とある科学の大空と超電磁砲(レールガン)   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)97 憧れと護りたいもの

 

 

 

 時間はさらに経過しツナが風紀委員(ジャッジメント)の仕事を終えて戻ってきた。

 

「佐天がマフィアに襲われた!?」

 

 佐天がマフィアに襲われたと知ってツナは驚きの声を上げる。

 

「声がでけぇぞツナ。佐天が寝てんだぞ」

 

「ご、ごめん!」

 

 リボーンがベッドで寝ている佐天を見ながらそう言うと、ツナは声量を落としながら謝る。

 

「相手はエストラーネオファミリーのシェンツ・パッローネだ」

 

「エストラーネオファミリーって……骸が壊滅させたんじゃ……」

 

「骸の奴に壊滅される前に憑依弾を使ってクイエーテっていう殺し屋(ヒットマン)に憑依することで生きていたんだ。まぁ憑依弾(たま)との相性が悪いのにも関わらず使ったからこれ以上、憑依することはもうできなかったようだがな」

 

「で、でも何の為に佐天を?」

 

「お前を確実に殺す為の人質だ。奴はお前を殺してマフィア界の頂点に君臨することでマフィア界の法則を変える。つまり憑依弾を合法にしようとしたんだ」

 

「そ、そんな……俺と一緒にいたせいで……」

 

 自分のせいで佐天が襲われと知って、ツナはショックを受ける。

 

「そして佐天はこいつを使ってシェンツを退けた」

 

「え……!? それって……!?」

 

 リボーンは310と書かれた手袋をツナを見せた。ツナは手袋を見て衝撃を受けた。なぜなら自分と同じ武器が目の前にあるのだから。

 

「レオンの尻尾が切れた。お前が骸と戦った時と同じようにな。佐天は自分で答えを出しお前と同じ力を手にして、シェンツを倒したんだぞ」

 

「佐天が……!?」

 

 ツナは信じられなかった。まさか佐天が自分と同じ力を使って戦い、シェンツを倒したという事実に。

 

「佐天は言ってたぞ。お前を護りたい。自分の大切な人(・・・・)に酷いことをする奴にだけは絶対に負けたくねぇってな」

 

 リボーンはプライバシーの観点から私の大好きな人から、大切な人と言い換えて佐天の言っていた言葉をツナに伝えた。

 

「もう佐天はお前が心配する程弱くはねぇ。佐天は変わったぞ。誰かに護られる存在から誰かを護る存在にな。そして今回の戦いで戦いの辛さを知ってより一層、強くなることを決めたぞ。自分の意志でな」

 

「……」

 

 修行の第2段階の時に佐天の意志を尊重をすることを決めたツナであったが、それでもやはり佐天が傷ついてしまったことに平気でいられるはずもなかった。

 

「佐天がどうして強くなろうと思ったか知ってるか?」

 

「え……もう後悔したくないからじゃないの……?」

 

「それもあるが一番はお前の影響だぞ」

 

「俺!?」

 

 佐天が強くなろうと思った理由が自分だと知ってツナは驚きの声を上げる。

 

幻想御手(レベルアッパー)を使って昏睡状態になった時にどういう訳かは知らねぇが佐天はお前の過去を見たんだぞ」

 

「佐天が……俺の過去を……!?」

 

 美琴と木山だけではなく、佐天も自分の過去を見ていたと知ってツナは驚く。

 

「お前の過去を見て佐天は強くなろうと決意したんだぞ。憧れの存在だったお前の辛い過去を知り、憧れるだけじゃなく憧れの人のようになりたいと強く願った。そして自分が力をつければお前の悲しむ顔を見なくていいんじゃないかってな」

 

「え……!?」

 

 佐天が強くなろうと思った理由がまさか自分だということを知って、ツナは驚きを隠せないでいた。

 

「お前と出会ったせいで佐天は傷ついたのかもしれねぇ。だがお前と出会わなければ佐天は以前のように無能力者(レベル0)であることに負い目を感じて、前に進めなかったかもしれねぇ。可能性の話だがな。ただ間違いなく言えんのはお前に出会ったから佐天は変わったんだぞ。お前が俺と出会って変わったようにな」

 

「俺が……佐天を変えた……」

 

 ツナは信じられなかった。自分と出会ったことが佐天の人生に影響していたということに。

 

「お前がいたからこそ佐天はシェンツに打ち勝つことができたんだぞ。憧れや誰かを護りたいという想いは力を呼び覚ますからな。それはお前だってわかるはずだぞ」

 

「……」

 

 ツナは憧れで強くなろうと思ったことはない為、それはわからなかったが護りたい者の為に強くなろうと思ったことは何度もある為、それは理解できた。

 

「佐天はお前を護りたいと思って命懸けで戦ったんだ。負い目を感じるなとは言わねぇ。だがお前との出会いは絶対に間違いじゃなかったってことは覚えとけ」

 

「うん……」

 

 完全に吹っ切れた訳ではないが、リボーンの言葉を聞いてツナは少しだけ落ち着いた。

 

「にしても佐天とずっと暮らしてたのに佐天の気持ちを全然わかってねぇなんてな。本当にダメツナだな」

 

「そ、そこまで言わなくても良いだろ!」

 

「なぁツナ。お前は佐天のことをどう思ってんだ?」

 

「え?」

 

「佐天はお前に憧れてる。じゃあお前はどうなのかって話だ。お前から見て佐天はどういう印象だ?」

 

「な、何だよ……急に……」

 

「いいからさっさと答えやがれ」

 

「わ、わかったよ!」

 

 急に佐天のことをどう思ってるかと聞かれて困惑するツナであったがリボーンに銃口を向けられた為、ツナは慌てて答えることを決める。

 

「佐天の印象……やっぱり優しくて料理もできて……とっても真っ直ぐで明るい女の子って感じかな」

 

「付き合いたいとか思わねぇのか?」

 

「つ、付き合う!? 何、言ってんだよ!?」

 

「声がでけぇぞ」

 

「お前が変なことを言うからだろ!」

 

 ツナはリボーンの質問に動揺のあまり大きい声を出してしまう。リボーンが再び注意するとツナは声のトーンを落としながらツッコミをいれる。

 

「そ、そりゃ……佐天と付き合えるなら幸せだと思うよ。というかあんな可愛い女の子と付き合えるなら誰だって幸せだろ」

 

 ツナはリボーンの問いに素直に答える。ツナの答えを聞いてリボーンは少しだけ口元を緩ませる。

 

「ツナー。ご飯できたわよー」

 

「わかったー。今、行く」

 

 階段の下から奈々が晩御飯ができたことを知らせてきた為、ツナは返事をする。

 

「俺が佐天を起こす。先に言ってていいぞツナ」

 

「え……? う、うん……」

 

 少しだけ困惑したツナであったが、部屋を出て台所へと向かって行った。

 

「よかったな。可愛いって言ってもらえて」

 

 ツナが部屋から出て言った後、リボーンは部屋の扉の方を見ながら、ベッドで寝ている佐天に向かってそう言った。その言葉を聞いた途端、佐天の被っていた布団がビクッとする。リボーンは佐天が起きていることに気づいていた為、あんな質問をしたのである。

 

「それに全く脈なしっていう訳でもなさそうだぞ」

 

「っ!?」

 

 リボーンの言葉を聞いて佐天は布団を被ったまま真っ赤になった両手で顔を覆ったのだった。

 

 

 

 




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ツナとアックアの戦い。どんな形がいい?

  • 1対1の一騎討ち
  • ツナと天草十字正教が協力して戦う

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