「ならば!! 俺の奥義で終わらせてやる!!」
シェンツは雨属性の炎による効果が切れたのか、なん起き上がり錫杖を構えると、両足から炎を噴射する。
「狂嵐殺人術。
するとシェンツの姿が一瞬にして消える。その後、シェンツは佐天の周囲を高速移動しながら、錫杖で土煙を巻き上げて佐天の視界を塞ぐ。
(視界を塞ぎつつ、高速移動で翻弄し。加速と回転した錫杖で体を貫く! あらゆる法則を持ってしても破れるものなどいない!)
佐天の周囲を高速移動しながらシェンツは不気味な笑みを浮かべていた。余程、この技に絶対の自信があるのである。
『視覚にだけ頼るな。相手の動きを見ることは大事だが、視覚だけに頼ってちゃ生き残れねぇぞ。相手の動きを見るのと同時に殺気を感じろ』
(殺気を感じる……)
佐天はリボーンの言葉を思い出していた。佐天はシェンツの動きを見るのではなく目を閉じて、シェンツの殺気を感じとっていた。
(死ね! 小娘!)
(後ろ!)
シェンツは佐天の背後から攻撃をしようとする。佐天は後ろから殺気を感じて振り返ると同時に左手に炎を纏い、錫杖の先端に向かって拳を繰り出す。回転した錫杖の先端と佐天の拳がぶつかる。
「無駄だ! 貴様の晴の炎では俺の嵐の炎には勝てはしない!」
嵐属性の炎の特徴は分解。死ぬ気の炎の中でも攻撃力に特化している。シェンツは勝利を確信していた。
「な、何だ……!?」
シェンツは驚く。なぜなら錫杖の先端の回転が遅くなり、嵐属性の炎が徐々に消えていたからである。
(こ、これは……!?)
シェンツは佐天の炎を見る。よく見ると晴の炎を覆うようにわずかながら雨の炎が展開されていた。
(2属性の炎を同時に扱っただと!?)
佐天が晴属性の炎と雨属性と炎を同時に扱ったことにシェンツは驚きを隠せないでいた。雨属性の炎で嵐属性の炎を弱め、錫杖の先端の回転を遅くすることで錫杖の攻撃力を弱体化させたのである。
『どうやら佐天殿は死ぬ気の精密なコントロールするのに長けているようですね』
(思った通りだわ)
佐天は前にバジルに言われたことを思い出し、この極限状態の最中、迷うことなく実践したのだ。それこそ死ぬ気で。
「錫杖が……!?」
佐天の晴の炎がシェンツの錫杖の先端を完全に破壊した。錫杖が壊れたことにシェンツは驚きを隠せないでいた。
「
そう言うと佐天は右手に炎を灯し、右手をゆっくりと後方に下げる。
「終わりよ」
「ま、待……ゴハッ!?」
命乞いしようとするシェンツの顔面に佐天は渾身の拳を叩き込んだ。佐天の拳を叩き込まれたシェンツは上空にぶっ飛ばされる。
「ごめんなさい……」
地面に叩き込まれ倒れている
「終わったな」
戦いを終えた佐天の元に駆け寄るとリボーンは佐天にそう言った。
「リボーン君……」
「ん?」
「辛いんだね……戦いって……」
「それが戦いだ。それはこれからも続く。お前がツナと一緒にいたいならな」
佐天は顔を俯かせて拳を強く握りながらそう言った。その声を震えていた。そんな佐天にリボーンは9代目が言っていたことを改めて話した。
「リボーン君……私……もっと強くなりたい」
『リボーン……俺……もっと強くなりたい』
「……」
リボーンは佐天の台詞を聞いてある情景が浮かんでいた。それはかつてツナが強くなりたいと言った時と同じ目を佐天がしていたからである。
「これからの修行はさらにきつくなるぞ。覚悟しとけよ」
「うん!」
リボーンから厳しくなると言われてもなお佐天は臆することなくそう答えた。
(こんなことがあってたまるか! あんな小娘にこの俺が!)
一方、シェンツの意識はまだあった。しかし佐天から受けたダメージが酷く、立つこともままらなかった。
(こうなったら一か八かだ! 憑依弾を使ってあの小娘の体を!)
シェンツは一か八かの賭けに出ることに決めると、体を横に傾けると自分の懐にある憑依弾を装填してある銃を取り出す。
が、
「そこまでだ」
「ガハッ!?」
「な、何!?」
「来やがったか」
突如、謎の声が響き渡る。それと同時に黒い炎が現れ、そこから鎖が伸びてシェンツの首と両腕に絡みつく。佐天は突然のことに混乱しリボーンは冷静な態度でいた。
「久しぶりだねリボーン君」
「久しぶりだなイェーガー。バミューダ」
再び声が響くと黒い炎の中から黒いコートに黒い帽子、全身包帯を巻いた長身の男と同じく長身の男と同じ格好をした赤ん坊がいた。
「な、何なの……この人たち……」
ツナの記憶でこの2人を見たことはあった佐天であるが、この2人の風貌とこの場を支配する冷たく不気味な雰囲気に恐怖していた。
「
「裁くって……そんな……」
何の罪のないクイエーテが裁かれると知って佐天はショックを受ける。
「この男に罪はない。だがシェンツには色々と聞きたいことがある。それさえ済めばクイエーテは解放する」
イェーガーがそう告げるが、佐天は恐怖のあまり安堵することができないでいた。
「君は異世界から来たという人間かい?」
「え……!?」
「何で知ってやがる」
「我々の情報網は甘くない。それぐらい知ってるさ」
「そんな情報網があるならシェンツもとっとと捕まえられただろ」
「ずっとマークはしていた。だが骸君の時と同じで憑依弾を使ったという証拠がなかった。だが今回、そこのお嬢さんが戦ってくれたお陰でその証拠ができたのさ」
(記憶を見た時から思ってたけど……何でこの人とリボーン君と似てるの……? 偶然……?)
佐天はリボーンとバミューダの姿が似ていることに疑問を抱く。
「黒い……死ぬ気の炎……?」
佐天はもう1つ気になっていたことを呟いた。それは2人の横にある死ぬ気の炎。7属性のどれにも当てはまらない黒い死ぬ気の炎のことである。
「夜の炎だ」
「夜の……炎……?」
「おっとリボーン君。それ以上は言っちゃダメだよ」
リボーンが佐天の問いに答えると、バミューダが夜の炎のことについて話すことを禁じる。
「お前の言い分はわかってるつもりだ。だがお前らのような奴を二度と生む訳にはいかねぇ。だから注意換気させて欲しいだけだ。こいつは俺の生徒なんでな」
リボーンは注意換気の為に夜の炎のことについて話させて欲しいとことを頼む。
「君の言うことも一理ある。そういうことなら構わないよ」
リボーンの意見に納得したのかバミューダは夜の炎について話すことを許可した。
「そろそろ行くぞバミューダ」
「先に行っててくれイェーガー君。最後にあのお嬢さんに言っておくことがある」
「わかった」
そう言うとイェーガーがシェンツを連れて行くと夜の炎を通って戻っていく。
「今回はすまなかったお嬢さん。こちらとしても確実な証拠を手に入れたくてね」
バミューダは今回、自分たちがすぐにシェンツを捕えることができなかったことを謝罪する。
「一応、君は
そう言うとバミューダはイェーガーと同じく夜の炎を通って帰って行く。
「こ、怖かった……」
恐怖のあまり動けなかった佐天であったが、2人が消えた途端、緊張の糸が途切れて腰を抜かしてしまう。
「あれ……?」
そして修行の疲れと
「疲れが一気に出たか。まだまだがっつり鍛えねぇとな。だが良くやったぞ佐天」
という訳で佐天覚醒篇は終了…と言いたいんですがまだ続きまーす。というか考えみれば崖登りの修行と死ぬ気のコントロールをやった時点で佐天の武器がわかったという人も多い気がするんだよなー…
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