ここはとあるマンション。
「う~ん?」
ツナはベッドの上にいた。目が覚めるそこには部屋の天井が広がっていた。
「ふわぁ……」
大きなあくびをするとツナはベッドから起き上がろうとする。
「ん……?」
上半身を起き上がらせたがそこから動けないでいた。だがツナは慌てた様子はなかった。なぜなら動けなかった理由は微笑ましいものだったからである。ツナの視線の先には幸せそうな表情でツナの左腕に抱き付いた状態の美琴がいた。
「あれ?」
ツナは美琴を起さないように腕を解こうとするが美琴の力は強く、拘束を解こうとしても解くことはできなかった。
「やれやれ……こりゃダメだな……」
拘束を解こうとしても無駄だと判断したツナは美琴を起こして拘束を解くことを決める。
「美琴。起きて」
「う~ん?」
ツナは拘束されていない右腕で美琴の体を揺らして起こる。ツナが揺らしたことで美琴から曖昧な返事が返って来る。
「どうしたのツナ……? もう朝……?」
美琴はうっすらと目を開けながらそう言った。現在の美琴の名は沢田美琴。ツナの妻になっていり。
「うん。起こしてごめんね。本当は起こすつもりはなかったんだけど、美琴が離してくれないからさ。とりあえず離れてもらえるかな? このままじゃ起きれないんだ」
「嫌……絶対、離さないんだから……」
「ちょっ……!?」
ツナは美琴に離してくれるようお願いするが、美琴は離すどころか腕に捕まる力を強める。美琴がさらに力を強めたことでツナは動けなくなってしまっていた。
昔のようなキリッとした表情を浮かべ、ツンツンしていた美琴はどこにもいなかった。現在の美琴はデレデレしており、昔のようなピリついた雰囲気はどこにもなかった。
「どうしても離して欲しいなチューしなさいよ……」
「何でそうなるの……?」
「チューしてくれないなら離さないんだから……」
「全く……しょうがないなぁ……」
キスすることを強要してくる美琴。このまま説得したところで離してくれないと判断したツナは腹を括り、寝ている美琴に顔を近づけていく。
「「ん……」」
ツナと美琴の唇が重なる。2人は互いの唇の感触を感じ合う。30秒程、キスすると2人は唇を離した。
「美琴。これで離れてくれる?」
「ええ。わかったわ」
ツナがそう尋ねると美琴は右腕の拘束をゆっくりと解いていく。
が、
「油断したわね」
「ちょっ!?」
美琴は素早くツナの前方に移動する。そしてそのままツナを押し倒しツナの上に股がった。完全に油断していたのかツナはなす術もなくまんまと美琴の策略にハマってしまった。
「最近、仕事が忙しくて帰って来なかったんだから覚悟しなさい」
「ちょっ !? 美琴……んん!?」
美琴は目をギラギラさせながら鼻息を荒くさせていた。ツナは嫌な予感がしたが時すでに遅く、美琴に唇を塞がれてしまう。
「プハッ!!」
キスされてから1分後。ようやく美琴の唇から解放されたツナ。
が、
「これで終わりだなんて言った覚えはないわよ」
「んん!?」
美琴の攻撃が終わることはなかった。ツナの唇は二度美琴の唇によって塞がれてしまう。
(こ、このままじゃ……!?)
このままでは自分の身がもたないと危機感を覚えるツナであったが、どうすることもできなかった。この後、ツナは美琴が満足し終えるまで美琴の愛を受け入れることしかできないのだった。
「あー。スッキリしたわ」
「そ、そうだね……」
美琴は部屋のカーテンを開ける。カーテンを開けたことで日差しが入ると、美琴はベッドで横たわっているツナに向かって満面を笑みを浮かべながらそう言った。一方でツナは美琴にキスされまくったせいで酸欠になりかけており、ベッドの上で虫の息であった。
ツナと美琴は自分たちの部屋から出るとリビングへと移動する。
「おいでナッツ」
「ガウ♪」
美琴がナッツの名前を呼ぶとナッツが嬉しそうな表情を浮かべながら美琴の元へとやって来る。
「よしよし。いい子ね」
「ガウ~♪」
美琴はナッツを抱き抱えるとナッツの頭を撫で始める。美琴に撫でられてナッツは幸せそうな表情を浮かべていた。
かつては美琴に怯えていたナッツであったが、今では怯えることは無くなり美琴に懐いている。
「ナッツも随分、美琴に懐くようになったね」
「そうね……」
美琴はナッツに懐くまでのことを思い出す。ツナと付き合い始めてからちょっとずつではあるが、自分に懐いてくれたことに。
「美琴と結婚する時にナッツが怖がらないか心配だったけど懐いてくれてよかったよ。ナッツも大事な家族なんだからさ」
「そうね。それに家族も増えるし、子供に怖がられなきゃいけないわね」
「え? 家族が増える?」
美琴の発言を聞いた途端、ツナは驚きのあまりキョトンとした表情になってしまっていた。
「妊娠したのよ……!! 私……!!」
「ええ!?」
美琴は顔を赤らめ、左腕で抱えると右手で自分のお腹を優しく撫でながら呟いた。ツナは突然の妊娠宣言に衝撃を受けていた。
「ほ、本当に……!?」
「本当よ……!! ツナが中々、帰って来ないから言えなかったのよ……!!」
「じゃ、じゃあ美琴が母親になるってこと……!?」
「ええ……!! それでツナが父親になるってことよ……!!」
「ハハハ……俺たちが……」
自分たちが1児の母親と父親になると知って嬉しい反面、実感が沸かない気分であった。
「だからこれからは帰るようにしなさいよね……お父さん……!!」
ピピピピピピ
「っ!?」
ここは常盤台中学の寮にして美琴の住んでいる寮。美琴の部屋に目覚まし時計の音が響き渡る。現在、黒子が入院している為、部屋には美琴しかいない。
「なななななな!?」
美琴は思い出す。自分が見た夢の内容を。夢の中の自分がツナに対してキスしたことを。
(な、なんて夢見てんのよ!? というか何してんのよ夢の中の私は!!)
なぜか結婚していた上にキスをおねだりした挙げ句、自分から何度もキスするという性欲の権化と化した自分の姿を見て美琴は顔を真っ赤にし、ベッドの上で悶えていた。
(し、しかも……!!)
キスだけでなくさらに妊娠までしていたという事実が美琴の心を最大限にまで動揺させてしまっていた。
(はっ!!)
だがここであることに気づいた美琴。そのお陰か美琴は冷静さを取り戻した。
(もしかしてこれは予知夢!?)
美琴は思い出す。夢の中の自分がナッツに怖がられておらず、懐いていたことに。
(そうよ! きっとこれは予知夢よ!)
あの光景が予知夢だと自分にそう言い聞かせる美琴。
(今日こそナッツと!!)
ナッツと仲良くできるチャンスだと考えた美琴は放課後にナッツに会いに行くことを決意するのだった。
しかし美琴はナッツと仲良くするどころか、リングの中から出て来てくれることすらなく、美琴はショックを受けるのだった。
という訳で美琴篇でした。
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