美琴は黒子に電話をかけ、少年のいる場所まで来てもらう。
「送りますわ」
「頼む」
路地にテレポートして来た黒子に少年の連行を頼む。黒子は少年と共にテレポートしその場から消える。
「ねぇ。何であんな真似をしたの?」
「放っておけなかった。かつての俺を見てるようでな。だから救ってやりたかった」
「じゃあもしあいつが襲いかかってきたらどうするつもりだったのよ?」
「信じてたからな。あいつは絶対に踏み留まってくれるってな」
「あんな爆弾魔を信じるなんて……あんた馬鹿じゃないの……」
ツナの発言に美琴は右手を額に当てて呆れてしまっていた。
「それにお前を危険な目に遭わせたくなかったらな」
「危険?」
「あのままお前があいつを殴っていたら、あいつはお前を怨み、必ずお前に復讐する。それを絶対に阻止したかった」
「私があんな奴に負けるわけないじゃない。返り討ちよ。返り討ち」
「それが問題なんだ」
「どういうことよ?」
「怨みっていうのは恐ろしいんだ。一度、復讐すると決めたらその者を復讐が成功するまで止まらない。そいつに復讐する為ならどんな手段だって使う。もしあいつがお前に復讐すると決めればお前だけじゃなく、お前の大切な者まで手を出す。たとえ自分が死ぬことになろうともな」
「何でそんなことがわかるのよ?」
「怨みの恐ろしさは身を持って体験したからな。嫌という程にな」
美琴の問いに答えると顔を俯かせたまま沈黙する。少しするとツナは口を開いた。
「中学の時。俺に親友ができた。俺と同じで勉強も運動もできなくて同じ悩みを持つ奴だった。俺はそいつと初めて出会った時、嬉しかった。自分と同じ悩みを持つ人間が他にもいたことに」
ツナの脳裏にはシモンファミリーのボスである古里炎真の姿が脳裏に浮かんでいた。
「だが俺はそいつと殺し合いを演じることになった」
「な、何でよ!?」
「簡単に言えば先祖代々の因縁だ。といっても誤解があったんだが。それでも今でも覚えてる。あいつは俺に復讐する為に力を求めさらには人格まで変わった。最終的に自分の力に飲み込まれかけて命を落としかけた」
ツナは思い出す。シモンファミリーの聖地にて炎真と戦った際、覚醒したシモンリングの力に飲まれ殺戮マシーンと化した炎真の姿を。
「ある奴はある男に復讐する為に何百年も生き続けた。その男に復讐できるなら死んだとしても本望だと言った」
「な、何百年……!? な、何言ってるのよ……!?」
ツナの脳裏にはマフィア界の掟の番人である
さらにツナは続ける。
「そして俺自身も憎しみのあまり一人の男の命を奪ったことがある」
「え……!?」
ツナの脳裏には未来の世界でミルフィオーレファミリーのボスとして君臨していた白蘭の姿が浮かんでいた。ツナが人を殺したと知って、美琴は驚きのあまり目を見開いていた。
「憎かった。その男のせいで多くの人が犠牲になり、俺の仲間も犠牲になった」
ツナの脳裏にはジッリョネロファミリーのボスであるユニ、同じくジッリョネロファミリーの一員であったγ、そして自分の友達の父、山本剛の姿が浮かんでいた。
「今でも後悔している。もっと他に方法があったんじゃないかって。そして気づいたんだ。本当に戦うべき相手は憎むべき相手じゃなくて、自分の内に潜む狂気だってな」
ツナは悲しそうな
「少し話し過ぎたな……ようするに俺が言いたいのは考えなしに人を傷つければ怨みが生まれ、その報いは自分に返ってくるってことだ」
そう言うとツナは
「とりあえず黒子たちの所へ行こう。みんな心配してるはずだから」
「え……う、うん……」
その夜
「……」
美琴は自分のベッドにてゲコ太人形(カエルのぬいぐるみ)を抱き絞めながら、何かを考えていた。
『怨みっていうのは恐ろしいんだ。一度、復讐すると決めたらその者を復讐が成功するまで止まらない。そいつに復讐する為ならどんな手段だって使う。もしあいつがお前に復讐すると決めればお前だけじゃなく、お前の大切な者まで手を出す。たとえ自分が死ぬことになろうともな』
『簡単に言えば先祖代々の因縁だ。といっても誤解があったんだが。それでも今でも覚えてる。あいつは俺に復讐する為に力を求めさらには人格まで変わった。最終的に自分の力に飲み込まれかけて命を落としかけた』
『ある奴はある男に復讐する為に何百年も生き続けた。その男に復讐できるなら死んだとしても本望だと言った』
『そして俺自身も憎しみのあまり一人の男の命を奪ったことがある』
『憎かった。その男のせいで多くの人が犠牲になり、俺の仲間も犠牲になった』
『今でも後悔している。もっと他に方法があったんじゃないかって。そして気づいたんだ。本当に戦うべき相手は憎むべき相手じゃなくて、自分の内に潜む狂気だってな』
『ようするに俺が言いたいのは考えなしに人を傷つければ怨みが生まれ、その報いは自分に返ってくるってことだ』
美琴の脳裏には事件後にツナは言っていたことが頭から離れないでいた。
(あいつは一体、何者なの……?)
ツナの言葉を聞いてから、美琴はツナが一体何者なのであるか気になってしまったのであった。
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