とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)82 戦闘狂

 

 

 次の日。並盛山。

 

「あれ? バジルさんは?」

 

「バジルは緊急の任務が入ってな。イタリアに戻ったぞ」

 

 佐天はバジルがいないことに気づく。リボーンはバジルがいない理由を説明する。ツナは風紀委員(ジャッジメント)の仕事に行った為、今はいない。

 

「今日は俺がお前の修行相手だぜ。涙子」

 

「ディーノさん!」

 

 やって来たのは鞭を持ったディーノと右腕であるロマーリオだった。

 

「今日は武器を持った相手とのスパーリング。そしてお前も死ぬ気の炎を灯しながらの戦いだぞ」

 

「う、うんっ!」

 

 リボーンはそう言うと死ぬ気丸の入った小瓶を佐天に投げる。佐天は死ぬ気丸を1錠、取り出し飲み込むと死ぬ気モードとなる。

 

「晴の炎か。後、もう一つは何だ?」

 

「雨の炎だぞ」

 

「そうか」

 

 ディーノは佐天が右指に装着しているリングが2つあることから晴属性の炎以外にも使えるということを推測する。

 

「それじゃまずは死ぬ気の炎の使い方からだな。死ぬ気の炎を灯すのに必要なものは何だかわかるか?」

 

「覚悟ですよね」

 

「その通りだ。死ぬ気の炎は覚悟が強ければ強い程、純度が増していく。つまり純度が増す程、死ぬ気の炎は強くなる。故に死ぬ気の炎は覚悟の炎と呼ばれる」

 

「覚悟の炎……」

 

「そして死ぬ気の炎は炎自体が破壊力を持った超圧縮エネルギー。炎を纏った武器と炎を纏わない武器とでは攻撃力が違う」

 

 そう言うとディーノは自分の横の地面に向かって、おもいっきり鞭を振り下ろした。だが地面には傷一つついていなかった。

 

「だが死ぬ気の炎を纏わせれば……」

 

(大空の死ぬ気の炎!?)

 

 そう言うとディーノは丸めていた鞭を伸ばすと、鞭と右手の人差し指に装着している大空の死ぬ気の炎が灯る。佐天はディーノが大空の死ぬ気の炎を使ったことに驚きを隠せないでいた。前にリボーンから大空の死ぬ気の炎を持っている人物はレアだということを聞いていたからである。ディーノは死ぬ気の炎を纏った鞭をおもいっきり振り下ろす。すると先程と違い、ディーノの振り下ろした鞭は地面を破壊し、小さなクレーターができる。

 

「す、凄い……」

 

 死ぬ気を炎を纏っていない時の鞭の破壊力と死ぬ気の炎を纏っている時の鞭の破壊力があまりにも違った為、佐天は驚きを隠せないでいた。

 

「いずれお前も武器を持って戦うことになるはずだ。といっても今のお前はまだ自分の得意な武器を見つけてねぇ。とりあえず拳に炎を灯してみろ」

 

「拳に……」

 

「要領はリングに炎を灯すのと同じだ。拳をリングの代わりだと思え」

 

「リングの代わり……」

 

 ディーノに言われて佐天は目を閉じ拳に力を込めて、死ぬ気の炎を灯す為に集中する。数秒後、人差し指とくすり指に装着しているリングに晴の炎と雨の炎が灯る。そこから佐天はさらに集中する。

 そして

 

「灯った!」

 

 佐天の両手に拳に炎が灯った。拳が灯ったことで佐天は表情(かお)をパァッと明るくする。だがすぐに炎が消えてしまう。

 

「あっ!」

 

「及第点だな。まぁそれは今からやるスパーリングで覚えていくぜ」

 

 そう言うとディーノは鞭に纏っていた炎を消して、戦闘態勢に入った。

 

「遠慮はいらねぇぜ。どこからでもかかってこい」

 

「はいっ!」

 

 佐天は再び拳に炎を纏ってディーノに向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しそうだなディーノの奴」

 

「可愛い妹分ができたから、かっこいい所を見せようとしてるだけだろう」

 

 佐天とディーノのスパーリングの様子を見て、リボーンとロマーリオは少しだけ口元を緩ませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2時間後。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「少し休憩するか」

 

「はい……」

 

 今までと違い、今回は初めて死ぬ気の炎を放出しながらスパーリングをした為、いつもより疲労が激しくなっていた。死ぬ気の炎は生命エネルギーを可視化させたものである。つまり死ぬ気の炎を使えば使う程、疲弊し最悪の場合死に至る。ディーノは佐天の疲労具合から休憩を取ることにする。

 

(死ぬ気の炎を使いながらの戦いがこんなに疲れるなんて……ツナさんの世界の人たちって本当に凄いんだな……)

 

 佐天は死ぬ気の炎の使った戦いがここまで疲れるとは思ってもみなかった。こんな力を使いこなすツナたちの凄さを理解する。佐天たちは地面に座って休憩する。

 

「お前は恭弥と違って素直で助かるぜ」

 

「きょうや?」

 

「俺の弟子だ。って言ったら嫌がるんだろうけど。まぁ弟子みたいなもんだ」

 

 ディーノはツナの守護者の一人である並盛高校の風紀委員長である雲雀恭弥の姿が脳裏に浮かんでいた。

 

「そんなに大変なんですか?」

 

「すっげぇ戦闘狂でな。人の言うことなんて聞きやしねぇからな」

 

「大変ですね……」

 

「正直、もう勘弁して欲しいぜ。あいつと戦うのだけは」

 

「だったらもう戦わないようにしてあげるよ。あなたを噛み殺してね」

 

「へ……!?」

 

 ディーノがおそるおそる後ろを振り向いた。振り向くとそこには学ランを身に纏い風紀と書かれた腕章をつけた短髪の黒髪の男がいた。

 

「きょ、恭弥……」

 

「え!? この人が!?」

 

 噂をしたら本当に本人が現れた為、ディーノは顔を引き攣らせ、佐天は驚きの声を上げた。

 

「な、何で……」

 

「俺が雲雀に連絡したんだぞ」

 

「なっ!?」

 

 リボーンの言葉を聞いて、ディーノは驚きの声を上げた。リボーンの横にいたロマーリオは口を押さえながら笑っていた。

 

「見ない顔がいるね……もしかして君、例の異世界の?」

 

「は、はい! 少し前からリボーン君に修行をつけてもらってます!」

 

「へぇ。赤ん坊にねぇ……」

 

 リボーンに修行をつけてもらっていると知って雲雀は不敵な笑みを浮かべる。

 

「一つだけ君に教えておいておくよ。もし君がこの並盛の風紀を乱すようなら君を噛み殺す」

 

「っ!?」

 

 そう言うと雲雀は佐天に向かって殺気を放つ。ロクに戦闘に立ったことのない佐天でも雲雀の殺気が肌で感じていた。

 

「さて。話も終わったし。あなたを噛み殺す」

 

「ちょっ! 待て! 恭弥!」

 

「待たない」

 

 雲雀はトンファーを構えて、ディーノに向かって一気に振り下ろした。ディーノはなんとか雲雀の攻撃を躱した後、両手を前に出して待ってくれと懇願するも雲雀は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。

 

「頑張れよディーノ。妹分にかっこ悪い所を見せたくなかったらな」

 

「ふざけんな! うぉっ!?」

 

「余所見とは余裕だね」

 

(ディーノさんもツナさんと同じようにこんな風にリボーン君に振り回されたんだろうな……)

 

 リボーンのせいで雲雀と戦うことになってしまったディーノを見て佐天はディーノがリボーンの生徒だった頃もこのように振り回されたのだということが容易に想像できたのだった。

 

 

 




アンケートに滝壺をいれていますがちゃんと原作は読んでいますよ。なんかアイテムのメンバーを入れたのに一人だけ入れないことに違和感を感じてしまって…



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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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