とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)28 絶体絶命

 

 セブンスミストにて虚空爆破(グラビトン)が観測された。ツナたちは店の店員に頼み、放送で外に避難するように促した。幸いパニックにはならずに客たちを無事に避難させることに成功した。

 

「よしっ! とりあえずこれで全員……」

 

「美琴!」

 

 美琴と店の中を走り逃げ遅れた客がいないか確認する。

 

「みゆを見なかった!?」

 

「え? 避難したんじゃないの?」

 

「俺、入り口付近で避難誘導してたんだけど、みゆを見てなくて……」

 

「まさか……!? まだこの中に……!?」

 

 みゆが避難せずにこの中にいると知って、二人は驚きを隠せないでいた。

 

『初春! 初春! 聞きなさい!』

 

「今、全員避難したかどうか確認を……『今すぐそこを離れなさい!』」

 

 二人の近くにいた初春は黒子からの電話に出る。黒子の口調は慌てており、緊急事態であるということが伺える。

 

『過去8件の事件の全てで風紀委員(ジャッジメント)が負傷していますの! 観測地点周辺にいる風紀委員(ジャッジメント)! 今回のターゲットはあなたですのよ! 初春!』

 

「っ!?」

 

 黒子から犯人の狙いが自分であると知って初春は衝撃を受ける。

 その時だった

 

「お姉ちゃーん。眼鏡をかけたお兄ちゃんがお姉ちゃんに渡してくれって」

 

 カエルの人形を持ったみゆが笑顔で初春に向かって行く。

 

「よかった……無事だったんだ……」

 

 ツナはみゆが無事だったと知り安堵する。一方で初春はカエルの人形を見て何かに気づき、みゆに飛びついた。初春が飛びついたことでみゆの持っていたカエルの人形が落ちる。

 

「逃げて下さい! あれが爆弾です!」

 

「「っ!?」」

 

 初春が叫んだ瞬間とカエルの人形がメキメキと不気味な音を立てながら、少しずつ形を歪めていく。

 

(私の超電磁砲(レールガン)で!)

 

 咄嗟に美琴はポケットからコインを取り出して、カエルの人形ごと破壊することを決める。

 が、

 

(しまった! マズった!)

 

 美琴は手を滑らせてしまい、コインを落としてしまう。

 

(間に合わない……!?)

 

「ナッツ!」

 

「GURURURU……GAOOOOO!」

 

 美琴がもうダメだと思った瞬間、ツナの叫び声をする。

 その後、動物の雄叫びが聞こえる。

 

「え!?」

 

 美琴は信じられない光景を目にする。なぜなら先程のカエル人形が石化していたのだから。

 

「なんとか間に合ったか……」

 

「あ、あんたがやったの……?」

 

「俺じゃない。やったのはナッツだ」

 

「ど、どういうこと……?」

 

 ナッツがカエルの人形を石化したということに美琴は驚きを隠せないでいた。今、カエルの人形を石化させたのはナッツの天空の雄叫び(ルッジート・デイ・チエーリ)。大空の属性の特徴である調和によって、カエルの人形をこの建物と同じコンクリートにしてカエルの人形を石化したのである。

 

「その話は後だ。それより犯人はまだ近くにいるはずだ。これ以上の被害を出すわけにはいかない」

 

「私、多分犯人見たわ」

 

「本当か!?」

 

 美琴は思い出す。御手洗いに行く途中にカエルの人形を持った奇妙な少年のことを。

 

「うん! 私、犯人を捕まえてくる! 二人をお願い沢田!」

 

「ま、待て! 美琴!」

 

 ツナの制止も聞かず美琴は犯人を追って行ってしまう。

 

「よかった……無事だ……」

 

 初春とみゆは無事だとわかって安堵する。二人は爆発すると思い込んでしまったのか、気絶してしまっていた。

 

「沢田さん! 無事ですか!?」

 

「黒子!」

 

 ツナが二人の無事を確認した瞬間、テレポートで黒子がやって来る。

 

「ああ」

 

「それより爆弾は!?」

 

「爆弾ならそこだ。石化させたから爆発の恐れはない」

 

「せ、石化……!?」

 

 石化させたと聞いて黒子は驚きを隠せないでいた。

 

「一体、いくつ力を持っていますのあなたは……!?」

 

「それより初春とこの子のことを頼めるか? 美琴が犯人を追いかけて行った」

 

「お姉様……あれ程、トラブルに首を突っ込むなと言ったのに……」

 

「それだけで済めばいいんだがな……」

 

「どういうことですの?」

 

「とにかく俺は美琴を追いかける。二人のことを頼む」

 

「ちょっ! 沢田さん!」

 

 黒子の制止を聞かずツナは美琴を追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、外では。

 

「な、何で……!? 何で爆発しないんだ……!?」

 

 外では犯人である少年が驚きを隠せずにいた。自分の仕掛けた爆弾が石化させられたとも知らず。

 

「クソッ!」

 

 少年は近くの路地に入る。そして自分の持っていたバッグを開ける。そこには大量のスプーンが入っていた。

 

「こうなったらまた仕掛けて全員吹きとばし……って!?」

 

 突如、後ろから少年は吹き飛ばされてしまう。

 

「はーい。用件は言わなくても分かるわね。爆弾魔さん」

 

 蹴り飛ばしたのは美琴だった。美琴は笑顔で少年に近づいていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(嫌な予感がする……どこだ!?)

 

 険しい表情(かお)をしながら美琴を捜すツナ。

 

(頼む! 間に合ってくれ!)

 

 ツナは何かを恐れていた。それは一体!? 

 

 

 

 

 

 




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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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