とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)48 涙

 

 幻想御手(レベルアッパー)事件はツナと美琴によって無事解決した。初春が木山から貰ったという幻想御手(レベルアッパー)をアンインストールするワクチンソフトは本物であり、昏睡状態となった学生を目覚めさせることに成功していた。そして佐天の面会が可能となった為、学校に行っていないツナは誰よりも先に佐天の入院している病院へ見舞いに行った。

 

「ん?」

 

 佐天の病室に向かう途中、ツナは違和感を感じる。昏睡状態になっていたであろう学生が先程からツナのことをじろじろと見たり、コソコソと話しながら見ているのである。

 

「なんか見られてる……まぁいいか……」

 

 見られていることに気づいてはいたものの、なぜ見られているのかわからなかった為、そのまま佐天のいる病室に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 佐天のいる病室の扉の前

 

「ここか……」

 

 ツナは受付で聞いた佐天のいる病室の番号と今、目の前にいる病室の番号を合っていることを確認した。

 

「佐天?」

 

 ツナはおそるおそる病室の扉を開けた。ツナの視界にはベッドから窓の外の景色を見ている佐天の姿が映る。

 

「あ。ツナさん」

 

 佐天はツナがやって来たことに気づきツナの方を向いた。ツナが来ても佐天は驚くこともなく、ただただ笑顔でそう言った。

 

「佐天……」

 

 笑顔で元気そうな佐天の姿を見た途端、ツナは慌てて佐天の元へ駆け寄った。

 

「ツ、ツナさん!?」

 

 ツナは佐天の右手を両手で握る。再会して早々にツナが急に手を握ってきた為、佐天は驚きを隠せないでいた。

 

「夢じゃない……」

 

「ツナさん?」

 

 突如、変なことを言い出した為、動揺していた佐天も違和感を感じてしまう。

 

「この感じ……本当に佐天だ……」

 

「ツナさん……」

 

 ツナは嬉しさのあまり佐天の手を握ったまま涙をボロボロと溢す。

 

「ごめんね……佐天……」

 

「え?」

 

「俺……佐天の様子がおかしいことに気づいてた……でも俺には聞く勇気がなくて……佐天がそんなにも悩んでたのに俺は何もしてあげられなくて……」

 

「何でツナさんが謝るんですか……悪いのは私のに……」

 

 佐天はツナの言葉を聞いた途端、今にも泣きそうな顔になる。だがツナの前で泣く姿を見せたくないのか我慢していた。

 

「でも本当によかった……佐天が無事で……」

 

「もう……大袈裟ですよ……別に眠っただけ……なんです……から……」

 

 なんとか平常心でいようと思った佐天であったが、ツナの言葉を聞いた途端、我慢できなくなりツナと同じく涙をボロボロと溢していた。少しの間、二人は嬉しさのあまり涙が止まらなかった。

 

「あ。そういえばずっと聞きたかったことがあるんだけど」

 

「何ですか?」

 

 泣き止んで落ち着いた後、ツナは丸椅子に座ってずっと気になっていたことを佐天に尋ねる。

 

「気絶する前に何か言いかけたよね? 俺のことがって。何を言おうとしたの?」

 

「なっ!?」

 

『それとツナさん……私……ずっと……ツナさんのことが……』

 

 ツナがそう言うと佐天は顔を真っ赤にしながら、倒れる前に自分が言おうとしたことを思い出した。

 

(そ、そうだった!! ///私、もうツナさんに会えないかもしれないって思ったから……!? ///)

 

 これで金輪際、ツナと会えないかもしれないと思った佐天は最後にツナに告白しようとした。だが想いを伝える前に幻想御手(レベルアッパー)の副作用で倒れてしまった為、佐天はツナに想いを伝えることができずにいた。

 

「佐天? どうかしたの?」

 

「ななな何でもないです!! あの時に言いかけたことも大したことないですから!!」

 

「そ、そう……? ならいいんだけど……」

 

 顔を赤くしながら必死で大したことはないと言う佐天を見て、ツナは戸惑いながらも納得した。

 

「戻ったよールイコ……え!?」

 

 佐天とクラスメイトであり同じ病室を使っているアケミが戻って来る。アケミは自分の方を向いているツナを見て、驚きの声を上げた。

 

「えっと……佐天の友達?」

 

「え……? は、はい! アケミっていいます!」

 

「俺は沢田綱吉。よろしくね」

 

 アケミは少し緊張しながら自己紹介し、ツナは普通に自己紹介した。

 

「俺、売店で適当に食べ物買ってくるから」

 

 そう言うとツナは病室を出て、病院内の売店に向かって行った。

 

「ねぇルイコ。あの人と知り合いなの?」

 

「うん。まぁ……」

 

 アケミは神妙な面持ちで佐天に尋ねると、佐天は曖昧に返事をした。

 

「私たちが夢で見た人とそっくりだけど……でも雰囲気が違うっていうか……」

 

 アケミは昏睡状態になった時に夢を見た。それは美琴と木山が見たツナの過去である。だが見たのはアケミだけではなかった。昏睡状態となった学生全員がツナの過去を見ていた。学生たちがツナのことを見たり驚いたりしたのはそれが原因である。

 

「本人だよ。私たちのことを助けてくれたのはツナさんだよ」

 

 佐天は少し悲しそうな表情(かお)をしながらそう答えた。

 

(私は……)

 

 そして同時に佐天はあることを決意した。

 

 佐天の決意。それは一体!? 

 

 




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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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