キャリーケース強奪事件解決から4日後。9月19日。
「うわー。すっごい賑わってるー」
現在、学園都市はたくさんの人たちが闊歩している上に多くの屋台が出展しており賑わいを見せていた。今日は学園都市最大のイベント。大覇星祭である。
大覇星祭とは最先端の科学技術があふれ、能力開発が行われている、閉ざされた空間である学園都市が唯一、一般に開かれるイベントが大覇星祭である。簡単に言えば学園都市に存在する全学校の生徒たちが参加し、競い合う大運動会である。
普通の運動会との違いは能力使用の一部解禁という要素を加えることで、ごく普通の運動会を一大エンターテインメントに昇華させている。
開催期間は7日間。能力者たちが繰り広げるド派手な競技の数々は見る者たちの目を楽しませ、世界にテレビ中継されている。同時に、能力開発の成果をお披露目する格好の場でもあり、学校間でしのぎを削るイベントともなっている。
「えーっと……佐天の学校は……」
ツナはポケットに入れていたパンフレットを取り、プログラムと佐天の所属する柵川中学が参加する場所を確認する。
「あっ! いてっ!」
パンフレットを見ることに集中するあまり視線が下へ向いた状態で歩いていた為、ツナは周囲が見えておらず誰かとぶつかってしまった。
「あ、すいません……って沢田!?」
「当麻!?」
ツナがぶつかった相手は体操着姿の当麻だった。2人はばったりここで会ったことに驚いてしまう。
「ごめん当麻。パンフレットに見るのに集中し過ぎててさ」
「気にすんな。こんだけ人混みなんだからしょうがないって」
ツナがぶつかったことを謝罪するが、当麻に全く気に留めていなかった。
「それにしてもすっごい人混みだよね」
「そっか。沢田は大覇星祭初めてだもんな」
「うん。学園都市に来たのは2ヵ月前だし」
「今日は学園都市中の人が集まっている上に学園都市の外から色んな人間が来てるからな」
当麻は周囲にいる多くの人たちを見渡しながらそう言った。
「なぁ沢田。今から時間あるか?」
「え? どうしたの?」
「今からクラスの奴らとこの後出る競技の作戦をやる予定でさ。お前に俺の友達を紹介したいんだけど……」
「うん。いいよ」
佐天の出る競技の時間は事前に佐天本人から聞いており、まだ時間まで余裕があると判断したツナは当麻の友達に会うことを了承する。そしてツナは当麻と共に歩き始める。
歩くこと15分。ツナは当麻の案内の元、当麻の通う高校にして控え室でもあるとある高校の校庭にやって来た。
「な、何これ……?」
校庭にやって来た途端、ツナは驚きの光景を目にしていた。なぜならそこにはアスファルトと上でうつ伏せになっていたり、壁にもたれかかった状態で上を向いたり、体育座りの状態で俯いた生徒たちが魂が抜けた状態になってしまっていたのだから。
「ど、どうした!? この最終日みたいなテンションは!?」
まだ1つも競技に出場していないのにも関わらず、すでに疲れ切った表情をしているクラスメイトを見て当麻は驚きを隠せないでいた。
「徹夜で大騒ぎし過ぎて一睡もしてませんが何か~……?」
「戦術も詰め込み過ぎてクラス全員で揉めまくったし……」
「もうやる気出ねぇ……」
「本末転倒だろお前ら!!」
「ハハハ……」
作戦会議のし過ぎで満身創痍になったと知って当麻はツッコミをいれる。ツナはただただ苦笑いすることしかできなかった。
「ていうかカミやん。そいつは誰だにゃー?」
金髪にサングラスをかけた青年がツナの存在に気づき、当麻にツナのことを尋ねた。
「ああ。俺の友達でさ。お前らに紹介してやろうと思ってよ」
「えっと……沢田綱吉です。よろしくお願いします。気軽にツナって呼んで下さい」
「俺は
「それでそっちが青髪だ」
「よろしゅうなツナやん」
土御門は壁にもたれかかった状態で手を降りながら答え、うつ伏せの状態で倒れている青髪はなんとか起き上がりツナの方を向いて答えた。
「君。制服来てないけどどこの学校?」
すると校庭の近くにあったドラム缶をベンチ代わりにして座っている無表情の黒髪ロングの女性がツナに尋ねる。
「え、えっと!! 俺、夏休み前に退学しちゃってさ!! 今は学校に通ってないんだ!! 俺、頭悪いからさ!!」
「そうだったんだ。私。
ツナは咄嗟に嘘ついたが姫神は疑うことはなく、自己紹介した。
「なんや。ならツナやんは大覇星祭に参加できんってことかー。可哀想やなー」
「ま、まぁ……俺、運動得意じゃないし……とにかくみんなのことを応援するよ」
「なんていい奴なんだにゃー。もういっそのこと、
「そうやそうや。歓迎するで」
土御門と青髪はツナのことが気に入ったのか自分たちの学校に来るように勧誘する。2人の言葉を聞いて他の生徒たちは息を吹き替えしたかのように元気なり、歓迎モード一色となる。
「何、盛り上がってんのよあんたら」
盛り上がっている最中、黒髪ロングのどこか美琴のようにキリッとした表情の女生徒がやって来た。
「って……あなた誰?」
「こいつは俺の友達で沢田っていうんだ。せっかくだから俺の友達を紹介してやろうと思ってよ」
「そうだったの。私は
「さ、沢田綱吉です……」
知らない人間がいることにキョトンとした吹寄であったが、当麻から事情を聞いてすぐに納得し自己紹介する。ピリついた雰囲気に圧されのか少しだけ萎縮しながら自己紹介した。
「それにしてもあなたこんなところでゆっくりしてていいの? あなたも出場するんでしょ」
「それがなー吹寄。ツナやん退学してもうて大覇星祭に出場できひんらしいのよ」
「そうだったの……実行委員としてなんとかしてあげたいけどこればかりはどうしようもないわね」
「実行委員?」
「ああ。私、この大覇星祭の実行委員なのよ」
そう言うと吹寄は右腕に巻いていた実行委員と書かれた腕章を見せた。
「大覇星祭に参加できないのは実行委員として残念だけど、大覇星祭は競技だけじゃなくて色々とイベントがあるから楽しんでね」
「う、うん」
少しだけ時は進む。
「ここね。あいつの高校が出る会場は」
美琴は自分が出る競技まで時間があるので当麻が出場する高校が出ることをパンフレットで知ったので、競技の行われる暇潰しがてらやって来たのである。
「お、お腹が空いたんだよ……」
「……」
するとそこにはお腹を鳴らしながらベンチに横たわっているインデックスがいた。そんなインデックスを見て美琴は唖然としてしまっていた。
実はこの2人は親しい仲ではないのだが、9月の初頭に起きたある事件にて出会っている為、全くの赤の他人という訳ではないのである。
空腹で苦しんでいるインデックスを見ていられなかったのか美琴はインデックスにペットボトルの入った水を差し出した。
「ありがと短髪」
「短髪って……」
水をくれた美琴にお礼の言葉を述べるインデックス。自己紹介していなかったとはいえ短髪と呼ばれたことに若干、イラっとしてしまっていた。
「何だ。お前らも来てたのか」
「あらリボーンじゃない……ってどんだけ買ってんのよ!!」
美琴が横を向くとそこにはたこ焼き、ポテト、フランクフルト、ジュースといったありとあらゆる食べ物や飲み物に囲まれているリボーンがいた。リボーンがあまりに多くの物を買っていたので美琴にツッコミをいれる。
「た、食べ物……」
リボーンの買った食べ物を見てお腹を鳴らしながら羨ましそうな表情で食べ物を見ていた。通常であればリボーンのことが気になるところなのだが、空腹状態のインデックスはリボーンのことよりリボーンの買った食べ物の方が気になってしまっていた。
「腹減ってんなら食うか?」
「え!? いいの!?」
「いいぞ」
「ありがとうなんだよ!!」
食べ物を恵んでくれると知ってインデックスはリボーンの周囲にある食べ物を次々と胃の中へとぶち込んでいく。
「こいつ。お前の知り合いか?」
「まぁ……知らない仲じゃないって感じ……?」
「そうなのか。なぁお前。ボンゴレに入らねぇか?」
「ウォンゴレ?」
「勧誘してんじゃないわよ!!」
リボーンの勧誘を聞いて、口に食べ物を頬張った状態のインデックスは疑問符を浮かべる。美琴は名前すら聞いてない状態でボンゴレに勧誘したことにツッコミをいれる。
『ただいまより棒倒し選手権を始めます』
インデックスが食べてる間に競技開始のアナウンスが流れる。
「あ。始まるみたいね」
「やっぱり当麻の競技を見に来たのか?」
「自分の出場する競技まで暇だしね。それと私だけじゃなくて多分そいつもね」
「何だこいつも当麻の知り合いなのか」
「そうらしいわよ。といっても相手の高校は能力者も多くいる学校。その一方であいつの学校は能力者がいない。応援しに来なくても結果は見えてけどね」
「そうか? むし面白い展開になると思うぞ」
「は? どういうことよ?」
『それでは選手の入場です』
リボーンの言葉の真意を尋ねようとした美琴だったが、アナウンスのせいで聞きそびれてしまった。
そして両高校の選手が入場する。
「あっ! ツナもいるんだよ!」
「はぁ!?」
インデックスの発言を聞いた途端、美琴は驚きの声を上げる。そして当麻たちのいるとある高校の中にとある高校の体操着を着たツナがいた。リボーンだけは不適な笑みを浮かべていた。
「何であいつがいんのよ!」
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