とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)84 佐天の選択

 

 

 9代目と話す為にソファーに座ることとなった。9代目が上座に佐天とリボーンは下座に座る。9代目はルームサービスで佐天にケーキと紅茶を用意し、リボーンにエスプレッソを用意する。

 

「涙子君は綱吉君とはどういう風に出会ったんだい?」

 

「えっと……銀行強盗に襲われそうになったところを助けてくれたんです」

 

「そうか。綱吉君は相変わらず元気そうで何よりだ」

 

「その時にツナに惚れたんだよなお前」

 

「な、何で知ってるの!?」

 

 銀行強盗に襲われそうになった時にリボーンは学園都市にいなかったのにも関わらず、そのことを知っていた為、佐天は顔を真っ赤にしながら動揺していた。

 

「というか今、言わなくてもいいでしょ! それも9代目の前で!」

 

「9代目はお前のことを知りたがってんだ。別にいいじゃねぇか」

 

「そこは知らなくてもいいでしょ!」

 

「知っておくべきだろ。お前は次期ボンゴレのボスの妻になる女なんだからな」

 

「つ、妻って……!? それはまだ早いよぉ~」

 

 顔を真っ赤にしながら反抗する佐天であったが、妻という単語を聞いた途端、顔が緩みまくってしまっていた。

 

「ホッホッホ。若いというのはいいな。これでボンゴレの後継者も困ることはないな」

 

「ち、違います! 今のは!」

 

 佐天とリボーンの会話を聞いて9代目は笑いながらそう言った。佐天は9代目の反応を見て、慌てて誤魔化した。それから佐天はツナと過ごした日々について語る。楽しかったことも辛かったことも全てを。

 

「そうか。君も色々と苦労したんだね」

 

 9代目は佐天がなぜ強くなろうと思ったのかを知って、少しだけ悲しそうな表情(かお)をしていた。

 

「あの……」

 

「何かな?」

 

「9代目は……その……ツナさんがボンゴレファミリーの10代目になることをどう思っているんですか?」

 

 佐天はツナがボンゴレファミリーの後継者だと知ってからずっと気になっていたことを9代目に尋ねる。

 

「後継者がツナさん以外にいないことは知っています。それでも聞きたくて……」

 

 ボンゴレを継ぎたくないと言っているツナを9代目はどう思っているのか。佐天はその答えが知りたかった。

 

「綱吉君は弱虫で優柔不断で、優しくて仲間想い過ぎる。そしていつも眉間に皺を寄せて、祈るように拳を振い戦う。決してマフィアのボスには向かない男だ」

 

 9代目は佐天の問いに対して、自分の思っていることを正直に答えた。

 

「だからこそ私は綱吉君をボンゴレ10代目に選んだ」

 

「え!?」

 

 佐天は9代目の言っていることがわからないでいた。マフィアに向いていないと知っているのにも関わらずツナをボンゴレ10代目に選んだことに。

 

「ボンゴレは元々、マフィアではなかった」

 

「リボーン君から聞いています。ボンゴレファミリーの初代ボス、ボンゴレⅠ世(プリーモ)は自分たちの街と大切な人を護る為に自警団を立ち上げたんですよね?」

 

「その通りだ。だが2代目以降、ボンゴレはその崇高な精神を忘れられ富と権力争いに明け暮れた。そしてボンゴレは自警団からマフィアへと変貌してしまった」

 

D(デイモン)・スペード……」

 

「彼もボンゴレをマフィアにした人物の一人だろう。だが今のボンゴレの基礎を作ることができたのは2代目がいたからというのもある。2代目はボンゴレの歴史の中でも特に名を挙げた3人のボスの一人だからね」

 

 いくらD(デイモン)・スペードが凄くても一人だけでボンゴレを世界最強のマフィアへと変貌させるのは無理がある。D(デイモン)と2代目がいたからこそボンゴレは世界最強のマフィアになったのだろうと9代目は推測する。

 

「だが綱吉君は違う。私利私欲の為に戦わず、大切な物たちを護る為に戦う。綱吉君こそ最もボンゴレの意思を受け継いでる人物だ。綱吉君ならボンゴレを本来の在るべき姿へと戻してくれると私は信じている」

 

「だからツナさんを……」

 

 佐天は納得する。ツナならボンゴレをマフィアとしてではなく、本来の姿であった自警団へと戻してくれる人物だと確信し、ツナをボンゴレ10代目に選んだということを。

 

「だがボンゴレを継ぐかどうかは綱吉君自身が決めることだ。私は綱吉君の意思を尊重するつもりでいるよ」

 

「そうですか……」

 

「それと同時に涙子君。君も選択しなければならない」

 

「選択……?」

 

 自分が一体、何を選択するのかがわからず佐天は疑問符を浮かべる。

 

「君は綱吉君のことをとても大切に想っている。それは友情ではなく愛情。綱吉君のことを心の底から愛し、綱吉君と一緒にいたいと心の底から願っている」

 

 9代目の超直感は佐天のツナへの想いの深さを見透かしていた。いつもなら動揺している佐天であるが9代目が真面目な表情(かお)で言った為、動揺せず黙って話を聞いていた。

 

「仮に綱吉君がボンゴレを継いでボンゴレをどんな形にするにしろ、その道は想像を絶するものになる。逆に綱吉君がボンゴレを継がなくともボンゴレ10代目という肩書きが消える訳じゃない。敵対ファミリーに命を狙われることだってあるだろう」

 

 9代目は佐天にこれからツナに起こるであろう可能性を示唆する。

 

「君はそれでも綱吉君の傍にいたいかどうかを決めなければならない」

 

「決める……」

 

「といってもすぐには答えは出せないだろう。だからじっりと考えてくれ」

 

「はい……」

 

 佐天に与えられた選択。佐天はどう答えを出すのか? 

 

 

 

 




9代目の守護者を出そうと思いましたが、アニメ版で一人でツナの家に行ったシーンもあったのでいいかなと思って出しませんでした。まぁ9代目の守護者が出たのは継承式篇から何でアレなんですが…


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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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