操折が佐天たちの記憶を消したこと知った美琴。
(こんなことしてる場合じゃないのに……)
現在、美琴は競技に出場していた。操折の派閥の監視下にいる以上、動きを取りたくても身動きができない状況。故に今は黙って競技に出場することしかできないでいた。
(なんとかここを抜け出さないと……)
なんとか操折の派閥の監視下から抜け出すことを美琴は考えていた。しかし佐天たちに忘れられていたショックが大きかったのか、考えたくても考えられない精神状態であった。
「御坂さん! 風船! 私が膨らませていいでしょうか?」
「あ……うん」
そんな美琴の心情を知らず、美琴の横では競技のパートナーである婚后が両手に競技で使う風船を持ち、ワクワクしている様子で美琴に尋ねた。婚后の問いかけに対して美琴は曖昧な返事で答えた。
今から2人が参加する競技は風船サンド。膨らませた風船を手を使わずお互いの体で挟み、ゴールまで運ぶというシンプルな競技である。
(本来だったら黒子と一緒に……)
風船を膨らませている光子を見ながら美琴は思い出していた。この風船サンドは黒子と出場する予定だったことを。そしてこの競技に出場する為に放課後、練習したことを。
しかし
「風船といえば御坂さんが
「え……?」
すると風船を膨らまし終えて、風船の端を結びながら婚后は世間話を始める。さらっととんでもない発言をしたことに美琴は衝撃を受けていた。
「昨日の紙風船の競技に出てらしたのは妹さんでしょうか?」
昨日のバルーンハンター。序盤で脱落したものの、同じ常盤台である婚后も参加していた。故に美琴が参加していることは知っていても何もおかしくはない。しかし出場していたのが美琴じゃないということを知っているのはごく一部の者しか知らない。それを光子を知っているのはおかしい。
すると競技開始を知らせるアナウンスが流れ、出場者たちはスタートラインに立つ。
「話しかけようと思ったのですが競技が始まってしまいまして……」
『位置についてよーい……』
昨日のことを話すと婚后は美琴に近づき、膨らませた風船を美琴と自分の体で挟み込む。そして競技開始のピストルが鳴る。
「さぁ! 参りましょう!」
「ちょっ! 待って婚后さん! 私じゃないって気づいてたの!?」
競技がスタートして1位の座を手に入れんが為、意気揚々とする婚后。一方で光子が昨日、バルーンハンターに出場したのが自分ではないということに光子が気づいていたことに驚きを隠せないでいた。
「あら。私は人を見る眼は確かなつもりですわよ?」
婚后が気づいて他の常盤台の生徒が気づかなかった理由。それは観察眼。物事をよく観察しうる見識、能力が他の人間よりも優れていた為、バルーンハンターに出場していないということに気づけたのである。
「婚后さん! 頼みがあるんだけど!」
婚后が操折によって記憶を操作されていない上に、ミサの正体は知らないものの、ミサの存在が知っているということを知った美琴は光子に協力を要請することを決めた。
そして美琴は婚后にこれまで自分の身に起きたことを包み隠さず全て話した。
「
「婚后さん! 声! 声!」
美琴の話を聞いて光子は怒りを覚える。婚后が大きな声を出した為、美琴は慌てて声を抑えるよう促した。
「話は承りました。私が調べておきますから御坂さんは食蜂派閥の目を引き付けて下さいな」
「ごめん。こんな私事に巻き込んで……でもくれぐれも深入りしないで。露骨に危害を加えてきたりしないと思うけど、あの女には何を考えているのかわからない怖さがある。手掛かりさえ掴めば後は自分でなんとかするから」
「いえ。御坂さんは私からの情報を信用すべきではありません。」
「え……何で?」
「私も食蜂操折に洗脳されているかもしれないからですわ」
すると2人はゴールにたどり着く。競技には集中できていなかったが、1位の座を取得していた。
「私はこの後、精神攻撃を受けるかもしれませんし既に何かされているのかもしれません。私から私からもたらされる情報は全て罠。御坂さんはその可能性を考慮すべきですわ」
「そんな……」
「ええ。そんなことを言ってたら誰も信用できませんわよね。だから私は妹さんを連れてまいりますわ」
言葉だけでは操折に操られていないと証明できない。なのでミサ自身を連れて来ることで操折に操られていないことを証明することを婚后は決める。
「信用するなと言っておいてなんですが、私を信じてお待ち下さい」
そう言うと光子は操折の足取りを調べる為に会場を後にする。そして美琴は再び操折の管理下に置かれる。
(婚后さん……無理しないで……)
ミサを捜しに駆け出した婚后。
(まずは手掛かりを見つけませんと……)
美琴に頼まれたはいいがミサの手掛かりがない以上、美琴の頼みを完遂することができない。故に婚后はまず手掛かりを見つけることを決める。
「あら婚后さん」
「そんなに急いでどうされたのですか?」
「湾内さん、泡浮さん!」
婚后が街中を走っていたことを湾内に話しかけられ、婚后は立ち止まってしまう。
「丁度よかったですわ! 実は御坂さんが妹さんが行方不明みたいんなんです。お見かけしてませんでしたでしょうか?」
「いえ……見ていませんが……」
「私も……」
「そうですか……」
緊急事態ということもあり婚后は端的に用件を伝える。しかし湾内と泡浮はミサのことを知らない様子であった。2人が知らないと知って婚后は暗い顔をする。
「どうやら困っておいでのようですね」
「私たちも協力いたしますわ」
「湾内さん、泡浮さん……ありがとうございます」
美琴と婚后が困っていると知って湾内と泡浮もミサの捜索に協力することを決める。2人が協力してくれると知って婚后はお礼の言葉を述べる。
「何かわかったら私にご連絡下さい」
「はい。行きましょう湾内さん」
「ええ」
婚后がそう言うと泡浮と湾内はミサを捜しにその場から走り去って行く。
「私も捜しに行きませんと」
湾内と泡浮が走り去ったのを見送った後、婚后も捜索を再開しようとする。
その時だった
「失礼」
「あ、はい」
婚后に誰が話しかてくる。婚后が振り返るとそこには小太りの男性がいた。
「ちょっとお話があるんですが」
「あの……今はあまり時間が……」
「御坂美琴の妹についてなんですがね……」
「っ!?」
事態が事態である為、婚后は男の話を聞く気はなかった。しかし御坂美琴の妹という単語を聞いて顔色を変える。
「ここではなんですし。場所を移しましょう」
一方、その頃。
「犬のロボット?」
佐天は初春と黒子と別れ単独行動をしていた。現在、佐天は歩道を歩いている犬のロボットを見ていた。
「何かの宣伝かな?」
学園都市には掃除用のロボットが徘徊しているが、犬のロボットは見たことがなかった。故に佐天はどこかの企業が大覇星祭という人が多く日に自社の製品を宣伝する為にロボットを徘徊させているのではないかと推測した。
「あれ? 婚后さん?」
すると佐天の視界に婚后と先程の男が歩いている光景が視界に入る。2人は佐天の向かい側にある広場に向かっていた。
「と……誰だろう?」
婚后の隣を歩いている男が誰なのかわからず佐天は疑問符を浮かべる。
知らない男について行った婚后は。
「妹さんという呼び方は
「?」
婚后は男の言っている意味が理解できず、疑問符を浮かべた。
「僕もね妹さんとやらを保護するよう依頼されてまして。よければ互いの情報を提供しあいませんか?」
「ありがたい申し出でですが、その為にはあなたが誰で何が目的で妹さんを捜しているのか説明していただく必要がありますわ」
婚后はこの男のことが信用できないのか、警戒心を抱いていた。
「まぁそうなりますよね。でもそこは敢えてそれらに目をつぶって手掛かりとやらを話してくれないかなあ。でないと……」
すると婚后の後方から犬のロボットが襲い掛かる。婚后は紙一重でロボットの襲撃を躱す。
「お薬を使って無理やり……ってことになるよ?」
場面は再び佐天に戻る。
「おい」
「ん?」
すると佐天の後方からに話しかけてくる声が聞こえる。佐天は後ろを見たが後ろには誰もいなかった。
「こっちだぞ」
自分の下の方から声がして佐天は視線を向けた。そこには自分のことを見上げているリボーンがいた。
「ちゃおっす」
「あ、赤ちゃんが喋ってる!?」
リボーンが流暢に喋っていることに驚きの声を上げる佐天。リボーンの記憶を消去されている為、リボーンとは初対面という関係にある。
(どうやらちゃんと記憶は消去されてるようだな)
リボーンがわざわざ佐天の元にやって来たのは、操折の能力で記憶が消去されているかどうか確認する為であった。
「え、えっと……どうしたのかな僕? もしかして迷子になっちゃったのかな?」
こんな子供が1人で歩いていることから佐天はリボーンが迷子になったのではないかと推測する。
「違ぇぞ。コーヒー飲みてぇから金を貸してもらおうと思ってな」
「どんな理由!?」
まさか金を貸してくれと言われるとは思っていなかった為、佐天は驚きの声を上げた。
「貸してくれんのか。サンキュー」
「貸すなんて一言も言ってないけど!?」
記憶を失ってもなお佐天はリボーンに振り回され、ツッコミを入れさせられる。
「皆まで言わなくてもわかってるぞ。利子つけて倍で返せって言いてぇんだろ。安心しろ」
「そういう意味じゃないから!! それと意味わかって言ってる!?」
勝手にお金を貸すという前提で話が進んでいること、利子という言葉を当たり前のように使ったことにツッコミを入れる。
(あれ? 何で私……)
奇天烈なことを言っているとはいえ、初対面の相手にこんなにも遠慮なしにツッコミを入れたことに佐天は違和感を覚える。
(というか何か懐かしいような……)
初対面のはずなのになぜか初めて会った気がしないどころか佐天は懐かしさを覚えていた。
「ねぇ君……私とどこかで会ったことある……?」
記憶を糸を手繰ってもリボーンに会った記憶があった訳ではない。だが佐天はどこかでリボーンと会っていると感じていた。
「ねぇぞ。初対面だ」
「だ、だよねー……」
リボーンはバッサリと佐天の言葉を否定。あまりにバッサリに否定されたので佐天はリボーンの言葉を信じてしまう。
(それもそうか……こんなインパクトのある子に出会ってたら忘れられる訳ないし……)
(記憶を消すとはいっても違和感までは消せないようだな……長居は無用か)
佐天は自分の中で納得し、リボーンは佐天が自分に興味を抱くのを恐れてこの場を去ることに決める。
その時だった
「佐天さん!」
ミサのことを捜していた湾内と泡浮がやって来てしまう。
「ど、どうしたんですか? そんなに慌てて……」
湾内と泡浮が慌てた様子だったので佐天は何かあったということを察する。
「実は御坂さんの妹さんが行方不明だそうなんです! 心当たりはありませんか!」
「おい!! それはどういう意味だ!!」
「あ。リボーンさん。実は婚后さんが御坂さんから行方不明になった妹を捜して欲しいって頼まれたんです」
(美琴の奴、気づきやがったのか!?)
泡浮の説明を聞いて、美琴がミサに何かあったことに気づいたことを知ってリボーンは焦りの表情を見せる。
「婚后さんといえばさっきなんか知らない人と歩いてましたよ」
「何っ!? どこに行った!?」
「む、向こうの広場の方に向かって行ったけど……ってちょっと!!」
佐天から婚后の居場所を聞いてリボーンは佐天の制止を聞かず、婚后の向かったという方向へと走って向かって行く。
(操折の奴!! あいつらとの繋がりは知らなかったのか!!)
先程の会話からリボーンは操折から湾内たちは記憶消去を受けていないことを理解すると同時に、操折に任せっきりにしてしまったことを後悔する。
(婚后……無茶すんじゃねぇぞ)
高評価を下さった狩り兎さん。ありがとうございます!
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