エルフ転生(仮)   作:ホタルイカ

9 / 23
今回は王都到着〜受付です。展開は遅いですが、どうかゆっくりお付き合いください。


王都受付

 

 海東さんに先導されて、街の入り口だと思われる大きな門の前に辿り着いた。門の前には街に入ろうとする人々、大きな荷物を乗せている車のようなものも見えた。驚くことに、この世界にも車のようなものがあるらしい。前世でいう軽トラに1番似ている。

けど車にしてはどこか簡易的だし、荷台のところに大きな水晶のようなものが付いている。

 

「驚いたかい?あれはこの世界特有の資源である魔石というものを使って動いているんだ。」

 

「魔石ですか?」

 

海東さんが言うには、大気にある魔力が固体化して固まったものらしい。原理とかは詳しくて分からなかったけど、魔石がエネルギーとなって火が点いたり、物を冷やす時にドライアイスのような役割を果たすらしい。

 

こういったいかにも、っていう異世界要素があると俄然テンションが上がってきた。目をキラキラとさせていたら、海東さんに見られて苦笑いされてしまったけれど。

 

「じゃあ入国しようか。転生者は転生者用の入国券みたいなものがあるから、並ばなくて良いのは特権なんだよね。」

 

そうなのか。現地人の人と思われる人達の列を横目に、別の大きな門の横の出入り口。一般入国者用の出入り口隣の扉に入っていく。

 

中に入ると、カウンターのようなものと、その中で多くの人が忙しそうにあちらこちらへ走っている。前世でいうなら、市役所とかに似ているだろうか。

窓口の前には、軍服に緑色のベレー帽を被った、茶髪をお下げにしている垂れ目の優しそうな雰囲気を持ったお姉さんが忙しなく書類の整理をしていた。入ってきた僕たちに気付いた様子で顔を上げながら問いかけてくる。

 

「いらっしゃいませ....ってあら、海東さん。お早いお帰りですね。何かご用事でもあったんですか?」

 

「ああ、新しい転生者がやってきたからね。危険が無いか確認しに行ったんだ。ほら、彼女が新しい転生者君だよ。」

 

海東さんが、後ろにいた僕を受付さんに紹介している。

 

「あっ、あの、初めまして。マーリンです。」

 

綺麗な人だなぁ、とか思ってたら急に話を振られてテンパってしまった。...恥ずかしい。

 

「.....まぁ!今回はまた随分と綺麗な女の子ですね!前回はガチムチの筋肉質な人でしたが...マーリンさんですね、よろしくお願いします。」

 

と、前置きした上で彼女は

 

「わたくしはアノール・ロンド王国入国管理局、王都ヤーナムの西口転生者用窓口で受付を担当しております、アリアと言います。よろしくお願いしますね」

 

人の良い笑顔でニッコリと笑いかけてくる。うっかり惚れそうになるからやめてほしい。そしてぎこちない笑顔しか返せない自分をとことん責めたくなる。

 

「堅苦しい挨拶はやめて、転生者登録でもしようか。」

 

海東さんが聞き慣れない事を言ってきた

 

「転生者登録、ですか?」

 

「そう、登録。身分証の発行みたいなものだよ。転生、もしくは転移してきたばかりの僕らは、自身の身分を証明するものがないだろう?だからここで作ってもらうのさ。」

 

なるほど、そういうことか。

海東さんが言うには、登録証があるだけで無料で宿屋に泊まれたり、公共交通機関にタダ乗り出来たりするらしい。過去に転生してきた転生者達が、国に貢献してくれた事への見返りというのもあるんだけど、僕達後続の転生者達にも国への貢献を期待して発行されているらしい。

 

「じゃあ名前の記入、年齢性別、その他諸々この書類に書いちゃってくださいね。」

 

そういってアリアさんがボードに挟まれた色々書いてある紙と....なんだこれ、シャーペン?異世界にもシャーペンがあるのか、転生者の影響って凄いなぁ。

 

名前とか、出来る事とか、前世はどんな感じだったのか、とか。....性別の欄は苦渋の決断だったけど、身体は女の子だし、女性に丸をうったけど....自身で改めて女性になったって認めるのは、なんかモヤモヤするなぁ。未だにこの身体で何が出来るのかわからないし、能力欄は未記入でいいか。任意って書いてあるし。

 

書類を受け取ったアリアさんが、紙の内容を機械に読み取らせたら、ちょっとだけ機械が光った。そしたら定期券みたいな券が出てきた。

渡されたソレを見ると、さっき入力した事と、いつ撮ったのか分からない自分の写真が貼ってあった。

.....やっぱ綺麗だな自分....

 

「はい、では手続きも終わりましたし、入国を許可します。王都を是非楽しんで下さいね。」

 

「ありがとうございました。」

 

アリアさんに頭を下げて、海東さんのところへ向かう。海東さんは、窓口と同じ部屋にあった待合室みたいなところでソファに座って、雑誌を読んでいたらしい。異世界にもあるんだ、雑誌。

 

「いやいや、こういった手続きは必要だからね。時間がかかればかかるほど、細かいところで問題に巻き込まれなくて済むってものさ。」

 

そう言って海東さんは雑誌を元の棚に戻して、僕の方を向く。

読んでいた雑誌は...「週間大陸のお宝 〜古代遺跡に眠る伝説の秘宝〜」?

なんとも俗世っぽいというか、現代日本っぽいというか。異世界に来て異世界らしさを実感したのって、案外少ないのでは?本当にここが異世界か疑わしくなってきた。

 

「さぁ、行こうか。転生者が多くいる宿だったり、美味しいレストランや行きつけのカフェを紹介してあげよう。」

 

そう言って海東さんは、出口の扉を開けた。

 

 

 

 

 

 




次回はぶらり王都途中下車
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。