とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)47 己の弱さ

 

 

 

 

 木山は応援にやって来た警備員(アンチスキル)に手錠をかけられ連行されることになる。

 

「そうだった。君たちに言っておくことがあった」

 

 護送車に乗ろうとした木山だったが、何かを思い出し木山は足を止める。

 

「花飾りの彼女に幻想御手(レベルアッパー)をアンインストールする治療用のプログラムを渡してある。それを使えば昏睡状態になった学生たちを起こせるはずだ」

 

「はい……」

 

 木山はそう言うが、ツナの表情は暗かった。木山が逮捕される為、どうしても暗い気持ちになってしまうのである。

 

「そんな表情(かお)をするものじゃない。私は幻想御手(レベルアッパー)を作った張本人。それに君たちは私を捕らえる為に来たんだろう」

 

「でも……」

 

「殺されるわけじゃないんだ。時が経てば出所できる」

 

 木山はツナに暗い表情(かお)をするなと言うがツナの表情(かお)が晴れることはなかった。

 

「それに私は君と話したいことがあるんだ」

 

「話したいこと……?」

 

「君の先生のことさ。私が出所したら君の先生のこと聞かせて欲しい」

 

「木山さん……」

 

「約束だよ。沢田君」

 

 微笑みながらそう言うと木山は歩を進めて、護送車に乗って行く。木山が護送車の扉が閉まり護送車は走り去って行った。ツナはその場で車を立ち尽くしていた。

 

(一体……沢田は何者なの……? 何で沢田はあんなやばい奴らと戦ってたの……? どうして何度もボロボロに……)

 

 一方で美琴は先程、見たツナの過去が頭から離れないでいた。ツナが戦ってた相手はどれも恐ろしい奴ばかり、中には人間かどうかも怪しい奴までもいた。

 

(でもわかったことがある……)

 

 美琴はツナの正体がわからなかったが、一つだけわかったことがあった。

 

(私は弱い……)

 

 美琴は自分の拳を握り、歯を強く食いしばっていた。

 

(私もいつも自分の為だけに力を使ってた……でも沢田は一度たりとも自分の力を自分の為だけに使ってなかった……使う時はいつも誰かの為……)

 

 ツナの過去、そしてツナと出会ってからのことを美琴は思い出す。

 

(それにいつも辛そうな顔で戦ってた……)

 

 ツナの過去を見た時、ツナが一度として笑って戦っている姿はどこにもなかったことに美琴は気づいた。

 

(それなのに私はいつも沢田の戦いたくないっていう意思を無視して……最低じゃない……)

 

 美琴は自分の下らないプライドにツナを巻き込んだことをようやく自覚し、同時に何も考えずにそんなことをしていた自分自身に嫌気がさしていた。

 

(沢田だけじゃない……あいつも……)

 

 美琴の脳裏にはツナと同じく、自分勝手な都合に巻き込んでしまった当麻の姿が浮かんでいた。

 

(虚空爆破(グラビトン)の時、沢田は介旅と言葉でわかり合おうとしてた……力でねじ伏せれば自分だけじゃなくて、自分の周りにいる人間にまで被害が及ぶことをわかってたから……)

 

 美琴は連続虚空爆破(グラビトン)事件でツナが取った行動を思い出す。

 

(でも少し考えれば誰だってわかることよね……でも私にはそれがわからなかった……いやそもそも考えようとしなかった……ただただ怒りのままに力でねじ伏せようとしてた……もしかしたら大切な友達を失ってたかもしれないのに……)

 

 連続虚空爆破(グラビトン)事件で自分の取った行動の愚かさに美琴は後悔していた。

 

(虚空爆破(グラビトン)だけじゃない。沢田はいつも相手のことまで考えてた……)

 

『お前のあのコイン。どういう原理であそこまでの威力を出せるかは知らないが、相当な威力。もしお前の攻撃が当たればこの男がタダではすまなかったからな』

 

『あんまり追い回して能力を使わせたら、この子の負担になると思ったし』

 

『どうしてそんなに悲しい顔をしてるんだお前は?』

 

 銀行強盗事件、常盤台狩り事件、今回の幻想御手(レベルアッパー)事件。ツナはいつも相手のことを考えていたことを思い出す。

 

(でも沢田はこんな私でさえも友達だって言ってくれて……気づかせようとしてくれて……信じてくれた……)

 

『できれば酷いことはしないで欲しい。これでも美琴は俺の大事な友達なんだって言ってな。御坂のことを心配していたぞ』

 

『だがお前が俺に勝てない要因はそれだけじゃない。自分がレベル5だという驕り、そして相手の強さも自分の弱さも認めないことだ。そんなんじゃ死ぬ気の俺は倒せない』

 

『美琴。俺が隙を作る。隙ができたらお前の攻撃を至近距離で喰らわせてくれ』

 

 美琴はこんな最低な自分に対して色々としてくれたツナに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまっていた。

 

「美琴」

 

「……」

 

「美琴!」

 

「へっ!?」

 

 ずっと長考している美琴にツナは何度も名前を呼ぶが反応がない為、少し大きな声で呼んだ。美琴はようやく自分が呼ばれていることに気づいた。

 

「な、何?」

 

「何って。帰ろうと思って名前を呼んだのにボーッとしてて反応がないから……」

 

「ごめん……ちょっと考え事してて……」

 

「美琴? どうかしたの?」

 

 暗い表情(かお)している美琴を見てツナは何かあったのではないかと気づいた。

 

「私もあんたの過去を見たの……」

 

「え?」

 

「あんたは一体、何者なの? 何であんたがあんな奴らと戦ってたの?」

 

「それは……」

 

 美琴の問いにツナは答えようかどうか迷ってしまい顔を俯かせてしまう。

 その時だった、

 

「お姉様ーーーー!」

 

「黒子!? うぉっ!?」

 

 黒子がテレポートで現れ、美琴に抱きついた。急に抱きつかれた為、美琴はそのまま押し倒されてしまった。

 

「お姉様! 怪我はありませんか! 黒子が今、お姉様を体を癒して……グヘヘヘへ!」

 

「こんな時にあんたは……いい加減にしろーーーー!」

 

「ああっ! お姉様の電撃! 刺激的ですのー! もっと! もっと下さいですのー!」

 

「気持ち悪いこと言ってんじゃないわよ!」

 

(た、助かった……)

 

 黒子の変態のお陰で自分の正体をバラさないで済んだツナであった。

 

 

 




ツナの正体はもう少ししたらバラします。

高評価を下さった秋月有希さん、prinnyさん。ありがとうございます!



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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
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