オフィスビル
「右!?」
黒子の右方からノートパソコンが飛んでくる。黒子はその場から一歩下がって飛んでくるノートパソコンを躱した。
「やはり……軍用ライトの動きを注視すればある程度、回避するすることは可能ですの!」
黒子は前回の戦いから結標が物体をテレポートさせる際に懐中電灯を使って標準を定めていることを学習していた。
ノートパソコンを躱した黒子は一気に結標の間合いへ入っていく。しかし結標は即座に懐中電灯を上に向かって薙ぎ払う。するとオフィスにあるデスクや椅子といったあらゆるものがテレポートされ、黒子の目の前に落下していく。
(また目隠しの盾ですの!? そう何度も引っ掛かりませんわよ!)
黒子は落下してくる物体のを落下地点を予測し、落下物の盾の先へとテレポートする。これも前回の戦いから学んだことである。
しかし黒子の目の前に結標はいなかった。黒子の行動を呼んでいたのか結標はキャリーケースの取っ手を掴んでキャリーケースで殴りかかろうとする。事前に黒子はデスクからくすねておいた鉛筆をテレポートさせる。テレポートした鉛筆はキャリーケースの取っ手の部分に刺さり取っ手を破壊する。
黒子のテレポートによって突き刺さった物体は強度に関係なく突き刺さっていく。理論上、紙でダイヤモンドを切断することも可能である。
取っ手を破壊さたことでキャリーケースは結標の手から離れ宙を舞う。
(この距離なら!)
今度こそ間合いに入れると確信した黒子は結標に殴りかかる。しかし結標は取っ手の外れたキャリーケースをテレポートさせる。
「がっ!?」
テレポートしたキャリーケースは黒子の頭部に直撃。黒子は後方に倒れてしまう。
一方で結標は懐中電灯を後ろへ向けた。すると倒れかけて黒子が結標の背後へとテレポートさせられる。
「ガハッ!?」
空中で仰向けになった状態で黒子は肘鉄を結標の背中に叩き込む。黒子は咄嗟に機転を利かせて結標のテレポートを逆に利用したのである。
「はぁ……はぁ……!?」
結標に肘鉄を喰らわせたのはよかったが、着地までは考えてはいなかった為、黒子はそのまま床に落下。さらに応急措置を行っていた傷が開いてしまう。
「このっ……!!」
仰向けで倒れている黒子に向かって結標は再びオフィスにある、ありとあらゆる物を黒子の頭上に落下させる。そして結標のテレポートさせた大量の物体が黒子の上から容赦なく降り注ぐ。
「っ……!?」
黒子は瓦礫の雨を躱すことができず瓦礫の山に埋もれてしまっていた。瓦礫に埋もれたのは下半身だけであり、上半身が瓦礫に埋もれることは回避された。
「白井さん。避けないと死ぬわよ」
結標がそう忠告すると小さな本棚を倒れている容赦なく頭上にテレポートさせると本棚を落下させる。
「動きがない所を見るともう
しかし本棚は黒子を直撃しておらず、黒子の真横に落下していた。結標は敢えて先に忠告することで黒子がテレポートできるかどうか確認したのである。
「ねぇ白井さん。こんな話を知ってるかしら?」
黒子は体に刺さっていたコークスクリューと金属矢をテレポートで抜くと語り始める。
その昔、強大な能力者とある組織が存在した。組織は能力者を増やす為にクローンを作ることにした。しかし結果は失敗。出来上がったクローンはオリジナルに満たない出来損ないの存在だったと。
「なぜだと思う白井さん? なぜクローンは失敗作だったのかしら? オリジナルと遺伝子レベルで同じ能力開発を受けたというのに。これって脳以外の何かが関係してるってことじゃない? それを突き止めれば人間以外でも能力を使えるってことにならないかしら?」
「何を言っていますの……!?
「現実をどんな形で把握するのは
結標は語る。学園都市の能力者は第六感といった特殊な感覚ではなく
「与えられた情報の観測と分析。その結果として発言するのが能力ならわざわざ人間の脳を使う必要はないと思わない?」
結標は人差し指で額の部分を指しながら自分の仮説を語る。
「原則を観測することぐらい人じゃなくても可能でしょう? そうね。例えば人間の機能を持つ演算装置を使えば……」
「馬鹿げてますわ……その機械の心臓部に能力を宿すつもりですの!? 誰がそんな戯言ことを!?」
「ええ。この程度では無理しょうね。けど
ここにきてようやく結標は自分の野望を黒子に話した。
「ねぇ白井さん。貴方は初めてその能力を手にした時、どんな気分だった? 私は正直、恐ろしかったわ。こんな力があることが怖かった。他愛のない空想で人すら殺せてしまうこの力が」
結標の脳裏には幼い自分の後方に能力によって積まれた大量の物体が浮かんでいた。
「この能力がいずれ研究、解析されて世界の役に立っていく。そう思って耐えていたのに」
結標は天井を見つめながらその呟く。その目はどこか悲しげであった。
「人じゃなくも人じゃなくてもいいなら。なぜ私にこんな力を与えたの?」
天井に向けていた視線を下に向ける結標。先程の悲しげな目とは違い、今度は憎悪の目に変わっていた。
「学園都市には自分と同じく能力になじめずに苦しんでる子たちがたくさんいるのよ。あの外部の黒服とは違う。本当の仲間」
そう言う結標の脳裏には自分と同じ境遇の仲間たちの姿が浮かんでいた。
「白井さん。貴方にだってあるはずよ。能力なんて怪物に振り回されて他人を傷つけてしまったことが」
結標は黒子の前まで移動するとしゃがんで、両手で黒子の頬に優しく触れながらそう言った。
「思ったはずよ。なぜこんな力を持ってしまったのか。私にはわかる。だって私たちは似てるもの」
そう言う結標の
優しい表情だった。
「どう白井さん? 私たちと共に真実を知る気があるなら私は貴方を歓迎する」
ここで結標は黒子を仲間に引き入れようと優しい声音で勧誘の言葉を放った。
結標の言葉を聞いて黒子はゆっくりと立ち上がる。
「お断りですわ。そんなもの」
黒子は左手で右腕に巻いている
「そんな自分に酔った台詞でこの白井黒子を丸め込めると思っていますの? もしかして貴方、私に冷えた目で見られることでゾクゾクしたかったのかしら」
「分からないの!? 私たち能力者は怪物にならずに済んだのかもしれないのよ!? こんな危険な力を一生……」
「どんな可能性を示されたところで私たちの能力が消えることはありませんもの……どう使うかは自分次第」
結標は必死に自分の思いを主張するが黒子には一切、揺ぐことはなかった。
「力が怖い? 傷つけるから欲しくない?
そう言うと黒子はフラフラしながらゆっくりと結標に向かっていく。結標は咄嗟に懐中電灯を構える。
「そんなボロボロの体で何……が……」
すでに満身創痍の黒子を見て結標は相手にすらならないと思っていたが、覚悟に満ちた黒子の表情に気圧されてしまい持っていた懐中電灯を落としてしまう。黒子は最後の力を振り絞って結標に殴りかかる。
が、
パァン!!
オフィスに発砲音が響き渡る。発砲音の後、黒子は力なく倒れた。
「はぁ……はぁ……!?」
撃ったのは結標であった。しかし結標は動揺を隠せておらず肩で息をしていた。
「あぁ……」
倒れた黒子を見て結標は動揺する。能力によって人を傷をつけたくないと言っていたのにも関わらず、銃で黒子に致命傷を与えたのだから。
結標は落とした懐中電灯を手に取る。しかし自分の意思とは関係なく能力が発動し懐中電灯はテレポートしてしまう。
テレポートする懐中電灯を見て結標は思い出す。能力開発の際に自分の足が壁にめり込み、大怪我した時のことが。
「あぁああああああ!!」
結標は両膝をついて頭を抱え込みながら絶叫する。そして能力が暴走しオフィスのガラスが割れ、オフィス内にあったありとあらゆる物がテレポートされていく。
「はぁ……はぁ……」
能力による暴走が収まったが、結標は胃液が逆流し体外に排出してしまった。
「許さない……貴方だけは!! 貴方だけは許さない!! よくもこの私を壊してくれたわね!!」
結標は発狂しながら倒れている黒子に容赦なく蹴りを喰らわせていく。結標は自分で人を傷つけたのにも関わらず人のせいにしていた。最早、狂人にしか見えなかった。
「絶対に殺す!! 貴方がいなければ私はどうとでもなったのに!!」
一方、美琴は。
「はぁ……はぁ……お願い!! 間に合って!!」
今だ息を切らしながら黒子と結標のいるビルへと向かっていた。結標が逃げ込みそうな場所を片っ端から探したが見つからなかった為、美琴は監視カメラをハッキングして2人の位置を把握したのである。
「あれは……まさか……!?」
美琴の上空にオレンジ色の光がもの凄い勢いで移動していく。それを見て美琴は驚くと同時に確信する。オレンジの光の正体を。
再びオフィスビル。
「ハハッ……」
銃の引き金を引いて黒子の息の根を止めようとした結標。しかしまたしても自分の意思と反して能力が勝手に発動し、銃は黒子の頭上にテレポートし頭部に直撃してしまう。
「仕方がないわよね……能力が暴発しちゃうんだから……」
結標は銃で黒子を殺すことを諦め、能力で黒子を殺すことを決める。しかしこの発言は、先程の発砲した行為をなかったことにしようと自分に言い訳をしているようにしか見えなかった。
「あなたが悪いのよ……あなたが私を壊したんだから……」
無理矢理、笑顔を作りながら自分のやったことを正当化しようとする結標。能力の補助の為に使っていた懐中電灯を手に持つことすらできなくなったので、結標は懐中電灯を使わず能力を発動しようとする。懐中電灯が無ければ標準を定めることができないが能力を発動させることはできる。しかもオフィスにはテレポートさせることができるものがたくさん存在する。まさしく下手な鉄砲も数撃てれば当たるである。
「さようなら白井さん」
優しい声音でそう言うと、結標はオフィスにあるとあらゆるものを黒子の頭上にテレポートさせる。そして黒子は避ける術もなく黒子は瓦礫に埋もれてしまっていた。
「ハハッ……ハハ……ハハハ……アハハハハハハ!! アハハハハハハハ!!」
先程とは違い完全に埋もれ見えなくなった黒子。目の前の光景を見て結標は狂ったように笑い始める。黒子に核心を突かれたことによって結標の本性が表に出てしまったのである。しかしそのせいで理性が崩壊し笑うしかできなくなったしまった。
その時だった
「GURURU……GAOOOOOOOO!!」
「っ!?」
突如として動物の雄叫びが響き渡ると目の前の瓦礫の山が一瞬で石化する。狂ったのように笑っていた結標も何が起きたのかわからず笑みが消え、驚きの表情へと変わっていた。
すると石化した物体にオレンジ色の炎が纏い、物体は塵と化していく。そこにはナッツを右肩に乗せ、黒子をお姫様抱っこしているツナがいた。
「さ、沢田さん……」
黒子は朦朧とする意識の中で少しだけ目を開きながらツナの顔を確認する。
「待たせてごめん……」
やっとここまできたーーーーーー!!
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