とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)44 必殺技(とっておき)

 

 消滅という単語を聞いて驚く美琴と木山。

 

「しょ、消滅!? 何、言ってんのよ!?」

 

「そのままの意味だ。俺の最高の技で再生できないぐらい粉々にする」

 

 いくらツナが強いといっても幻想猛獣(AIMビースト)を消滅させることなど不可能だと美琴は思っておりツナの言葉を信じられないでいた。一方でツナは平然と凄いことをさらっと述べていた。

 

「というかさっき広範囲の攻撃は苦手って自分で言ってたじゃない!」

 

「すぐにはな。時間さえあればいける。だからお前に時間稼ぎを頼んでるんだ」

 

「で、でもそんなの信じられるわけ……」

 

「じゃあどうする? お前の電撃は通じない。たとえ通じたとしてもお前の攻撃ではあいつを消滅させるだけの力はない。たとえお前が本気(・・)でやったとしてもだ」

 

「な、何で……!? それを……!?」

 

「お前と戦った時だ。本気を出せばもっといけるはずなのに、お前は力を抑えていた。それは本気を出せば自分自身への反動が大きいからだ。そうだろ?」

 

 ツナは美琴と戦っていた時にすでに美琴の力量を把握していた。ツナの言っていることが正しいのか美琴は何も反論できずにいた。

 

「わかったわよ……あんたの言う通り時間を稼いであげるわ」

 

 美琴は自分が本気を出しても幻想猛獣(AIMビースト)には勝てないと理解し、ツナの言う通り時間稼ぎをすることを決める。

 

「その代わり絶対に倒しなさいよ! 私の頑張りを無駄にしたらただじゃおかないんだから!」

 

「ああ。任せろ」

 

 そう言うとツナは形態変化(カンビオフォルマ)を解除しナッツを肩に乗せる。そして手を開いた右腕を前方に移動させ、手を開いた左手を後方に移動させると自身の最強の技であるXBURNER(イクスバーナー)を発射する態勢に入った。

 

「オペレーションX(イクス)

 

『了解シマシタボス。イクスバーナー発射シークエンスヲ開始シマス』

 

 ツナのヘッドフォンから女性のアナウンスが聞こえ、ツナの瞳にゲージを映し出される。これはコンタクトである。勿論ただのコンタクトではなく、ツナの知り合いのメカニックのスパナが作ったXBURNER(イクスバーナー)用コンタクトである。ヘッドフォンもスパナの作ったものであり、XBURNER(イクスバーナー)を安定して放つ為に必要不可欠なアイテムである。

 

(炎を逆方向に噴射させた……!?)

 

 ツナは後方に移動させた左手から炎を逆方向に噴射させた。美琴はなぜツナがそんなことをするのかわからないでいた。

 

(まさかあの炎を支えにして……!?)

 

 ツナの構えと炎を逆方向に噴射させたことから美琴はツナが何をしようとしているのかを理解する。

 

「準備ができたらナッツの咆哮で合図する。ナッツの遠吠えが聞こえたらこっちにあいつを誘き寄せてくれ」

 

「わかったわ」

 

 ツナは遠くで戦う美琴に発射する準備が整ったことを知らせる術を美琴に伝える。美琴はそう言うと一気に走って、幻想猛獣(AIMビースト)の元へと向かって行く。

 

「木山。お前はここから逃げろ。今の俺は発射するのに集中しているからお前を護る余裕はない」

 

「そうはいかない。あの幻想猛獣(AIMビースト)は私が作ったんだ。私にはあれがどうなるか見届ける責任がある」

 

 ツナは後ろを向いて木山に逃げるよう命ずるが木山の意志は固く、逃げる様子はなかった。

 

「わかった」

 

 木山の目を見てこれ以上、何を言っても木山は逃げる気はないとツナは判断し、この場に留まることを許した。

 

「だがそれでも少し離れていてくれ。この技は強力すぎて、お前まで巻き添えになる」

 

「わかった……」

 

 そう言うと木山はツナから少し離れた場所へと移動した。

 

『ライトバーナー炎圧上昇。48万……49万……50万FV(フィアンマボルテージ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で幻想猛獣(AIMビースト)と戦っている美琴は。

 

「何であいつはあんなダメージを与えられたのよ!」

 

 幻想猛獣(AIMビースト)に砂鉄の槍を放って攻撃していた。だが斬っても斬ってもすぐに再生する為、意味はなかった。一応、電撃は放ってはみたものの木山の時と同じく避雷針を展開され、電撃が通じることはなかった。

 

「早くしなさいよ沢田! いくら私でもそう長くは持たないわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてXBURNER(イクスバーナー)を放つ準備をしているツナは。

 

『レフトバーナー炎圧上昇。48万……49万……50万FV(フィアンマボルテージ)。ゲージシンメトリー発射スタンバイ』

 

 支えとなる左手の炎の量が右手の炎と同じ量となった。これで後は美琴に合図し自分たちの所へと戻り次第、XBURNER(イクスバーナー)を撃つだけとなった。

 

「ナッツ!」

 

「GURURU……GAOOOOOOO!」

 

 ナッツは美琴と幻想猛獣(AIMビースト)のいる方向へと咆哮を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナッツの声!」

 

 美琴にXBURNER(イクスバーナー)の発射が整ったと知らせる合図が美琴に届いた。

 

「こっちよ!」

 

 美琴は戦線を離脱しツナたちのいる所へ走って行く。逃げていく美琴を見て幻想猛獣(AIMビースト)は美琴を追って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全速力でツナの所へと向かう美琴。そしてツナたちのいる場所へ辿り着いた。ツナはナッツをリングに戻した。

 

「美琴! 木山のいる場所まで離れてくれ! お前まで巻き込むことになる!」

 

「OK!」

 

 美琴が前に見えてきたところでツナがそう言う。美琴はそのまま勢いを殺すことなく木山のいる場所まで走って行く。美琴が安全な場所まで避難をしたのを確認するとツナは自分の方へと向かってくる幻想猛獣(AIMビースト)の方を向いた。

 

「能力が人間の価値じゃない。人間の価値はそんなもので決まりはしない」

 

 ツナは超直感で感じとっていた。幻想猛獣(AIMビースト)から昏睡状態にある学生たちの怨みや嫉妬、自己嫌悪などの負の感情が溢れ出していることに。

 

「俺もお前達と同じだ。落ちこぼれでずっと一人だった」

 

 ツナの脳裏に中学時代にいじめられていた時のことが浮かんでいた。

 

「でも友達ができて変わった。嬉しいことも楽しいことも、辛いことも悲しいことも分けあえるようになった」

 

 ツナの脳裏には元いた世界の仲間たちの姿が浮かんでいた。

 

「お前たちは一人じゃない。自分と同じ悩みを抱えている無能力者(仲間)だっている。だから一人で悩まずに今度は仲間と共に頑張って欲しい」

 

 ツナは少しだけ微笑みながらそう言った。そして笑みが消える。

 

XBURNER(イクスバーナー)!」

 

 ツナの右腕から大量の炎が放たれた。

 

 放たれる最強の一撃! 果たして!? 

 

 

 

 




高評価を下さったあそみなさん、鬼頭さん。ありがとうございます!


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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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