1学期も終わりどこの学校も夏休みに入った。
「佐天さん。本当に行っちゃうんですか?」
「勿論!」
佐天は明日からツナたちの世界に行く。なので別れの挨拶をしに
「本当に大丈夫ですの……? あの方の修行を受けるなど……」
「不安がないと言ったら嘘になりますけど。私も強くなりたいんです」
黒子は佐天のことを心配する。黒子の脳裏にはリボーンの所業が頭から離れておらず、不安しかなかった。だが佐天には迷いはなかった。
「佐天さん。もしあいつが酷いことするようなら私に言ってね。その時は私があいつに電撃をお見舞いしてやるから」
「お前ごときの攻撃が俺に当たるわけないだろ」
「「「「ぎゃーーーーー!」」」」
遊びに来ていた美琴が佐天にそう言うと、噂をしていたリボーンがいつの間にかいた。だがリボーンの姿を見た瞬間、美琴たちは揃って悲鳴を上げる。なぜならリボーンの顔にこれでもかというくらいセミがくっついていたからである。
「ななな、何してんのよあんた!」
「こいつは俺の子分たちだぞ。情報収集用のな」
「何でセミなんですの!」
「情報収集って……まさか……」
「じゃあ虫の言葉がわかるってことですか……?」
情報収集をするのになぜセミが必要なのかわからず黒子はツッコミをいれた。佐天と初春は情報収集と聞いてリボーンが虫の言葉がわかるということ知り、驚きを隠せないでいた。
「欲しいなら譲ってやろうか」
「いいいいいらないわよ! 早く逃がしなさいよ!」
「何だ。お前、虫が苦手なのか」
「いいから逃がしなさいって言ってんのよ!」
「しゃぁねぇな」
美琴は涙目になりながら逃がすように命ずる。リボーンは渋々、子分のセミたちを支部の窓から外に逃がした。
「それで? 何か用ですの?」
「ああ。お前たちにこれを渡そうと思ってな」
そう言うとリボーンは懐から4つの携帯を取り出した。
「携帯?」
「ただの携帯じゃねぇぞ。ボンゴレの最新鋭の技術を使って作った、俺たちが元の世界にいようが連絡できる携帯だ。もし佐天に何か用があんならそいつを使って連絡しろ」
「何でマフィアがそんなものを作れるんですの……」
「もう学園都市の技術、越えてんでしょ……」
マフィアが学園都市の技術を越えるような物を作ったことに黒子と美琴は驚きを隠せないでいた。
「それと佐天。もし何か用事があるんなら先に言っとけよ。お前だってお盆に実家に帰るとかあるだろ」
「大丈夫。もう夏休みが終わるまではこっちに帰るつもりはないから」
「いいのか? 別に無理しないでいいんだぞ」
「ううん。本当に大丈夫」
「そうか。お前がそれでいいんならそれでスケジュールを立てるぞ」
「うん。お願い」
リボーンは佐天が本気であるということを感じ取り、佐天の意思を尊重することを決める。
「そういや。今さらだがツナの奴はどこにいるんだ?」
「木山さんと一緒に木山さんの生徒の所へいますよ。沢田さん今日は非番なので」
「そうか。んじゃ後でツナに伝えといてくれ。明日からお前も元の世界に戻って修行だってな」
「え!? ツナさんも!?」
ツナも一緒と聞いた途端、佐天は目の色を変えた。まさか想い人と一緒に修行するなんて夢にも思わなかった為、佐天が反応するのも無理もない。
「ああ。ずっとツナをいたぶ……修行できなかったからな」
「今、いたぶれなかったって言いかけたよね!」
リボーンはさらっととんでもないことを言いかけた。だが佐天はリボーンが言おうとしたことを聞き逃さなかった。
「まぁ安心しろ。
「沢田さんの意思を無視して勝手に決めていいんですの……? 私としては元の世界に戻れる算段がついたら辞めてもらう予定だったのですが……」
「あいつに否定する権利なんてあるわけねぇだろ。言うこと聞かねぇなら、無理やり従わせるまでだ。たとえ死んだ方がマシだと思わせるぐらいの痛みを与えてもな」
「「「「……」」」」
美琴はツナに対してあまりにも扱いの酷い扱いをするリボーンが悪魔にしか見えなかった。
そして次の日。佐天のアパート
「準備はいいか?」
「うんっ! いいよ!」
「うん……」
佐天はツナと一緒に修行できること、ツナたちの世界に行けるのでワクワクしていた。一方でツナは修行と聞いて、やる気は感じられていなかった。
「ツナ。こいつに死ぬ気の炎を注入しろ」
「え? 死ぬ気の炎を?」
リボーンは例の異世界転送装置を取り出すと、ツナに死ぬ気の炎を注入しろと命ずる。
「こいつは死ぬ気の炎を注入することで起動するように改造したんだ。死ぬ気の炎を注入すれば起動するぞ」
そう言うとリボーンはツナに異世界転送装置を渡した。ツナはリングに死ぬ気の炎を灯すと装置にある窪みに向かって、リングを近づける。近づけると死ぬ気の炎が吸収される。すると装置が輝き始める。
「わっ!」
「眩しい!」
あまりの眩しさにツナと佐天は目を瞑ってしまう。そして数秒すると光が消える同時にツナたちの姿も消えていたのだった。
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