操折の作戦を実行することを決めたツナたち。
「とりあえず私は
「え……俺の仕事は操折の護衛だから一緒にいた方がいいんじゃないの……?」
「あなたに護衛についてもらうのは幻生に捕えに行く時。あなたはいわばこの作戦における
「わかった」
「あなたも私が帰って来るまでここで待機よぉ。あなたと一緒にいると目立つから私が帰ってから護衛に向かってもらえるかしら?」
「何だ。お前もわかってんじゃねぇか。俺の溢れ出るオーラが隠しきれねぇってことが」
(そういう意味じゃないんだけどぉ……まぁいいわぁ……)
喋る赤ん坊という奇妙な存在と一緒にいると悪目立ちするという意味で操折は言ったのだが、リボーンは勝手に勘違いしてしまっていた。ツッコミを入れようと思った操折であったが面倒くさくなったので何も言わないことにした。
「じゃあすぐ帰って来るまで護衛力の方、お願いねぇ」
そう言うと操折は部屋を出て、佐天たちの記憶を消しに向かった。
一方。その頃。
「白井さーん。まだ落ち込んでるんですかー」
初春が車椅子に乗った状態で落ち込んでいる黒子と木陰で待っていた。黒子が落ち込んでいるのは、自分が愛の重たい人間だと知ったからである。そんな黒子を見て初春は呆れた様子であった。
昨日の1件は初春も聞いている。聞いたというよりは黒子が初春に相談したと言った方が正しい。
ちなみに佐天がいないのは2人の為に屋台で食べ物を買っているからである。
「白井さんの愛が重いのなんて御坂さんが好きだった時からじゃないですか。それが沢田さんに変わっただけですよね?」
「ななな、何を言っていますの初春!? 私は沢田さんのことなど気に止めてなどいませんわよ!!」
「じゃあ。何で沢田さんに攻撃したんですか?」
「そ、それはあまりにもだらしない
(御坂さんの時とは違いますけど、白井さんが好きな人のことでポンコツになるのは変わらないんですね。まぁポンコツ具合は御坂さんの時より酷いようですけど……)
美琴の時はクールな黒子が美琴の前では欲情し、お嬢様の品性が無くなり、内に秘めた変態性が惜しげもなく出現していた。しかしツナのことになれば品性が無くなることはなく、ツンデレになってポンコツ具合が悪化してしまっていることに初春は理解した。
「白井さんの言い分わかりましたから。とにかく佐天さんの前でそのことは言わないで下さいね」
「そ、それぐらい言われなくてもわかっていますの!!」
初春の忠告を聞いて憤慨する黒子。だがそれと同時に佐天が自分のお見舞いに来てくれた時に見せた、素手で林檎を潰した光景を思い出し恐怖していた。ツナが謎の美女にキスされたなど佐天に知れた日には、佐天が何をしでかすかわからないからである。
「いいですの初春。あなたも知っての通り私は由緒正しき常盤台の生徒の一員。つまり
冷静さを取り戻してはいなかったが、黒子は初春に自分が無能ではないということを主張する。
「私がどうかしたんですか?」
「「さ、佐天さん!?」」
ここでタイミングが悪く、飲み物の入ったスチール缶を両手に持っていた佐天が帰って来てしまう。佐天の逆鱗に触れないという話をしていた矢先に佐天が帰って来てしまったので初春と黒子は動揺を隠せないでいた。
「はい。どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
「あ、ありがとうございますの……」
佐天は黒子に紅茶の入ったスチール缶を。初春にはいちごおでんのスチール缶を手渡した。佐天の登場が相当、心臓に悪かったのか初春と黒子はぎこちない笑みを浮かべながら飲み物の入ったスチール缶を受け取った。スチールを渡し終えると佐天は体操着のポケットからコーラの入ったスチール缶を取り出した。3人分買ったので両手では持ちきれず自分の分だけポケットに入れて戻って来たのである。
「それで私の話をしてたみたいですけど、何を話してたんですか?」
「え、えっと……!!」
先程、自分の名前が出ていたので何の話をしていたのか気になり、詳細を求める佐天。初春はなんとか誤魔化そうと頭をフル回転させる。
その時だった
「ななな、何でもありませんの!! 沢田さんが昨日、外国の女性の方にキスされた話を佐天さんに言わないようにしようなんて言っていませんの!!」
「は?」
「なっ!?」
ポンコツ状態に加えてなんとか話を反らそうと必死で考えた結果、黒子の脳がショートしてしまい馬鹿正直に全てを暴露してしまう。
黒子の言葉を聞いた途端、佐天の目から光が無くなり初春は驚きを隠せないでいた。
(はっ!? 私は何を!?)
(お、終わりました……)
自ら佐天の逆鱗に触れてしまったことに黒子は、自分のしでかしたこの恐ろしさに時間差で気づく。
あれだけ偉そうに
「あ……あっちに迷子の子供がー……わ、私行ってきますねー……」
「お、お待ちなさい初春!! わ、私も行きますわ!!」
迷子の子供などいないが今から発生するであろう修羅場に巻き込まれるのを恐れ、初春は逃げることを決意。初春の思惑を咄嗟に理解し、初春の制服の裾を掴んで逃げられないようにする。
「は、離して下さい白井さん!!」
「わ、私を1人にしないで下さいまし初春!!」
「白井さんがやらかしたんじゃないですか!! 自分で責任を取って下さい!!」
「一生のお願いですの!! あなたの大好きなおちごおでんを奢って差し上げますから!!」
「絶対に嫌です!!」
敵に命乞いをするかのような必死の形相で初春の逃亡を断固阻止せんとする黒子。数日前に佐天が見せた林檎を片手で粉々にした恐怖が忘れられない為、藁にも縋る思いで初春を逃がさないようにしているのである。
だが初春も佐天が怒りで林檎を潰した恐怖を忘れた訳ではない。初春も恐ろしい敵が迫って早く逃げなければ命に奪われるかもしれないぐらいの状況に陥っていた。故になんとかこの場から逃げようと必死に足掻く。
「初春。白井さん」
「「は、はい……?」」
初春と黒子が足の引っ張り合いをしていると佐天が初春と黒子の名前を呼ぶ。すると2人の全身に寒気が走り2人は金縛りにあったかのように体が動かなくなる。
「その話。詳しく聞かせてもらっていいですか?」
「「ひぃ!!」」
清々しい程の笑顔(目は笑っていない)で説明を求める佐天。すると時間差で右手に握っていたスチール缶が潰れ、中身が飛び散る。
中身の入ったスチール缶を潰すという前回の林檎よりも恐ろしい光景を見て初春と黒子は悲鳴を上げる。そして即座に昨日あった出来事を素直に白状した。
「へー……そんなことがあったんですかー……」
事の顛末を聞いた佐天。笑顔が無くなり目から光が消えてしまっていた。
「何でいっつもこうなっちゃうのかな? 私が一番、最初にツナさんのことが好きになったのに。勇気を出して必死にアピールしてるのに全く私の気持ちに気づいてもらえないし。それどころか他の女の子にフラグを建てまくって。回りくどい真似なんてしないでさっさと告白した方がよかったのかな? さっさと告白しなかったのが悪かったのかな? 私が悪いのかな? ねぇそうなのかな?」
俯いた状態で今まで不満をお経を唱えるかのようにぶつぶつと呟く佐天。その光景を見て初春と黒子は涙目になっており、お互い体を震わせ抱き合っていた。
その時だった
「はぁい☆。白井さん」
ここで3人の記憶を消しに来た操折がやって来てしまう。
(しょ、食蜂操折!? こんな時に!?)
もの凄いバッドタイミングで操折がやって来てしまった為、黒子は頭を抱えてしまっていた。
黒子と操折は同じ常盤台の生徒である為、知らない仲ではない。それどころか黒子は操折の派閥にも勧誘されたこともある。操折は黒子のことを大層気に入っているようだが、黒子は操折に苦手意識がある。お世辞にも良好な関係にあるとは言えない。
「それと白井さんの友達もこんにちわ。白井さんの友達の食蜂操折でーす☆」
「だ、誰が友達ですの!! あなたと友達になった覚えはありませんの!!」
「もうっ白井さんったら!! 照れ隠しなくてもいいのにぃ!!」
「照れ隠しではありませんの!!」
操折から一方的にお友達認定されたことに対して憤慨する黒子。
その時だった
「金髪……」
操折の髪の色を見てそう呟く佐天。いつもなら有名人の存在に興奮する佐天であるがツナが金髪の外国人の女性にキスされたという話を聞いた為、目が離せないでいた。
「あらぁ? 私の輝き力満載の髪が気になるのかしらぁ?」
佐天が自分の髪の毛をジッと見てきたので操折は自分の髪に興味を持ったのだと勘違いする。
「ツナさんにキスしたのってあなたですか?」
「い、いきなり何を言い出すのぉ!?」
佐天はツナにキスしたのが操折なのではないのかと疑い始める。急に話がぶっとんだ為、操折は顔を真っ赤にしながら驚きの声を上げる。
ツナにキスをしたのは金髪の
「キスなんてしてませんよね? ねぇ違うって言って下さいよ。ねぇ? ねぇ?」
「ひぃ!!」
禍々しいオーラを放ち虚ろな目で問い詰めてくる佐天に対して操折は恐怖を抱く。
「きゅ、急用を思い出したからこれで失礼するわぁ!! ごきげんよう!!」
記憶を消しにきた操折だったが、生命の危機を感じたので即座にこの場から逃亡を計ったのだった。
シリアスになるはずがギャグ回に。そして佐天がヤンデレ。黒子がポンコツ。というキャラ崩壊が起きてる……どうしてこうなった?
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