とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)96 リボーンの秘密

 

 

 リボーンは佐天の疑問に答えることを決める。

 

「俺のこの姿は本当の姿じゃねぇんだ」

 

「本当の……姿じゃない……?」

 

 リボーンの言っていることの意味がわからず佐天は困惑してしまっていた。

 

「俺の本当の姿は超かっけぇんだ」

 

「自慢……?」

 

 恥じることもなく堂々と言い切るリボーンに佐天は若干、呆れてしまっていた。

 

「俺が……俺たちがこの姿になったのはチェッカーフェイスっていう男が原因だ」

 

「俺たちって……」

 

「ツナの記憶を見たんなら見てんじゃねぇのか。俺とバミューダ以外に俺たちと同じ姿をした奴らが」

 

「そういえば……」

 

 リボーンに言われて、佐天はツナの記憶を見た時にリボーンと似たような赤ん坊がいたことを思い出す。

 

「俺はチェッカーフェイスからチームでの依頼を受けた。チェッカーフェイスに言われた場所に行くとそこには俺以外に6人の人物がいたんだ」

 

 リボーンは6人の詳細を語る。弾丸を素手で止める程の拳法の達人の(フォン)。不死身のスタントマンのスカル。元イタリア海軍潜水奇襲部隊コムスビンの教官のラル・ミルチ。レオナルド・ダ・ヴィンチの再来と唱われた科学者ヴェルデ。幻術を操る超能力者(エスパー)バイパー。予知能力を持つ巫女(シャーマン)ルーチェ。

 

「不死身に超能力者って……」

 

 集められたメンバーの詳細を聞いて、あまりの凄さに佐天はドン引きしてしまっていた。

 

「集められたのはメンバーは世界最強のメンバー。そんな俺たちにチェッカーフェイスは依頼してきたんだ。要人の護衛に暗殺、軍事機密の入手。色んなミッションをな。俺たちはミッションの内容よりも世界最強のメンバーでミッションをこなすことにハマってチェッカーフェイスの依頼をどんどん受けていったんだ」

 

 リボーンの脳裏にはチェッカーフェイスが依頼してきたミッションと、そのミッションを7人でこなしていた出来事が浮かんでいた。

 

「ある時、チェッカーフェイスが俺たちに依頼してきた。依頼内容は宝探し。山に眠ってる宝を見つけるのが俺たちのミッションだった。だが俺たちが頂上につくとまばゆい光に包まれた。気づいた時には俺たちは赤ん坊の姿にされ、胸にはずすことのできないおしゃぶりがつけられてたんだ」

 

「それって……」

 

「ああ。俺たちへの依頼は俺たちを信用させる為の罠だったんだ」

 

「そんな……」

 

「俺たちが呪われた赤ん坊と呼ばれるのは、チェッカーフェイスの呪いによって赤ん坊にされた人間だからだ。そしてアルコバレーノというのは呪いによって姿を変えられた7人の赤ん坊の総称のことなんだ」

 

「チェッカーフェイスは何がしたかったの? 何の為にリボーン君たちを赤ん坊の姿にしたの?」

 

 チェッカーフェイスが何の為にリボーンたちを赤ん坊の姿にしたのかわからずにいた。

 

「俺たちの世界には(トゥリニセッテ)っていうものがあるんだ」

 

「トリニセッテ?」

 

「7つのボンゴレリング、7つのマーレリング、俺たちアルコバレーノ7つのおしゃぶり。これらの総称が(トゥリニセッテ)だ。(トゥリニセッテ)は俺たちの世界を作った礎。つまり(トゥリニセッテ)が失われば俺たちの世界の秩序は崩壊する」

 

「せ、世界!?」

 

 いきなり話がぶっとび過ぎて、佐天の頭はパンクしてしまう。

 

「チェッカーフェイスは(トゥリニセッテ)の管理者。俺たちはこのおしゃぶりを護る為に選ばれた7人だったんだ。俺たちはチェッカーフェイスを探したが奴とは手紙でやり取りしてた為に居場所を掴むことすら叶わなかったんだ。だが2年前に奴は俺たちの前に姿を現して俺たちに言ってきた。俺たちにかけられた呪いを解きたくないかってな」

 

「呪いを解くって……自分で呪いをかけておいて……」

 

「俺たちもそう思った。しかし呪いを解く方法が他に見当たらなかった。だから俺たちはチェッカーフェイスの提案に乗り、虹の代理戦争に参加することを決めたんだ」

 

「虹の代理戦争?」

 

「チェッカーフェイスの考案した戦いだ。俺たちアルコバレーノが各々、代理を立てて戦うんだ。そして最後まで勝った残ったチームのアルコバレーノは元の姿に戻れるっていうな」

 

「じゃあリボーン君はその戦いで勝てなかったから赤ん坊の姿のままなの?」

 

「いや。この虹の代理戦争もチェッカーフェイスの罠だったんだ」

 

「え!? また!?」

 

 虹の代理戦争もまたチェッカーフェイスの罠だったと知って、佐天は驚きの声を上げた。

 

「この虹の代理戦争で俺たちの誰かが勝ったところで呪いが解かれることはなかったんだ。だがこの虹の代理戦争が罠だと知っていたバミューダは虹の代理戦争に乱入し、この事実を俺たちに話した。そしてアルコバレーノの秘密もな」

 

「秘密?」

 

「アルコバレーノは昔から存在していたんだ。役割は俺たちと同じおしゃぶりを護ること。だがアルコバレーノは永遠に勤めることはできない。体がおしゃぶりに耐えられなくなるからな。そこで世代交代が行われる。人の記憶に残らないよう仕事の依頼、虹の代理戦争というサイクルでな」

 

「つまり仕事の依頼や虹の代理戦争は次期アルコバレーノを決める為のものだったってこと?」

 

「その通りだ。そして世代交代が行われば前のアルコバレーノはおしゃぶりから炎を全て抜かれる。つまりそれは死を意味する。要するにアルコバレーノっていうのは世界の秩序を護る為に捧げられた7人の生け贄だったていう訳だ」

 

「そんな……!?」

 

 あまりに残酷過ぎるアルコバレーノのシステムに佐天はショックを受ける。

 

「だが一人だけ例外がいた。それがバミューダだ」

 

「バミューダもやっぱりアルコバレーノだったんだ」

 

「バミューダは世代交代によって死ぬアルコバレーノの一人だった。だがバミューダは死ぬ寸前に新たな炎を作り出しておしゃぶりに注ぐことによって延命した。第8の属性。夜の炎を作ることでな」

 

「夜の炎……」

 

「この炎は怨みや憎しみによって生まれる炎。バミューダはチェッカーフェイスへの怨みから新たな属性を作った。そしてバミューダはそこからチェッカーフェイスに復讐する為に殺されるはずのアルコバレーノの中からチェッカーフェイスを怨み、骨のある者を夜の炎を使って救済し組織を作った。それがマフィア界の掟の番人。復讐者(ヴィンディチェ)の正体だ。そしてそこからバミューダたちは何百年と生き続けた。チェッカーフェイスに復讐する為にな」

 

「人間が数百年も生き続けるなんて……そんなことが……」

 

 バミューダが自分と同じ人間であるということも驚きであるが、たった一人の男に復讐する為だけに生き続けるバミューダの執念に佐天は衝撃を受けていた。

 

「あの炎を手に入れれば絶大な力を手に入れられる。だが夜の炎を手に入れるということは、少なくともお前が大切なもんを失うことはまず間違いねぇ。だから絶対にあの炎を手に入れるなよ」

 

「う、うん……」

 

 リボーンが夜の炎を手に入れるなということを念を押すと、佐天は念を押されながら了承する。

 

「話の続きだ。俺はバミューダにチェッカーフェイスを倒す為に協力しないかと誘われた。俺はバミューダが嫌いだったが協力しようと思った。チェッカーフェイスを倒そうが倒すまいが俺たちがどうせ死ぬことは変わりはなかったしな。それに次期アルコバレーノを継がせる訳にはいかなかったからな」

 

「どうせって……」

 

「この姿になった時からロクな死に方は期待しちゃいなかったからな。俺はチェッカーフェイスが俺たちの呪いを解くなんていうのも嘘だってこともバミューダに会う前からわかってたしな」

 

「え……!? じゃあ何で虹の代理戦争に参加したの……!?」

 

 自分の呪いが解けないと最初からわかっていながら、なぜ虹の代理戦争に参加することを決めたのか佐天はわからなずにいた。

 

「んなもん決まってんだろ。俺の使命はツナを立派なボンゴレ10代目にすること。虹の代理戦争はツナを鍛えるには丁度いいと思ったからな」

 

「っ!?」

 

 呪いが解かれないことがわかっていながら、ツナを鍛える為だけに虹の代理戦争に参加したという事実に佐天は驚きを隠せないでいた。正直、どうかしているとも思っていた。

 

「けどツナは違った。あいつは俺たちアルコバレーノを死なせず、(トゥリニセッテ)も維持する方法があるはずだと、俺を絶対に死なせないと言ったんだ」

 

「ツナさん……」

 

 自分が昏睡状態になった時と同じで戦いが嫌いだが、仲間の為なら命を賭ける。佐天はツナが昔からそういう人間だったのだということを理解する。

 

「俺はツナの意志に従い復讐者(ヴィンディチェ)と敵対することにした。復讐者(ヴィンディチェ)の実力は俺たちの想像を遥かに越えたものだった」

 

「そ、そんなに強かったの……!?」

 

「相手はアルコバレーノ。それも歴代のアルコバレーノの中でも選りすぐりの奴らだったからな。特にバミューダはやばかった。少しだけ戦ったが俺は手も足も出なかった」

 

「リボーン君が……!?」

 

 正直、信じられなかった。ツナに余裕で勝てるだけの力を持つリボーンですらバミューダすら勝てないという事実に。

 

「それでもツナは俺ですら勝てなかったバミューダに打ち勝った。そしてツナの考えで誰も犠牲にすることなく(トゥリニセッテ)を維持する方法が見つかって

 俺たちは生きられるようになった」

 

「凄い……」

 

「ツナが行動を起こさなきゃ俺たちは死に、ツナはアルコバレーノになってた。確実にな」

 

「そ、そうなの!?」

 

 ツナがアルコバレーノになっていたと知り、佐天は驚きの声を上げる。

 

「チェッカーフェイスは次元が違った。人でありながら人としての理を越えた存在。ツナやバミューダよりもさらに強かったからな」

 

「そんなに強いの……!?」

 

「少なくとも俺たちの世界の全勢力とお前らの世界の全勢力が束になってもチェッカーフェイスには勝てねぇだろうな」

 

「っ!?」

 

 チェッカーフェイスの強さを知って佐天は衝撃のあまり固まってしまっていた。

 

「ほ、本当に人間なの……!? チェッカーフェイスって……!?」

 

「本人は地球人だって言ってたぞ。人類が生まれる前から地球にいるらしいがな」

 

「じ、人類が生まれる前!?」

 

「人類が誕生したのは500万年前だからな。500万歳以上だな」

 

「5、500万!?」

 

 リボーンはチェッカーフェイスの年齢を推測すると、佐天は驚きの声を上げた。

 

「あっ! でも何でボンゴレリングってチェッカーフェイスが作った物なんでしょ? 何でそれがボンゴレにあるの?」

 

 この世界を護る為の重要なアイテムがなぜボンゴレの手にあるのかわからず佐天はリボーンに質問する。

 

「ボンゴレの初代ボス。ボンゴレⅠ世(プリーモ)はボンゴレリングの適合者だったんだ」

 

「成る程……」

 

「元々(トゥリニセッテ)は7つの石だった。チェッカーフェイスの種族はその石に炎を灯し(トゥリニセッテ)を機能してた。だが仲間が次々に死んでいき自分たちの力だけで機能できなくなった。そこでチェッカーフェイスたちは人間の力を借りることを決めた。そこで生まれたのがアルコバレーノのおしゃぶりだ。だがさらに仲間が死に仲間が2人だけになり石を制御できなくなった。そこで生き残ったチェッカーフェイスとセピラという巫女はさらに人間の力を借りることにした。そこで生まれたのがボンゴレリングとマーレリングだ。この2つはセピラの提案によっておしゃぶりのようなデメリットがないように作られたんだ」

 

「だからツナさんは大丈夫だったんだ……」

 

 おしゃぶりと同じ(トゥリニセッテ)であるボンゴレリングを持っているツナがリボーンのように死ぬことがないのかということを佐天は理解する。

 

「あれ? でも呪いは解けたんだよね? じゃあ何でリボーン君は赤ん坊の姿のままなの?」

 

「赤ん坊のまま育たないっていう呪いが解けただけで、今は成長段階の途中なんだ」

 

「そうなんだ」

 

「長くなったがこれが俺の秘密だ。理解できたか?」

 

「正直、スケールがでか過ぎてあれだけど……なんとか……」

 

 世界の秩序やら、人知を越えた存在が出てきて佐天の頭はパンクしかかっていたが、なんとか理解することはできた。リボーンの話が終わった途端、佐天の眠気が襲い、そのまま眠ってしまう。

 

「寝ちまったか」

 

 リボーンは静かに寝息を立てながら眠る佐天を見ながらそう呟いたのだった。

 

 




「少なくとも俺たちの世界の全勢力とお前らの世界の全勢力が束になってもチェッカーフェイスには勝てねぇだろうな」とは言いましたがリボーンはとあるの世界の勢力全てを理解してる訳じゃないので、あくまで予想です。
でも実際にとあるキャラでチェッカーフェイスに勝てる奴って、フィアンマか魔神ぐらいしか僕は思い当たらない…


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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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