動したのにも関わらず、当の本人は美琴の行動に何も違和感を感じてないのだから。

 

(今さらだけど私も御坂さんも厄介な人を好きになっちゃたなー)

 

 

 

 

 




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