佐天はバジルとのスパーリングを続けて行く。
そして2時間後
「はぁ……はぁ……」
「そろそろお昼ですし休憩にしましょう佐天殿」
(凄い……バジルさん息一つ乱していない……)
スパーリング中、バジルは反撃はしなかったものの佐天の攻撃を全て躱していた。にも関わらずバジルが疲れた様子を一切、見せていないことに佐天は驚きを隠せないでいた。
佐天とバジルはスパーリングをしているツナとリボーンの元へと向かう。そこではボロボロのツナと余裕の笑みを浮かべながら戦うリボーンがスパーリングを続けていた。
「前から思ってたんですけどリボーン君って凄いんですね……」
「リボーンさんは世界最強の殺しの腕を持つ
「せ、世界最強!?」
「はい。さらにボンゴレの現ボス。神の采配とも呼ばれるボンゴレ
(リ、リボーン君ってそんなに凄かったんだ……)
前からリボーンが凄い人物であるということは知っていたが、まさかそこまでの人物だったとは思ってもいなかった為、佐天は驚きを隠せないでいた。
(というか世界最強の
一番、最初に弟子入りした相手が
「お。お前ら休憩か?」
「はい。もうお昼ですので」
「そうか。俺たちもお昼にするか」
お昼と知ってリボーンはスパーリングを中止してお昼にすることにする。
「すいません佐天殿。拙者まで」
「大丈夫ですよ。たくさん作ったので」
昼食は佐天が朝、作った弁当であった。バジルは自分で作ったおにぎりを持って来てはいたが、それだけでは足りないと思い佐天は自分の作った弁当をバジルに譲ったのである。
「そっちの修行はどうだ?」
「わずかですが佐天殿は死ぬ気をコントロールし始めていきます」
「え!? もう!?」
「はい。この調子で行けば今日中には死ぬ気をコントロールできると思います」
「やるじゃねぇか佐天」
「うん! 本当に凄いよ佐天!」
「えへへ」
佐天はリボーンとツナに誉められて頬が緩みまくっていた。
「なんだか懐かしいですね。死ぬ気の零地点突破の修行をした時のことを思い出します」
「そうだね」
「死ぬ気の零地点……?」
バジルとツナはリング争奪戦でXANXASに勝つ為に修行したことを思い出していた。佐天は死ぬ気の零地点突破という聞いたことのない単語を聞いて疑問符を浮かべていた。
「死ぬ気の零地点突破。初代ボンゴレのボスボンゴレ
「奥義!?」
「いっとくが死ぬ気の零地点突破はお前にはできねぇぞ」
奥義と聞いて興味を示したのか佐天は目を輝かせる。リボーンは即座に無理だということを伝える。
「えー! そんなのやってみないとわかんないじゃん!」
「わかるぞ。俺やバジルにだって無理だからな」
「え……!? そうなの……!?」
「この技はボンゴレの血を継ぐものにしかできない技だからな。それにこの技ができたのは歴代ボンゴレの中でもツナを除けば初代だけだ」
「そ、そんなに凄い技なんだ……」
リボーンから死ぬ気の零地点突破の詳細を聞いて、凄い技だということを理解する。
(まぁ……9代目もできるんだがな……)
正確に言えば死ぬ気の零地点突破ができるのはツナと初代と9代目の3人である。だがこれはボンゴレの超機密事項の一つである揺りかごの話に触れてしまう為、リボーンは話さなかった。揺りかごとは10年前に起きたボンゴレ史上最大のクーデターのことである。クーデターの主犯が9代目の義理の息子、XANXASだという恐ろしい事実は機密とされ、この揺りかごのことを知るのはボンゴレの上層部とこの時、戦った超精鋭のみである。9代目はこの揺りかごでXANXASに死ぬ気の零地点突破を使いXANXASを封印することによって事件を収めた。
「そんな技を開発する初代って凄いんだね……」
「初代は歴代のボンゴレの中で最強のボスなんですよ」
「歴代最強って……ツナさんよりも?」
「さぁな。何百年も前の人間だからな」
「あっ……そっか……」
「会ったことはあるんだけどね」
「あるんですか!?」
「会ったっていうか……なんというか……」
何百年も前の人物と会ったことがあると聞いて、佐天は驚きを隠せないでいた。ツナは未来の白蘭との戦いでボンゴレリングに宿っていた初代の意思と会ったことがある。
「でも初代がボンゴレを作ったせいでツナさんがマフィアのボスに……」
初代が凄い人物であるということを佐天は理解した。だがツナがマフィアのボスになるきっかけを作った元凶である為、佐天の初代への印象が悪かった。
「それは違いますよ佐天殿。ボンゴレは元々は自警団だったんですよ」
「え!? そうだったの!?」
「初代の住んでいた街は警察もロクに機能しない街で好き放題荒らされてたんだ。初代と幼馴染みのG、そして後のシモンファミリーのボスになるシモン=コザァードは自分たちの街を護る為に自警団を立ち上げることを決めたんだ。それがボンゴレの起源だ」
「そうだったんだ……」
リボーンがボンゴレの起源を話す。佐天はボンゴレの起源が思っていたのと違っていた為、驚いていた。
「ちなみにシモン=コザァードは炎真の祖先なんだよ」
「炎真さんってボスだったんですか!?」
ツナが炎真がシモン=コザァードの子孫であるということを教えると、佐天は炎真がシモンファミリーのボスだということを理解し驚きの声を上げる。
「ちなみにこれが初代のファミリーだぞ」
「わっ! ツナさんにそっくり!」
リボーンはかつて戦った
(というか他の人も似すぎじゃない……!?)
佐天は初代以外のメンバーもツナの仲間と顔がそっくりだということに驚いてしまっていた。
(え!? この人って!?)
佐天の視界に一人の男性が写る。そして同時に思い出す。ツナの記憶でこの男性とツナが戦っていたことを。
(な、何で何百年も前の人とツナさんが!?)
佐天はわからなかった。ボンゴレ創世期の人間がなぜこの時代まで生きているのかということが。
「そいつの名は
「この人が……!?」
リボーンは佐天が
今、語られるボンゴレの歴史。
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