目が醒めた。
深く沈んでいた意識が、海中から顔を出すように浮かび上がる。
自分が一体何者で、何処の誰なのか。
夢に浸っていた意識は、醒めてすぐだと、それすらもハッキリと理解出来なかった。
朧げに目を開くと、暗闇が写る。
段々と目が慣れてきたから、天井が見えてきた。
外の感じからして、今はまだ6時ほどだろうか。
年が明けてまだ少しといった感じだし、冬もまだまだ真っ盛りだから、6時でも暗闇なのは当然の帰結だろう。
学校に行く時間にしてはまだ早いし、もう少し眠ろう。
...........なんだか悪い夢を見ていた気がする。自分が死んで、神様に会って、エルフの、それも綺麗な女の子になってしまう夢。
夢でよかった。今日もいつものように、学校に行き、そこそこ仲の良い友人と趣味のことで駄弁って、放課後に本屋に寄って新刊が無いか確認し、家に帰って、暖かい食事と風呂にありつく。
当然の日常を当然のものとして享受するだけだ。
そう思った。思いながら、身体の向きを変えようと横を向くと、見慣れない白いものが目に写った。
ああ 嘘だ、そんな。夢の筈じゃあーーーーーー
これは確かに自分自身の身体の一部であると認めるのに、少々の時間を有した。
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自分の置かれている現状を思い出した。いつまでも夢に浸っていられるものでもない。
自分はいつの間にか着替えさせられていたパジャマ(モコモコしていて触り心地が良い。女の子っぽい点に目を瞑れば) から、綺麗に洗濯されたのだろう、元の衣装に着替えて、パーカーを深く被りながら部屋を出た。
ここは、研究施設。多くの転生者や、研究者の詰める、この国の最重要施設の一つだ。
そんな所に海東さん達に連れて行かれた事を思い出しながら、ボクは2階にあるという飲食スペースにやってきた。
身体が空腹を訴えているからだ。ダジャレではない。
パッと見て、フードコートという感じだ。大型商業施設とかにある感じの。ラーメン屋とかイタリアン料理店とか、北海道の具材を使った〜とかを謳い文句にする店が詰められたフードコートに似ている。
異世界特有の居酒屋だとか荒くれ者の集う飲み屋とかそういう感じを想像していたが、やはり転生者にしても生まれ育ち、慣れた物の方が良いのだろうか。
考察というにはお粗末な思考をしながら、ふと自分はお金を持っていない事に気づいた。
一文無しな自分と空腹を訴える身体に絶望感を感じながら、同じく転生者であろうと見受けられる男性が、何やらカードを店員に見せていることに気づいた。
すると金銭を介していないのにも関わらず、食事の引換券を貰っているではないか。
そう、ボクは見たことがあるあのカードを。転生者証明カードみたいな奴。記憶は朧げだが確かに持っていた筈。
そして自分は今それを持ってきている。神か。過去の自分の偉業を称えながら、密かに目を付けていたうどん屋の前に行き、カードを見せつけた。さながらどこぞの御隠居様のように。
身体に力(リキ)を込め、鼻から息を吸い、大きな声で宣言する。
「カレーうどん、一つお願いします!!」
「先程のお客様に出したのがラストになります」
出したいキャラは多くいるのですが、どうも展開とかと合致してくれない。(例えば飲食スペースの所で桜井侑斗とデネブ出そうとしてた)