とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

298 / 300
標的(ターゲット)298 人形

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡り。リボーンが馬場と戦っている頃。

 

(婚后さん……)

 

 美琴は今だに操折の派閥の監視化に置かれていた。そして帰って来ない婚后の無事を心の中で祈っていた。

 すると美琴たちの隣を1台の救急車が通り過ぎる。

 

「熱中症患者が増えているそうですわね」

 

「私たちも気をつけませんとね」

 

 美琴を監視していた女生徒たちは誰かが熱中症で倒れて、救急車に運ばれたのだと推測する。

 すると救急車は病院のある突き当たりの角を曲がる。3人は救急車が曲がった角の前を通り過ぎて行く。

 その時だった

 

「佐天さん!? 湾内さん!? 泡浮さん!?」

 

 美琴の視界に救急車から降りて佐天と湾内と泡浮が降りて来た為、何かあったのではと思い美琴は慌てて駆け寄る。

 

「どうしたの!? 救急車から降りるなん……」

 

 何かあったのだと3人に尋ねようとした美琴。しかし聞く前に何があったかを即座に理解した。なぜならボロボロにされ、担架の上で意識を失っている婚后を見てしまったのだから。

 

「こ、婚后さん……!?」

 

 美琴は意識不明の婚后を見てショックを受け、その場で固まってしまう。

 美琴がショックを受けている間にも救急隊員は婚后を病院内に運んで行く。詳しい事情を聞きたかった美琴であったが、3人と婚后と共に病院内へと入って行く。婚后はすぐに治療室に運ばれ、4人は待合室にて待機する形になる。

 

(私のせいだ……)

 

 美琴は婚后がこんな目にあったのは自分が婚后に助けを求めたからだということを理解する。

 

(甘かった……あんな学舎で学ぶ学友。他人を傷つけるような真似はしないと。気に入らない私にちょっかいかけてきているだけだと)

 

 美琴は自分の認識を後悔すると同時に、操折を容赦なく叩き潰す覚悟を決める。

 

「あ、あの……婚后さん……犬のロボットを操る嫌な奴に襲われたんです……」

 

 話しかけづらい雰囲気の中、佐天が勇気を振り絞って美琴に事の経緯を説明する。

 

「で、ですがリボーンさんが助けて下さって……」

 

「それでリボーンさんの指示で婚后さんを病院に連れて行くように言われて……」

 

「っ!?」

 

 佐天が勇気を振り絞ったので、湾内と泡浮も恐る恐る事情を説明する。リボーンという単語という言葉が出た途端、美琴は顔色を変える。

 

(やっぱりあいつが関わっていた!! ということはやっぱり……)

 

 今までの状況からツナとリボーンが操折と敵対関係にあると美琴は判断する。

 が、

 

「え……湾内さん、泡浮さん、あの子のこと知ってるんですか?」

 

「え……!?」

 

 佐天の発言を聞いた途端、美琴は衝撃を隠せないでいた。

 

「そういえば佐天さんはご存知ないのでしたね」

 

「あの方は私たちのご友人なのですよ」

 

「そ、そうだったんですか……まさか知り合いだったんんて……」

 

 泡浮と湾内がリボーンと知り合いだとは夢にも思ってもいなかった為、佐天は驚きを隠せないでいた。

 2人は学生誘拐事件の時に初めてリボーンに出会っている。学生誘拐事件が起きた時には佐天は学園都市にいなかった。故に佐天とリボーンは初対面だと思っていたのである。

 

(な、何で佐天さんがリボーン(あいつ)のことを忘れてるの!?)

 

 佐天がリボーンのことを忘れていることに美琴は衝撃を隠せないでいた。リボーンと佐天は仲間であると同時に家庭教師と生徒の関係にある。リボーンによって佐天は覚醒したと言ってもいい存在。忘れるなど考えられなかった。

 

(ま、まさか!? 食蜂に!?)

 

 佐天がリボーンのことを忘れているのは操折によって記憶を消されているのだと気づく。

 

(でも何で……!?)

 

 操折が佐天たちから自分の記憶を消去するのは理解できる。単に操折が美琴のことが邪魔だからである。しかし操折が、佐天からリボーンの記憶を消去する理由がない。故に操折が佐天の記憶からリボーンのことを消去した理由がわからず困惑してしまっていた。

 

(とにかく今は動かないと!!)

 

 今この場で考えてもわからないと判断した美琴は行動することを決める。

 

「ねぇ。リボーンをどこで見たの?」

 

「え、えっと……」

 

 美琴はリボーンの居場所を尋ねる。美琴の圧迫感に気圧されながらも湾内が美琴の問いに答えた。

 

「ありがとう」

 

 そう言うと美琴は椅子から立ち上がって、リボーンがいたという場所へと向かって行くことを心に決め、ゆっくりと病院の出口に向かってゆっくりと歩を進める。

 

「み、御坂様……」

 

「何か事情おありそうですが……」

 

「どいて」

 

 美琴を監視していた派閥員が美琴の心情を察しつつも恐る恐る遠回しに美琴を止めようとする。だが美琴が歩みを止める様子はなかった。

 

「こ、ここは他の派閥員の到着を待って……」

 

「どいて」

 

「「っ!?」」

 

 なんとしてでも美琴を止めようとする派閥員だったが美琴の一言を聞いた途端、全身に悪寒が走る。

 

「私を殺してでも止める覚悟がな覚悟がないならどいて」

 

 美琴は派閥員2人の間をゆっくりと通り過ぎて行く。2人は美琴から放たれた殺意に気圧されそのまま立ち尽くすことしかできなかった。

 

(ど、どうしよう……)

 

 ただならぬ雰囲気を纏った美琴の背中を佐天は心配そうな表情(かお)で見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 派閥員を振り切った美琴はリボーンが現れた場所へと向かう。

 

「これは……!?」

 

 美琴の視界にはリボーンが昨日を停止させたT(タイプ:)G(グレート)D(デーン)が転がっていた。すでに戦闘が終わっておりそこには誰もいなかった。

 

(ダメ……止まってる……)

 

 T(タイプ:)G(グレート)D(デーン)にハッキングして情報を得ようとした美琴であったが、完全に機能が停止しており情報を得ることは叶わなかった。

 

(まだ近くにいるかもしれない……)

 

 リボーンを自力で見つけるのは困難を極めるが情報が得られない以上、自分の足で見つけるしかないと美琴は理解した。

 その時だった

 

「オヤオヤー? 馬場ちゃんの後始末にしに来たのに思わぬ収穫じゃなーい?」

 

 美琴の真横から全身をフードで覆い、髑髏のネックレスをつぇた警策が現れる。

 

「チョチョット。お姉さんに聞きたいことがあるんだけどー?」

 

「今立て込んでるの。あんたみたいな得体のしれないのと話してる暇はないわ。ただしあんたが私の友達を怪我させた奴の関係者なら話は別だけどね」

 

 警策に対して全身に電気を迸らせながら美琴は敵意を剥き出しにする。そんな美琴を前にしても警策は動揺するどころか何喰わぬ顔をしていた。

 

「得体の知れない? ウチらの別荘を襲撃して情報をぶっこ抜いておいて」

 

「別荘? 襲撃? 何の話?」

 

 いきなり身に覚えのないことを言われて美琴は困惑してしまっていた。

 

「ノンノン。とぼけたって無駄よん。こっちのこと嗅ぎ回ってんだからわかってるでしょ? 絶対能力進化(レイド6シフト)計画をあなたが妨害していたのはとっくに調査済み。計画破綻後、妹達(シスターズ)がどうなったか知らない訳がないよねっ。学園都市内に残ったクローンをどこに匿ってるのかなっ?」

 

「……」

 

 警策の問に対して美琴が応えることはなかったが、美琴の脳裏にはカエル医者と9代目の姿が浮かんでいた。

 

「あんたたちが何者か知らないけど私の友達を襲ってまで何がしたい訳?」

 

「アリャリャ今更そんなこと言っちゃう?私から言わせればこんな街でノウノウと暮らしていられる美琴ちゃんの方がよっぽど異常だけど」

 

「っ!?」

 

 警策の言葉を聞いて美琴は動揺すると同時に思い出す。一方通行(アクセラレータ)によって殺されたミサたちのことを。

 

「だってほら今まで色々と見てきたでしょ? 絶対能力者(レベル6)を生み出す為に為されてきた非人道行為。置き去り(チャイルドエラー)を使ったDNAマップの詐取。それらの行為はたかだか一企業、一組織によって行われてる訳じゃない。元を辿れば必ず学園都市上層部へと繋がっていく。この街そのものが巨大な実験場であることをあなたは知っている。そう。あなたはそこらの何も知らない学生とは違う。それなのに現実に目を逸らして曖昧に日々を過ごしてる。よく平然としていられるものね」

 

「私だって……!?」

 

 警策から告げられ事実は真実。その事実を目の当たりにしている美琴の心は揺さぶられていた。

 

「いいえ……それとこれとは関係ない。あんたが私の友達に危害を加えたこととは繋がらないわ」

 

 警策の言葉によって精神的に追い詰められかけた美琴であったが、婚后のことを思い出してなんとか持ち直した。

 

「警告よ。あんたたちの目的を教えなさい」

 

 美琴は右腕を警策の方に向け、情報を吐かなければ電撃を放つという意思を見せる。

 

「私の問に答えなかったクセに教えてもらおうだなんて都合がよ過ぎるんじゃなーい? 生憎だけどそれは教えられないねー」

 

「そう」

 

「っ!?」

 

 すると美琴の右手から電撃が放た警策に直撃する。警策は避けることもできずうつ伏せの状態で倒れる。

 

「安心しなさい。全身が痺れて動けない程度にしといたから」

 

 美琴は警策から情報を得る為に気絶させず、全身が痺れて動けないレベルの電力で攻撃したのである。

 が、

 

「容赦なく電撃放つなんて美琴ちゃん過激だねー」

 

「っ!?」

 

 美琴の電撃を喰らったのにも関わらず警策は何事もなかったかのように起き上がる。そんな警策を見て美琴は動揺を隠せないでいた。

 すると警策を覆っていたフードが取れる。そこには全身真っ白で、両腕が刃物のように鋭くなっているという不気味な存在が美琴の目の前にいた。

 

(人間じゃない!?)

 

 明らかに人間ではない存在を目の前にして美琴は驚きを隠せないでいた。

 目の前にいるのは警策ではなく液体金属によって作られた人形である。警策は人の形をした液体金属を操ることができる液化人影(リキッドシャドウ)の持ち主。今まで喋っていたのは警策ではなく液化人影(リキッドシャドウ)。この液化人影(リキッドシャドウ)には聴覚と触覚があり、聴覚と触覚の情報は本体に送られる。髑髏のネックレスはカメラであり視覚の役割を果たしている。

 

(どうする!? 電撃は聞いてない!? 超電磁砲(レールガン)で吹っ飛ばせるか!?)

 

 電撃が効いてない上に生身の人間ではない以上、遠慮なく超電磁砲(レールガン)は撃てる。しかし効くのかどうかわからない為、美琴は超電磁砲(レールガン)を撃つかどうか迷っていた。

 美琴が迷っている間にも液化人影(リキッドシャドウ)は美琴に近づいていき、美琴は窮地に立たされていた。

 

雨の炎矢(ヴェレッタ・フィアンマ・プルーヴィア)

 

「っ!?」

 

 すると液化人影(リキッドシャドウ)の体のあちこちに無数の矢が突き刺さる。

 

「大丈夫!?」

 

「佐天さん!?」

 

 美琴の窮地に現れたのは佐天だった。美琴は佐天が来てくれたことに驚きを隠せないでいた。

 

「な、何で……!?」

 

「話は後。こいつを片付けるのが先よ」

 

「片付けるー? 生憎だけど君の攻撃はこれっぽちも効いてないよー」

 

 矢は刺さったが人形を破壊する程の決定打には程遠い。故に警策は余裕だった。

 

「本当にそうかしら?」

 

「っ!?」

 

 佐天がそう言うと警策はすぐに異変に気づいた。液化人影(リキッドシャドウ)が動かせないことに。

 

「私の矢を放ったのは人形を破壊する為じゃない。人形の動きを止める為よ」

 

 佐天の雨のボウガン(バレストラ・ディ・ピオッチャ)は雨属性の特徴である鎮静の効果のある矢を放てる武器。それ故に警策は液化人影(リキッドシャドウ)を動かせなくなったのである。

 

(ど、どうなってるの!?)

 

 雨属性の炎のことを知らない警策は矢が刺さっただけで液化人影《リキッドシャドウ》の動きが封じられた理由がわからず困惑していた。

 警策が困惑している間に佐天は右手に指先に炎を一点に集中させて小さい炎の球を生成し、液化人影(リキッドシャドウ)に狙いを定める。

 

「死炎球拡散」

 

 佐天は一点に集中した炎を液化人影(リキッドシャドウ)に向かって広範囲に拡散する。液化人影(リキッドシャドウ)は避けるどころか動くこともままならず佐天の炎に包まれ、跡形もなく消し炭となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「ちっ! まさか液化人影(リキッドシャドウ)を消し炭にできる奴がいるなんて……」

 

 安全圏から液化人影(リキッドシャドウ)を操っていた警策は予想外の出来事に苛立ちを隠せないでいた。

 

「まぁいいかー。美琴ちゃんを殺すのが目的じゃないしー。交渉したって無駄だってこともよくわかったしー」

 

 だがすぐに苛立ちはすっかり消えて、いつものお調子者の警策に戻る。

 

「それに……」

 

 警策の脳裏にはある光景が浮かぶ。それは学園都市の裏の話をした時に美琴が苦悩の表情であった。

 

「脈はありそうじゃない?」

 

 

 




感想、評価、アイディア募集で何かありましたら、遠慮なくどうぞ!

感想→https://syosetu.org/?mode=review&nid=237187&volume=

評価→https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=237187&volume=1

Twitter→https://twitter.com/husuikaduti

アイデア募集→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=247248&uid=88671

ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。